ケリング(KER.PA)決算分析と目標株価 利益率が非常に高いグッチ 投資効率(ROIC)も高い

耐久消費財・アパレル

過去の業績の推移を解説し、目標株価の算出とケリングへの投資についてコメントします。

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会社概要

ケリング(Kering、KER.PA)

ホームページ(IR):リンク先

国:フランス

セクター:一般消費財・サービス

産業グループ:耐久消費財・アパレル

サブ産業グループ:アパレル・アクセサリー・贅沢品

株式時価総額:910億ドル(世界ランキング第149位、2020年12月末)

浮動株調整後株式時価総額:551億ドル(2020年12月末、MSCI)

ケリングは、フランスに本拠を置く、グッチやサンローラン、ボッテガ・ヴェネタ、バレンシアガなど高級ブランドファッションやジュエリー、アクセサリーなど、ラグジュアリー商品に特化した企業です。

フランス株式市場で第7位、一般消費財・サービスセクターの耐久消費財・アパレルで第5位の浮動株調整後株式時価総額で、アパレル・アクセサリー・贅沢品に占めるケリングの浮動株調整後株式時価総額比率は9%です。

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売上高(セグメント別、地域別)の推移

FY2020(2020年1-12月期)の売上高は131億ユーロと、前年度比▲17.5%、過去5年間では年率+2.5%となりました。

eコマースの売上高比率は13%と、前年度の7%から大きく増加しました。

セグメント別(コーポレート等除く)の売上高は、以下の通りです。

・グッチ:74億ユーロ、前年度比▲22.7%

・サンローラン:17億ユーロ、前年度比▲14.9%

・ボッテガ ヴェネタ:12億ユーロ、前年度比+3.7%

・その他ブランド:23億ユーロ、前年度比▲10.1%

セグメント別の売上高構成比は、グッチが59%、サンローランが14%、ボッテガ ヴェネタが10%を占めます。

地域別の売上高は、以下の通りです。

・西欧:37億ユーロ、前年度比▲28.6%

・北米:27億ユーロ、前年度比▲9.8%

・日本:9億ユーロ、前年度比▲28.9%

・アジアパシフィック(除く日本):50億ユーロ、前年度比▲8.2%

・その他:8億ユーロ、前年度比▲20.0%

地域別の売上高構成比は、アジアパシフィック(除く日本)が38%、西欧が28%を占めます。

利益(セグメント別、地域別)の推移

FY2020(2020年1-12月期)の営業利益は33億ユーロ(前年度比▲28.5%)、営業利益率は25.2%と、前年度の29.0%から悪化しました。

セグメント別の営業利益率は、以下の通りです。

FY2020のEPSは17.20ユーロと、前年度比▲6.5%、過去5年間では年率+25.5%となりました。

キャッシュフローの推移

FY2020(2020年1-12月期)の営業キャッシュフローは29億ユーロと、前年度比+16.7%、過去5年間では年率+17.4%となりました。

営業キャッシュフローマージン(営業キャッシュフロー/売上高)は22.1%と、前年度の15.6%から改善しました。

FY2020の設備投資額/売上高は6.0%と、前年度の6.0%とほぼ同水準となりました。

FY2020のフリーキャッシュフローは21億ユーロと、前年度比+38.3%、過去5年間では年率+27.5%となりました。

フリーキャッシュフローマージン(フリーキャッシュフロー/売上高)は16.0%と、前年度の9.6%から改善しました。

株主還元(配当、自社株買い)の推移

FY2020(2020年1-12月期)の支払配当総額は10億ユーロ、自社株買いは1億ユーロと、フリーキャッシュフローの範囲内です。

(参考)過去5年間の株主還元利回り(株価は各会計年度末時点)

FY2020の益利回り(PERの逆数)は2.9%、フリーキャッシュフロー利回りは2.8%と、バリュエーション面での割安感はありません。

配当利回りは1.3%です。

(参考)過去5年間の配当性向、総還元性向

過去5年間の配当性向、総還元性向は、利益・キャッシュフローベースともに、100%を下回りました。

(参考)過去5年間のDPS(1株当たり配当金)

