CMEグループ(CME)決算分析と目標株価 シカゴ・マーカンタイル取引所などを傘下を持つデリバティブ取引所運営会社

CME取引所およびデータ提供会社

過去の業績の推移を解説し、目標株価の算出とCMEグループへの投資についてコメントします。

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会社概要

CMEグループ(CME Group Inc.、CME)

ホームページ(SECファイル):リンク先

国:アメリカ

セクター:金融

産業グループ:各種金融

サブ産業グループ:取引所およびデータ提供会社

浮動株調整後株式時価総額:733億ドル(2021年3月末、MSCI)

CMEグループは、アメリカに本拠を置く、金利、株式指数、為替、農産物、エネルギー、金属などの先物やオプションを取り扱うデリバティブ取引所運営会社です。

CME(シカゴ・マーカンタイル取引所)、CBOT(シカゴ商品取引所)、NYMEX(ニューヨーク・マーカンタイル取引所)、COMEX(ニューヨーク商品取引所)を傘下に持ちます。

金融セクターの各種金融で第8位の浮動株調整後株式時価総額で、取引所およびデータ提供会社に占めるCMEグループの浮動株調整後株式時価総額比率は13%です。

 

 

売上高(セグメント別)の推移

FY2020(2020年1-12月期)の売上高は49億ドルと、前年度比+0.3%、過去5年間で年率+8.0%となりました。

 

セグメント別の売上高は、以下の通りです。

・精算&取引収益:39億ドル、前年度比▲1%

・市場データ&情報サービス:5億ドル、前年度比+5%

・その他:4億ドル、前年度比+9%

 

セグメント別の売上高構成比は、精算&取引収益が80%、市場データ&情報サービスが11%を占めます。

 

精算&取引収益のサブセグメント別の売上高構成比は、金利が26%、株式指数が21%、エネルギーが18%を占めます。

 

利益の推移

FY2020(2020年1-12月期)の営業利益は26億ドル(前年度比+1.9%)、営業利益率は54.0%と、前年度の53.2%とほぼ同水準となりました。

 

FY2020のEPSは5.87ドルと、前年度比▲0.7%、過去5年間で年率+9.7%となりました。

 

キャッシュフローの推移

FY2020(2020年1-12月期)の営業キャッシュフローは27億ドルと、前年度比+1.6%、過去5年間で年率+12.4%となりました。

営業キャッシュフローマージン(営業キャッシュフロー/売上高)は55.6%と、前年度の54.9%から改善しました。

 

FY2020のフリーキャッシュフローは25億ドルと、前年度比+3.7%、過去5年間で年率+12.4%となりました。

フリーキャッシュフローマージン(フリーキャッシュフロー/売上高)は51.6%と、前年度の49.9%から改善しました。

 

株主還元(配当、自社株買い)の推移

自社株買いの実施はなしです。

 

(参考)過去5年間の株主還元利回り(株価は各会計年度末時点)

FY2020の益利回り(PERの逆数)は3.2%、フリーキャッシュフロー利回りは3.9%です。

過去5年間の配当利回りは2%前後です。

 

(参考)過去5年間の配当性向、総還元性向

過去5年間の配当性向は、利益・キャッシュフローベースともに、60%を下回りました。

 

(参考)過去5年間のDPS(1株当たり配当金)

FY2020のDPSは3.40ドルと、前年度比+13.3%、過去5年間で年率+11.2%となりました。

なお、FY2021のDPSは3.60ドル(前年度+5.9%)の予定です。

 

(参考)過去5年間の発行済株式数

発行済株式数は、過去5年間で年率+1.2%となりました。

 

ROICの推移

ROIC(Return on Invested Capital、投下資本利益率)とは、企業が事業活動のために投じた資金を使ってどれだけ利益を生み出したか(投資効率)を測る指標となります。

