過去の業績の推移を解説し、目標株価の算出とサービスナウへの投資についてコメントします。
会社概要
サービスナウ(ServiceNow、NOW)
ホームページ(SECファイル):リンク先
国:アメリカ
セクター:情報技術
産業グループ:ソフトウェア・サービス
サブ産業グループ:システム・ソフトウェア
株式時価総額:1,292億ドル(2021年12月末)
サービスナウは、アメリカに本拠を置く、ITオペレーションやカスタマーサービス、人事関連業務の自動化など、従事者の業務効率化を、サブスクリプション形態を中心にクラウド上で提供する企業です。
(参考)競合他社(システム・ソフトウェア)の株式時価総額(2021年12月末)
株式時価総額 | |
マイクロソフト(MSFT) | 2.53兆ドル |
オラクル(ORCL) | 2,329億ドル |
サービスナウ(NOW) | 1,292億ドル |
フォーティネット(FTNT) | 588億ドル |
パロ・アルト・ネットワークス(PANW) | 549億ドル |
VMウェア(VMW) | 486億ドル |
クラウドストライク(CRWD) | 470億ドル |
ゼットスケーラー(ZS) | 450億ドル |
クラウドフレア(NET) | 423億ドル |
売上高(セグメント別)の推移
FY2021(2021年1月-12月期)の売上高は59億ドルと、前年度比+30.5%、過去5年間で年率+33.5%となりました。

2021Q4(2021年10−12月期)の売上高は16.1億ドル(前年同期比+29.1%)と、コンセンサス(16.0億ドル)を上回りました。

セグメント別の売上高は、以下の通りです。
・サブスクリプション:15.2億ドル、前年同期比+29%
・その他:0.9億ドル、前年同期比+38%
セグメント別の売上高構成比は、サブスクリプションが94%を占めます。

地域別の売上高構成比は、北米が64%、欧州/中東/アフリカが26%、アジア等その他が10%を占めます。

顧客数、請求額、PROの推移
年間契約額100万ドル超の顧客数は1,359件(前年同期比+25%)となりました。

サブスクリプションの請求額(会計上未認識だが顧客と契約済みの案件も含めた売上高)は24.2億ドル(前年同期比+32%)となりました。

非GAAP RPO(残存契約債務、受注残)は118億ドル(前年同期比+32%)となりました。

利益の推移
2021Q4の営業利益は0.4億ドル(前年同期比+95.2%)となりました。

2021Q4の非GAAP EPSは1.46ドル(前年同期比+24.8%)と、コンセンサス(1.43ドル)を上回りました。

キャッシュフローの推移
FY2021の営業キャッシュフローは22億ドルと、前年度比+22.6%、過去5年間で年率+69.0%となりました。
営業キャッシュフローマージン(営業キャッシュフロー/売上高)は37.2%と、前年度の39.5%から悪化しました。

2021Q4の営業キャッシュフローは8.4億ドル(前年同期比+23.1%)となりました。

FY2021のフリーキャッシュフローは18億ドルと、前年度比+32.3%、過去5年間で年率+120%となりました。
フリーキャッシュフローマージン(フリーキャッシュフロー/売上高)は30.4%と、前年度の30.0%から改善しました。

