過去の業績の推移を解説し、目標株価の算出とチャーチ&ドワイトへの投資についてコメントします。
会社概要
チャーチ&ドワイト(Church & Dwight、CHD)
ホームページ(SECファイル):リンク先
国:アメリカ
セクター:生活必需品
産業グループ:家庭用品・パーソナル用品
サブ産業グループ:家庭用品
株式時価総額:209億ドル(2021年6月末)
チャーチ&ドワイトは、アメリカに本拠を置く、家庭用品やパーソナル用品、特殊品等を製造・販売する企業で、12のブランドで売上高の8割を占め、特にアーム&ハンマー(洗剤や重曹等)ブランドが米国消費者向け売上高の4割超を占めます。
(参考)競合他社(家庭用品・パーソナル用品)の株式時価総額(2021年6月末)
株式時価総額 (億ドル) | |
プロクター・アンド・ギャンブル(PG)🇺🇸 | 3,303 |
ロレアル(OR.PA)🇫🇷 | 2,508 |
ユニリーバ(UL)🇬🇧 | 1,529 |
エスティローダー(EL)🇺🇸 | 1,153 |
コルゲート・パルモリーブ(CL)🇺🇸 | 688 |
レキットベンキーザー(RKT.L)🇬🇧 | 638 |
ヘンケル(HEN3.DE)🇩🇪 | 458 |
キンバリー・クラーク(KMB)🇺🇸 | 451 |
花王(4452.T)🇯🇵 | 298 |
資生堂(4911.T)🇯🇵 | 295 |
バイヤスドルフ(BEI.DE)🇩🇪 | 276 |
LG生活健康(051905.KS)🇰🇷 | 275 |
エシティ(ESSITY-B.ST)🇸🇪 | 235 |
ユニチャーム(8113.T)🇯🇵 | 241 |
クロロックス (CLX)🇺🇸 | 224 |
チャーチ・アンド・ドワイト(CHD)🇺🇸 | 209 |
売上高(セグメント別)の推移
FY2020(2020年1-12月期)の売上高は49億ドルと、前年度比+12.3%、過去5年間で年率+7.6%となりました。
2021Q2(2021年4−6月期)の売上高は12.7億ドル(前年同期比+6.4%)と、コンセンサス(12.6億ドル)を上回りました。

売上高増加率のうち、量+4.5%、価格&プロダクトミックス+0.0%(両者の合計であるオーガニックグロースは+4.5%)となりました。

セグメント別の売上高は、以下の通りです。
・家庭用品:5.2億ドル、前年同期比▲4%
・パーソナル用品:4.4億ドル、前年同期比+13%
・消費者向け海外:2.3億ドル、前年同期比+21%
・特殊品:0.8億ドル、前年同期比+12%
利益の推移
FY2020の営業利益は10億ドルと、前年度比+22.6%、過去3年間で年率+12.0%となりました。
営業利益率は21.0%と、前年度の19.3%から改善しました。
2021Q2の営業利益は3.0億ドル(前年同期比+19.1%)となりました。

FY2020の非GAAP EPSは2.83ドルと、前年度比+14.6%、過去3年間で年率+13.4%となりました。
2021Q2のEPSは0.87ドルと、コンセンサス(0.69ドル)を上回りました。
非GAAP EPSは0.76ドル(前年同期比▲1.3%)と、コンセンサス(0.70ドル)を上回りました。
キャッシュフローの推移
FY2020の営業キャッシュフローは10億ドルと、前年度比+14.6%、過去5年間で年率+10.3%となりました。
営業キャッシュフローマージン(営業キャッシュフロー/売上高)は20.2%と、前年度の19.8%から改善しました。
2021Q2の営業キャッシュフローは2.4億ドル(前年同期比▲32.6%)となりました。

FY2020のフリーキャッシュフローは9億ドルと、前年度比+12.7%、過去5年間で年率+10.4%となりました。
フリーキャッシュフローマージン(フリーキャッシュフロー/売上高)は18.2%と、前年度の18.1%とほぼ同水準となりました。
2021Q2のフリーキャッシュフローは2.3億ドル(前年同期比▲34.7%)となりました。

