ムーディーズ(MCO)決算分析と目標株価 S&Pと並び高いシェアを有する信用格付け大手

取引所およびデータ提供会社

過去の業績の推移を解説し、目標株価の算出とムーディーズへの投資についてコメントします。

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会社概要

ムーディーズ・コーポレーション(Moody’s Corporation、MCO)

ホームページ(SECファイル):リンク先

国:アメリカ

セクター:金融

産業グループ:各種金融

サブ産業グループ:取引所およびデータ提供会社

株式時価総額:612億ドル(2021年4月末)

ムーディーズは、アメリカに本拠を置く、信用格付けや、データ分析、金融機関向けリスク評価ソフトウェアなどを提供する企業です。

格付市場は、S&Pとムーディーズが高いシェアを有し、フィッチを含めた3社で約9割と寡占です。

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売上高(セグメント別、地域別)の推移

FY2020(2020年1-12月期)の売上高は54億ドルと、前年度比+11.2%、過去5年間で年率+9.0%となりました。

セグメント別の売上高は、以下の通りです。

・信用格付け:34億ドル、前年度比+14%

・データ分析/リスク評価:21億ドル、前年度比+6%

セグメント別の売上高構成比は、信用格付けが62%、データ分析/リスク評価が38%を占めます。

信用格付けのサブセグメント別の売上高構成比は、企業向けが56%、証券化商品向けが11%、金融機関向けが16%、政府/インフラ向けが15%を占めます。

データ分析/リスク評価のサブセグメント別の売上高構成比は、調査/データ分析が73%、リスク評価が27%を占めます。

地域別の売上高構成比は、アメリカが55%、欧州/中東/アフリカが29%、アジアパシフィックが11%、アメリカ大陸(除く米国)が6%を占めます。

利益の推移

FY2020の営業利益は24億ドル(前年度比+19.5%)、営業利益率は44.5%と、前年度の41.4%から改善しました。

セグメント別の営業利益率は、以下の通りです。

FY2020のEPSは9.39ドルと、前年度比+26.5%、過去5年間で年率+15.2%となりました。

キャッシュフローの推移

FY2020の営業キャッシュフローは21億ドルと、前年度比+28.1%、過去5年間で年率+13.2%となりました。

営業キャッシュフローマージン(営業キャッシュフロー/売上高)は40.0%と、前年度の34.7%から改善しました。

FY2020のフリーキャッシュフローは20億ドルと、前年度比+27.2%、過去5年間で年率+13.9%となりました。

フリーキャッシュフローマージン(フリーキャッシュフロー/売上高)は38.0%と、前年度の33.3%から改善しました。

株主還元(配当、自社株買い)の推移

過去5年間、自社株買いを実施しました。

(参考)過去5年間の株主還元利回り(株価は各会計年度末時点)

FY2020の益利回り(PERの逆数)は3.2%、フリーキャッシュフロー利回りは3.7%です。

過去4年間の配当利回りは1%前後です。

(参考)過去5年間の配当性向、総還元性向

過去4年間の配当性向は、利益・キャッシュフローベースともに50%を下回りました。

(参考)過去5年間のDPS(1株当たり配当金)

FY2020のDPSは2.24ドルと、前年度比+12.0%、過去5年間で年率+10.5%となりました。

(参考)過去5年間の発行済株式数

発行済株式数は、過去5年間で年率▲1.4%となりました。

ROICの推移

ROIC(Return on Invested Capital、投下資本利益率)とは、企業が事業活動のために投じた資金を使ってどれだけ利益を生み出したか(投資効率)を測る指標となります。

正確な計算方法はないため、ここでは、税引後営業利益/投下資本(=運転資本+有形固定資産(リース含む)+無形固定資産+在庫+のれん)として計算しています。

少なくともWACC(加重平均資本コスト)を超えることが絶対条件と言われれています。

過去5年間のROICは20%前後と、投資効率は比較的高いです。

売上高およびEPSの実績値とコンセンサスの推移

以下のグラフは、売上高のコンセンサスおよび実績値の推移となります。

過去8四半期中、8勝です。

以下のグラフは、EPSのコンセンサスおよび実績値の推移となります。

過去8四半期中、6勝、2敗です。

以下のグラフは、非GAAP EPSのコンセンサスおよび実績値の推移となります。

過去8四半期中、7勝、1敗です。

株価上昇率

FY2020(2020年1月から2020年12月末)の株価上昇率は+22.3%と、S&P500(+16.3%)を上回りました。

過去5年間(2016年1月から2020年12月末)の株価上昇率は年率+23.7%と、S&P500(年率+12.9%)を大きく上回りました。

競合他社(取引所およびデータ提供会社)の株価上昇率(HKExは香港ドル建て、JPXは日本円建て、その他はドル建て)は、以下の通りです。

ムーディーズ(MCO)の株価上昇率は、2020年の1年間で+22%と、12社平均(+29%)を下回り、12社中第9位となりました。

2018年1月から2020年12月末の3年間では+97%と、11社平均(+86%)を上回り、11社中第3位となりました。

過去10年間(2011年4月から2021年3月)のドローダウン(最高値からの下落率、月末株価)の推移は、以下の通りです。

10〜20%程度のドローダウンが発生することが度々あり、その後は急反発する傾向にあることから、その時が狙い目です。

(参考)株価の推移(月末株価)

DCF法による目標株価

DCF(Discounted Cash Flow)法とは、将来に渡って生み出すキャッシュフローを割り引く(WACC、加重平均資本コスト)ことで理論価格を算出します。

以下のシナリオに基づき、フリーキャッシュフローの現在価値とネット有利子負債を合計して株主価値を算出し、株主価値を発行済株式総数で割ることで、1株あたりの株価を算出します。

なお、WACCを6.2%、金利が1%上昇した場合は7.1%と推計しました。

以下のグラフは、各シナリオのフローキャッシュフロー(億ドル)の推移となります。

① メインシナリオ

 フリーキャッシュフローの成長率:1年目〜6年目+10%、7年目〜10年目+5%。11年目以降の永続成長率は0%。

② アップサイドシナリオ

 フリーキャッシュフローの成長率:1年目〜10年目+10%。11年目以降の永続成長率は0%。

③ ダウンサイドシナリオ

 フリーキャッシュフローの成長率:1年目〜5年目+7%、6年目〜10年目+5%。11年目以降の永続成長率は0%。

メインシナリオの目標株価は307ドルとなります。

ムーディーズ・コーポレーション(Moody’s Corporation、MCO)への投資について

FY2020の売上高は54億ドルと、前年度比+11.2%、過去5年間で年率+9.0%となりました。

FY2020の営業キャッシュフローマージンは40%と比較的高水準です。

FY2021のガイダンスは、以下の通りです。

・売上高:1桁後半

・非GAAP EPS:11.00〜11.30ドル(コンセンサス10.70ドル)

DCF法による目標株価は307ドルのため、2021年4月末時点の株価327ドルより低い水準です。

なお、メインシナリオは、10年後の売上高が1.8倍(年率+6%)、10年後に向けてフリーキャッシュフローマージンが45%(FY2020:38%)まで上昇することを想定したので、売上高またはフリーキャッシュフローマージンがさらに上向けばより高い株価上昇が期待できます。

格付機関としては業界最大手の一角であるため、企業等の債券発行の増加の恩恵を受けます。

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