過去の業績の推移を解説し、目標株価の算出とゼットスケーラーへの投資についてコメントします。
会社概要
ゼットスケーラー(Zscaler、ZS)
ホームページ(SECファイル):リンク先
国:アメリカ
セクター:情報技術
産業グループ:ソフトウェア・サービス
サブ産業グループ:システム・ソフトウェア
株式時価総額:296億ドル(2021年6月末)
ゼットスケーラーは、アメリカに本拠を置く、ゲートウェイセキュリティ機能をクラウド上で提供する企業で、インターネット及びOffice365などの外部アプリケーション向け「Zscaler Internet Access(ZIS)」や、プライベートクラウド(AWS、Azure等)など管理アプリケーション向け「Zscaler Private Access (ZPA)」などが挙げられます。
(参考)競合他社(システム・ソフトウェア)の株式時価総額(2021年6月末)
株式時価総額 (億ドル) | |
マイクロソフト(MSFT) | 20,403 |
オラクル(ORCL) | 2,173 |
サービスナウ(NOW) | 1,085 |
VMウェア(VMW) | 670 |
クラウドストライク(CRWD) | 567 |
フォーティネット(FTNT) | 389 |
パロ・アルト・ネットワークス(PANW) | 361 |
クラウドフレア(NET) | 329 |
ゼットスケーラー(ZS) | 296 |
売上高の推移
FY2021(2020年8月-2021年7月期)の売上高は6.7億ドルと、前年度比+56.1%、過去5年間で年率+53.0%となりました。

2021Q4(2021年5−7月期)の売上高は2.0億ドル(前年同期比+56.5%)と、コンセンサス(1.9億ドル)を上回りました。

請求額の推移
請求額(会計上未認識だが顧客と契約済みの案件も含めた売上高)は3.3億ドル(前年同期比+70%)となりました。

利益の推移
2021Q4の非GAAP 営業利益は0.2億ドル(前年同期比+66.0%)、非GAAP 営業利益率は10.5%と、前年同期の9.9%から改善しました。

2021Q4のEPSは▲0.59ドルと、コンセンサス(▲0.45ドル)を下回りました。
非GAAP EPSは0.14ドル(前年同期比+75.0%)と、コンセンサス(0.09ドル)を上回りました。

キャッシュフローの推移
FY2021の営業キャッシュフローは2.0億ドルと、前年度比+154.7%、過去3年間で年率+126.8%となりました。
営業キャッシュフローマージン(営業キャッシュフロー/売上高)は30.0%と、前年度の18.4%から改善しました。

2021Q4の営業キャッシュフローは0.4億ドル(前年同期比+41.4%)となりました。

FY2021のフリーキャッシュフローは1.4億ドルと、前年度比+422.5%、過去3年間で年率+306.7%となりました。
フリーキャッシュフローマージン(フリーキャッシュフロー/売上高)は21.4%と、前年度の6.4%から改善しました。

2021Q4のフリーキャッシュフローは0.3億ドル(前年同期比+153.8%)となりました。

株主還元(配当、自社株買い)の推移
配当、自社株買いの実施はなしです。
(参考)過去5年間の発行済株式数
発行済株式数は、過去5年間で年率+38.6%となりました。

売上高およびEPSの実績値とコンセンサスの推移
売上高の実績値(コンセンサス比)は、過去9四半期中、9勝です。
EPSの実績値(コンセンサス比)は、過去9四半期中、2勝、7敗です。
非GAAP EPSの実績値(コンセンサス比)は、過去9四半期中、9勝です。
売上高(ドル) | GAAP EPS(ドル) | 非GAAP EPS(ドル) | |||||||
実績値 | コンセンサス | 勝敗 | 実績値 | コンセンサス | 勝敗 | 実績値 | コンセンサス | 勝敗 | |
2019Q4 | 0.9 | 0.8 | ○ | -0.04 | -0.11 | ○ | 0.07 | 0.02 | ○ |
2020Q1 | 0.9 | 0.9 | ○ | -0.13 | -0.10 | × | 0.03 | 0.01 | ○ |
2020Q2 | 1.0 | 1.0 | ○ | -0.23 | -0.12 | × | 0.10 | 0.03 | ○ |
2020Q3 | 1.1 | 1.1 | ○ | -0.15 | -0.23 | ○ | 0.07 | 0.02 | ○ |
2020Q4 | 1.3 | 1.2 | ○ | -0.38 | -0.17 | × | 0.05 | 0.03 | ○ |
2021Q1 | 1.4 | 1.3 | ○ | -0.41 | -0.23 | × | 0.14 | 0.06 | ○ |
2021Q2 | 1.6 | 1.5 | ○ | -0.50 | -0.38 | × | 0.10 | 0.08 | ○ |
2021Q3 | 1.8 | 1.6 | ○ | -0.43 | -0.42 | × | 0.15 | 0.07 | ○ |
2021Q4 | 2.0 | 1.9 | ○ | -0.59 | -0.45 | × | 0.14 | 0.09 | ○ |
株価上昇率
FY2021の株価上昇率は+81.7%と、S&P500(+34.4%)を上回りました。