株主還元(配当、自社株買い)の推移
自社株買いに積極的です。

(参考)過去5年間の株主還元利回り(株価は各会計年度末時点)
FY2020の益利回り(PERの逆数)は3.6%、フリーキャッシュフロー利回りは4.1%です。

(参考)過去5年間の配当性向、総還元性向
過去5年間の配当性向は、利益・キャッシュフローベースともに50%を下回りました。

(参考)過去5年間のDPS(1株当たり配当金)
FY2020のDPSは0.96ドルと、前年度比+5.5%、過去5年間で年率+7.5%となりました。

(参考)過去5年間の発行済株式数
発行済株式数は、過去5年間で年率▲1.1%減少しました。

売上高およびEPSの実績値とコンセンサスの推移
売上高の実績値(コンセンサス比)は、過去9四半期中、7勝、1敗、1引き分けです。
EPSの実績値(コンセンサス比)は、過去9半期中、9勝です。
非GAAP EPSの実績値(コンセンサス比)は、過去9半期中、8勝、1引き分けです。
売上高(ドル) | GAAP EPS(ドル) | 非GAAP EPS(ドル) | |||||||
実績値 | コンセンサス | 勝敗 | 実績値 | コンセンサス | 勝敗 | 実績値 | コンセンサス | 勝敗 | |
2019Q2 | 10.8 | 10.7 | ○ | 0.55 | 0.52 | ○ | 0.57 | 0.52 | ○ |
2019Q3 | 10.9 | 11.0 | × | 0.62 | 0.61 | ○ | 0.66 | 0.61 | ○ |
2019Q4 | 11.4 | 11.4 | ▲ | 0.58 | 0.56 | ○ | 0.55 | 0.55 | ▲ |
2020Q1 | 11.7 | 11.4 | ○ | 0.92 | 0.77 | ○ | 0.83 | 0.77 | ○ |
2020Q2 | 11.9 | 11.5 | ○ | 0.75 | 0.65 | ○ | 0.77 | 0.62 | ○ |
2020Q3 | 12.4 | 12.0 | ○ | 0.85 | 0.67 | ○ | 0.70 | 0.67 | ○ |
2020Q4 | 13.0 | 12.6 | ○ | 0.59 | 0.51 | ○ | 0.53 | 0.52 | ○ |
2021Q1 | 12.4 | 12.1 | ○ | 0.88 | 0.82 | ○ | 0.83 | 0.81 | ○ |
2021Q2 | 12.7 | 12.6 | ○ | 0.87 | 0.69 | ○ | 0.76 | 0.70 | ○ |
株価上昇率
FY2020の株価上昇率は+24.0%と、S&P500(+16.3%)を上回りました。
過去5年間(2016年1月から2020年12月末)の株価上昇率は年率+15.5%と、S&P500(年率+12.9%)を上回りました。
2021Q2の株価上昇率は▲2.4%と、S&P500(+8.2%)を下回りました。

競合他社(家庭用品・パーソナル用品)の株価上昇率(OR.PA、HEN3.DE、BEI.DEはユーロ建て、RKT.Lはポンド建て、4452.T、4911.T、8113.Tは日本円建て、051905.KSは韓国ウォン建て、ESSITY-B.STはスウェーデン・クローナ建て、その他はUSドル建て)は、以下の通りです。
チャーチ&ドワイト(CHD)の株価上昇率は、2020年の1年間で+24%と、16社平均(+8%)を上回り、16社中第5位となりました。
2018年1月から2020年12月の3年間では+74%と、16社平均(+29%)を上回り、16社中第2位となりました。

過去10年間(2011年8月から2021年7月)のドローダウン(最高値からの下落率、月末株価)の推移は、以下の通りです。
最高値から10〜15%程度下落すると反発する傾向にあるため、その時が狙い目です。

(参考)株価の推移(月末株価)
通常の目盛り表示の場合、近年の株価のブレ幅(上昇もしくは下落)が過去より非常に大きいと錯覚するため、対数目盛りで表示しています。

DCF法による目標株価
DCF(Discounted Cash Flow)法とは、将来に渡って生み出すキャッシュフローを割り引く(WACC、加重平均資本コスト)ことで理論価格を算出します。
以下のシナリオに基づき、フリーキャッシュフローの現在価値とネット有利子負債を合計して株主価値を算出し、株主価値を発行済株式総数で割ることで、1株あたりの株価を算出します。
なお、WACCを4.8%と推計しました。
以下のグラフは、各シナリオのフローキャッシュフロー(億ドル)の推移となります。
① メインシナリオ
フリーキャッシュフローの成長率:1年目▲30%、2年目+40%、3年目〜10年目+6%。11年目以降の永続成長率は0%。
② アップサイドシナリオ
フリーキャッシュフローの成長率:1年目▲30%、2年目+50%、3年目〜10年目+7%。11年目以降の永続成長率は0%。
③ ダウンサイドシナリオ
フリーキャッシュフローの成長率:1年目▲30%、2年目+40%、3年目〜7年目+3%、8年目〜10年目+0%。11年目以降の永続成長率は0%。
メインシナリオの目標株価は96ドルとなります。
・メインシナリオ:96ドル
・アップサイドシナリオ:111ドル
・ダウンサイドシナリオ:73ドル
チャーチ&ドワイト(Church & Dwight、CHD)への投資について
2021Q2(2021年4−6月期)の売上高は12.7億ドル(コンセンサス12.6億ドル)、非GAAP EPSは0.76ドル(コンセンサス0.70ドル)と、コンセンサスを上回る実績となりました。
FY2021のガイダンスは、以下の通りです。
・売上高:〜+5%(コンセンサス+5.73%)
・非GAAP EPS:+6〜8%(コンセンサス+7.21%)
DCF法による目標株価は96ドルのため、2021年7月末時点の株価87ドルより高い水準です。
なお、メインシナリオは、10年後の売上高が1.6倍(年率+5%)、フリーキャッシュフローマージンがFY2021に12%まで低下後、10年後に向けて18%へ上昇することを想定したので、売上高またはフリーキャッシュフローマージンがさらに上向けばより高い株価上昇が期待できます。
投資継続です。






