過去の業績の推移を解説し、目標株価の算出とゼットスケーラーへの投資についてコメントします。
会社概要
ゼットスケーラー(Zscaler、ZS)
ホームページ(SECファイル):リンク先
国:アメリカ
セクター:情報技術
産業グループ:ソフトウェア・サービス
サブ産業グループ:システム・ソフトウェア
株式時価総額:450億ドル(2021年12月末)
ゼットスケーラーは、アメリカに本拠を置く、ゲートウェイセキュリティ機能をクラウド上で提供する企業で、インターネット及びOffice365などの外部アプリケーション向け「Zscaler Internet Access(ZIS)」や、プライベートクラウド(AWS、Azure等)など管理アプリケーション向け「Zscaler Private Access (ZPA)」などが挙げられます。
(参考)競合他社(システム・ソフトウェア)の株式時価総額(2021年12月末)
株式時価総額 | |
マイクロソフト(MSFT) | 2.53兆ドル |
オラクル(ORCL) | 2,329億ドル |
サービスナウ(NOW) | 1,292億ドル |
フォーティネット(FTNT) | 588億ドル |
パロ・アルト・ネットワークス(PANW) | 549億ドル |
VMウェア(VMW) | 486億ドル |
クラウドストライク(CRWD) | 470億ドル |
ゼットスケーラー(ZS) | 450億ドル |
クラウドフレア(NET) | 423億ドル |
売上高の推移
FY2021(2020年8月-2021年7月期)の売上高は6.7億ドルと、前年度比+56.1%、過去5年間で年率+53.0%となりました。

2022Q3(2022年2−4月期)の売上高は2.9億ドル(前年同期比+62.6%)と、コンセンサス(2.7億ドル)を上回りました。

請求額、顧客数の推移
請求額(会計上未認識だが顧客と契約済みの案件も含めた売上高)は3.5億ドル(前年同期比+54%)となりました。

ARR10万ドル以上の顧客数は1,891件(前年同期比+44%)、ARR100万ドル以上の顧客数は288件(前年同期比+77%)となりました。
利益の推移
2022Q3の非GAAP 営業利益は0.3億ドル(前年同期比+18.8%)となりました。

2022Q3の非GAAP EPSは0.17ドル(前年同期比+13.3%)と、コンセンサス(0.11ドル)を上回りました。

キャッシュフローの推移
FY2021の営業キャッシュフローは2.0億ドルと、前年度比+154.7%、過去3年間で年率+126.8%となりました。
営業キャッシュフローマージン(営業キャッシュフロー/売上高)は30.0%と、前年度の18.4%から改善しました。

2022Q3の営業キャッシュフローは0.8億ドル(前年同期比+5.3%)となりました。

FY2021のフリーキャッシュフローは1.4億ドルと、前年度比+422.5%、過去3年間で年率+306.7%となりました。
フリーキャッシュフローマージン(フリーキャッシュフロー/売上高)は21.4%と、前年度の6.4%から改善しました。

2022Q3のフリーキャッシュフローは0.4億ドル(前年同期比▲21.6%)となりました。

株主還元(配当、自社株買い)の推移
配当、自社株買いの実施はなしです。
(参考)過去5年間の発行済株式数
発行済株式数は、過去5年間で年率+38.6%となりました。