過去5年間の増配率は年率+14.9%です。

(参考)過去5年間の発行済株式数

過去5年間の発行済株式数は、ほぼ横ばいとなりました。

ROICの推移

ROIC(Return on Invested Capital、投下資本利益率)とは、企業が事業活動のために投じた資金を使ってどれだけ利益を生み出したか(投資効率)を測る指標となります。

正確な計算方法はないため、ここでは、税引後営業利益/投下資本(=運転資本+有形固定資産(リース含む)+無形固定資産+在庫+のれん)として計算しています。

少なくともWACC(加重平均資本コスト)を超えることが絶対条件と言われています。

過去4年間のROICは10〜20%程度であり、投資効率は比較的高いです。

株価上昇率

過去5年間(2016年1月から2020年12月末)の株価上昇率は+305%(年率+32.3%)と、世界株式を投資対象とするVT ETFの上昇率+61%(年率+9.9%)を大きく上回りました。

競合他社(耐久消費財・アパレル)の株価上昇率(NKE、LULU、PTONはドル建て、LVMH、Addias、Kering、Essilor、Hermesはユーロ建て、Richemontはスイスフラン建て、Sonyは日本円建て)は、以下の通りです。

ケリング(Kering)の株価上昇率は、2020年の1年間で+2%と、10社平均(+59%)を下回り、10社中第8位となりました。

2018年1月から2020年12月の3年間では+63%と、9社平均(+100%)を下回り、9社中第7位となりました。

過去10年間(2011年4月から2021年3月)のドローダウン(最高値からの下落率、月末株価)の推移は、以下の通りです。

株式市場全体(VT)と比較して大きなドローダウンが度々発生しました。

最高値から20%程度下落すると反発する傾向にあるため、その時が狙い目です。

(参考)株価の推移(月末株価)

DCF法による目標株価

DCF(Discounted Cash Flow)法とは、将来に渡って生み出すキャッシュフローを割り引く(WACC、加重平均資本コスト)ことで理論価格を算出します。

以下のシナリオに基づき、フリーキャッシュフローの現在価値とネット有利子負債を合計して株主価値を算出し、株主価値を発行済株式総数で割ることで、1株あたりの株価を算出します。

なお、WACCを5.8%、金利が1%上昇した場合は6.7%と推計しました。

以下のグラフは、各シナリオのフローキャッシュフロー(億ユーロ)の推移となります。

① メインシナリオ

 フリーキャッシュフローの成長率:1年目+15%、2年目〜8年目+12%、9年目〜10年目+10%。11年目以降の永続成長率は0%。

② アップサイドシナリオ

 フリーキャッシュフローの成長率:1年目〜6年目+15%、7年目〜10年目+12%。11年目以降の永続成長率は0%。

③ ダウンサイドシナリオ

 フリーキャッシュフローの成長率:1年目+15%、2年目〜10年目+5%。11年目以降の永続成長率は0%。

メインシナリオでの目標株価は734ユーロとなります。

ケリング(Kering、KER.PA)への投資について

FY2020(2020年1-12月期)の売上高は131億ユーロと、前年度比▲17.5%となりましたが、過去5年間では年率+2.5%と、コロナショックがあったにも関わらずプラスです。

高いブランド力を背景に、キャッシュフローマージンは比較的高い水準です。

ROICは10〜20%程度あることから、投資効率も比較的高いです。

コロナ収束後は、業績が急回復し、アジアを中心に高い増収率が期待できます。

DCF法による目標株価は734ユーロのため、2021年2月末時点の株価525ユーロより高い水準です。

なお、メインシナリオは、10年後の売上高が2.6倍(年率+10%)、10年後に向けてフリーキャッシュフローマージンが19%(FY2020:16%)まで上昇することを想定したので、売上高またはフリーキャッシュフローマージンがさらに上向けばより高い株価上昇が期待できます。

投資継続です。

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