アルファベット(GOOG)決算分析と目標株価 チャット型生成AI「Gemini(ジェミニ)」に注力

アルファベットコミュニケーション・サービス

過去の業績の推移を解説し、目標株価の算出とアルファベット(グーグル)への投資についてコメントします。

スポンサーリンク

会社概要

アルファベット(Alphabet、GOOG、GOOGL)

ホームページ(IR):リンク先

国:アメリカ

セクター:コミュニケーション・サービス

産業グループ:メディア・娯楽

サブ産業グループ:インタラクティブ・メディアおよびサービス

株式時価総額:1.76兆ドル(世界ランキング第4位、2023年12月)

アルファベットは、アメリカに本拠を置く、グーグルや新規事業会社を傘下に持つ持株会社です。

2023年にChatGPTのGoogle版であるチャット型生成AI「Bard」をリリースし、2024年に「Gemini(ジェミニ)」へ名称変更しました。

 

売上高(セグメント別、地域別)の推移

FY2023(2023年1-12月期)の売上高は3,074億ドルと、前年度比+8.7%、過去5年間で年率+17.6%となりました。

アルファベット

 

トラフィック獲得コスト(アフィリエイトやパートナーに支払うコスト)は509億ドル(前年度比+4%)、売上高に占める比率は17%です。

アルファベット

 

セグメント別の売上高は、以下の通りです。

・サービス:2,725億ドル、前年度比+8%

・クラウド:331億ドル、前年度比+26%

・その他(自動運転等):15億ドル、前年度比+43%

アルファベット

 

サービスの売上高の内訳は、以下の通りです。

・検索等:1,750億ドル、前年度比+8%

・ユーチューブ広告:315億ドル、前年度比+8%

・ネットワーク:313億ドル、前年度比▲4%

・その他:347億ドル、前年度比+19%

アルファベット

 

地域別の売上高構成比は、アメリカが48%、欧州/中東/アフリカが30%、アジア/パシフィックが17%、カナダ/ラテンアメリカが6%を占めます。

アルファベット

 

利益(セグメント別)の推移

FY2023の営業利益は843億ドルと、前年度比+12.6%、過去5年間で年率+25.1%となりました。

営業利益率は27.4%と、前年度の26.5%から改善しました。

アルファベット

 

セグメント別の営業利益は、以下の通りです。

・サービス:959億ドル(利益率:35%)

・クラウド:17億ドル

・その他:▲41億ドル

アルファベット

 

FY2023のEPSは5.80ドルと、前年度比+27.2%、過去5年間で年率+21.6%となりました。

アルファベット

 

キャッシュフローの推移

FY2023の営業キャッシュフローは1,017億ドルと、前年度比+11.2%、過去5年間で年率+16.2%となりました。

営業キャッシュフローマージン(営業キャッシュフロー/売上高)は33.1%と、前年度の32.3%から改善しました。

アルファベット

 

FY2023のフリーキャッシュフローは695億ドルと、前年度比+15.8%、過去5年間で年率+24.9%となりました。

フリーキャッシュフローマージン(フリーキャッシュフロー/売上高)は22.6%と、前年度の21.2%から改善しました。

アルファベット

 

株主還元(配当、自社株買い)の推移

自社株買いに積極的です。

アルファベット

 

(参考)過去5年間の株主還元利回り(株価は各会計年度末時点)

FY2023の益利回り(PERの逆数)は4.1%、フリーキャッシュフロー利回りは3.9%です。

FY2023の自社株買い利回りは3.5%と高水準です。

アルファベット

 

(参考)過去5年間の配当性向、総還元性向

アルファベット

 

(参考)過去5年間の発行済株式数

発行済株式数は、過去5年間で年率▲2.1%となりました。

アルファベット

 

ROICの推移

ROIC(Return on Invested Capital、投下資本利益率)とは、企業が事業活動のために投じた資金を使ってどれだけ利益を生み出したか(投資効率)を測る指標となります。

