LVMH(MC.PA)決算分析と目標株価 ルイ・ヴィトン等の高級ブランドに加え、ドンペリ等のワイン&スピリッツは高利益率

耐久消費財・アパレル

過去の業績の推移を解説し、目標株価の算出とLVMHモエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトンへの投資についてコメントします。

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会社概要

LVMH(LVMH Moet Hennessy Louis Vuitton、MC.PA)

ホームページ(IR):リンク先

国:フランス

セクター:一般消費財・サービス

産業グループ:耐久消費財・アパレル

サブ産業グループ:アパレル・アクセサリー・贅沢品

株式時価総額:3,975億ドル(世界ランキング第18位、2021年6月末)

LVMHは、フランスに本拠を置く、ルイ・ヴィトンやロエベ、フェンディ、セリーヌ、クリスチャン・ディオールなどの高級ブランドファッションに加え、ブルガリやダグ・ホイヤーなどの時計&宝石、モエ・エ・シャンドンやドンペリニヨン、クリュッグなどのワイン&スピリッツなど、ラグジュアリー商品に特化した企業です。

なお、LVMHは、浮動株比率が低い(大株主は、クリスチャン・ディオール(実質的にはアルノー氏))ため、浮動株ベースで算出される株式指数(インデックス)の時価総額は、通常の株式時価総額と比較して小さくなります。

 

(参考)競合他社(アパレル・アクセサリー・贅沢品、履物)の株式時価総額(2021年6月末)

 株式時価総額
(億ドル)
LVMH モエヘネシー・ルイヴィトン(MC.PA)3,975
ナイキ(NKE)2,441
エルメス(RMS.PA)1,521
クリスチャン・ディオール(CDI.PA)1,473
ケリング(KER.PA)1,094
エシロールルックスオティカ(EL.PA)823
アディダス(ADS.DE)731
リシュモン(CFR.SW)694
アンタ・スポーツ・プロダクツ/安踏体育用品(2020.HK)637
ルルレモン・アスレティカ(LULU)494
シェンジョウ・インターナショナル/申洲国際(2313.HK)382
VFコーポレーション(VFC)322
リー・ニン/李寧(2331.HK)309
プラダ(1913.HK)193
モンクレール(MONC.MI)183
スウォッチ・グループ(UHR.SW)178
プーマ(PUM.DE)177
タペストリー(TPR)121
バーバリー・グループ(BRBY.L)116

 

売上高(セグメント別、地域別)の推移

FY2020(2020年1-12月期)の売上高は447億ユーロと、前年度比▲16.8%、過去5年間では年率+4.6%となりました。

 

セグメント別の売上高は、以下の通りです。

・ワイン&スピリッツ:48億ユーロ、前年度比▲14.7%

・ファッション&革製品:212億ユーロ、前年度比▲4.6%

・香水&化粧品:52億ユーロ、前年度比▲23.2%

・時計&宝石:34億ユーロ、前年度比▲21.7%

・セレクティブ リテーリング:102億ユーロ、前年度比▲31.3%

 

セグメント別の売上高構成比は、ファッション&革製品が47%を占めます。

 

地域別の売上高は、以下の通りです。

・フランス:33億ユーロ、前年度比▲29.5%

・欧州(除くフランス):73億ユーロ、前年度比▲28.3%

・アメリカ:106億ユーロ、前年度比▲15.6%

・日本:32億ユーロ、前年度比▲18.4%

・アジア(除く日本):154億ユーロ、前年比▲5.1%

・その他:48億ユーロ、前年比▲20.8%

 

地域別の売上高構成比は、アジア(除く日本)が34%、アメリカが24%、欧州(除くフランス)が16%を占めます。

 

利益(セグメント別)の推移

FY2020の営業利益は80億ユーロと、前年度比▲29.3%となり、営業利益率は17.9%と、前年度の21.0%から低下しました。

 

セグメント別の営業利益率は、以下の通りです。

・ワイン&スピリッツ:29%

・ファッション&革製品:34%

 

FY2020のEPSは9.32ユーロと、前年度比▲34.5%、過去5年間では年率+5.7%となりました。

 

キャッシュフローの推移

FY2020の営業キャッシュフローは109億ユーロと、前年度比▲6.4%、過去5年間で年率+14.1%となりました。

営業キャッシュフローマージン(営業キャッシュフロー/売上高)は24.4%と、前年度の21.7%から改善しました。

 

FY2020のフリーキャッシュフローは84億ユーロと、前年度比+1.9%、過去5年間で年率+18.0%となりました。

フリーキャッシュフローマージン(フリーキャッシュフロー/売上高)は18.9%と、前年度の15.4%から改善しました。

 

株主還元(配当、自社株買い)の推移

FY2020の支払配当総額は23億ユーロと、フリーキャッシュフローの範囲内です。

 

(参考)過去5年間の株主還元利回り(株価は各会計年度末時点)

