過去の業績の推移を解説し、目標株価の算出とモンゴDBへの投資についてコメントします。
会社概要
モンゴDB(MongoDB、MDB)
ホームページ(SECファイル):リンク先
国:アメリカ
セクター:情報技術
産業グループ:ソフトウェア・サービス
サブ産業グループ:インターネットサービスおよびインフラストラクチャー
株式時価総額:353億ドル(2021年12月末)
モンゴDBは、アメリカに本拠を置く、非構造化データ(画像や動画、テキスト等)を対象としたNoSQLデータベース/ドキュメントの形で管理するドキュメント型のソフトウェアを、一部クラウドサービス(Atlas製品)も提供する企業です。
データベースの最大手であるオラクルが開発するOracle Databaseは、リレーショナル・データベース管理システム(RDBMS)と呼ばれ、データを2次元の表形式で管理(Excelのようなイメージ)し、SQL言語を使用してデータを操作します。
RDBはデータ量が増えるとパフォーマンスが劣化するデメリットがあり、近年の非構造化データの急増に伴い、テーブル構造を固定することなく、様々な形式のデータをそのままの形で格納できる「NoSQL(Not Only SQL)データベース」(=RDB以外のデータベース)が活用されるケースが増えています。
(参考)競合他社(インターネットサービスおよびインフラストラクチャー)の株式時価総額(2021年12月末)
株式時価総額 | |
ショッピファイ(SHOP) | 1,724億ドル |
スノーフレーク(SNOW) | 1,038億ドル |
トゥイリオ(TWLO) | 470億ドル |
モンゴDB(MDB) | 353億ドル |
オクタ(OKTA) | 349億ドル |
ベリサイン(VRSN) | 282億ドル |
アカマイ・テクノロジーズ(AKAM) | 190億ドル |
ゴーダディ(GDDY) | 141億ドル |
ウィックス(WIX) | 90億ドル |
GDSホールディングス(GDS) | 88億ドル |
ファストリー(FSLY) | 42億ドル |
キングソフト・クラウドHD(KC) | 38億ドル |
売上高(セグメント別)の推移
FY2022(2021年2月-2022年1月期)の売上高は8.7億ドルと、前年度比+48.0%、過去5年間で年率+50.1%となりました。

2022Q4(2021年11月−2022年1月期)の売上高は2.7億ドル(前年同期比+55.8%)と、コンセンサス(2.4億ドル)を上回りました。

セグメント別の売上高は、以下の通りです。
・Atlas関連:1.56億ドル、前年同期比+85%
・その他サブスクリプション:1.02億ドル、前年同期比+29%
・サービス:0.08億ドル、前年同期比+17%
セグメント別の売上高構成比は、サブスクリプションが97%、Atlas関連が58%を占めます。

地域別の売上高構成比は、アメリカが60%を占めます。

顧客数の推移
顧客数は3.3万件(前年同期比+33%)、Atlas採用顧客数は3.2万件(前年同期比+35%)となりました。

ARR(年間経常収益)10万ドル超の顧客数は1,307件(前年同期比+34%)となりました。

利益の推移
2022Q4の非GAAP 営業利益は▲0.01億ドル(前年同期比赤字幅縮小)、非GAAP 営業利益率は▲0.5%と、前年同期の▲9.4%から改善しました。

2022Q4の非GAAP EPSは▲0.09ドルと、コンセンサス(▲0.21ドル)を上回りました。

キャッシュフローの推移
2022Q4の営業キャッシュフローは0.22億ドル(前年同期比黒字転換)、営業キャッシュフローマージン(営業キャッシュフロー/売上高)は8.4%と、前年同期の▲10.9%から改善しました。

2022Q4のフリーキャッシュフローは0.19億ドル(前年同期比黒字転換)、フリーキャッシュフローマージン(フリーキャッシュフロー/売上高)は7.0%と、前年同期の▲11.4%から改善しました。

株主還元(配当、自社株買い)の推移
配当、自社株買いの実施はなしです。
(参考)過去5年間の発行済株式数
発行済株式数は、過去5年間で年率+39.5%となりました。

