ウォルマート(WMT)決算分析と目標株価 eコマースの売上高増加中 48年連続増配

ウォルマート生活必需品流通・小売り

過去の業績の推移を解説し、目標株価の算出とウォルマートへの投資についてコメントします。

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会社概要

ウォルマート(Walmart、WMT)

ホームページ(SECファイル):リンク先

国:アメリカ

セクター:生活必需品

産業グループ:食品・生活必需品小売り

サブ産業グループ:大型スーパーマーケット・スーパーマーケット

株式時価総額:3,952億ドル(世界ランキング第19位、2021年6月末)

ウォルマートは、アメリカに本拠を置く、世界最大のスーパーマーケットです。

なお、ウォルマートは、浮動株比率が低い(大株主は、ウォルトン家約50%)ため、浮動株ベースで算出される株式指数(インデックス)の時価総額は、通常の株式時価総額と比較して小さくなります。

売上高(セグメント別)の推移

FY2021(2020年2月-2021年1月期)の売上高は5,592億ドルと、前年度比+6.7%、過去5年間で年率+3.0%となりました。

 

2022Q2(2021年5−7月期)の売上高は1,410億ドル(前年同期比+2.4%)と、コンセンサス(1,361億ドル)を上回りました。

 

セグメント別の売上高は、以下の通りです。

・アメリカ:982億ドル、前年同期比+5%

・海外:230億ドル、前年同期比▲15%

・サムズクラブ(会員制倉庫型店舗):186億ドル、前年同期比+14%

セグメント別の売上高構成比は、アメリカが70%を占めます。

 

アメリカeコマースの売上高は、前年同期比+6%となりました。

ウォルマート

 

利益(セグメント別)の推移

FY2021の営業利益は225億ドルと、前年度比+9.6%、過去5年間で年率▲1.3%となりました。

営業利益率は4.0%と、前年度の3.9%から改善しました。

 

2022Q2の営業利益は74億ドル(前年同期比+21.4%)となりました。

 

セグメント別の営業利益率は、以下の通りです。

 

FY2021のEPSは4.75ドルと、前年度比▲8.5%、過去5年間で年率+0.8%となりました。

 

2022Q2のEPSは1.52ドルと、コンセンサス(1.57ドル)を下回りました。

非GAAP EPSは1.78ドル(前年同期比+14.1%)と、コンセンサス(1.57ドル)を上回りました。

 

キャッシュフローの推移

FY2021の営業キャッシュフローは361億ドルと、前年度比+42.8%、過去5年間で年率+5.7%となりました。

営業キャッシュフローマージン(営業キャッシュフロー/売上高)は6.5%と、前年度の4.8%から改善しました。

 

2022Q2の営業キャッシュフローは96億ドル(前年同期比▲19.9%)となりました。

 

FY2021のフリーキャッシュフローは258億ドルと、前年度比+77.4%、過去5年間で年率+10.2%となりました。

フリーキャッシュフローマージン(フリーキャッシュフロー/売上高)は4.6%と、前年度の2.8%から改善しました。

 

2022Q2のフリーキャッシュフローは68億ドル(前年同期比▲33.2%)となりました。

 

株主還元(配当、自社株買い)の推移

自社株買いは年々減少傾向にあります。

 

(参考)過去5年間の株主還元利回り(株価は各会計年度末時点)

FY2020の益利回り(PERの逆数)は3.4%、フリーキャッシュフロー利回りは6.5%です。

また、総還元利回りは2.2%(うち、配当利回りは1.5%)と、低下傾向にあります。

 

(参考)過去5年間の配当性向、総還元性向

FY2021の配当性向は、利益・キャッシュフローベースともに、50%を下回りました。

 

(参考)過去5年間のDPS(1株当たり配当金)

過去5年間の平均増配率は年率+2.0%です

なお、四半期配当は、0.54ドルから0.55ドルへ+1.9%増配となり、48年連続増配中です。

 

(参考)過去5年間の発行済株式数

発行済株式数は、過去5年間で年率▲2.4%となりました。

 