FY2020の益利回り(PERの逆数)は1.8%、フリーキャッシュフロー利回りは3.3%と、バリュエーション面での割安感はありません。

FY2020の配当利回りは1.2%です。

 

(参考)過去5年間の配当性向、総還元性向

過去5年間の配当性向は、利益・キャッシュフローベースともに、60%を下回りました。

 

(参考)過去5年間のDPS(1株当たり配当金)

FY2020のDPSは6.00ユーロと、前年度比+25.0%、過去5年間で年率+11.1%となりました。

 

(参考)過去5年間の発行済株式数

過去5年間の発行済株式数は、ほぼ横ばいとなりました。

 

ROICの推移

ROIC(Return on Invested Capital、投下資本利益率)とは、企業が事業活動のために投じた資金を使ってどれだけ利益を生み出したか(投資効率)を測る指標となります。

正確な計算方法はないため、ここでは、税引後営業利益/投下資本(=運転資本+有形固定資産(リース含む)+無形固定資産+在庫+のれん)として計算しています。

少なくともWACC(加重平均資本コスト)を超えることが絶対条件と言われれています。

過去5年間のROICは10%超であり、投資効率は比較的高いと言えます。

 

株価上昇率

FY2020の株価上昇率は+23.3%と、世界株式を投資対象とするVT ETF(+14.3%)を上回りました。

過去5年間(2016年1月から2020年12月末)の株価上昇率は年率+28.7%と、VT ETF(年率+9.9%)を大きく上回りました。

 

競合他社(アパレル・アクセサリー・贅沢品、履物)の株価上昇率(MC.PA、RMS.PA、CDI.PA、KER.PA、ADS.DE、MONC.MI、PUM.DEはユーロ建て、CFR.SW、UHR.SWはスイスフラン建て、2020.HK、2313.HK、2331.HK、1913.HKは香港ドル建て、BRBY.Lはポンド建て)は、以下の通りです。

LVMH(MC.PA)の株価上昇率は、2020年の1年間で+23%と、19社平均(+25%)を下回り、19社中第10位となりました。

2018年1月から2020年12月の3年間では+109%と、19社平均(+118%)を下回り、19社中第6位となりました。

 

過去10年間(2011年4月から2021年3月)のドローダウン(最高値からの下落率、月末株価)の推移は、以下の通りです。

株式市場全体が大きく下落する局面では、同程度の下落率となる傾向にあります。

最高値から10%程度下落すると反発する傾向にあるため、その時が狙い目です。

 

(参考)株価の推移(月末株価)

通常の目盛り表示の場合、近年の株価のブレ幅(上昇もしくは下落)が過去より非常に大きいと錯覚するため、対数目盛りで表示しています。

 

DCF法による目標株価

DCF(Discounted Cash Flow)法とは、将来に渡って生み出すキャッシュフローを割り引く(WACC、加重平均資本コスト)ことで理論価格を算出します。

以下のシナリオに基づき、フリーキャッシュフローの現在価値とネット有利子負債を合計して株主価値を算出し、株主価値を発行済株式総数で割ることで、1株あたりの株価を算出します。

なお、WACCを5.3%、金利が1%上昇した場合は6.2%と推計しました。

以下のグラフは、各シナリオのフローキャッシュフロー(億ユーロ)の推移となります。

① メインシナリオ

 フリーキャッシュフローの成長率:1年目+15%、2年目〜6年目+12%、7年目〜10年目+8%。11年目以降の永続成長率は0%。

② アップサイドシナリオ

 フリーキャッシュフローの成長率:1年目+15%、2年目〜10年目+12%。11年目以降の永続成長率は0%。

③ ダウンサイドシナリオ

 フリーキャッシュフローの成長率:1年目+15%、2年目〜10年目+5%。11年目以降の永続成長率は0%。

メインシナリオの目標株価は719ユーロとなります。

 

LVMH(LVMH Moet Hennessy Louis Vuitton、MC.PA)への投資について

FY2020(2020年1-12月期)の売上高は447億ユーロと、前年度比▲16.8%となりましたが、過去5年間では年率+4.6%と、コロナショックがあったにも関わらずプラスです。

高いブランド力を背景に、キャッシュフローマージンは比較的高い水準です。

ROICは10%程度あることから、投資効率も比較的高いです。

コロナ収束後は、業績が急回復し、アジアを中心に高い増収率が期待できます。

DCF法による目標株価は719ユーロのため、2021年2月末時点の株価524ユーロより高い水準です。

なお、メインシナリオは、10年後の売上高が2.6倍(年率+10%)、10年後に向けてフリーキャッシュフローマージンが20%(FY2020:19%)まで上昇することを想定したので、売上高またはフリーキャッシュフローマージンがさらに上向けばより高い株価上昇が期待できます。

ケリングには投資していますが、LVMHも機会があれば投資したいと思います。

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