MSCI(MSCI)決算分析と目標株価 株価指数等のインデックス算出会社 MSCI指数連動ETFの残高は1兆ドル超

MSCI取引所およびデータ提供会社

過去の業績の推移を解説し、目標株価の算出とMSCIへの投資についてコメントします。

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会社概要

MSCI(MSCI Inc.、MSCI)

ホームページ(SECファイル):リンク先

国:アメリカ

セクター:金融

産業グループ:各種金融

サブ産業グループ:取引所およびデータ提供会社

株式時価総額:400億ドル(2021年4月末、MSCI)

MSCIは、アメリカに本拠を置く、株価指数等のインデックス算出、分析ツールなどを提供する企業です。

 

売上高(セグメント別、地域別)の推移

FY2020(2020年1-12月期)の売上高は17億ドルと、前年度比+8.8%、過去5年間で年率+9.5%となりました。

 

セグメント別の売上高は、以下の通りです。

・インデックス:10.2億ドル、前年度比+10%

・分析ツール等:5.1億ドル、前年度比+3%

・ESG/不動産等:1.7億ドル、前年度比+18%

 

セグメント別の売上高構成比は、インデックスが60%、分析ツール等が30%、ESG/不動産等が10%を占めます。

 

MSCI指数連動ETF等のAUMは1.1兆ドルと、前年度比+18%、過去5年間で年率+21%となりました。

 

FY2020のAUM増減額のうち、純流出入額が0.08兆ドル、市場変動要因が0.09兆ドルです。

 

地域別の売上高構成比は、アメリカ大陸が45%、欧州/中東/アフリカが39%、アジア&オーストラリアが17%を占めます。

 

利益(セグメント別)の推移

FY2020の営業利益は9億ドル(前年度比+17.1%)、営業利益率は52.2%と、前年度の48.5%から改善しました。

 

セグメント別の非GAAP EBITDAマージンは、以下の通りです。

 

FY2020のEPSは7.12ドルと、前年度比+8.0%、過去5年間で年率+28.5%となりました。

 

キャッシュフローの推移

FY2020の営業キャッシュフローは8億ドルと、前年度比+14.3%、過去5年間で年率+21.5%となりました。

営業キャッシュフローマージン(営業キャッシュフロー/売上高)は47.8%と、前年度の45.5%から改善しました。

 

FY2020のフリーキャッシュフローは8億ドルと、前年度比+15.9%、過去5年間で年率+24.2%となりました。

フリーキャッシュフローマージン(フリーキャッシュフロー/売上高)は44.8%と、前年度の42.1%から改善しました。

 

株主還元(配当、自社株買い)の推移

自社株買いに積極的です。

 

(参考)過去5年間の株主還元利回り(株価は各会計年度末時点)

FY2020の益利回り(PERの逆数)は1.6%、フリーキャッシュフロー利回りは2.0%です。

過去5年間の配当利回りは1%前後です。

 

(参考)過去5年間の配当性向、総還元性向

過去5年間の配当性向は、利益・キャッシュフローベースともに50%を下回りました。

 

(参考)過去5年間のDPS(1株当たり配当金)

FY2020のDPSは2.92ドルと、前年度比+15.9%、過去5年間で年率+29.6%となりました。

 

(参考)過去5年間の発行済株式数

発行済株式数は、過去5年間で年率▲5.1%となりました。

 

ROICの推移

ROIC(Return on Invested Capital、投下資本利益率)とは、企業が事業活動のために投じた資金を使ってどれだけ利益を生み出したか(投資効率)を測る指標となります。

正確な計算方法はないため、ここでは、税引後営業利益/投下資本(=運転資本+有形固定資産(リース含む)+無形固定資産+在庫+のれん)として計算しています。

少なくともWACC(加重平均資本コスト)を超えることが絶対条件と言われれています。

過去5年間のROICは30%程度と、投資効率は高いです。

 

売上高およびEPSの実績値とコンセンサスの推移

以下のグラフは、売上高のコンセンサスおよび実績値の推移となります。

過去8四半期中、5勝、2敗、1引き分けです。

 

以下のグラフは、EPSのコンセンサスおよび実績値の推移となります。

過去8四半期中、6勝、2敗です。

 

以下のグラフは、非GAAP EPSのコンセンサスおよび実績値の推移となります。

過去8四半期中、8勝です。

 

株価上昇率

FY2020(2020年1月から2020年12月末)の株価上昇率は+73.0%と、S&P500(+16.3%)を大きく上回りました。

過去5年間(2016年1月から2020年12月末)の株価上昇率は年率+44.0%と、S&P500(年率+12.9%)を大きく上回りました。

 

競合他社(取引所およびデータ提供会社)の株価上昇率(HKExは香港ドル建て、JPXは日本円建て、その他はドル建て)は、以下の通りです。

MSCI(MSCI)の株価上昇率は、2020年の1年間で+73%と、12社平均(+29%)を上回り、12社中第1位となりました。

2018年1月から2020年12月末の3年間では+253%と、11社平均(+86%)を上回り、11社中第1位となりました。

 

過去10年間(2011年4月から2021年3月)のドローダウン(最高値からの下落率、月末株価)の推移は、以下の通りです。

最高値から10%程度下落すると反発する傾向にあるため、その時が狙い目です。

 

(参考)株価の推移(月末株価)

通常の目盛り表示の場合、近年の株価のブレ幅(上昇もしくは下落)が過去より非常に大きいと錯覚するため、対数目盛りで表示しています。

 

DCF法による目標株価

DCF(Discounted Cash Flow)法とは、将来に渡って生み出すキャッシュフローを割り引く(WACC、加重平均資本コスト)ことで理論価格を算出します。

以下のシナリオに基づき、フリーキャッシュフローの現在価値とネット有利子負債を合計して株主価値を算出し、株主価値を発行済株式総数で割ることで、1株あたりの株価を算出します。

なお、WACCを5.8%、金利が1%上昇した場合は6.7%と推計しました。

以下のグラフは、各シナリオのフローキャッシュフロー(億ドル)の推移となります。

① メインシナリオ

 フリーキャッシュフローの成長率:1年目+12%、2年目〜10年目+10%。11年目以降の永続成長率は0%。

② アップサイドシナリオ

 フリーキャッシュフローの成長率:1年目〜10年目+15%。11年目以降の永続成長率は0%。

③ ダウンサイドシナリオ

 フリーキャッシュフローの成長率:1年目〜10年目+8%。11年目以降の永続成長率は0%。

メインシナリオの目標株価は319ドルとなります。

 

MSCI(MSCI Inc.、MSCI)への投資について

FY2020の売上高は17億ドルと、前年度比+8.8%、過去5年間で年率+9.5%となりました。

営業キャッシュフローは、過去5年間で年率+21.5%、営業キャッシュフローマージンは年々増加を続け、FY2020には48%と高水準です。

DCF法による目標株価は319ドルのため、2021年4月末時点の株価486ドルより低い水準です。

なお、メインシナリオは、10年後の売上高が2.2倍(年率+8%)、10年後に向けてフリーキャッシュフローマージンが55%まで上昇することを想定したので、売上高またはフリーキャッシュフローマージンがさらに上向けばより高い株価上昇が期待できます。

アクティブからパッシブへの流れは続くと思われるため、投資資金の流入は期待できます。

ただ、株価が急騰しており、割高な気がします。

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