過去の業績の推移を解説し、目標株価の算出とネクステラ・エナジーへの投資についてコメントします。
会社概要
ネクステラ・エナジー(NextEra Energy、NEE)
ホームページ(SECファイル):リンク先
国:アメリカ
セクター:公益事業
産業グループ:電力
サブ産業グループ:電力
株式時価総額:1,511億ドル(世界ランキング第75位、2020年12月末)
ネクステラ・エナジーは、アメリカに本拠を置く、フロリダ州南東部を中心に電力を供給するFPLや、フロリダ州北西部に電力を供給するガルフ・パワー(2019年に買収)、全米で風力や太陽光発電といった再生可能エネルギーにより電力を供給するNEER(ネクステラ・エナジー・リソーシズ)を傘下に持つ企業です。
2021年3月末に400以上あるEV充電施設を、2022年までに1,000以上に増やす予定です。
公益事業セクターで第1位の浮動株調整後株式時価総額(2020年12月末、MSCI)で、電力に占めるネクステラ・エナジーの浮動株調整後株式時価総額比率は14%です。
売上高(セグメント別)の推移
FY2020(2020年1-12月期)の売上高は180億ドルと、前年度比▲6.3%、過去5年間で年率+0.6%となりました。
2021Q2(2021年4−6月期)の売上高は39億ドル(前年同期比▲6.6%)と、コンセンサス(49億ドル)を下回りました。
セグメント別の売上高は、以下の通りです。
・フロリダ州発電:32.2億ドル、前年同期比+14%
・ガルフパワー:3.5億ドル、前年同期比+5%
・再生可能エネルギー:3.8億ドル、前年同期比▲65%
利益(セグメント別)の推移
2021Q2の非GAAP 純利益は14.0億ドル(前年同期比+8.5%)、非GAAP 純利益率は35.5%と、前年同期の30.6%から改善しました。
セグメント別の非GAAP 純利益率は、以下の通りです。
FY2020の非GAAP EPSは2.31ドルと、前年度比+10.5%、過去5年間で年率+10.1%となりました。
2021Q2のEPSは0.13ドルと、コンセンサス(0.69ドル)を下回りました。
非GAAP EPSは0.71ドル(前年同期比+8.8%)と、コンセンサス(0.69ドル)を上回りました。
キャッシュフローの推移
FY2020の営業キャッシュフローは80億ドルと、前年度比▲2.1%、過去3年間で年率+7.3%となりました。
株主還元(配当、自社株買い)の推移
自社株買いの実施はなしです。
(参考)過去5年間の株主還元利回り(株価は各会計年度末時点)
益利回り(PERの逆数)、配当利回りともに低下傾向にあります。
(参考)過去5年間の配当性向
過去5年間の配当性向(非GAAP)は60%程度です。
(参考)過去5年間のDPS(1株当たり配当金)
FY2020のDPSは1.40ドルと、前年度比+12.0%、過去5年間で年率+10.7%となりました。
FY2021のDPSは1.54ドル(前年度比+10.0%)の予定です。
売上高およびEPSの実績値とコンセンサスの推移
売上高の実績値(コンセンサス比)は、過去8四半期中、1勝、7敗です。
EPSの実績値(コンセンサス比)は、過去8半期中、3勝、5敗です。
非GAAP EPSの実績値(コンセンサス比)は、過去8半期中、3勝、5敗です。
売上高(ドル) | GAAP EPS(ドル) | 非GAAP EPS(ドル) | |||||||
実績値 | コンセンサス | 勝敗 | 実績値 | コンセンサス | 勝敗 | 実績値 | コンセンサス | 勝敗 | |
2019Q3 | 56 | 51 | ○ | 0.45 | 0.58 | × | 0.60 | 0.57 | ○ |
2019Q4 | 46 | 47 | × | 0.50 | 0.36 | ○ | 0.36 | 0.37 | × |
2020Q1 | 46 | 49 | × | 0.21 | 0.57 | × | 0.59 | 0.56 | ○ |
2020Q2 | 42 | 53 | × | 0.65 | 0.63 | ○ | 0.65 | 0.63 | ○ |
2020Q3 | 48 | 53 | × | 0.62 | 0.65 | × | 0.67 | 0.63 | ○ |
2020Q4 | 44 | 57 | × | 0.00 | 0.51 | × | 0.40 | 0.38 | ○ |
2021Q1 | 37 | 49 | × | 0.84 | 0.55 | ○ | 0.67 | 0.58 | ○ |
2021Q2 | 39 | 49 | × | 0.13 | 0.69 | × | 0.71 | 0.69 | ○ |
株価上昇率
FY2020の株価上昇率は+27.4%と、S&P500(+16.3%)を上回りました。
過去5年間(2016年1月から2020年12月末)の株価上昇率は年率+24.3%と、S&P500(年率+12.9%)を大きく上回りました。
2021Q2の株価上昇率は▲3.1%と、S&P500(+8.2%)を下回りました。
株式市場全体の下落局面における株価上昇率(ドル建て)は、以下の通りです。
公益事業セクターは、下落相場に強い傾向があります。
過去10年間(2011年8月から2021年7月)のドローダウン(最高値からの下落率、月末株価)の推移は、以下の通りです。
最高値から10%程度下落すると反発する傾向にあるため、その時が狙い目です。
(参考)株価の推移(月末株価)
通常の目盛り表示の場合、近年の株価のブレ幅(上昇もしくは下落)が過去より非常に大きいと錯覚するため、対数目盛りで表示しています。
長期的にみて、安定した綺麗な上昇トレンドです。
目標株価
公益事業セクターは、倒産リスクが低く、安定した業績が期待できることから、国債より高い配当利回りに注目が集まります。
以下のグラフは、配当利回りとスプレッド(米国10年金利差)の推移です。
ネクステラ・エナジーは、利益成長率が高いことから、公益事業セクターのなかでは相対的に配当利回りが低いです。
メインシナリオのスプレッドを0.5%、アップサイドシナリオのスプレッドを0.0%、ダウンサイドシナリオのスプレッドを1%としました。
メインシナリオの目標株価は89ドルとなります。
・メインシナリオ:89ドル
・アップサイドシナリオ:125ドル
・ダウンサイドシナリオ:69ドル
ネクステラ・エナジー(NextEra Energy、NEE)への投資について
2021Q2(2021年4−6月期)の売上高は39億ドルと、コンセンサス(49億ドル)を下回りましたが、非GAAP EPSは0.71ドルと、コンセンサス(0.69ドル)を上回る実績となりました。
FY2021のガイダンスは、以下の通りです。
・非GAAP EPS:2.40〜2.54ドル(コンセンサス2.52ドル)
FY2022とFY2023の非GAAP EPSは、前年度比+6〜8%を見込んでいます。
目標株価は89ドルのため、2021年7月末時点の株価78ドルより高い水準です。
公益事業セクターとしては珍しく、過去5年間の株価上昇率は株式市場全体を大きく上回りました。
再生可能エネルギーに注力しており、公益事業セクターのなかでは、ネクステラ・エネジーが魅力的です。
株価が下落した局面では投資したいと思います。