イントゥイット(INTU)決算分析と目標株価 クレジットスコアを提供するクレジットカルマの買収効果に期待

イントゥイット情報技術

過去の業績の推移を解説し、目標株価の算出とイントゥイットへの投資についてコメントします。

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会社概要

イントゥイット(Intuit、INTU)

ホームページ(SECファイル):リンク先

国:アメリカ

セクター:情報技術

産業グループ:ソフトウェア・サービス

サブ産業グループ:アプリケーション・ソフトウェア

株式時価総額:1,339億ドル(2021年6月末)

イントゥイットは、アメリカに本拠を置く、中小企業や個人、会計専門家向けに、確定申告支援や業務・財務管理用ソフトウェアを提供する企業です。

個人向けに無料でクレジットスコアの提供や、金融機関のクレジットカード及び自動車ローンを提案して収益を図るクレジットカルマ(Credit Karma)を2020年に買収しました。

(参考)競合他社(アプリケーション・ソフトウェア)の株式時価総額(2021年6月末)

 株式時価総額
(億ドル)
アドビ(ADBE)2,799
セールスフォース(CRM)2,262
SAP(SAP)1,657
イントゥイット(INTU)1,339
ズーム・ビデオ・コミュニケーションズ(ZM)1,140
アトラシアン(TEAM)642
オートデスク(ADSK)642
ダッソー・システムズ(DSY.PA)636
ワークデイ(WDAY)590
ドキュサイン(DOCU)545
パランティアテクノロジーズ(PLTR)495
シノプシス(SNPS)421
ケイデンス・デザイン・システムズ(CDNS)381
トレードデスク(TTD)368
コンステレーション・ソフトウェア(CSU.TO)321
データドッグ(DDOG)321
ユニティ・ソフトウェア(U)307
アンシス(ANSS)302
ハブスポット(HUBS)272
リングセントラル(RNG)264

 

売上高(セグメント別)の推移

FY2020(2019年8月-2020年7月期)の売上高は77億ドルと、前年度比+13.2%、過去5年間で年率+12.9%となりました。

 

2021Q3(2021年2−4月期)の売上高は41.7億ドル(前年同期比+38.9%)と、コンセンサス(42.7億ドル)を下回りました。

 

セグメント別の売上高は、以下の通りです。

・中小企業:11.8億ドル、前年同期比+19%

・個人:24.5億ドル、前年同期比+34%

・会計専門家:2.4億ドル、前年同期比+22%

・クレジットカルマ:3.2億ドル

 

セグメント別の売上高構成比は、中小企業が28%、個人が59%、会計専門家が6%、クレジットカルマが8%を占めます。

 

利益(セグメント別)の推移

FY2020の営業利益は22億ドルと、前年度比+17.4%、過去5年間で年率+24.1%となりました。

営業利益率は28.3%と、前年度の27.3%から改善しました。

 

2021Q3の営業利益は19.1億ドル(前年同期比+35.5%)となりました。

 

セグメント別の営業利益率は、以下の通りです。

 

FY2020の非GAAP EPSは7.86ドルと、前年度比+16.4%、過去5年間で年率+24.9%となりました。

 

2021Q3のEPSは5.30ドルと、コンセンサス(5.65ドル)を下回りました。

非GAAP EPSは6.07ドル(前年度比+35.2%)と、コンセンサス(6.16ドル)を下回りました。

 

キャッシュフローの推移

FY2020の営業キャッシュフローは24億ドルと、前年度比+3.9%、過去5年間で年率+9.9%となりました。

営業キャッシュフローマージン(営業キャッシュフロー/売上高)は31.4%と、前年度の34.3%から悪化しました。

 

2021Q3の営業キャッシュフローは24億ドル(前年同期比+23.1%)となりました。

 

FY2020のフリーキャッシュフローは23億ドルと、前年度比+5.0%、過去5年間で年率+12.9%となりました。

フリーキャッシュフローマージン(フリーキャッシュフロー/売上高)は29.7%と、前年度の32.0%から悪化しました。

 

2021Q3のフリーキャッシュフローは24億ドル(前年同期比+24.0%)となりました。

 

株主還元(配当、自社株買い)の推移

配当に加え、自社株買いも実施しました。

 

(参考)過去5年間の株主還元利回り(株価は各会計年度末時点)

FY2020の益利回り(PERの逆数)は2.3%、フリーキャッシュフロー利回りは2.8%です。

FY2020の配当利回りは0.7%です。

 

(参考)過去5年間の配当性向、総還元性向

過去5年間の配当性向は、利益・キャッシュフローベースともに、30%程度です。

 

(参考)過去5年間のDPS(1株当たり配当金)

