ハネウェル(HON)決算分析と目標株価 資本財セクタートップ 航空宇宙向け製品や建物向け制御等産業ソリューションを提供

ハネウェル資本財

過去の業績の推移を解説し、目標株価の算出とハネウェルへの投資についてコメントします。

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会社概要

ハネウェル・インターナショナル(Honeywell International、HON)

ホームページ(SECファイル):リンク先

国:アメリカ

セクター:資本財・サービス

産業グループ:資本財

サブ産業グループ:コングロマリット

株式時価総額:1,492億ドル(世界ランキング第77位、2020年12月末)

ハネウェルは、アメリカに本拠を置く、航空宇宙向け製品やサービス、建物向け制御等、産業ソリューションを提供する複合企業です。

大きく4つのセグメントに分けられます。

① 航空宇宙(エアロスペース事業)

機内空調・与圧・熱制御システム etc

② 建物(ビルディング テクノロジーズ事業)

ビル用快適空調制御システム etc

③ 化学品等(パフォーマンス マテリアルズ&テクノロジーズ事業)

高機能化学品、石油&ガスプロセス技術、産業オートメーション etc

④ 安全/生産性(セーフティ&プロダクティビティ ソリューションズ事業)

業務用モバイル機器、安全保護具 etc

資本財・サービスセクターで第1位の浮動株調整後株式時価総額(2020年12月末、MSCI)で、コングロマリットに占めるハネウェルの浮動株調整後株式時価総額比率は23%です。

売上高(セグメント別、地域別)の推移

FY2020(2020年1-12月期)の売上高は326億ドルと、前年度比▲11.1%、過去5年間で年率▲3.3%となりました。

 

セグメント別の売上高は、以下の通りです。

・航空宇宙:115億ドル、前年度比▲18%

・建物:52億ドル、前年度比▲9%

・化学品等:94億ドル、前年度比▲13%

・安全/生産性:65億ドル、前年度比+6%

 

セグメント別の売上高は、航空宇宙が35%、建物が16%、化学品等が29%、安全/生産性が20%を占めます。

 

地域別の売上高は、アメリカが60%、欧州が19%、その他が20%を占めます。

 

利益(セグメント別)の推移

FY2020の営業利益は57億ドルと、前年度比▲16.8%、過去5年間で年率+3.8%となりました。

営業利益率は17.5%と、前年度の18.7%から悪化しました。

 

セグメント別の営業利益率は、以下の通りです。

 

FY2020のEPSは6.72ドルと、前年度比▲20.1%、過去5年間で年率+2.2%となりました。

 

キャッシュフローの推移

FY2020の営業キャッシュフローは62億ドルと、前年度比▲10.0%、過去5年間で年率+2.4%となりました。

営業キャッシュフローマージン(営業キャッシュフロー/売上高)は19.0%と、前年度の18.8%とほぼ同水準となりました。

 

FY2020のフリーキャッシュフローは53億ドルと、前年度比▲12.5%、過去5年間で年率+3.6%となりました。

フリーキャッシュフローマージン(フリーキャッシュフロー/売上高)は16.2%と、前年度の16.5%とほぼ同水準となりました。

 

株主還元(配当、自社株買い)の推移

自社株買いに積極的です。

 

(参考)過去5年間の株主還元利回り(株価は各会計年度末時点)

FY2020の益利回り(PERの逆数)は3.2%、フリーキャッシュフロー利回りは3.5%です。

FY2020の配当利回りは1.7%です。

 

(参考)過去5年間の配当性向、総還元性向

過去3年間の配当性向は、利益・キャッシュフローベースともに、60%を下回りました。

 

(参考)過去5年間のDPS(1株当たり配当金)

FY2020のDPSは3.63ドルと、前年度比+8.0%、過去5年間で年率+11.0%となりました。

 

(参考)過去5年間の発行済株式数

発行済株式数は、過去5年間で年率▲2.1%となりました。

 

ROICの推移

ROIC(Return on Invested Capital、投下資本利益率)とは、企業が事業活動のために投じた資金を使ってどれだけ利益を生み出したか(投資効率)を測る指標となります。