売上高およびEPSの実績値とコンセンサスの推移
売上高の実績値(コンセンサス比)は、過去12四半期中、12勝です。
非GAAP EPSの実績値(コンセンサス比)は、過去12四半期中、12勝です。
売上高(億ドル) | 非GAAP EPS(ドル) | |||||
実績値 | コンセンサス | 勝敗 | 実績値 | コンセンサス | 勝敗 | |
2019Q4 | 0.9 | 0.8 | ○ | 0.07 | 0.02 | ○ |
2020Q1 | 0.9 | 0.9 | ○ | 0.03 | 0.01 | ○ |
2020Q2 | 1.0 | 1.0 | ○ | 0.10 | 0.03 | ○ |
2020Q3 | 1.1 | 1.1 | ○ | 0.07 | 0.02 | ○ |
2020Q4 | 1.3 | 1.2 | ○ | 0.05 | 0.03 | ○ |
2021Q1 | 1.4 | 1.3 | ○ | 0.14 | 0.06 | ○ |
2021Q2 | 1.6 | 1.5 | ○ | 0.10 | 0.08 | ○ |
2021Q3 | 1.8 | 1.6 | ○ | 0.15 | 0.07 | ○ |
2021Q4 | 2.0 | 1.9 | ○ | 0.14 | 0.09 | ○ |
2022Q1 | 2.3 | 2.1 | ○ | 0.14 | 0.12 | ○ |
2022Q2 | 2.6 | 2.4 | ○ | 0.13 | 0.11 | ○ |
2022Q3 | 2.9 | 2.7 | ○ | 0.17 | 0.11 | ○ |
株価上昇率
FY2021の株価上昇率は+81.7%と、S&P500(+34.4%)を上回りました。

2022Q3の株価上昇率は▲21.1%と、S&P500(▲8.5%)を下回りました。

競合他社(システム・ソフトウェア)の株価上昇率(ドル建て)は、以下の通りです。
ゼットスケーラー(ZS)の株価上昇率は、2021年の1年間で+61%と、9社平均(+46%)を上回り、9社中第3位となりました。
2019年1月から2021年12月の3年間では+720%と、7社平均(+271%)を上回り、7社中第1位となりました。

2018年3月から2022年6月のドローダウン(最高値からの下落率、月末株価)の推移は、以下の通りです。

(参考)株価の推移(月末株価)
通常の目盛り表示の場合、近年の株価のブレ幅(上昇もしくは下落)が過去より非常に大きいと錯覚するため、対数目盛りで表示しています。

DCF法による目標株価
DCF(Discounted Cash Flow)法とは、将来に渡って生み出すキャッシュフローを割り引く(WACC、加重平均資本コスト)ことで理論価格を算出します。
以下のシナリオに基づき、フリーキャッシュフローの現在価値とネット有利子負債を合計して株主価値を算出し、株主価値を発行済株式総数で割ることで、1株あたりの株価を算出します。
なお、WACCを7.1%と推計しました。
以下のグラフは、各シナリオのフローキャッシュフロー(億ドル)の推移となります。
① メインシナリオ
フリーキャッシュフローの成長率:1年目+40%、2年目〜3年目+50%、4年目〜9年目+30%、10年目+20%。11年目以降の永続成長率は0%
② アップサイドシナリオ
フリーキャッシュフローの成長率:1年目+40%、2年目〜3年目+50%、4年目〜7年目+40%、8年目〜10年目+30%。11年目以降の永続成長率は0%
③ ダウンサイドシナリオ
フリーキャッシュフローの成長率:1年目〜3年目+40%、4年目〜5年目+30%、6年目〜10年目+20%。11年目以降の永続成長率は0%
メインシナリオの目標株価は191ドルとなります。
・メインシナリオ:191ドル
・アップサイドシナリオ:268ドル
・ダウンサイドシナリオ:128ドル
ゼットスケーラー(Zscaler、ZS)への投資について
2022Q3(2022年2−4月期)の売上高は2.9億ドル(コンセンサス2.7億ドル)、非GAAP EPSは0.17ドル(コンセンサス0.11ドル)と、これまで通りコンセンサスを上回る実績となりました。
FY2023のガイダンスは、以下の通りです。
・売上高:10.78億ドル
・非GAAP EPS:0.64〜0.65ドル
DCF法による目標株価は191ドルのため、2022年6月末時点の株価150ドルより高い水準です。
なお、メインシナリオは、10年後の売上高が13.2倍(年率+29%)、10年後に向けてフリーキャッシュフローマージンが30%まで上昇することを想定したので、売上高またはフリーキャッシュフローマージンがさらに上向けばより高い株価上昇が期待できます。
売上高に加え、利益やキャッシュフローも拡大中です。







