過去の業績の推移を解説し、目標株価の算出とペロトン・インタラクティブへの投資についてコメントします。
会社概要
ペロトン・インタラクティブ(Peloton Interactive、PTON)
ホームページ(SECファイル):リンク先
国:アメリカ
セクター:耐久消費財・アパレル
産業グループ:アパレル・アクセサリー・贅沢品
サブ産業グループ:レジャー用品
株式時価総額:370億ドル(2021年6月末)
ペロトン・インタラクティブは、アメリカに本拠を置く、フィットネス関連機器の販売や、会員が自宅でトレーニングできるように動画の配信等フィットネスプラットフォームを提供する企業です。
(参考)競合他社(レジャー用品)の株式時価総額(2021年6月末)
株式時価総額(億ドル) | |
ペロトン・インタラクティブ(PTON) | 370 |
シマノ(7309.T) | 218 |
バンダイナムコHD(7832.T) | 154 |
ハズブロ(HAS) | 130 |
ポラリス(PII) | 84 |
売上高(セグメント別)の推移
FY2021(2020年7月-2021年6月期)の売上高は40.2億ドルと、前年度比+120.3%、過去3年間で年率+109.9%となりました。
2021Q4(2021年4−6月期)の売上高は9.4億ドル(前年同期比+54.3%)と、コンセンサス(9.3億ドル)を上回りました。
セグメント別の売上高は、以下の通りです。
・フィットネス製品:6.6億ドル、前年同期比+35%
・サブスクリプション:2.8億ドル、前年同期比+132%
セグメント別の売上高構成比は、フィットネス製品が70%、サブスクリプションが30%を占めます。
契約者数、顧客定着率、解約率
契約者数は590万(前年同期比+90%)、サブスクリプションは233万(前年同期比+114%)、有料デジタルサブスクリプションは87万(前年同期比+176%)となりました。
ワークアウト数は1億3,430万(前年同期比+75%)、利用者は月平均19.9回のワークアウトを実施しました。
過去12ヶ月の顧客定着率は92%、解約率は0.73%となりました。
利益(セグメント別)の推移
2021Q4の粗利益は2.5億ドル(前年同期比▲12.2%)、粗利益率は27.1%と、前年同期の47.6%から改善しました。
セグメント別の粗利益率は、以下の通りです。
2021Q4のEPSは▲1.05ドル(前年同期比赤字転落)と、コンセンサス(▲0.47ドル)を上回りました。
キャッシュフローの推移
FY2021の営業キャッシュフローは▲2.4億ドルと、前年度比赤字転落となりました。
営業キャッシュフローマージン(営業キャッシュフロー/売上高)は▲6.0%と、前年度の20.6%から悪化しました。
2021Q4の営業キャッシュフローは▲6.0億ドル(前年同期比赤字転落)となりました。
FY2021のフリーキャッシュフローは▲4.9億ドルと、前年度比赤字転落となりました。
フリーキャッシュフローマージン(フリーキャッシュフロー/売上高)は▲12.2%と、前年度の12.0%から悪化しました。
2021Q4のフリーキャッシュフローは▲6.8億ドル(前年同期比赤字転落)となりました。
売上高およびEPSの実績値とコンセンサスの推移
売上高の実績値(コンセンサス比)は、過去8四半期中、8勝です。
EPSの実績値(コンセンサス比)は、過去8半期中、5勝、3敗です。
売上高(ドル) | GAAP EPS(ドル) | |||||
実績値 | コンセンサス | 勝敗 | 実績値 | コンセンサス | 勝敗 | |
2020Q1 | 2.3 | 2.0 | ○ | -1.29 | -0.48 | × |
2020Q2 | 4.7 | 4.2 | ○ | -0.20 | -0.35 | ○ |
2020Q3 | 5.2 | 4.9 | ○ | -0.20 | -0.19 | × |
2020Q4 | 6.1 | 5.8 | ○ | 0.27 | 0.09 | ○ |
2021Q1 | 7.6 | 7.3 | ○ | 0.20 | 0.11 | ○ |
2021Q2 | 10.6 | 10.3 | ○ | 0.18 | 0.08 | ○ |
2021Q3 | 12.6 | 11.2 | ○ | -0.03 | -0.13 | ○ |
2021Q4 | 9.4 | 9.3 | ○ | -1.05 | -0.47 | × |
株価上昇率
2021Q4の株価上昇率は+10.3%と、S&P500(+8.2%)を上回りました。

2019年10月から2021年8月のドローダウン(最高値からの下落率、月末株価)の推移は、以下の通りです。
(参考)株価の推移(月末株価)
通常の目盛り表示の場合、近年の株価のブレ幅(上昇もしくは下落)が過去より非常に大きいと錯覚するため、対数目盛りで表示しています。
DCF法による目標株価
DCF(Discounted Cash Flow)法とは、将来に渡って生み出すキャッシュフローを割り引く(WACC、加重平均資本コスト)ことで理論価格を算出します。
以下のシナリオに基づき、フリーキャッシュフローの現在価値とネット有利子負債を合計して株主価値を算出し、株主価値を発行済株式総数で割ることで、1株あたりの株価を算出します。
なお、WACCを7.5%と推計しました。
以下のグラフは、各シナリオのフローキャッシュフロー(億ドル)の推移となります。
① メインシナリオ
フリーキャッシュフローの成長率:1年目1億ドル、2年目+1000%、3年目+40%、4年目〜6年目+30%、7年目〜10年目+10%。11年目以降の永続成長率は0%。
② アップサイドシナリオ
フリーキャッシュフローの成長率:1年目1億ドル、2年目+1000%、3年目+40%、4年目〜6年目+30%、7年目〜10年目+20%。11年目以降の永続成長率は0%。
③ ダウンサイドシナリオ
フリーキャッシュフローの成長率:1年目1億ドル、2年目+1000%、3年目〜10年目+10%。11年目以降の永続成長率は0%。
メインシナリオの目標株価は167ドルとなります。
・メインシナリオ:167ドル
・アップサイドシナリオ:220ドル
・ダウンサイドシナリオ:84ドル
ペロトン・インタラクティブ(Peloton Interactive、PTON)への投資について
2021Q4(2021年4−6月期)の売上高は9.4億ドルと、コンセンサス(9.3億ドル)を上回りましたが、EPSは▲1.05ドルと、コンセンサス(▲0.47ドル)を下回る実績となりました。
2022Q1のガイダンスは、以下の通りです。
・売上高:8億ドル(コンセンサス10億ドル)
FY2022のガイダンスは、以下の通りです。
・売上高:54億ドル
決算発表を受けて、株価は急落しました。
DCF法による目標株価は167ドルのため、2021年8月末時点の株価100ドルより高い水準です。
なお、メインシナリオは、10年後の売上高が5.0倍(年率+17%)、10年後に向けてフリーキャッシュフローマージンが25%まで上昇することを想定したので、売上高またはフリーキャッシュフローマージンがさらに上向けばより高い株価上昇が期待できます。
コロナ収束後も自宅フィットネスが根付くのか要注目です。






