ルルレモン・アスレティカ(LULU)決算分析と目標株価 カナダ発のヨガ等スポーツウェアメーカー 利益率の高い直販が好調

ルルレモン耐久消費財・アパレル

過去の業績の推移を解説し、目標株価の算出とルルレモン・アスレティカへの投資についてコメントします。

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会社概要

ルルレモン・アスレティカ(Lululemon Athletica Inc.、LULU)

ホームページ:リンク先

国:カナダ(MSCI:アメリカ)

セクター:一般消費財・サービス

産業グループ:耐久消費財・アパレル

サブ産業グループ:アパレル・アクセサリー・贅沢品

株式時価総額:506億ドル(2021年12月末)

ルルレモン・アスレティカは、カナダに本拠を置く、カナダ発のヨガやランニング等向けスポーツウェアメーカーです。

 

(参考)競合他社(アパレル・アクセサリー・贅沢品、履物)の株式時価総額(2021年12月末)

 株式時価総額
LVMH モエヘネシー・ルイヴィトン(MC.PA)4,187億ドル
ナイキ(NKE)2,638億ドル
エルメス(RMS.PA)1,863億ドル
クリスチャン・ディオール(CDI.PA)1,479億ドル
ケリング(KER.PA)1,003億ドル
エシロールルックスオティカ(EL.PA)921億ドル
リシュモン(CFR.SW)851億ドル
アディダス(ADS.DE)562億ドル
ルルレモン・アスレティカ(LULU)506億ドル
アンタ・スポーツ・プロダクツ/安踏体育用品(2020.HK)407億ドル
シェンジョウ・インターナショナル/申洲国際(2313.HK)290億ドル
VFコーポレーション(VFC)288億ドル
リー・ニン/李寧(2331.HK)277億ドル
モンクレール(MONC.MI)196億ドル
プーマ(PUM.DE)186億ドル
プラダ(1913.HK)166億ドル
スウォッチ・グループ(UHR.SW)155億ドル
タペストリー(TPR)112億ドル
バーバリー・グループ(BRBY.L)99億ドル

 

売上高(セグメント別、地域別)の推移

FY2021(2021年2月-2022年1月期)の売上高は63億ドルと、前年度比+42.1%、過去5年間で年率+21.7%となりました。

 

セグメント別の売上高は、以下の通りです。

・直営:28億ドル、前年同期比+70%

・直販(eコマース):28億ドル、前年同期比+22%

・その他:7億ドル、前年同期比+43%

セグメント別の売上高構成比は、直営が45%、直販が44%、その他が11%を占めます。

 

地域別の売上高は、以下の通りです。

・アメリカ:43億ドル、前年同期比+40%

・カナダ:10億ドル、前年同期比+42%

・その他:10億ドル、前年同期比+53%

地域別の売上高構成比は、アメリカが69%、カナダが15%、その他が15%を占めます。

 

カテゴリー別の売上高構成比は、女性用が69%、男性用が22%、その他が9%を占めます。

 

利益(セグメント別)の推移

FY2021の営業利益は13.3億ドルと、前年度比+62.6%、過去5年間で年率+25.9%となりました。

営業利益率は21.3%と、前年度の18.6%から改善しました。

 

セグメント別の営業利益率は、以下の通りです。

直販の営業利益率は40%以上と、高い水準です。

ルルレモン

 

FY2021のEPSは7.49ドルと、前年度比+66.4%、過去5年間で年率+27.6%となりました。

 

キャッシュフローの推移

FY2021の営業キャッシュフローは13.9億ドルと、前年度比+72.9%、過去5年間で年率+29.2%となりました。

営業キャッシュフローマージン(営業キャッシュフロー/売上高)は22.2%と、前年度の18.2%から改善しました。

 

FY2021のフリーキャッシュフローは9.9億ドルと、前年度比+73.2%、過去5年間で年率+33.2%となりました。

フリーキャッシュフローマージン(フリーキャッシュフロー/売上高)は15.9%と、前年度の13.0%から改善しました。

 

株主還元(配当、自社株買い)の推移

無配です。

 

(参考)過去5年間の株主還元利回り(株価は各会計年度末時点)

FY2021の益利回り(PERの逆数)は2.2%、フリーキャッシュフロー利回りは2.3%です。

 

(参考)過去5年間の配当性向、総還元性向

 

(参考)過去5年間の発行済株式数

発行済株式数は、過去5年間で年率▲1.0%となりました。

 

ROICの推移

ROIC(Return on Invested Capital、投下資本利益率)とは、企業が事業活動のために投じた資金を使ってどれだけ利益を生み出したか(投資効率)を測る指標となります。