売上高およびEPSの実績値とコンセンサスの推移

売上高の実績値(コンセンサス比)は、過去10四半期中、7勝、1敗、2引き分けです。

EPSの実績値(コンセンサス比)は、過去10四半期中、7勝、3敗です。

非GAAP EPSの実績値(コンセンサス比)は、過去10四半期中、8勝、2敗です。

 
売上高(ドル)GAAP EPS(ドル)非GAAP EPS(ドル)
実績値コンセンサス勝敗実績値コンセンサス勝敗実績値コンセンサス勝敗
2020Q11239.31241.9×1.331.021.131.02
2020Q21303.81293.01.261.221.271.22
2020Q31279.91279.91.151.101.161.09
2020Q41416.71416.71.451.431.381.44×
2021Q11346.21309.11.401.071.181.09
2021Q21377.41338.12.271.281.561.25
2021Q31347.11315.31.801.201.341.19
2021Q41520.81470.2-0.741.50×1.391.51×
2022Q11383.01321.30.971.23×1.691.21
2022Q21410.01360.71.521.57×1.781.57

 

株価上昇率

FY2021の株価上昇率は+22.7%と、S&P500(+15.2%)を上回りました。

過去5年間(2016年2月から2021年1月末)の株価上昇率は年率+16.2%と、S&P500(年率+13.9%)を上回りました。

 

2022Q2の株価上昇率は+1.9%と、S&P500(+5.1%)を下回りました。

 

株式市場全体の下落局面における株価上昇率(ドル建て)は、以下の通りです。

ウォルマートは、下落相場に強いと言えます。

 

過去10年間(2011年9月から2021年8月)のドローダウン(最高値からの下落率、月末株価)の推移は、以下の通りです。

通常の目盛り表示の場合、近年の株価のブレ幅(上昇もしくは下落)が過去より非常に大きいと錯覚するため、対数目盛りで表示しています。

 

DCF法による目標株価

DCF(Discounted Cash Flow)法とは、将来に渡って生み出すキャッシュフローを割り引く(WACC、加重平均資本コスト)ことで理論価格を算出します。

以下のシナリオに基づき、フリーキャッシュフローの現在価値とネット有利子負債を合計して株主価値を算出し、株主価値を発行済株式総数で割ることで、1株あたりの株価を算出します。

なお、WACCを4.7%と推計しました。

以下のグラフは、各シナリオのフローキャッシュフロー(億ドル)の推移となります。

① メインシナリオ

 フリーキャッシュフローの成長率:1年目▲30%、2年目〜10年目+3%。11年目以降の永続成長率は0%。

② アップサイドシナリオ

 フリーキャッシュフローの成長率:1年目▲30%、2年目〜10年目+5%。11年目以降の永続成長率は0%。

③ ダウンサイドシナリオ

 フリーキャッシュフローの成長率:1年目▲30%、2年目〜10年目+5%。11年目以降の永続成長率は0%。

メインシナリオの目標株価は150ドルとなります。

・メインシナリオ:150ドル

・アップサイドシナリオ:176ドル

・ダウンサイドシナリオ:139ドル

ウォルマート(Walmart、WMT)への投資について

2022Q2(2021年5−7月期)の売上高は1,410億ドル(コンセンサス1,361億ドル)、非GAAP EPSは1.78ドル(コンセンサス1.57ドル)と、コンセンサスを上回る実績となりました。

FY2022のガイダンスは、以下の通りです。

・売上高:為替変動の影響を除いたベースでやや増収

・EPS:6.20〜6.35ドル

DCF法による目標株価は150ドルのため、2021年8月末時点の株価148ドルとほぼ同水準です。

なお、メインシナリオは、10年後の売上高が1.2倍(年率+2%)、フリーキャッシュフローマージンが3%代まで低下することを想定したので、売上高またはフリーキャッシュフローマージンがさらに上向けばより高い株価上昇が期待できます。

株式下落相場に強く、安定したリターンが期待できます。

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