ブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BTI)決算分析と目標株価 キャッシュフロー創出力は潤沢、巨額の有利子負債も削減中

食品・飲料・タバコ

過去の業績の推移を解説し、目標株価の算出とブリティッシュ・アメリカン・タバコへの投資についてコメントします。

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会社概要

ブリティッシュ・アメリカン・タバコ(British American Tobacco、BATS.LN、BTI)

ホームページ(SECファイル):リンク先

国:イギリス

セクター:生活必需品

産業グループ:食品・飲料・タバコ

サブ産業グループ:タバコ

浮動株調整後株式時価総額:849億ドル(2020年12月末、MSCI)

ブリティッシュ・アメリカン・タバコは、イギリスに本拠を置く大手タバコメーカーです。

紙巻タバコの売上本数は低下しているものの、加熱式タバコやベイパー(電子タバコ)等の健康リスクが低減されたタバコの売上本数は大きく増加しています。

2017年に、すでに42%の株式を保有していたレイノルズ・アメリカンを494億ドルで買収しました。

イギリス株式市場で第6位、生活必需品セクターの食品・飲料・タバコで第6位の浮動株調整後株式時価総額で、タバコに占めるブリティッシュ・アメリカン・タバコの浮動株調整後株式時価総額比率は23%です。

売上高(製品別、地域別)の推移

FY2020(2020年1-12月期)の売上高は258億ポンドと、前年度比▲0.4%となりました。

 

製品別の売上高は、以下の通りです。

・紙巻タバコ:228億ポンド、前年度比▲1.1%

・新しいカテゴリー:14億ポンド、前年度比+15.0%

・従来のオーラル製品:12億ポンド、前年度比+7.3%

・その他:4億ポンド、前年度比▲22.0%

 

地域別の売上高は、以下の通りです。

・アメリカ:115億ポンド、前年度比+10.6%

・アメリカ大陸&南アフリカ:45億ポンド、前年度比▲12.0%

・欧州&北アフリカ:38億ポンド、前年度比▲11.5%

・アジアパシフィック:60億ポンド、前年度比▲1.6%

 

地域別の売上高構成比は、アメリカが45%を占めます。

 

利益の推移

FY2020(2020年1-12月期)の営業利益は100億ポンドと、前年度比+10.5%となり、営業利益率は38.6%と、前年度の34.8%から改善しました。

 

FY2020のEPSは2.79ポンドと、前年度比+12.0%、過去5年間では年率+3.9%となりました。

 

キャッシュフローの推移

FY2020(2020年1-12月期)の営業キャッシュフローは98億ポンドと、前年度比+8.8%となり、営業キャッシュフローマージン(営業キャッシュフロー/売上高)は38.0%と、前年度の34.8%から改善しました。

 

FY2020の設備投資額/売上高は2.9%と、前年度の3.1%から低下しました。

 

FY2020のフリーキャッシュフローは90億ポンドと、前年度比+10.4%となり、フリーキャッシュフローマージン(フリーキャッシュフロー/売上高)は35.0%と、前年度の31.6%から改善しました。

 

株主還元(配当、自社株買い)の推移

FY2020(2020年1-12月期)の支払配当総額は47億ポンドと、フリーキャッシュフローの範囲内です。

 

(参考)過去5年間の株主還元利回り(株価は各会計年度末時点)

FY2020の益利回り(PERの逆数)は7.4%、フリーキャッシュフロー利回りは10.5%と高く、バリュエーション面では割安です。

配当利回りは5.8%と高い水準です。

 

(参考)過去5年間の配当性向、総還元性向

過去5年間の配当性向は、利益・キャッシュフローベースともに、100%を下回りました。

 

(参考)過去5年間のDPS(1株当たり配当金)

過去5年間の増配率は年率+7.0%ですが、足もとは低下傾向にあります。

 

(参考)過去5年間の発行済株式数

 

ROICの推移

ROIC(Return on Invested Capital、投下資本利益率)とは、企業が事業活動のために投じた資金を使ってどれだけ利益を生み出したか(投資効率)を測る指標となります。