2021Q4のフリーキャッシュフローは7.4億ドル(前年同期比+35.3%)となりました。

株主還元(配当、自社株買い)の推移
配当、自社株買いの実施はなしです。

(参考)過去5年間の発行済株式数
発行済株式数は、過去5年間で年率+4.4%となりました。

売上高およびEPSの実績値とコンセンサスの推移
売上高の実績値(コンセンサス比)は、過去11四半期中、11勝です。
非GAAP EPSの実績値(コンセンサス比)は、過去11四半期中、11勝です。
売上高(億ドル) | 非GAAP EPS(ドル) | |||||
実績値 | コンセンサス | 勝敗 | 実績値 | コンセンサス | 勝敗 | |
2019Q2 | 8.3 | 8.3 | ○ | 0.71 | 0.64 | ○ |
2019Q3 | 8.9 | 8.9 | ○ | 0.99 | 0.88 | ○ |
2019Q4 | 9.5 | 9.4 | ○ | 0.96 | 0.87 | ○ |
2020Q1 | 10.5 | 10.2 | ○ | 1.05 | 0.96 | ○ |
2020Q2 | 10.7 | 10.5 | ○ | 1.23 | 1.02 | ○ |
2020Q3 | 11.5 | 11.1 | ○ | 1.21 | 1.03 | ○ |
2020Q4 | 12.5 | 12.1 | ○ | 1.17 | 1.06 | ○ |
2021Q1 | 13.6 | 13.4 | ○ | 1.52 | 1.35 | ○ |
2021Q2 | 14.0 | 13.6 | ○ | 1.42 | 1.21 | ○ |
2021Q3 | 15.1 | 14.8 | ○ | 1.55 | 1.39 | ○ |
2021Q4 | 16.1 | 16.0 | ○ | 1.46 | 1.43 | ○ |
株価上昇率
FY2021(2021年1月から2021年12月末)の株価上昇率は+17.9%と、S&P500(+26.9%)を下回りました。
過去5年間(2017年1月から2021年12月末)の株価上昇率は年率+54.2%と、S&P500(年率+16.3%)を大きく上回りました。

2021Q4の株価上昇率は+4.3%と、S&P500(+10.6%)を下回りました。

競合他社(システム・ソフトウェア)の株価上昇率(USドル建て)は、以下の通りです。
サービスナウ(NOW)の株価上昇率は、2021年の1年間で+18%と、9社平均(+46%)を下回り、9社中第7位となりました。
2019年1月から2021年12月の3年間では+265%と、7社平均(+271%)を下回り、7社中第3位となりました。

2012年6月から2022年2月のドローダウン(最高値からの下落率、月末株価)の推移は、以下の通りです。

(参考)株価の推移(月末株価)
通常の目盛り表示の場合、近年の株価のブレ幅(上昇もしくは下落)が過去より非常に大きいと錯覚するため、対数目盛りで表示しています。

DCF法による目標株価
DCF(Discounted Cash Flow)法とは、将来に渡って生み出すキャッシュフローを割り引く(WACC、加重平均資本コスト)ことで理論価格を算出します。
以下のシナリオに基づき、フリーキャッシュフローの現在価値とネット有利子負債を合計して株主価値を算出し、株主価値を発行済株式総数で割ることで、1株あたりの株価を算出します。
なお、WACCを7.1%と推計しました。
以下のグラフは、各シナリオのフローキャッシュフロー(億ドル)の推移となります。

① メインシナリオ
フリーキャッシュフローの成長率:1年目〜3年目+25%、4年目〜10年目+20%。11年目以降の永続成長率は0%
② アップサイドシナリオ
フリーキャッシュフローの成長率:1年目〜7年目+25%、8年目〜10年目+20%。11年目以降の永続成長率は0%
③ ダウンサイドシナリオ
フリーキャッシュフローの成長率:1年目+25%、2年目〜3年目+20%、4年目〜10年目+15%。11年目以降の永続成長率は0%
メインシナリオの目標株価は632ドルとなります。
・メインシナリオ:632ドル
・アップサイドシナリオ:732ドル
・ダウンサイドシナリオ:457ドル
サービスナウ(ServiceNow、NOW)への投資について
2021Q4(2021年10−12月期)の売上高は16.1億ドル(コンセンサス16.0億ドル)、非GAAP EPSは1.46ドル(コンセンサス1.43ドル)と、これまで通りコンセンサスを上回る実績となりました。
FY2022のガイダンスは、以下の通りです。
・サブスクリプション収入:70.20〜70.40億ドル(前年度比+26%)
DCF法による目標株価は632ドルのため、2022年2月末時点の株価580ドルより高い水準です。
なお、メインシナリオは、10年後の売上高が7.6倍(年率+22%)、10年後に向けてフリーキャッシュフローマージンが40%まで上昇することを想定したので、売上高またはフリーキャッシュフローマージンが増加すればより高い株価上昇が期待できます。
業務の自動化は、コロナに関係なく普及していることが想定されるため、引き続き業績拡大が期待できます。