売上高およびEPSの実績値とコンセンサスの推移
売上高の実績値(コンセンサス比)は、過去12四半期中、12勝です。
非GAAP EPSの実績値(コンセンサス比)は、過去12四半期中、12勝です。
売上高(億ドル) | 非GAAP EPS(ドル) | |||||
実績値 | コンセンサス | 勝敗 | 実績値 | コンセンサス | 勝敗 | |
2020Q1 | 0.9 | 0.8 | ○ | -0.22 | -0.24 | ○ |
2020Q2 | 1.0 | 0.9 | ○ | -0.26 | -0.28 | ○ |
2020Q3 | 1.1 | 1.0 | ○ | -0.26 | -0.28 | ○ |
2020Q4 | 1.2 | 1.1 | ○ | -0.25 | -0.28 | ○ |
2021Q1 | 1.3 | 1.2 | ○ | -0.13 | -0.25 | ○ |
2021Q2 | 1.4 | 1.3 | ○ | -0.22 | -0.40 | ○ |
2021Q3 | 1.5 | 1.4 | ○ | -0.31 | -0.44 | ○ |
2021Q4 | 1.7 | 1.6 | ○ | -0.33 | -0.39 | ○ |
2022Q1 | 1.8 | 1.7 | ○ | -0.15 | -0.36 | ○ |
2022Q2 | 2.0 | 1.8 | ○ | -0.24 | -0.40 | ○ |
2022Q3 | 2.3 | 2.1 | ○ | -0.11 | -0.38 | ○ |
2022Q4 | 2.7 | 2.4 | ○ | -0.09 | -0.21 | ○ |
株価上昇率
FY2022の株価上昇率は+9.6%と、S&P500(+21.6%)を下回りました。

2022Q4の株価上昇率は▲22.3%と、S&P500(▲2.0%)を下回りました。

競合他社(インターネットサービスおよびインフラストラクチャー)の株価上昇率(ドル建て)は、以下の通りです。
モンゴDB(MDB)の株価上昇率は、2021年の1年間で+47%と、12社平均(▲10%)を上回り、12社中第1位となりました。
2019年1月から2021年12月の3年間では+532%と、9社平均(+249%)を上回り、9社中第2位となりました。

2017年10月から2022年2月のドローダウン(最高値からの下落率、月末株価)の推移は、以下の通りです。

(参考)株価の推移(月末株価)
通常の目盛り表示の場合、近年の株価のブレ幅(上昇もしくは下落)が過去より非常に大きいと錯覚するため、対数目盛りで表示しています。

DCF法による目標株価
DCF(Discounted Cash Flow)法とは、将来に渡って生み出すキャッシュフローを割り引く(WACC、加重平均資本コスト)ことで理論価格を算出します。
以下のシナリオに基づき、フリーキャッシュフローの現在価値とネット有利子負債を合計して株主価値を算出し、株主価値を発行済株式総数で割ることで、1株あたりの株価を算出します。
なお、WACCを7.8%と推計しました。
以下のグラフは、各シナリオのフローキャッシュフロー(億ドル)の推移となります。

① メインシナリオ
フリーキャッシュフローの成長率:1年目0億ドル、2年目1億ドル、3年目+300%、4年目+100%、5年目+50%、6年目〜7年目+30%、8年目〜10年目+20%。11年目以降の永続成長率は0%。
② アップサイドシナリオ
フリーキャッシュフローの成長率:1年目0億ドル、2年目1億ドル、3年目+300%、4年目+100%、5年目〜7年目+50%、8年目〜10年目+20%。11年目以降の永続成長率は0%。
③ ダウンサイドシナリオ
フリーキャッシュフローの成長率:1年目0億ドル、2年目1億ドル、3年目+300%、4年目+100%、5年目〜10年目+20%。11年目以降の永続成長率は0%。
メインシナリオの目標株価は473ドルとなります。
・メインシナリオ:473ドル
・アップサイドシナリオ:615ドル
・ダウンサイドシナリオ:333ドル
モンゴDB(MongoDB、MDB)への投資について
2022Q4(2021年11月−2022年1月期)の売上高は2.7億ドル(コンセンサス2.4億ドル)、非GAAP EPSは▲0.09ドル(コンセンサス▲0.21ドル)と、これまで通りコンセンサスを上回る実績となりました。
2023Q1のガイダンスは、以下の通りです。
・売上高:2.63〜2.67億ドル(コンセンサス2.54億ドル)
・非GAAP EPS:▲0.12〜▲0.08ドル(コンセンサス▲0.18ドル)
FY2023のガイダンスは、以下の通りです。
・売上高:11.51〜11.81億ドル
・非GAAP EPS:▲0.51〜▲0.29ドル
DCF法による目標株価は473ドルのため、2022年2月末時点の株価382ドルより高い水準です。
なお、メインシナリオは、10年後の売上高が11.3倍(年率+27%)、10年後に向けてフリーキャッシュフローマージンが35%まで上昇することを想定したので、売上高またはフリーキャッシュフローマージンがさらに上向けばより高い株価上昇が期待できます。
非構造化データは急速に拡大していくので、モンゴDBは恩恵を享受できます。