正確な計算方法はないため、ここでは、税引後営業利益/投下資本(=運転資本+有形固定資産(リース含む)+無形固定資産+在庫+のれん)として計算しています。

少なくともWACC(加重平均資本コスト)を超えることが絶対条件と言われています。

過去5年間のROICは15%程度と、投資効率は比較的高いです。

 

売上高およびEPSの実績値とコンセンサスの推移

以下のグラフは、売上高のコンセンサスおよび実績値の推移となります。

過去8四半期中、4勝、4敗です。

 

以下のグラフは、EPSのコンセンサスおよび実績値の推移となります。

過去8四半期中、6勝、2敗です。

 

株価上昇率

FY2020(2020年1月から2020年12月末)の株価上昇率は+20.2%と、S&P500(+16.3%)を上回りました。

過去5年間(2016年1月から2020年12月末)の株価上昇率は年率+16.6%と、S&P500(年率+12.9%)を上回りました。

 

競合他社(コングロマリット)の株価上昇率(SIE.DEはユーロ建て、6501.T、6502.Tは日本円建て、0001.HK、0267.HKは香港ドル建て、その他はUSドル建て)は、以下の通りです。

ハネウェル(HON)の株価上昇率は、2020年の1年間で+20%と、9社平均(▲8%)を上回り、9社中第2位となりました。

2018年1月から2020年12月の3年間では+45%と、9社平均(▲7%)を上回り、9社中第2位となりました。

 

過去10年間(2011年6月から2021年5月)のドローダウン(最高値からの下落率、月末株価)の推移は、以下の通りです。

資本財セクターは景気感応度が高いため、株式市場全体の下落相場にはより大きなドローダウンになる傾向があります。

 

(参考)株価の推移(月末株価)

通常の目盛り表示の場合、近年の株価のブレ幅(上昇もしくは下落)が過去より非常に大きいと錯覚するため、対数目盛りで表示しています。

 

DCF法による目標株価

DCF(Discounted Cash Flow)法とは、将来に渡って生み出すキャッシュフローを割り引く(WACC、加重平均資本コスト)ことで理論価格を算出します。

以下のシナリオに基づき、フリーキャッシュフローの現在価値とネット有利子負債を合計して株主価値を算出し、株主価値を発行済株式総数で割ることで、1株あたりの株価を算出します。

なお、WACCを5.7%、金利が1%上昇した場合は6.6%と推計しました。

以下のグラフは、各シナリオのフローキャッシュフロー(億ドル)の推移となります。

① メインシナリオ

 フリーキャッシュフローの成長率:1年目+5%、2年目+20%、3年目〜5年目+7%、6年目〜10年目+5%。11年目以降の永続成長率は0%。

② アップサイドシナリオ

 フリーキャッシュフローの成長率:1年目+4%、2年目+20%、3年目〜10年目+10%。11年目以降の永続成長率は0%。

③ ダウンサイドシナリオ

 フリーキャッシュフローの成長率:1年目+5%、2年目+20%、3年目〜10年目+3%。11年目以降の永続成長率は0%。

メインシナリオの目標株価は221ドルとなります。

 

ハネウェル・インターナショナル(Honeywell International、HON)への投資について

FY2020(2020年1−12月期)の売上高は326億ドル(前年度比▲11.1%)、EPSは6.72ドル(前年度比▲20.1%)と、減収減益となりました。

FY2021のガイダンスは、以下の通りです。

・売上高:340〜348億ドル(コンセンサス343.2億ドル)

・EPS:7.75〜8.00ドル(コンセンサス7.91ドル)

DCF法による目標株価は221ドルのため、2021年5月末時点の株価231ドルとほぼ同水準です。

なお、メインシナリオは、10年後の売上高が2.0倍(年率+7%)、FY2020のフリーキャッシュフローマージンが10年間継続することを想定したので、売上高またはフリーキャッシュフローマージンがさらに上向けばより高い株価上昇が期待できます。

コロナ収束後を見据えて、2021年以降株価が大きく上昇したことから、割安感は薄れました。

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