正確な計算方法はないため、ここでは、税引後営業利益/投下資本(=運転資本+有形固定資産(リース含む)+無形固定資産+在庫+のれん)として計算しています。

少なくともWACC(加重平均資本コスト)を超えることが絶対条件と言われれています。

FY2023のROICは33%と、投資効率は比較的高いと言えます。

アルファベット

 

株価上昇率

FY2023の株価上昇率は+58.8%と、S&P500(+24.2%)を上回りました。

過去5年間(2019年1月から2023年12月末)の株価上昇率は年率+22.2%と、S&P500(年率+13.7%)を大きく上回りました。

アルファベット

 

過去10年間(2014年3月から2024年2月)のドローダウン(最高値からの下落率、月末株価)の推移は、以下の通りです。

アルファベット

 

(参考)株価の推移(月末株価)

通常の目盛り表示の場合、近年の株価のブレ幅(上昇もしくは下落)が過去より非常に大きいと錯覚するため、対数目盛りで表示しています。

アルファベット

 

DCF法による目標株価

DCF(Discounted Cash Flow)法とは、将来に渡って生み出すキャッシュフローを割り引く(WACC、加重平均資本コスト)ことで理論価格を算出します。

以下のシナリオに基づき、フリーキャッシュフローの現在価値とネット有利子負債を合計して株主価値を算出し、株主価値を発行済株式総数で割ることで、1株あたりの株価を算出します。

なお、WACCを6.6%と推計しました。

以下のグラフは、各シナリオのフローキャッシュフロー(億ドル)の推移となります。

アルファベット

① メインシナリオ

 フリーキャッシュフローの成長率:1年目〜5年目+10%、6年目〜10年目+5%。11年目以降の永続成長率は0%

② アップサイドシナリオ

 フリーキャッシュフローの成長率:1年目〜10年目+10%。11年目以降の永続成長率は0%

③ ダウンサイドシナリオ

 フリーキャッシュフローの成長率:1年目〜5年目+5%、6年目〜10年目+0%。11年目以降の永続成長率は0%

メインシナリオの目標株価は159ドルとなります。

・メインシナリオ:159ドル

・アップサイドシナリオ:187ドル

・ダウンサイドシナリオ:111ドル

 

アルファベット(Alphabet、GOOG、GOOGL)への投資について

FY2023の売上高は3,074億ドル(前年度比+8.7%)、EPSは5.80ドル(前年度比+27.2%)となりました。

DCF法による目標株価は159ドルのため、2024年2月末時点の株価140ドルより高い水準です。

なお、メインシナリオは、10年後の売上高が2.1倍(年率+10%)、FY2023のフリーキャッシュフローマージンが横ばいで推移することを想定したので、売上高またはフリーキャッシュフローマージンがさらに上向けばより高い株価上昇が期待できます。

FY2023にクラウド事業は黒字化しました。

チャット型生成AIモデルがうまくいくかどうか要注目です。

 

メタ・プラットフォームズ(META)決算分析と目標株価 2024年から配当支払いへ メタバース事業は赤字継続中
過去の業績の推移を解説し、目標株価の算出とメタ・プラットフォームズへの投資についてコメントします。 会社概要 メタ・プラットフォームズ(Meta、META) ホームページ(SECファイル):リン...
テンセント(0700.HK)決算分析と目標株価 世界トップのゲーム売上高 上場・非上場株投資は巨額 政府規制強化で苦戦
過去の業績の推移を解説し、目標株価の算出とテンセント・ホールディングスへの投資についてコメントします。 会社概要 テンセント・ホールディングス(Tencent、0700.HK) ホームページ(I...
Zホールディングス(4689)決算分析と目標株価 YahooやZOZO等のショッピング取扱高は1.5兆円(+45%)
過去の業績の推移を解説し、目標株価の算出とZホールディングスへの投資についてコメントします。 会社概要 Zホールディングス(Z Holdings Corporation、4689.T) ホームペ...
タイトルとURLをコピーしました