正確な計算方法はないため、ここでは、税引後営業利益/投下資本(=運転資本+有形固定資産(リース含む)+無形固定資産+在庫+のれん)として計算しています。

少なくともWACC(加重平均資本コスト)を超えることが絶対条件と言われれています。

過去5年間のROICは1桁と、投資効率は低いです。

 

売上高およびEPSの実績値とコンセンサスの推移

以下のグラフは、売上高のコンセンサスおよび実績値の推移となります。

過去7四半期中、3勝、3敗、1引き分けです。

 

以下のグラフは、EPSのコンセンサスおよび実績値の推移となります。

過去7四半期中、4勝、2敗、1引き分けです。

 

以下のグラフは、非GAAP EPSのコンセンサスおよび実績値の推移となります。

過去7四半期中、4勝、3敗です。

 

株価上昇率

FY2020(2020年1月から2020年12月末)の株価上昇率は▲9.3%と、S&P500(+16.3%)を下回りました。

過去5年間(2016年1月から2020年12月末)の株価上昇率は年率+15.0%と、S&P500(年率+12.9%)を上回りました。

 

競合他社(取引所およびデータ提供会社)の株価上昇率(HKExは香港ドル建て、JPXは日本円建て、その他はドル建て)は、以下の通りです。

CMEグループ(CME)の株価上昇率は、2020年の1年間で▲9%と、12社平均(+29%)を下回り、12社中第11位となりました。

2018年1月から2020年12月末の3年間では+25%と、11社平均(+86%)を下回り、11社中第10位となりました。

 

過去10年間(2011年4月から2021年3月)のドローダウン(最高値からの下落率、月末株価)の推移は、以下の通りです。

2019年8月末を最高値に一時30%超下落しましたが、その後急速に株価は回復中です。

 

(参考)株価の推移(月末株価)

通常の目盛り表示の場合、近年の株価のブレ幅(上昇もしくは下落)が過去より非常に大きいと錯覚するため、対数目盛りで表示しています。

 

DCF法による目標株価

DCF(Discounted Cash Flow)法とは、将来に渡って生み出すキャッシュフローを割り引く(WACC、加重平均資本コスト)ことで理論価格を算出します。

以下のシナリオに基づき、フリーキャッシュフローの現在価値とネット有利子負債を合計して株主価値を算出し、株主価値を発行済株式総数で割ることで、1株あたりの株価を算出します。

なお、WACCを5.0%、金利が1%上昇した場合は5.9%と推計しました。

以下のグラフは、各シナリオのフローキャッシュフロー(億ドル)の推移となります。

① メインシナリオ

 フリーキャッシュフローの成長率:1年目〜10年目+7%。11年目以降の永続成長率は0%。

② アップサイドシナリオ

 フリーキャッシュフローの成長率:1年目〜10年目+10%。11年目以降の永続成長率は0%。

③ ダウンサイドシナリオ

 フリーキャッシュフローの成長率:1年目〜10年目+3%。11年目以降の永続成長率は0%。

メインシナリオの目標株価は240ドルとなります。

 

CMEグループ(CME Group Inc.、CME)への投資について

FY2020の売上高は49億ドルと、前年度比+0.3%、過去5年間で年率+8.0%となりました。

営業キャッシュフローマージンは50%超と高水準です。

ただし、過去5年間のROICは1桁と、投資効率は低いです。

DCF法による目標株価は240ドルのため、2021年4月末時点の株価202ドルより高い水準です。

なお、メインシナリオは、10年後の売上高が2.0倍(年率+7%)、FY2020のフリーキャッシュフローマージンである52%が10年間継続することを想定したので、売上高またはフリーキャッシュフローマージンがさらに上向けばより高い株価上昇が期待できます。

現物株を主に取り扱い取引所は好調だったものの、CMEやCBOEのようなデリバティブを中心に扱う取引所は苦戦しました。

米国金利が上昇しているので、ヘッジ手段としてデリバティブの活用が増加すれば業績拡大が期待できます。

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