アコー(AC.FR)決算分析と目標株価 欧州を中心とした大手ホテルチェーン ラッフルズからイビスまで価格帯は様々

ホテル・リゾート・クルーズ船

過去の業績の推移を解説し、目標株価の算出とアコーへの投資についてコメントします。

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会社概要

アコー(Accor、AC.FR)

ホームページ(IR):リンク先

国:フランス

セクター:一般消費財・サービス

産業グループ:消費者サービス

サブ産業グループ:ホテル・リゾート・クルーズ船

株式時価総額:106億ドル(2021年4月末)

アコーは、フランスに本拠を置く、ラッフルズ等高級ホテルからイビス等低価格ホテルまで手掛ける大手ホテルチェーンです。

2020年12月末時点で、ホテル数は5,139件、部屋数は75万超で、部屋数の約46%を欧州が占めます。

404 NOT FOUND | ろいでぃの経済的自由を求めて
日本株・中国株・欧州株・米国株投資

売上高(地域別)の推移

FY2020(2020年1-12月期)の売上高は16億ユーロと、前年度比▲60.0%となりました。

ホテル・部屋数、RevPAR

FY2020のホテル数は5,139件と、前年度比+2.0%となりました。

FY2020の部屋数は75.3万室と、前年度比+1.9%となりました。

FY2020のRevPAR(販売可能客室1室あたりの売上高)は、以下の通りです。

・高価格帯:36ユーロ、前年度比▲63.6%

・中価格帯:24ユーロ、前年度比▲61.9%

・低価格帯:16ユーロ、前年度比▲59.9%

・全体:24ユーロ、前年度比▲62.0%

利益の推移

FY2020(2020年1-12月期)の営業利益は▲22億ユーロと、前年度比赤字転落となりました。

FY2020のEPSは▲7.71ユーロと、前年度比赤字転落となりました。

キャッシュフローの推移

FY2020(2020年1-12月期)の営業キャッシュフローは▲5億ユーロと、前年度比赤字転落となりました。

FY2020の設備投資額/売上高は10.8%と、前年度の7.9%から増加しました。

FY2020のフリーキャッシュフローは▲6億ユーロと、前年度比赤字転落となりました。

株主還元(配当、自社株買い)の推移

2年連続で配当なしです。

(参考)過去5年間の株主還元利回り(株価は各会計年度末時点)

平時の益利回り(PERの逆数)は3%、フリーキャッシュフロー利回りは3〜4%程度です。

総還元利回りは2〜4%超です。

(参考)過去5年間の配当性向、総還元性向

(参考)過去5年間のDPS(1株当たり配当金)

(参考)過去5年間の発行済株式数

ROICの推移

ROIC(Return on Invested Capital、投下資本利益率)とは、企業が事業活動のために投じた資金を使ってどれだけ利益を生み出したか(投資効率)を測る指標となります。

正確な計算方法はないため、ここでは、税引後営業利益/投下資本(=運転資本+有形固定資産(リース含む)+無形固定資産+在庫+のれん)として計算しています。

少なくともWACC(加重平均資本コスト)を超えることが絶対条件と言われています。

平時のROICは5〜10%です。

株価上昇率

過去5年間(2016年1月から2020年12月末)の株価上昇率は▲27%(年率▲6.0%)と、世界株式を投資対象とするVT ETFの上昇率+61%(年率+9.9%)を下回りました。

競合他社(ホテル)の株価上昇率(Accorはユーロ建て、Imperialは日本円建て)は、以下の通りです。

アコー(Accor)の株価上昇率は、2020年の1年間で▲30%と、9社平均(▲6%)を下回り、9社中第9位となりました。

2018年1月から2020年12月の3年間では▲31%と、8社平均(+7%)を下回り、8社中第8位となりました。

DCF法による目標株価

DCF(Discounted Cash Flow)法とは、将来に渡って生み出すキャッシュフローを割り引く(WACC、加重平均資本コスト)ことで理論価格を算出します。

以下のシナリオに基づき、フリーキャッシュフローの現在価値とネット有利子負債を合計して株主価値を算出し、株主価値を発行済株式総数で割ることで、1株あたりの株価を算出します。

なお、WACCを6.4%、金利が1%上昇した場合は7.3%と推計しました。

以下のグラフは、各シナリオのフローキャッシュフロー(億ドル)の推移となります。

① メインシナリオ

 フリーキャッシュフローの成長率:1年目0億ユーロ、2年目4億ユーロ、3年目〜5年目+10%、6年目〜10年目+5%。11年目以降の永続成長率は0%。

② アップサイドシナリオ

 フリーキャッシュフローの成長率:1年目0億ユーロ、2年目4億ユーロ、3年目〜5年目+15%、6年目〜10年目+10%。11年目以降の永続成長率は0%。

③ ダウンサイドシナリオ

 フリーキャッシュフローの成長率:1年目0億ユーロ、2年目4億ユーロ、3年目〜10年目+5%。11年目以降の永続成長率は0%。

メインシナリオでの目標株価は28ユーロとなります。

アコー(Accor、AC.FR)への投資について

FY2020(2020年1-12月期)の売上高は16億ユーロと、前年度比▲60.0%となりました。

DCF法による目標株価は28ユーロのため、2021年3月末時点の株価32ユーロより低い水準です。

なお、メインシナリオは、10年後の売上高が4.0倍(年率+10%)、10年後に向けてフリーキャッシュフローマージンが10%まで上昇することを想定したので、売上高またはフリーキャッシュフローマージンがさらに上向けばより高い株価上昇が期待できます。

新型コロナウイルスが落ち着けば、業績は急回復しますが、株価に織り込まれていると思います。

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