イントゥイット(INTU)決算分析と目標株価 クレジットスコアを提供するクレジットカルマの買収効果に期待

イントゥイット情報技術

過去の業績の推移を解説し、目標株価の算出とイントゥイットへの投資についてコメントします。

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会社概要

イントゥイット(Intuit、INTU)

ホームページ(SECファイル):リンク先

国:アメリカ

セクター:情報技術

産業グループ:ソフトウェア・サービス

サブ産業グループ:アプリケーション・ソフトウェア

株式時価総額:1,750億ドル(世界ランキング第67位、2023年12月末)

イントゥイットは、アメリカに本拠を置く、税務申告ソフト「ターボタックス(Turbotax)」やクラウドベースの会計ソフト「クイックブックス」、個人金融ポータル「クレジットカルマ(CreditKarma)」などを提供する企業です。

個人向けに無料でクレジットスコアの提供や、金融機関のクレジットカード及び自動車ローンを提案して収益を図るクレジットカルマを2020年に71億ドルで買収しました。

電子メールマーケティングを手掛けるメールチンプ(Mailchimp)を2021年に120億ドルで買収しました。

 

売上高(セグメント別)の推移

FY2023(2022年8月-2023年7月期)の売上高は144億ドルと、前年度比+12.9%、過去5年間で年率+19.0%となりました。

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セグメント別の売上高は、以下の通りです。

・中小企業:80億ドル、前年度比+24%

・個人:41億ドル、前年度比+6%

・税務専門家:6億ドル、前年度比+3%

・クレジットカルマ:16億ドル、前年度比▲9%

セグメント別の売上高構成比は、中小企業が56%、個人が29%、税務専門家が4%、クレジットカルマが11%を占めます。

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利益(セグメント別)の推移

FY2023の営業利益は31億ドルと、前年度比+22.2%、過去5年間で年率+15.0%となりました。

営業利益率は21.9%と、前年度の20.2%から改善しました。

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セグメント別の営業利益率は、以下の通りです。

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FY2023の非GAAP EPSは14.40ドルと、前年度比+21.5%、過去5年間で年率+20.0%となりました。

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キャッシュフローの推移

FY2023の営業キャッシュフローは21億ドルと、前年度比▲8.8%、過去5年間で年率▲0.5%となりました。

営業キャッシュフローマージン(営業キャッシュフロー/売上高)は14.3%と、前年度の17.8%から悪化しました。

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FY2023のフリーキャッシュフローは18億ドルと、前年度比▲11.3%、過去5年間で年率▲2.0%となりました。

フリーキャッシュフローマージン(フリーキャッシュフロー/売上高)は12.5%と、前年度の16.0%から悪化しました。

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株主還元(配当、自社株買い)の推移

配当に加え、自社株買いも実施しました。

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(参考)過去5年間の株主還元利回り(株価は各会計年度末時点)

FY2023の益利回り(PERの逆数)は1.6%、フリーキャッシュフロー利回りは1.2%です。

FY2023の配当利回りは0.6%です。

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(参考)過去5年間の配当性向、総還元性向

過去5年間の配当性向は、利益・キャッシュフローベースともに、30〜50%程度です。

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(参考)過去5年間のDPS(1株当たり配当金)

FY2023のDPSは3.12ドルと、前年度比+14.7%、過去5年間で年率+14.9%となりました。

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(参考)過去5年間の発行済株式数

発行済株式数は、過去5年間で年率+1.6%となりました。

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ROICの推移

ROIC(Return on Invested Capital、投下資本利益率)とは、企業が事業活動のために投じた資金を使ってどれだけ利益を生み出したか(投資効率)を測る指標となります。

正確な計算方法はないため、ここでは、税引後営業利益/投下資本(=運転資本+有形固定資産(リース含む)+無形固定資産+在庫+のれん)として計算しています。

少なくともWACC(加重平均資本コスト)を超えることが絶対条件と言われています。

買収により投資効率は悪化しています。

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株価上昇率

FY2023の株価上昇率は+12.2%と、S&P500(+11.1%)を上回りました。

過去5年間(2018年8月から2023年7月末)の株価上昇率は年率+20.2%と、S&P500(年率+10.3%)を大きく上回りました。

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過去10年間(2014年1月から2023年12月)のドローダウン(最高値からの下落率、月末株価)の推移は、以下の通りです。

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(参考)株価の推移(月末株価)

通常の目盛り表示の場合、近年の株価のブレ幅(上昇もしくは下落)が過去より非常に大きいと錯覚するため、対数目盛りで表示しています。

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DCF法による目標株価

DCF(Discounted Cash Flow)法とは、将来に渡って生み出すキャッシュフローを割り引く(WACC、加重平均資本コスト)ことで理論価格を算出します。

以下のシナリオに基づき、フリーキャッシュフローの現在価値とネット有利子負債を合計して株主価値を算出し、株主価値を発行済株式総数で割ることで、1株あたりの株価を算出します。

なお、WACCを7.8%と推計しました。

以下のグラフは、各シナリオのフローキャッシュフロー(億ドル)の推移となります。

イントゥイット

① メインシナリオ

 フリーキャッシュフローの成長率:1年目+20%、2年目〜3年目+40%、4年目〜6年目+30%、7年目〜8年目+20%、9年目〜10年目+10%。11年目以降の永続成長率は0%。

② アップサイドシナリオ

 フリーキャッシュフローの成長率:1年目+20%、2年目〜6年目+40%、7年目〜10年目+20%。11年目以降の永続成長率は0%。

③ ダウンサイドシナリオ

 フリーキャッシュフローの成長率:1年目〜5年目+15%、6年目〜10年目+10%。11年目以降の永続成長率は0%。

メインシナリオの目標株価は520ドルとなります。

イントゥイット(Intuit、INTU)への投資について

FY2023の売上高は144億ドル(前年度比+12.9%)、非 GAAP EPSは14.40ドル(前年度比+21.5%)となりました。

FY2024のガイダンスは、以下の通りです。

・売上高:+11〜12%

・非GAAP EPS:+12〜14%

DCF法による目標株価は520ドルのため、2023年12月末時点の株価625ドルより低い水準です。

なお、メインシナリオは、10年後の売上高が3.7倍(年率+14%)、10年後に向けてフリーキャッシュフローマージンが30%まで上昇することを想定したので、売上高またはフリーキャッシュフローマージンがさらに上向けばより高い株価上昇が期待できます。

 

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