過去の業績の推移を解説し、目標株価の算出とパロ・アルト・ネットワークスへの投資についてコメントします。
会社概要
パロ・アルト・ネットワークス(Palo Alto Networks、PANW)
ホームページ(SECファイル):リンク先
国:アメリカ
セクター:情報技術
産業グループ:ソフトウェア・サービス
サブ産業グループ:システム・ソフトウェア
パロ・アルト・ネットワークスは、アメリカに本拠を置く、トラフィック内のアプリケーションを識別・制御(例えば、Web閲覧を許可した状態で同じポートを利用するアプリケーションを識別・制御可能)する機能を搭載したファイアウォール等を提供するサイバーセキュリティ企業です。
ポートではなくアプリケーションで通信を識別し、システム管理上から禁止したいアプリケーションのみを遮断し、認められたアプリケーションを特定の利用者に許可することが可能です。
売上高の推移
FY2023(2022年8月-2023年7月期)の売上高は69億ドルと、前年度比+25.3%、過去5年間で年率+24.8%となりました。
セグメント別の売上高は、以下の通りです。
・製品:16億ドル、前年度比+16%
・サブスクリプション&サービス:53億ドル、前年度比+28%
セグメント別の売上高構成比は、製品が23%、サブスクリプション&サービスが77%を占めます。
地域別の売上高は、以下の通りです。
・アメリカ大陸:47億ドル、前年度比+24%
・欧州/中東/アフリカ:14億ドル、前年度比+29%
・アジアパシフィック:8億ドル、前年度比+26%
地域別の売上高構成比は、アメリカ大陸が68%、欧州/中東/アフリカが20%、アジアパシフィックが12%を占めます。
請求額、RPOの推移
請求額(会計上未認識だが顧客と契約済みの案件も含めた売上高)は91.9億ドル(前年度比+23%)となりました。
RPO(残存契約債務、受注残)は106億ドル(前年度比+30%)となりました。
利益の推移
FY2023の非GAAP 営業利益は16.6億ドルと、前年度比+59.2%、過去5年間で年率+27.2%となりました。
非GAAP 営業利益率は24.1%と、前年度の19.0%から改善しました。
FY2023の非GAAP EPSは4.44ドルと、前年度比+76.2%、過去5年間で年率+26.0%となりました。
キャッシュフローの推移
FY2023の営業キャッシュフローは27.8億ドルと、前年度比+39.9%、過去5年間で年率+21.8%となりました。
営業キャッシュフローマージン(営業キャッシュフロー/売上高)は40.3%と、前年度の36.1%から改善しました。
FY2023のフリーキャッシュフローは26.3億ドルと、前年度比+46.8%、過去5年間で年率+23.2%となりました。
フリーキャッシュフローマージン(フリーキャッシュフロー/売上高)は38.2%と、前年度の32.6%から改善しました。
株主還元(配当、自社株買い)の推移
無配です。
(参考)過去5年間の発行済株式数
発行済株式数は、過去5年間で年率+4.5%となりました。
株価上昇率
FY2023の株価上昇率は+50.2%と、S&P500(+11.1%)を上回りました。
過去5年間(2018年8月から2023年7月末)の株価上昇率は年率+30.5%と、S&P500(年率+10.3%)を大きく上回りました。
2014年1月から2023年12月のドローダウン(最高値からの下落率、月末株価)の推移は、以下の通りです。
(参考)株価の推移(月末株価)
通常の目盛り表示の場合、近年の株価のブレ幅(上昇もしくは下落)が過去より非常に大きいと錯覚するため、対数目盛りで表示しています。
上昇トレンドです。
DCF法による目標株価
DCF(Discounted Cash Flow)法とは、将来に渡って生み出すキャッシュフローを割り引く(WACC、加重平均資本コスト)ことで理論価格を算出します。
以下のシナリオに基づき、フリーキャッシュフローの現在価値とネット有利子負債を合計して株主価値を算出し、株主価値を発行済株式総数で割ることで、1株あたりの株価を算出します。
なお、WACCを7.1%と推計しました。
以下のグラフは、各シナリオのフローキャッシュフロー(億ドル)の推移となります。
① メインシナリオ
フリーキャッシュフローの成長率:1年目〜3年目+20%、4年目〜5年目:15%、6年目〜10年目+10%。11年目以降の永続成長率は0%
② アップサイドシナリオ
フリーキャッシュフローの成長率:1年目〜3年目+30%、4年目〜5年目:20%、6年目〜10年目+10%。11年目以降の永続成長率は0%
③ ダウンサイドシナリオ
フリーキャッシュフローの成長率:1年目+20%、2年目〜10年目+2%。11年目以降の永続成長率は0%
メインシナリオの目標株価は329ドルとなります。
・メインシナリオ:329ドル
・アップサイドシナリオ:446ドル
・ダウンサイドシナリオ:155ドル
パロ・アルト・ネットワークス(Palo Alto Networks、PANW)への投資について
FY2023の売上高は69億ドル(前年度比+25.3%)、非GAAP EPSは4.44ドル(前年度比+76.2%)となりました。
FY2024のガイダンスは、以下の通りです。
・売上高:81.5〜82.0億ドル(前年度比+18〜19%)
・非GAAP EPS:5.40〜5.53ドル
DCF法による目標株価は329ドルのため、2023年12月末時点の株価295ドルより高い水準です。
なお、メインシナリオは、10年後の売上高が3.7倍(年率+14%)、FY2023のフリーキャッシュフローマージンが10年間継続することを想定したので、売上高またはフリーキャッシュフローマージンがさらに上向けばより高い株価上昇が期待できます。
サイバーセキュリティ製品への需要が旺盛であることや企業のコスト削減の対象になりにくいことから、引き続き業績拡大が期待できます。