FY2020のDPSは2.12ドルと、前年度比+12.8%、過去5年間で年率+16.2%となりました。

 

(参考)過去5年間の発行済株式数

発行済株式数は、過去5年間で年率▲1.6%となりました。

 

ROICの推移

ROIC(Return on Invested Capital、投下資本利益率)とは、企業が事業活動のために投じた資金を使ってどれだけ利益を生み出したか(投資効率)を測る指標となります。

正確な計算方法はないため、ここでは、税引後営業利益/投下資本(=運転資本+有形固定資産(リース含む)+無形固定資産+在庫+のれん)として計算しています。

少なくともWACC(加重平均資本コスト)を超えることが絶対条件と言われています。

FY2020のROICは73%と、投資効率は非常に高いです。

 

売上高およびEPSの実績値とコンセンサスの推移

以下のグラフは、売上高のコンセンサスおよび実績値の推移となります。

過去9四半期中、6勝、2敗、1引き分けです。

 

以下のグラフは、EPSのコンセンサスおよび実績値の推移となります。

過去9四半期中、6勝、3敗です。

 

以下のグラフは、非GAAP EPSのコンセンサスおよび実績値の推移となります。

過去9四半期中、8勝、1敗です。

 

株価上昇率

FY2020の株価上昇率は+10.5%と、S&P500(+9.8%)を上回りました。

過去5年間(2015年8月から2020年7月末)の株価上昇率は年率+23.7%と、S&P500(年率+9.2%)を大きく上回りました。

 

2021Q1の株価上昇率は+14.1%と、S&P500(+12.6%)を上回りました。

 

競合他社(アプリケーション・ソフトウェア)の株価上昇率(ドル建て)は、以下の通りです。

イントゥイット(INTU)の株価上昇率は、2020年の1年間で+45%と、12社平均(+119%)を下回りました。

2018年1月から2020年12月の3年間では+141%と、9社平均(+393%)を下回りました。

 

過去10年間(2011年7月から2021年6月)のドローダウン(最高値からの下落率、月末株価)の推移は、以下の通りです。

最高値から10%程度下落すると反発する傾向にあるため、その時が狙い目です。

 

(参考)株価の推移(月末株価)

通常の目盛り表示の場合、近年の株価のブレ幅(上昇もしくは下落)が過去より非常に大きいと錯覚するため、対数目盛りで表示しています。

 

DCF法による目標株価

DCF(Discounted Cash Flow)法とは、将来に渡って生み出すキャッシュフローを割り引く(WACC、加重平均資本コスト)ことで理論価格を算出します。

以下のシナリオに基づき、フリーキャッシュフローの現在価値とネット有利子負債を合計して株主価値を算出し、株主価値を発行済株式総数で割ることで、1株あたりの株価を算出します。

なお、WACCを5.5%、金利が1%上昇した場合は6.5%と推計しました。

以下のグラフは、各シナリオのフローキャッシュフロー(億ドル)の推移となります。

① メインシナリオ

 フリーキャッシュフローの成長率:1年目+30%、2年目〜5年目+30%、6年目〜10年目+10%。11年目以降の永続成長率は0%。

② アップサイドシナリオ

 フリーキャッシュフローの成長率:1年目+30%、2年目〜10年目+15%。11年目以降の永続成長率は0%。

③ ダウンサイドシナリオ

 フリーキャッシュフローの成長率:1年目+30%、2年目〜10年目+10%。11年目以降の永続成長率は0%。

メインシナリオの目標株価は493ドルとなります。

 

イントゥイット(Intuit、INTU)への投資について

2021Q3(2021年2−4月期)の売上高は41.7億ドルと、コンセンサス(42.7億ドル)を下回る実績となりました。

FY2021のガイダンスは、以下の通りです。

・全体:93.62〜94.00億ドル(コンセンサス91.5億ドル)

・EPS:6.96〜7.01ドル

・非GAAP EPS:9.32〜9.37ドル(コンセンサス8.56ドル)

2021Q4のガイダンスは、以下の通りです。

・売上高:22.90〜23.28億ドル(コンセンサス18.5億ドル)

・EPS:0.78〜0.83ドル

・非GAAP EPS:1.55〜1.60ドル(コンセンサス0.75ドル)

DCF法による目標株価は493ドルのため、2021年6月末時点の株価490ドルとほぼ同水準です。

なお、メインシナリオは、10年後の売上高が3.1倍(年率+12%)、10年後に向けてフリーキャッシュフローマージンが35%まで上昇することを想定したので、売上高またはフリーキャッシュフローマージンがさらに上向けばより高い株価上昇が期待できます。

クレジットカルマの業績拡大に期待です。

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