みずほFG(8411)決算分析と目標株価 国内の大企業向けビジネスが収益の柱

みずほフィナンシャルグループ銀行

過去の業績の推移を解説し、目標株価の算出とみずほフィナンシャルグループへの投資についてコメントします。

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会社概要

みずほフィナンシャルグループ(Mizuho Financial Group Inc.、8411.T)

ホームページ(有報):リンク先

国:日本

セクター:金融

産業グループ:銀行

サブ産業グループ:都市銀行

株式時価総額:3.3兆円(日本ランキング第38位、2020年12月末)

みずほフィナンシャルグループは、日本に本拠を置く、銀行(みずほ銀行)、信託(みずほ信託銀行)、証券(みずほ興証券)等の企業を傘下に持つ持株会社です。

 

粗利益の推移

FY2020(2020年4月-2021年3月期)の粗利益は2兆1,987億円と、前年度比+6.6%、過去3年間で年率+4.7%となりました。

 

2021年3月末の融資額は84兆円(前年度末比+0%)、預金は133兆円(前年度末比+2%)となりました。

 

融資額のうち、国内大企業等は24兆円(前年度末比+8%)、国内中堅・中小は27兆円(前年度末比+9%)、国内個人は9兆円(前年度末比▲5%)となりました。

 

融資額のうち海外預貸金は2,536億ドル(▲9%)、うちアジアは1,116億ドル(▲5%)、米州は857億ドル(▲14%)、欧州/中東/アフリカは562億ドル(▲10%)となりました。

 

2021年3月末の有価証券は44兆円(前年度末比+25%)、うち株式が3兆円(前年度末比+23%)、債券が25兆円(前年度末比+47%)、その他(外債等)が16兆円(前年度末比+1%)となりました。

 

利益(セグメント別)の推移

FY2020の営業経費は1兆4,146億円(前年度比+0.4%)、経費率(粗利益/営業経費)は64.3%となりました。

 

FY2020の与信関連費用は2,050億円となりました。

 

FY2020の純利益は4,710億円と、前年度比+5.0%、過去5年間で年率▲6.8%となりました。

 

セグメント別の業務純益(粗利益−営業経費)は、以下の通りです。

・国内の個人/中堅・中小企業:425億円、前年度比+158%

・国内の大企業/金融/公共法人:2,861億円、前年度比+15%

・海外進出日系/非日系:2,100億円、前年度比+18%

・市場:2,682億円、前年度比+35%

・資産運用:109億円、前年度比▲16%

 

セグメント別の業務純益構成比は、国内の大企業/金融/公共法人が35%、市場が33%を占めます。

 

会社別の純利益は、以下の通りです。

・銀行:2,674億円、前年度比▲13%

・信託:444億円、前年度比+25%

・証券:770億円、前年度比+163%

 

株主還元(配当、自社株買い)の推移

過去5年間の自社株買い実施はほぼなしです。

 

(参考)過去5年間の株主還元利回り(株価は各会計年度末時点)

FY2020の益利回り(PERの逆数)は11.6%と、バリュエーション面で割安感があります。

FY2020の配当利回りは4.7%です。

 

(参考)過去5年間の配当性向、総還元性向

FY2020の配当性向は、40%程度です。

 

(参考)過去5年間のDPS(1株当たり配当金)

FY2020のDPSは75円と、前年度比+0.0%、過去5年間で年率+0.0%となりました。

FY2021のDPSは75円(前年度比+0.0%)の予定です。

 

(参考)過去5年間の発行済株式数

発行済株式数は、過去5年間で年率+0.4%となりました。

 

ROEの推移

FY2020のROEは5.9%となりました。

 

株価上昇率

FY2020(2020年4月から2021年3月末)の株価上昇率は+29.4%と、世界株式を投資対象とするVT ETF(+54.9%)を下回りました。

過去5年間(2016年4月から2021年3月末)の株価上昇率は年率▲1.0%と、VT ETF(年率+11.0%)を大きく下回りました。

 

競合他社(都市銀行)の株価上昇率(MUFG、SMFG、Mizuhoは日本円建て、その他はドル建て)は、以下の通りです。

みずほ(Mizuho)の株価上昇率は、2020年の1年間で▲22%と、14社平均(▲13%)を下回り、14社中第10位となりました。

2018年1月から2020年12月末の3年間では▲36%と、14社平均(▲11%)を下回り、14社中第12位となりました。

 

過去10年間(2011年5月から2021年4月)のドローダウン(最高値からの下落率、月末株価)の推移は、以下の通りです。

株式市場が大きく下落する局面では、より大きなドローダウンが発生しており、下落相場に弱いと言えます。

 

(参考)株価の推移(月末株価)

通常の目盛り表示の場合、近年の株価のブレ幅(上昇もしくは下落)が過去より非常に大きいと錯覚するため、対数目盛りで表示しています。

 

BPSとPBRの推移

以下のグラフは、BPSとPBRの推移となります。

FY2020のBPSは3,651円と、前年度比+8.2%、過去5年間で年率+2.5%となりました。

過去5年間のPBRは1倍を大きく下回っています。

 

目標株価

以下のグラフは、株式市場全体および11セクターのPBRと予想ROE(2021年3月末、MSCI)の散布図となります。

ROEが高いほど、PBRも高いことが言えます(決定係数は0.847と、説明力は非常に高い)。

金融セクターやエネルギーセクターは、ROEが低いためPBRの観点で割安に放置されています。

 

メインシナリオの予想ROEを5.5%、アップサイドシナリオの予想ROEを7.5%、ダウンサイドシナリオの予想ROEを4%とし、回帰式をもとに目標株価を推計しました。

メインシナリオの目標株価は2,118円となります。

 

みずほフィナンシャルグループ(Mizuho Financial Group Inc.、8411.T)への投資について

FY2020の粗利益は2兆1,987億円(前年度比+6.6%)、純利益は4,710億円(前年度比+5.0%)となりました。

FY2021のガイダンスは、以下の通りです。

・与信関連費用:▲1,000億円

・純利益:5,100億円

目標株価は2,118円のため、2021年4月末時点の株価1,535円より高い水準です。

2023年度のROE目標は7〜8%を掲げています。

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