イオン(8267)決算分析と目標株価 デジタル化と海外シフトで、利益率向上とROEの改善を図る

食品・生活必需品小売り

過去の業績の推移を解説し、目標株価の算出とイオンへの投資についてコメントします。

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会社概要

イオン(Aeon Co., Ltd.、8267.T)

ホームページ(有報):リンク先

国:日本

セクター:生活必需品

産業グループ:食品・生活必需品小売り

サブ産業グループ:大型スーパーマーケット・スーパーマーケット

株式時価総額:3.0兆円(日本ランキング第48位、2020年12月末)

浮動株調整後株式時価総額:195億ドル(2021年3月末、MSCI)

イオンは、日本に本拠を置く、総合スーパー(イオンリテール等)、スーパー/コンビニ等(マックスバリュ、ミニストップ等)、ドラッグストア(ウエルシア等)、総合金融(イオンフィナンシャルサービス等)、ディベロッパー(イオンモール等)、サービス/専門店(イオンディライト等)等の事業を展開する企業を傘下に持つ持株会社です。

(参考)競合他社(大型スーパーマーケット・スーパーマーケット)の株式時価総額

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営業収益(セグメント別)の推移

FY2020(2020年3月-2021年2月期)の営業収益は8兆6,039億円と、前年度比▲0.0%、過去5年間で年率+1.0%となりました。

セグメント別の営業収益は、以下の通りです。

・総合スーパー:3兆695億円、前年度比▲0%

・スーパー/コンビニ等:3兆2,657億円、前年度比+1%

・ドラッグストア:9,566億円、前年度比+9%

・総合金融:4,876億円、前年度比+1%

・ディベロッパー:3,270億円、前年度比▲12%

・サービス/専門店:6,423億円、前年度比▲14%

・国際:4,144億円、前年度比▲6%

・その他:543億円、前年度比+2%

セグメント別の営業収益構成比は、スーパー/コンビニ等が35%、総合スーパーが33%、ドラッグストアが10%を占めます。

地域別の営業収益構成比は、日本が92%、海外が8%を占めます。

利益(セグメント別、地域別)の推移

FY2020の営業利益は1,506億円と、前年度比▲30.1%、過去5年間で年率▲3.2%となりました。

営業利益率は1.8%と、前年度の2.5%から悪化しました。

セグメント別の営業利益率は、以下の通りです。

地域別の営業利益構成比は、日本が84%、海外が16%を占めます。

FY2020の純損失は710億円と、前年度比赤字転落となりました。

キャッシュフローの推移

FY2020の営業キャッシュフローは3,965億円と、前年度比▲36.5%、過去5年間で年率+55.8%となりました。

営業キャッシュフローマージン(営業キャッシュフロー/営業収益)は4.6%と、前年度の7.3%から悪化しました。

FY2020のフリーキャッシュフローは952億円と、前年度比▲54.0%となりました。

フリーキャッシュフローマージン(フリーキャッシュフロー/営業収益)は1.1%と、前年度の2.4%から悪化しました。

株主還元(配当、自社株買い)の推移

自社株買いには消極的です。

(参考)過去5年間の株主還元利回り(株価は各会計年度末時点)

過去5年間の益利回り(PERの逆数)は1%前後と、バリュエーション面で割高です。

FY2020の配当利回りは1.1%です。

(参考)過去5年間の配当性向、総還元性向

利益・キャッシュフローともにブレ幅が大きいため、安定感がありません。

(参考)過去5年間のDPS(1株当たり配当金)

FY2020のDPSは36円と、前年度比+0.0%、過去5年間で年率+5.2%となりました。

FY2021のDPSは36円(前年度比+0.0%)の予定です。

(参考)過去5年間の発行済株式数

発行済株式数は、過去5年間で年率+0.2%となりました。

ROICの推移

ROIC(Return on Invested Capital、投下資本利益率)とは、企業が事業活動のために投じた資金を使ってどれだけ利益を生み出したか(投資効率)を測る指標となります。

正確な計算方法はないため、ここでは、税引後営業利益/投下資本(=運転資本+有形固定資産(リース含む)+無形固定資産+在庫+のれん)として計算しています。

少なくともWACC(加重平均資本コスト)を超えることが絶対条件と言われています。

過去5年間のROICは2%程度と低水準です。

株価上昇率

過去5年間(2016年3月から2021年2月末)の株価上昇率は年率+16.7%と、世界株式を投資対象とするVT ETFの上昇率(年率+12.1%)を上回りました。

競合他社(食品・生活必需品小売り)の株価上昇率(Woolworthはオーストラリアドル建て、Ahold Delhaizeはユーロ建て、Seven & i、Aeonは日本円建て、Alimentation Coucheはカナダドル建て、Tescoはポンド建て、その他はドル建て)は、以下の通りです。

イオン(Aeon)の株価上昇率は、2020年の1年間で+50%と、11社平均(+5%)を上回り、11社中第1位となりました。

2018年1月から2020年12月の3年間では+78%と、11社平均(+29%)を上回り、11社中第2位となりました。

過去10年間(2011年5月から2021年4月)のドローダウン(最高値からの下落率、月末株価)の推移は、以下の通りです。

最高値から20%程度下落すると反発する傾向にあるため、その時が狙い目です。

(参考)株価の推移(月末株価)

DCF法による目標株価

DCF(Discounted Cash Flow)法とは、将来に渡って生み出すキャッシュフローを割り引く(WACC、加重平均資本コスト)ことで理論価格を算出します。

以下のシナリオに基づき、フリーキャッシュフローの現在価値とネット有利子負債を合計して株主価値を算出し、株主価値を発行済株式総数で割ることで、1株あたりの株価を算出します。

なお、WACCを4.1%、金利が1%上昇した場合は4.9%と推計しました。

以下のグラフは、各シナリオのフローキャッシュフロー(億円)の推移となります。

① メインシナリオ

 フリーキャッシュフローの成長率:1年目+40%、2年目〜4年目+10%、5年目〜10年目+5%。11年目以降の永続成長率は0%。

② アップサイドシナリオ

 フリーキャッシュフローの成長率:1年目+40%、2年目〜10年目+10%。11年目以降の永続成長率は0%。

③ ダウンサイドシナリオ

 フリーキャッシュフローの成長率:1年目+40%、2年目〜10年目+5%。11年目以降の永続成長率は0%。

メインシナリオの目標株価は2,675円となります。

イオン(Aeon Co., Ltd.、8267.T)への投資について

FY2020(2020年3月-2021年2月期)の営業収益は8兆6,039億円(前年度比▲0.0%)、純損失は710億円(前年度比赤字転落)と、減収減益となりました。

FY2021のガイダンスは、以下の通りです。

・営業収益:8兆6,200億円(+0.2%)

・営業利益:2,000〜2,200億円

・純利益:200〜300億円

DCF法による目標株価は2,675円のため、2021年4月末時点の株価2,983円より低い水準です。

なお、メインシナリオは、10年後の営業収益が1.5倍(年率+4%)、FY2020のフリーキャッシュフローマージンである3.3%が10年間継続することを想定したので、売上高またはフリーキャッシュフローマージンがさらに上向けばより高い株価上昇が期待できます。

2021年〜2025年度の中期経営計画では、2025年度に、デジタル売上高1兆円(2019年度:700億円)、プライベートブランド売上高2兆円(2019年度:1兆円)、海外営業利益比率25%(2019年度:20%)が発表されました。

また、2025年度の財務指標目標数値として、売上高11兆円、営業利益率3.5%、ROE7%以上を掲げました。

小売事業の利益率の改善と、デジタル化・海外シフトが加速できるか要注目です。

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