ファナック(6954)決算分析と目標株価 CNC(コンピューター数値制御)と産業用ロボットは世界シェアトップクラス

ファナック資本財

過去の業績の推移を解説し、目標株価の算出とファナックへの投資についてコメントします。

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会社概要

ファナック(Fanuc Corporation、6954.T)

ホームページ(有報):リンク先

国:日本

セクター:資本財・サービス

産業グループ:資本財

サブ産業グループ:産業機械

株式時価総額:5.1兆円(日本ランキング第24位、2020年12月末)

ファナックは、日本に本拠を置く、FA(NC、サーボ、レーザ)、ロボット、ロボットマシン、サービスの事業を展開する企業です。

NC(工作機械の動作を数値情報で制御)とサーボを、日本の民間企業として初めて開発し、CNC(コンピューター数値制御)は世界シェアトップです。

ロボット(産業用のみ)は、CNCとサーボを搭載している点が強みで、世界シェアトップクラスです。

ロボマシンも、CNCとサーボを搭載し、ロボドリル(小型切削加工機)とロボショット(電動射出成形機)は世界シェアトップクラスです。

(参考)競合他社(産業機械)の株式時価総額

売上高(セグメント別、地域別)の推移

FY2020(2020年4月-2021年3月期)の売上高は5,513億円と、前年度比+8.5%、過去5年間で年率▲2.4%となりました。

 

セグメント別の売上高は、以下の通りです。

・FA:1,492億円、前年度比+4%

・ロボット:2,100億円、前年度比+4%

・ロボマシン:1,145億円、前年度比+53%

・サービス:775億円、前年度比▲12%

 

セグメント別の売上高構成比は、FAが27%、ロボットが38%、ロボマシンが21%、サービスが14%を占めます。

 

地域別の売上高構成比は、日本が15%、米州が22%、欧州が15%、アジアが47%を占めます。

 

利益の推移

FY2020の営業利益は1,125億円と、前年度比+27.4%、過去5年間で年率▲12.2%となりました。

営業利益率は20.4%と、前年度の17.4%から改善しました。

 

FY2020のEPSは490円と、前年度比+28.3%、過去5年間で年率▲9.7%となりました。

 

キャッシュフローの推移

FY2020の営業キャッシュフローは1,180億円と、前年度比▲18.6%、過去5年間で年率▲3.4%となりました。

営業キャッシュフローマージン(営業キャッシュフロー/売上高)は21.4%と、前年度の28.5%から悪化しました。

 

FY2020のフリーキャッシュフローは962億円と、前年度比+38.6%、過去5年間で年率+20.0%となりました。

フリーキャッシュフローマージン(フリーキャッシュフロー/売上高)は17.5%と、前年度の13.7%から改善しました。

 

株主還元(配当、自社株買い)の推移

FY2020は、自社株買いの実施はほぼなしです。

 

(参考)過去5年間の株主還元利回り(株価は各会計年度末時点)

FY2020の益利回り(PERの逆数)は1.9%、フリーキャッシュフロー利回りは1.9%です。

FY2020の配当利回りは1.1%です。

 

(参考)過去5年間の配当性向、総還元性向

配当性向(利益)60%が基本方針です。

 

(参考)過去5年間のDPS(1株当たり配当金)

FY2020のDPSは294円と、前年度比▲2.0%、過去5年間で年率▲9.7%となりました。

 

(参考)過去5年間の発行済株式数

発行済株式数は、過去3年間で年率▲0.4%となりました。

 

ROICの推移

ROIC(Return on Invested Capital、投下資本利益率)とは、企業が事業活動のために投じた資金を使ってどれだけ利益を生み出したか(投資効率)を測る指標となります。

正確な計算方法はないため、ここでは、税引後営業利益/投下資本(=運転資本+有形固定資産(リース含む)+無形固定資産+在庫+のれん)として計算しています。

少なくともWACC(加重平均資本コスト)を超えることが絶対条件と言われています。

過去2年間のROICは10%前後です。

 

株価上昇率

FY2020(2020年4月から2021年3月末)の株価上昇率は+78.7%と、世界株式を投資対象とするVT ETFの上昇率(+54.9%)を上回りました。

過去5年間(2016年1月から2020年12月末)の株価上昇率は年率+8.4%と、VT ETF(年率+11.0%)を下回りました。

 

競合他社(産業機械)の株価上昇率(ATCO-A.ST、SAND.STはスウェーデンクローナ建て、6954.T、6273.Tは日本円建て、0669.HKは香港ドル建て、その他はUSドル建て)は、以下の通りです。

ファナック(6954.T)の株価上昇率は、2020年の1年間で+25%と、10社平均(+22%)を上回り、10社中第4位となりました。

2018年1月から2020年12月の3年間では▲6%と、10社平均(+38%)を下回り、10社中第10位となりました。

 

過去10年間(2011年6月から2021年5月)のドローダウン(最高値からの下落率、月末株価)の推移は、以下の通りです。

ドローダウンは大きいです。

 

(参考)株価の推移(月末株価)

通常の目盛り表示の場合、近年の株価のブレ幅(上昇もしくは下落)が過去より非常に大きいと錯覚するため、対数目盛りで表示しています。

株価の上昇局面(下落局面)は大きく上昇(下落)するため、トレンドが掴めれば大きなリターンが得られる銘柄と言えそうです。

 

DCF法による目標株価

DCF(Discounted Cash Flow)法とは、将来に渡って生み出すキャッシュフローを割り引く(WACC、加重平均資本コスト)ことで理論価格を算出します。

以下のシナリオに基づき、フリーキャッシュフローの現在価値とネット有利子負債を合計して株主価値を算出し、株主価値を発行済株式総数で割ることで、1株あたりの株価を算出します。

なお、WACCを6.7%、金利が1%上昇した場合は7.6%と推計しました。

以下のグラフは、各シナリオのフローキャッシュフロー(億円)の推移となります。

① メインシナリオ

 フリーキャッシュフローの成長率:1年目+30%、2年目〜3年目+30%、4年目〜7年目+15%、8年目〜10年目+10%。11年目以降の永続成長率は0%。

② アップサイドシナリオ

 フリーキャッシュフローの成長率:1年目+35%、2年目〜7年目+20%、8年目〜10年目+15%。11年目以降の永続成長率は0%。

③ ダウンサイドシナリオ

 フリーキャッシュフローの成長率:1年目+20%、2年目〜3年目+15%、4年目〜10年目+10%。11年目以降の永続成長率は0%。

メインシナリオの目標株価は26,226円となります。

 

ファナック(Fanuc Corporation、6954.T)への投資について

FY2020(2020年4月-2021年3月期)の売上高は5,513億円(前年度比+8.5%)、営業利益は1,125億円(前年度比+27.4%)、純利益は940億円(前年度比+28.1%)と、増収増益となりました。

FY2021のガイダンス(前提:1ドル=105円、1ユーロ=125円)は、以下の通りです。

・売上高:6,571億円(前年度比+19.2%)

・営業利益:1,484億円(前年度比+31.9%)

・純利益:1,205億円(前年度比+28.2%)

DCF法による目標株価は26,226円のため、2021年5月末時点の株価26,300円とほぼ同水準です。

なお、メインシナリオは、10年後の売上高が3.1倍(年率+12%)、10年後に向けてフリーキャッシュフローマージンが25%まで上昇することを想定したので、売上高またはフリーキャッシュフローマージンがさらに上向けばより高い株価上昇が期待できます。

過去の高い営業利益率から低下したものの、産業用ロボット等長期的に業績拡大は期待できます。

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