エルメス(RMS.PA)決算分析と目標株価 ブランド力を背景に、高い利益率と投資効率(ROIC)

耐久消費財・アパレル

過去の業績の推移を解説し、目標株価の算出とエルメスへの投資についてコメントします。

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会社概要

エルメス(Hermes、RMS.PA)

ホームページ(IR):リンク先

国:フランス

セクター:一般消費財・サービス

産業グループ:耐久消費財・アパレル

サブ産業グループ:アパレル・アクセサリー・贅沢品

浮動株調整後株式時価総額:341億ドル(2020年12月末、MSCI)

エルメスは、フランスに本拠を置く、ラグジュアリーブランドに特化した企業です。

エルメスと言えば、バーキンなどのバッグが有名ですが、1人の職人がすべての工程にわたって手作業で仕上げるため、1つのバーキンを作るのに20時間以上かかります。

機械化せず、1人で完成させるプロセスが、さらに職人の技術力を向上させ、そのため納品までに何年も待つため、買いたくても買えない状態が続き、高いブランド力を維持できます。

一般消費財・サービスセクターの耐久消費財・アパレルでは第9位の浮動株調整後株式時価総額で、アパレル・アクセサリー・贅沢品に占めるエルメスの浮動株調整後株式時価総額比率は6%です。

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売上高(セグメント別、地域別)の推移

FY2020(2020年1-12月期)の売上高は64億ユーロと、前年度比▲7.2%、過去5年間では年率+5.7%となりました。

セグメント別の売上高は、以下の通りです。

・レザーグッズ&サドラー(バッグ等):32億ユーロ、前年度比▲6.0%

・プレタポルテ&アクセサリー:14億ユーロ、前年度比▲10.5%

・シルク&テキスタイル:5億ユーロ、前年度比▲23.6%

・その他エルメス:6億ユーロ、前年度比+22.5%

・香水:3億ユーロ、前年度比▲19.3%

・時計:2億ユーロ、前年度比+1.6%

・その他製品:2億ユーロ、前年度比▲15.5%

セグメント別の売上高構成比は、レザーグッズ&サドラーが50%を占めます。

地域別の売上高は、以下の通りです。

・フランス:6億ユーロ、前年度比▲28.5%

・欧州(除くフランス):10億ユーロ、前年度比▲20.7%

・日本:8億ユーロ、前年度比▲3.5%

・アジアパシフィック(除く日本):29億ユーロ、前年度比+12.5%

・アメリカ:10億ユーロ、前年度比▲22.7%

地域別の売上高構成比は、アジアパシフィック(除く日本)が46%を占めます。

利益(地域別)の推移

FY2020(2020年1-12月期)の営業利益は21億ユーロと、前年度比▲11.4%、過去5年間では年率+6.1%となりました。

営業利益率は32.4%と、前年度の34.0%から悪化しました。

地域別の営業利益率は、以下の通りです。

FY2020のEPSは13.21ユーロと、前年度比▲9.2%、過去5年間では年率+7.4%となりました。

キャッシュフローの推移

FY2020(2020年1-12月期)の営業キャッシュフローは16億ユーロと、前年度比▲21.0%、過去5年間では年率+6.7%となりました。

営業キャッシュフローマージン(営業キャッシュフロー/売上高)は25.7と、前年度の30.2%から悪化しました。

FY2020の設備投資額/売上高は7.0%と、前年度の6.9%とほぼ同水準となりました。

FY2020のフリーキャッシュフローは12億ユーロと、前年度比▲25.4%、過去5年間では年率+5.0%となりました。

フリーキャッシュフローマージン(フリーキャッシュフロー/売上高)は18.7%と、前年度の23.2%から悪化しました。

株主還元(配当、自社株買い)の推移

FY2020(2020年1-12月期)の支払配当総額は5億ユーロ、自社株買いは1億ユーロと、フリーキャッシュフローの範囲内です。

(参考)過去5年間の株主還元利回り(株価は各会計年度末時点)

