過去の業績の推移を解説し、目標株価の算出とナイキへの投資についてコメントします。
会社概要
ナイキ(Nike、NKE)
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国:アメリカ
セクター:一般消費財・サービス
産業グループ:耐久消費財・アパレル
サブ産業グループ:履物
株式時価総額:1,652億ドル(世界ランキング第72位、2023年12月末)
ナイキは、アメリカに本拠を置く、スポーツ用の靴やアパレルなどを製造・販売する企業です。
2021年12月に、バーチャルスニーカーなどデジタル商品を手がけるRTFKT(アーティファクト)を買収し、メタバース分野を強化しました。
イギリスのブランドファイナンスが発表したアパレル企業のブランドランキング(2023)によると、ナイキは9年連続で第1位となっており、ブランド力は健在です。
売上高(セグメント別、地域別)の推移
FY2023(2022年6月-2023年5月期)の売上高は512億ドルと、前年度比+9.6%、過去5年間で年率+7.1%となりました。
セグメント別(ナイキブランドのみ)の売上高は、以下の通りです。
・フットウェア:331億ドル、前年度比+14%
・スポーツウェア:138億ドル、前年度比+2%
・スポーツ関連用品:17億ドル、前年度比+6%
セグメント別(ナイキブランドのみ)の売上高構成比は、フットウェアが68%、スポーツウェアが28%を占めます。
地域別(ナイキブランドのみ)の売上高は、以下の通りです。
・北米:216億ドル、前年度比+18%
・欧州/中東/アフリカ:134億ドル、前年度比+8%
・中国/香港/台湾:72億ドル、前年度比▲4%
・アジアパシフィック/ラテンアメリカ:64億ドル、前年度比+8%
地域別の売上高構成比は、北米が44%、欧州/中東/アフリカが28%、中国/香港/台湾が15%、アジアパシフィック/ラテンアメリカが13%を占めます。
利益(地域別)の推移
FY2023の営業利益は59億ドルと、前年度比▲11.4%、過去5年間で年率+5.9%となりました。
営業利益率は11.5%と、前年度の14.3%から悪化しました。
地域別のEBITマージンは、以下の通りです。
FY2023のEPSは3.23ドルと、前年度比▲13.9%、過去5年間で年率+22.5%となりました。
キャッシュフローの推移
FY2023の営業キャッシュフローは58億ドルと、前年度比+12.6%、過去5年間で年率+3.3%となりました。
営業キャッシュフローマージン(営業キャッシュフロー/売上高)は11.4%と、前年度の11.1%から改善しました。
FY2023のフリーキャッシュフローは49億ドルと、前年度比+10.0%、過去5年間で年率+4.4%となりました。
フリーキャッシュフローマージン(フリーキャッシュフロー/売上高)は9.5%と、前年度の9.5%とほぼ同水準となりました。
株主還元(配当、自社株買い)の推移
FY2021を除いて、自社株買いに積極的です。
(参考)過去5年間の株主還元利回り(株価は各会計年度末時点)
FY2023の益利回り(PERの逆数)は3.1%、フリーキャッシュフロー利回りは2.9%です。
FY2023の総還元利回りは4.6%です。
(参考)過去5年間の配当性向、総還元性向
FY2023の配当性向は、利益・キャッシュフローベースともに40%程度です。
(参考)過去5年間のDPS(1株当たり配当金)
FY2023のDPSは1.33ドルと、前年度比+11.3%、過去5年間で年率+11.2%となりました。
(参考)過去5年間の発行済株式数
発行済株式数は、過去5年間で年率▲1.1%減少しました。
ROICの推移
ROIC(Return on Invested Capital、投下資本利益率)とは、企業が事業活動のために投じた資金を使ってどれだけ利益を生み出したか(投資効率)を測る指標となります。
正確な計算方法はないため、ここでは、税引後営業利益/投下資本(=運転資本+有形固定資産(リース含む)+無形固定資産+在庫+のれん)として計算しています。
少なくともWACC(加重平均資本コスト)を超えることが絶対条件と言われています。
過去5年間のROICは15〜30%程度と、投資効率は高いです。
株価上昇率
FY2023の株価上昇率は▲11.4%と、S&P500(+1.2%)を下回りました。
過去5年間(2018年6月から2023年5月末)の株価上昇率は年率+7.8%と、S&P500(年率+9.1%)を下回りました。
過去10年間(2014年1月から2023年12月)のドローダウン(最高値からの下落率、月末株価)の推移は、以下の通りです。
足もと40%程度下落しています。
(参考)株価の推移(月末株価)
通常の目盛り表示の場合、近年の株価のブレ幅(上昇もしくは下落)が過去より非常に大きいと錯覚するため、対数目盛りで表示しています。
2022年以降は厳しい状況です。
DCF法による目標株価
DCF(Discounted Cash Flow)法とは、将来に渡って生み出すキャッシュフローを割り引く(WACC、加重平均資本コスト)ことで理論価格を算出します。
以下のシナリオに基づき、フリーキャッシュフローの現在価値とネット有利子負債を合計して株主価値を算出し、株主価値を発行済株式総数で割ることで、1株あたりの株価を算出します。
なお、WACCを6.2%と推計しました。
以下のグラフは、各シナリオのフローキャッシュフロー(億ドル)の推移となります。
① メインシナリオ
フリーキャッシュフローの成長率:1年目〜2年目+5%、3年目〜4年目+15%、5年目〜10年目+10%。11年目以降の永続成長率は0%。
② アップサイドシナリオ
フリーキャッシュフローの成長率:1年目〜2年目+5%、3年目〜10年目+15%。11年目以降の永続成長率は0%。
③ ダウンサイドシナリオ
フリーキャッシュフローの成長率:1年目+0%、2年目〜10年目+5%。11年目以降の永続成長率は0%。
メインシナリオの目標株価は108ドルとなります。
・メインシナリオ:108ドル
・アップサイドシナリオ:134ドル
・ダウンサイドシナリオ:70ドル
ナイキ(Nike、NKE)への投資について
FY2023の売上高は512億ドル(前年度比+9.6%)、EPSは3.23ドル(前年度比▲13.9%)となりました。
DCF法による目標株価は108ドルのため、2023年12月末時点の株価109ドルとほぼ同水準です。
なお、メインシナリオは、10年後の売上高が2.2倍(年率+8%)、10年後に向けてフリーキャッシュフローマージンが15%まで上昇することを想定したので、売上高またはフリーキャッシュフローマージンがさらに上向けばより高い株価上昇が期待できます。
高いブランド力や積極的な自社株買いは魅力的ですが、政治的な要因によって好調な中国向け売上高が減少する可能性がある点には注意が必要。