2021Q4の株価上昇率は+25.7%と、S&P500(+5.1%)を上回りました。

競合他社(システム・ソフトウェア)の株価上昇率(ドル建て)は、以下の通りです。
ゼットスケーラー(ZS)の株価上昇率は、2020年の1年間で+329と、9社平均(+138%)を上回り、9社中第2位となりました。

2018年3月から2021年8月のドローダウン(最高値からの下落率、月末株価)の推移は、以下の通りです。

(参考)株価の推移(月末株価)
通常の目盛り表示の場合、近年の株価のブレ幅(上昇もしくは下落)が過去より非常に大きいと錯覚するため、対数目盛りで表示しています。
上昇トレンドです。

DCF法による目標株価
DCF(Discounted Cash Flow)法とは、将来に渡って生み出すキャッシュフローを割り引く(WACC、加重平均資本コスト)ことで理論価格を算出します。
以下のシナリオに基づき、フリーキャッシュフローの現在価値とネット有利子負債を合計して株主価値を算出し、株主価値を発行済株式総数で割ることで、1株あたりの株価を算出します。
なお、WACCを5.6%と推計しました。
以下のグラフは、各シナリオのフローキャッシュフロー(億ドル)の推移となります。
① メインシナリオ
フリーキャッシュフローの成長率:1年目+35%、2年目〜3年目+60%、4年目〜10年目+30%。11年目以降の永続成長率は0%
② アップサイドシナリオ
フリーキャッシュフローの成長率:1年目+35%、2年目〜3年目+60%、4年目〜7年目+40%、8年目〜10年目+30%。11年目以降の永続成長率は0%
③ ダウンサイドシナリオ
フリーキャッシュフローの成長率:1年目+35%、2年目〜3年目+60%、4年目〜5年目+30%、6年目〜10年目+20%。11年目以降の永続成長率は0%
メインシナリオの目標株価は303ドルとなります。
・メインシナリオ:303ドル
・アップサイドシナリオ:402ドル
・ダウンサイドシナリオ:214ドル
ゼットスケーラー(Zscaler、ZS)への投資について
2021Q4(2021年5−7月期)の売上高は2.0億ドル(コンセンサス1.9億ドル)、非GAAP EPSは0.14ドル(コンセンサス0.09ドル)と、これまで通りコンセンサスを上回る実績となりました。
2022Q1のガイダンスは、以下の通りです。
・売上高:2.10〜2.12億ドル(コンセンサス2.00億ドル)
・非GAAP EPS:0.12ドル(コンセンサス0.12ドル)
FY2022のガイダンスは、以下の通りです。
・売上高:9.40〜9.50億ドル(コンセンサス9.02億ドル)
・非GAAP EPS:0.52〜0.56ドル(コンセンサス0.54ドル)
DCF法による目標株価は303ドルのため、2021年8月末時点の株価278ドルより高い水準です。
なお、メインシナリオは、10年後の売上高が11.5倍(年率+28%)、10年後に向けてフリーキャッシュフローマージンが40%まで上昇することを想定したので、売上高またはフリーキャッシュフローマージンがさらに上向けばより高い株価上昇が期待できます。
売上高に加え、利益やキャッシュフローも急拡大しており、業績、株価ともに絶好調です。







