過去の業績の推移を解説し、目標株価の算出とゴーダディへの投資についてコメントします。
会社概要
ゴーダディ(GoDaddy、GDDY)
ホームページ(SECファイル):リンク先
国:アメリカ
セクター:情報技術
産業グループ:ソフトウェア・サービス
サブ産業グループ:インターネットサービスおよびインフラストラクチャー
株式時価総額:146億ドル(2021年6月末)
ゴーダディは、アメリカに本拠を置く、8,000万超のドメインを管理する世界最大のレジストラです。
ベリサインのように、ドメインを管理する機関をドメインレジストリと呼び、ユーザーが直接ドメインレジストリにドメインを登録することは手続きが煩雑なことから、ゴーダディやGMOインターネットのように、ドメインの登録申請を代行・管理する事業者をドメインレジストラと呼びます。
(参考)競合他社(インターネットサービスおよびインフラストラクチャー)の株式時価総額(2021年6月末)
株式時価総額 (億ドル) | |
ショッピファイ(SHOP) | 1,813 |
スノーフレーク(SNOW) | 716 |
トゥイリオ(TWLO) | 681 |
オクタ(OKTA) | 374 |
ベリサイン(VRSN) | 256 |
モンゴDB(MDB) | 225 |
アカマイ・テクノロジーズ(AKAM) | 190 |
ウィックス(WIX) | 164 |
GDSホールディングス(GDS) | 147 |
ゴーダディ(GDDY) | 146 |
キングソフト・クラウドHD(KC) | 76 |
ファストリー(FSLY) | 69 |
売上高の推移
FY2020(2020年1-12月期)の売上高は33億ドルと、前年度比+11.0%、過去5年間で年率+15.6%となりました。
2021Q2(2021年4−6月期)の売上高は9.3億ドル(前年同期比+15.5%)と、コンセンサス(9.2億ドル)を上回りました。
2020年12月末の顧客数は2,065万件(前年度末比+7%)、ARPU(ユーザーあたりの年間売上高)は166ドル(前年度末比+5%)となりました。
利益の推移
2021Q2の営業利益は0.9億ドル(前年同期比+284.3%)となりました。
2021Q2のEPSは0.27ドル(前年同期比黒字転換)と、コンセンサス(0.29ドル)を下回りました。
キャッシュフローの推移
FY2020の営業キャッシュフローは7.6億ドルと、前年度比+5.7%、過去5年間で年率+24.2%となりました。
営業キャッシュフローマージン(営業キャッシュフロー/売上高)は23.1%と、前年度の24.2%から悪化しました。
2021Q2の営業キャッシュフローは2.1億ドル(前年度比+24.6%)となりました。
2021Q2のフリーキャッシュフローは1.9億ドル(前年度比+24.3%)となりました。
株主還元(配当、自社株買い)の推移
近年自社株買いに積極的です。
(参考)過去5年間の発行済株式数
発行済株式数は、前年度比▲7.2%となりました。

売上高およびEPSの実績値とコンセンサスの推移
売上高の実績値(コンセンサス比)は、過去9四半期中、8勝、1引き分けです。
EPSの実績値(コンセンサス比)は、過去9四半期中、4勝、4敗、1引き分けです。
売上高(ドル) | EPS(ドル) | |||||
実績値 | コンセンサス | 勝敗 | 実績値 | コンセンサス | 勝敗 | |
2019Q2 | 7.4 | 7.4 | ○ | -0.07 | 0.16 | × |
2019Q3 | 7.6 | 7.6 | ▲ | 0.42 | 0.21 | ○ |
2019Q4 | 7.8 | 7.8 | ○ | 0.34 | 0.34 | ▲ |
2020Q1 | 7.9 | 7.9 | ○ | 0.24 | 0.17 | ○ |
2020Q2 | 8.1 | 8.0 | ○ | -4.06 | 0.89 | × |
2020Q3 | 8.4 | 8.4 | ○ | 0.38 | 0.34 | ○ |
2020Q4 | 8.7 | 8.7 | ○ | 0.41 | 0.36 | ○ |
2021Q1 | 9.0 | 8.9 | ○ | 0.06 | 0.33 | × |
2021Q2 | 9.3 | 9.2 | ○ | 0.27 | 0.29 | × |
株価上昇率
FY2020の株価上昇率は+22.1%と、S&P500(+16.3%)を上回りました。
過去5年間(2016年1月から2020年12月末)の株価上昇率は年率+20.9%と、S&P500(年率+12.9%)を上回りました。
2021Q2の株価上昇率は+12.0%と、S&P500(+8.2%)を上回りました。

競合他社(インターネットサービスおよびインフラストラクチャー)の株価上昇率(ドル建て)は、以下の通りです。
ゴーダディ(GDDY)の株価上昇率は、2020年の1年間で+22%と、10社平均(+130%)を下回りました。
2018年1月から2020年12月の3年間では+65%と、9社平均(+580%)を下回りました。

2015年4月から2021年7月のドローダウン(最高値からの下落率、月末株価)の推移は、以下の通りです。
(参考)株価の推移(月末株価)
通常の目盛り表示の場合、近年の株価のブレ幅(上昇もしくは下落)が過去より非常に大きいと錯覚するため、対数目盛りで表示しています。
DCF法による目標株価
DCF(Discounted Cash Flow)法とは、将来に渡って生み出すキャッシュフローを割り引く(WACC、加重平均資本コスト)ことで理論価格を算出します。
以下のシナリオに基づき、フリーキャッシュフローの現在価値とネット有利子負債を合計して株主価値を算出し、株主価値を発行済株式総数で割ることで、1株あたりの株価を算出します。
なお、WACCを6.3%と推計しました。
以下のグラフは、各シナリオのフローキャッシュフロー(億ドル)の推移となります。
① メインシナリオ
フリーキャッシュフローの成長率:1年目+13%、2年目〜10年目+5%。11年目以降の永続成長率は0%
② アップサイドシナリオ
フリーキャッシュフローの成長率:1年目+13%、2年目〜5年目+10%、6年目〜10年目+5%。11年目以降の永続成長率は0%
③ ダウンサイドシナリオ
フリーキャッシュフローの成長率:1年目+13%、2年目〜10年目+0%。11年目以降の永続成長率は0%
メインシナリオの目標株価は88ドルとなります。
・メインシナリオ:88ドル
・アップサイドシナリオ:107ドル
・ダウンサイドシナリオ:59ドル
ゴーダディ(GoDaddy、GDDY)への投資について
2021Q2(2021年4−6月期)の売上高は9.3億ドルと、コンセンサス(9.2億ドル)を上回りましたが、EPSは0.27ドルと、コンセンサス(0.29ドル)を下回る実績となりました。
FY2021のガイダンスは、以下の通りです。
・売上高:37.5億ドル(コンセンサス37.4億ドル)
決算発表を受けて、株価は急落しました。
DCF法による目標株価は88ドルのため、2021年7月末時点の株価84ドルとほぼ同水準です。
なお、メインシナリオは、10年後の売上高が1.8倍(年率+6%)、FY2020のフリーキャッシュフローマージンである20%が10年間継続することを想定したので、売上高またはフリーキャッシュフローマージンがさらに上向けばより高い株価上昇が期待できます。
コロナ収束後には需要減が想定されるため、業績の伸び悩みが想定されます。