正確な計算方法はないため、ここでは、税引後営業利益/投下資本(=運転資本+有形固定資産(リース含む)+無形固定資産+在庫+のれん)として計算しています。

少なくともWACC(加重平均資本コスト)を超えることが絶対条件と言われています。

レイノルズ・アメリカン買収後のFY2018以降は、ROE、ROICともに低水準です。

 

有利子負債の推移

有利子負債は440億ポンドと巨額ですが、徐々に減少中です。

 

株価上昇率

過去5年間(2015年1月から2019年12月末)の株価上昇率は▲32%(年率▲7.5%)と、世界株式を投資対象とするVT ETFの上昇率+61%(年率+9.9%)を大きく下回りました。

 

競合他社(タバコ)の株価上昇率(JTは日本円建て、IMBはポンド建て、SWMAはスウェーデンクローナ建て、ITC、GGRMはインドルピー建て、KT&Gは韓国ウォン建て、その他はドル建て)は、以下の通りです。

ブリテッシュ・アメリカン・タバコ(BTI)の株価上昇率は、2020年の1年間で▲12%と、9社平均(▲8%)を下回りました。

2018年1月から2020年12月の3年間では▲44%と、9社平均(▲22%)を下回りました。

 

過去10年間(2011年4月から2021年3月)のドローダウン(最高値からの下落率、月末株価)の推移は、以下の通りです。

2017年5月の最高値から最大50%超下落し、その後はほぼ横ばいです。

 

(参考)株価の推移(月末株価)

通常の目盛り表示の場合、近年の株価のブレ幅(上昇もしくは下落)が過去より非常に大きいと錯覚するため、対数目盛りで表示しています。

 

DCF法による目標株価

DCF(Discounted Cash Flow)法とは、将来に渡って生み出すキャッシュフローを割り引く(WACC、加重平均資本コスト)ことで理論価格を算出します。

以下のシナリオに基づき、フリーキャッシュフローの現在価値とネット有利子負債を合計して株主価値を算出し、株主価値を発行済株式総数で割ることで、1株あたりの株価を算出します。

なお、WACCを8.3%、金利が1%上昇した場合は9.2%と推計しました。

以下のグラフは、各シナリオのフローキャッシュフロー(億ポンド)の推移となります。

① メインシナリオ

 フリーキャッシュフローの成長率:1年目+5%、2年目〜10年目+1%。11年目以降の永続成長率は0%。

② アップサイドシナリオ

 フリーキャッシュフローの成長率:1年目〜10年目+5%。11年目以降の永続成長率は0%。

③ ダウンサイドシナリオ

 フリーキャッシュフローの成長率:1年目〜10年目+0%。11年目以降の永続成長率は0%。

メインシナリオの目標株価は34ポンドとなります。

 

ブリテッシュ・アメリカン・タバコ(British American Tobacco、BATS.LN、BTI)への投資について

FY2020(2020年1-12月期)の売上高は258億ポンドと、前年度比▲0.4%となりましたが、EPSは2.79ドルと、前年度比+12.0%となりました。

営業キャッシュフローマージン、フリーキャッシュフローマージンともに30%超と高水準で、キャッシュ創出力が潤沢です。

2017年の大型買収によって、財務体質が悪化し、投資効率の指標であるROEやROICが大きく低下したものの、キャッシュフロー創出力も潤沢のため、多額の配当金を支払いながらも借金返済は可能で、実際にここ数年間の有利子負債は減少し続けています。

FY2021のガイダンスは、以下の通りです。

・売上高:+3〜5%(為替レート変動の影響を排除)

DCF法による目標株価は34ポンドのため、2021年2月末時点の株価25ポンドより高い水準です。

なお、メインシナリオは、10年後の売上高が1.1倍(年率+1%)、FY2020のフリーキャッシュフローマージンである35%が10年間継続することを想定したので、売上高またはフリーキャッシュフローマージンがさらに上向けばより高い株価上昇が期待できます。

大手タバコメーカーの中では、フィリップモリスが最もクオリティが高いです。

ブリティッシュ・アメリカン・タバコは、かなりの割安感があります。

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