正確な計算方法はないため、ここでは、税引後営業利益/投下資本(=運転資本+有形固定資産(リース含む)+無形固定資産+在庫+のれん)として計算しています。

少なくともWACC(加重平均資本コスト)を超えることが絶対条件と言われています。

過去5年間のROICは30%程度と、投資効率は高いです。

 

売上高およびEPSの実績値とコンセンサスの推移

売上高の実績値(コンセンサス比)は、過去12四半期中、10勝、1敗、1引き分けです。

EPSの実績値(コンセンサス比)は、過去12四半期中、11勝、1敗です。

非GAAP EPSの実績値(コンセンサス比)は、過去8四半期中、7勝です。

 
売上高(億ドル)GAAP EPS(ドル)非GAAP EPS(ドル)
実績値コンセンサス勝敗実績値コンセンサス勝敗実績値コンセンサス勝敗
2019Q28.88.50.960.89   
2019Q39.29.00.960.93   
2019Q414.013.82.282.25   
2020Q16.57.0×0.220.26×   
2020Q29.08.50.660.550.740.56
2020Q311.210.11.100.891.160.88
2020Q417.316.62.522.482.582.49
2021Q112.311.31.110.901.160.91
2021Q214.513.31.591.191.651.19
2021Q314.514.41.621.391.441.40
2021Q421.321.33.363.273.373.27
2022Q116.115.51.481.431.161.43×

 

株価上昇率

FY2021の株価上昇率は+1.5%と、S&P500(+21.6%)を下回りました。

過去5年間(2017年2月から2022年1月末)の株価上昇率は年率+37.7%と、S&P500(年率+14.7%)を大きく上回りました。

 

競合他社(アパレル・アクセサリー・贅沢品、履物)の株価上昇率(MC.PA、RMS.PA、CDI.PA、KER.PA、EL.PA、ADS.DE、MONC.MI、PUM.DEはユーロ建て、CFR.SW、UHR.SWはスイスフラン建て、2020.HK、2313.HK、2331.HK、1913.HKは香港ドル建て、BRBY.Lはポンド建て)は、以下の通りです。

ルルレモン・アスレティカ(LULU)の株価上昇率は、2021年の1年間で+12%と、19社平均(+24%)を下回り、19社中第13位となりました。

2019年1月から2021年12月の3年間では+222%と、19社平均(+145%)を上回り、19社中第2位となりました。

 

過去10年間(2012年7月から2022年6月)のドローダウン(最高値からの下落率、月末株価)の推移は、以下の通りです。

 

(参考)株価の推移(月末株価)

通常の目盛り表示の場合、近年の株価のブレ幅(上昇もしくは下落)が過去より非常に大きいと錯覚するため、対数目盛りで表示しています。

 

DCF法による目標株価

DCF(Discounted Cash Flow)法とは、将来に渡って生み出すキャッシュフローを割り引く(WACC、加重平均資本コスト)ことで理論価格を算出します。

以下のシナリオに基づき、フリーキャッシュフローの現在価値とネット有利子負債を合計して株主価値を算出し、株主価値を発行済株式総数で割ることで、1株あたりの株価を算出します。

なお、WACCを8.6%と推計しました。

以下のグラフは、各シナリオのフローキャッシュフロー(億ドル)の推移となります。

① メインシナリオ

 フリーキャッシュフローの成長率:1年目+30%、2年目〜5年目+20%、6年目〜10年目+10%。11年目以降の永続成長率は0%。

② アップサイドシナリオ

 フリーキャッシュフローの成長率:1年目+30%、2年目〜10年目+20%。11年目以降の永続成長率は0%。

③ ダウンサイドシナリオ

 フリーキャッシュフローの成長率:1年目〜10年目+10%。11年目以降の永続成長率は0%。

メインシナリオの目標株価は298ドルとなります。

・メインシナリオ:298ドル

・アップサイドシナリオ:411ドル

・ダウンサイドシナリオ:185ドル

ルルレモン・アスレティカ(Lululemon Athletica Inc.、LULU)への投資について

FY2021の売上高は63億ドル(前年度比+42.1%)、非GAAP EPSは7.79ドル(前年度比+65.7%)、フリーキャッシュフローは9.9億ドル(前年度比+73.2%)となりました。

FY2022のガイダンスは、以下の通りです。

・売上高:76.1億ドル〜77.1億ドル(コンセンサス75.8億ドル)

・非GAAP EPS:9.35〜9.50ドル(コンセンサス9.35ドル)

DCF法による目標株価は298ドルのため、2022年6月末時点の株価273ドルより高い水準です。

なお、メインシナリオは、10年後の売上高が4.3倍(年率+16%)、フリーキャッシュフローマージンが横ばいで推移することを想定したので、売上高またはフリーキャッシュフローマージンがさらに上向けばより高い株価上昇が期待できます。

投資効率が高いことや、相対的に高い増収率が引き続き期待できるから、株価が急落した局面では投資したい銘柄です。

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