過去の業績の推移を解説し、目標株価の算出とコストコへの投資についてコメントします。
会社概要
コストコ・ホールセール(Costco Wholesale Corporation、COST)
ホームページ(SECファイル):リンク先
国:アメリカ
セクター:生活必需品
産業グループ:生活必需品流通・小売り
サブ産業グループ:生活必需品小売り
株式時価総額:2,929億ドル(世界ランキング第29位、2023年12月末)
コストコは、アメリカに本拠を置く、世界最大の会員制倉庫型店(ウェアハウス・クラブ)です。
世界中に800を超える倉庫店があり、会員数は1.2億人超です。
売上高(地域別)の推移
FY2023(2022年9月-2023年8月期)の売上高は2,423億ドルと、前年度比+6.8%、過去5年間で年率+11.3%となりました。
既存店売上高は前年度比+3.0%、ガソリン価格と為替の変動の影響を除いたベースでは前年度比+5.2%となりました。
アメリカeコマースの売上高は、前年度比▲5.7%となりました。
地域別の売上高は、以下の通りです。
・アメリカ:1,766億ドル、前年度比+7%
・カナダ:331億ドル、前年度比+4%
・その他:324億ドル、前年度比+8%
地域別の売上高構成比は、アメリカが73%を占めます。
利益(地域別)の推移
FY2023の営業利益は81億ドルと、前年度比+4.1%、過去5年間で年率+12.6%となりました。
営業利益率は3.3%と、前年度の3.4%とほぼ同水準となりました。
会費は46億ドル(前年度比+8%)、営業利益に占める比率は56.4%です。
地域別の営業利益率は、以下の通りです。
FY2023のEPSは14.16ドルと、前年度比+7.8%、過去5年間で年率+14.8%となりました。
キャッシュフローの推移
FY2023の営業キャッシュフローは111億ドルと、前年度比+49.7%、過去5年間で年率+13.9%となりました。
営業キャッシュフローマージン(営業キャッシュフロー/売上高)は4.6%と、前年度の3.3%から改善しました。
FY2023のフリーキャッシュフローは67億ドルと、前年度比+92.7%、過去5年間で年率+19.2%となりました。
フリーキャッシュフローマージン(フリーキャッシュフロー/売上高)は2.8%と、前年度の1.5%から改善しました。
株主還元(配当、自社株買い)の推移
FY2017、FY2021は特別配当の支払いがありました(FY2024も特別配当予定)。
(参考)過去5年間の株主還元利回り(株価は各会計年度末時点、特別配当除く)
FY2023の益利回り(PERの逆数)は2.6%、フリーキャッシュフロー利回りは2.8%です。
配当利回り(特別分配除く)は0.7%です。
(参考)過去5年間の配当性向、総還元性向(特別配当除く)
FY2023の配当性向は、利益・キャッシュフローベースともに、30%を下回っています。
(参考)過去5年間のDPS(1株当たり配当金)
FY2023のDPSは3.84ドルと、前年度比+13.6%、過去5年間で年率+12.4%となりました。
別途、FY2015に5.0ドル、FY2017に7.0ドル、FY2021に10.0ドルの特別配当があり、FY2024は15.0ドルの予定です。
(参考)過去5年間の発行済株式数
過去5年間の発行済株式数は、ほぼ横ばいです。
株価上昇率
FY2023の株価上昇率は+5.2%と、S&P500(+14.0%)を下回りました。
過去5年間(2018年9月から2023年8月末)の株価上昇率は年率+18.7%と、S&P500(年率+9.2%)を大きく上回りました。
過去10年間(2014年1月から2023年12月)のドローダウン(最高値からの下落率、月末株価)の推移は、以下の通りです。
最高値から10%程度下落すると反発する傾向にあるため、その時が狙い目です。
(参考)株価の推移(月末株価)
通常の目盛り表示の場合、近年の株価のブレ幅(上昇もしくは下落)が過去より非常に大きいと錯覚するため、対数目盛りで表示しています。
DCF法による目標株価
DCF(Discounted Cash Flow)法とは、将来に渡って生み出すキャッシュフローを割り引く(WACC、加重平均資本コスト)ことで理論価格を算出します。
以下のシナリオに基づき、フリーキャッシュフローの現在価値とネット有利子負債を合計して株主価値を算出し、株主価値を発行済株式総数で割ることで、1株あたりの株価を算出します。
なお、WACCを5.9%と推計しました。
以下のグラフは、各シナリオのフローキャッシュフロー(億ドル)の推移となります。
① メインシナリオ
フリーキャッシュフローの成長率:1年目〜2年目+15%、3年目〜5年目+10%、6年目〜10年目+8%。11年目以降の永続成長率は0%。
② アップサイドシナリオ
フリーキャッシュフローの成長率:1年目〜5年目+15%、6年目〜10年目+10%。11年目以降の永続成長率は0%。
③ ダウンサイドシナリオ
フリーキャッシュフローの成長率:1年目+10%、2年目〜10年目+5%。11年目以降の永続成長率は0%。
メインシナリオの目標株価は583ドルとなります。
・メインシナリオ:583ドル
・アップサイドシナリオ:705ドル
・ダウンサイドシナリオ:410ドル
コストコ・ホールセール(Costco Wholesale Corporation、COST)への投資について
FY2023の売上高は2,423億ドル(前年度比+6.8%)、EPSは14.16ドル(前年度比+7.8%)となりました。
DCF法による目標株価は583ドルのため、2023年12月末時点の株価660ドルより低い水準です。
なお、メインシナリオは、10年後の売上高が2.4倍(年率+9%)、フリーキャッシュフローマージンが横ばいで推移することを想定したので、売上高またはフリーキャッシュフローマージンがさらに上向けばより高い株価上昇が期待できます。
業績・株価ともに絶好調です。