FY2020の益利回り(PERの逆数)は1.5%、フリーキャッシュフロー利回りは1.3%と、バリュエーション面での割安感はありません。

FY2020の配当利回りは0.5%です。

(参考)過去5年間の配当性向、総還元性向

過去5年間の配当性向、総還元性向は、利益・キャッシュフローベースともに、100%を下回りました。

(参考)過去5年間のDPS(1株当たり配当金)

FY2020のDPSは4.55ユーロと、現状維持です。

FY2017は一部特別配当です。

(参考)過去5年間の発行済株式数

ROICの推移

ROIC(Return on Invested Capital、投下資本利益率)とは、企業が事業活動のために投じた資金を使ってどれだけ利益を生み出したか(投資効率)を測る指標となります。

正確な計算方法はないため、ここでは、税引後営業利益/投下資本(=運転資本+有形固定資産(リース含む)+無形固定資産+在庫+のれん)として計算しています。

少なくともWACC(加重平均資本コスト)を超えることが絶対条件と言われています。

過去5年間のROICは30%以上と、投資効率は非常に高いです。

株価上昇率

過去5年間(2016年1月から2020年12月末)の株価上昇率は+185%(年率+23.3%)と、世界株式を投資対象とするVT ETFの上昇率+61%(年率+9.9%)を大きく上回りました。

競合他社(耐久消費財・アパレル)の株価上昇率(NKE、LULU、PTONはドル建て、LVMH、Addias、Kering、Essilor、Hermesはユーロ建て、Richemontはスイスフラン建て、Sonyは日本円建て)は、以下の通りです。

エルメス(Hermes)の株価上昇率は、2020年の1年間で+32%と、10社平均(+59%)を下回り、10社中第5位となりました。

2018年1月から2020年12月の3年間では+99%と、9社平均(+100%)とほぼ同水準となり、9社中第5位となりました。

過去10年間(2011年4月から2021年3月)のドローダウン(最高値からの下落率、月末株価)の推移は、以下の通りです。

最高値から20%程度下落した場合は、絶好の買い場です。

(参考)株価の推移(月末株価)

DCF法による目標株価

DCF(Discounted Cash Flow)法とは、将来に渡って生み出すキャッシュフローを割り引く(WACC、加重平均資本コスト)ことで理論価格を算出します。

以下のシナリオに基づき、フリーキャッシュフローの現在価値とネット有利子負債を合計して株主価値を算出し、株主価値を発行済株式総数で割ることで、1株あたりの株価を算出します。

なお、WACCを4.9%、金利が1%上昇した場合は5.8%と推計しました。

以下のグラフは、各シナリオのフローキャッシュフロー(億ユーロ)の推移となります。

① メインシナリオ

 フリーキャッシュフローの成長率:1年目+12%、2年目〜3年目+20%、4年目〜10年目+13%。11年目以降の永続成長率は0%。

② アップサイドシナリオ

 フリーキャッシュフローの成長率:1年目+12%、2年目〜10年目+20%。11年目以降の永続成長率は0%。

③ ダウンサイドシナリオ

 フリーキャッシュフローの成長率:1年目+12%、2年目〜3年目+20%、4年目〜10年目+10%。11年目以降の永続成長率は0%。

メインシナリオの目標株価は772ユーロとなります。

エルメス(Hermes、RMS.PA)への投資について

FY2020(2020年1-12月期)の売上高は64億ユーロと、前年度比▲7.2%となりましたが、競合他社であるLVMH(▲16.8%)やケリング(▲17.5%)と比較すると堅調でした。

高いブランド力を背景に、競合他社と比較して、高い営業利益率です。

ROICは30%以上あり、競合他社と比較して、投資効率も非常に高いです。

キャッシュリッチで財務体質は盤石ですが、配当については維持が継続であり、株主還元に積極的とは言い難いです。

DCF法による目標株価は772ユーロのため、2021年3月末時点の株価944ユーロより低い水準です。

なお、メインシナリオは、10年後の売上高が2.8倍(年率+11%)、10年後に向けてフリーキャッシュフローマージンが25%(FY2020:19%)まで上昇することを想定したので、売上高またはフリーキャッシュフローマージンがさらに上向けばより高い株価上昇が期待できます。

フリーキャッシュフローベースでは割高感は常に否めませんが、ROICが非常に高いことから、株価急落局面では拾いたいと思います。

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