ウェルズファーゴ(WFC)決算分析と目標株価 不祥事を受けてFRBによる資産上限制限で当面は業績拡大が困難

ウェルズファーゴ銀行

過去の業績の推移を解説し、目標株価の算出とウェルズ・ファーゴへの投資についてコメントします。

スポンサーリンク

会社概要

ウェルズ・ファーゴ(Wells Fargo & Company、WFC)

ホームページ(SECファイル):リンク先

国:アメリカ

セクター:金融

産業グループ:銀行

サブ産業グループ:都市銀行

株式時価総額:1,872億ドル(世界ランキング第62位、2021年6月末)

ウェルズ・ファーゴは、アメリカに本拠を置く、伝統的な商業銀行ビジネスに注力する、アメリカ4大銀行の1つです。

2002年から2016年にかけて行われた不正営業(顧客に無断で銀行口座の開設等)が2016年に発覚し、2020年に制裁金30億ドルを支払うことをアメリカ当局と合意しました。

この不祥事を受けて、FRBから資産上限が設けられており、解決するまでは業績拡大が困難な状況です。

都市銀行に占めるウェルズ・ファーゴの浮動株調整後株式時価総額比率(2021年6月末、MSCI)は4%です。

 

アメリカ株の時価総額ランキング、リターン、配当利回り、PBR、予想PER、ROEの推移(2021年6月末)
世界の株式市場における国別構成比率以下のグラフは、世界の株式市場(以下、浮動株調整後株式時価総額)における各国の構成比率(2021年6月末、MSCI)となります。浮動株とは、大株主による安定保有株式ではなく、常に市場で売買...

純収益(セグメント別)の推移

2021Q2(2021年4−6月期)の純収益は203億ドル(前年同期比+10.8%)と、コンセンサス(177億ドル)を上回りました。

 

2021Q2の純金利収入は88億ドルと、前年同期比▲11%となりました。

 

セグメント別の純収益は、以下の通りです。

・個人向け:87億ドル、前年同期比+14%

・商業銀行:21億ドル、前年同期比▲10%

・投資銀行:33億ドル、前年同期比▲18%

・富裕層&資産運用:35億ドル、前年同期比+10%

 

セグメント別の純収益構成比は、個人向けが49%、商業銀行が12%、投資銀行が19%、富裕層&資産運用が20%を占めます。

 

2021年6月末の融資額は8,523億ドル(前年同期比▲9%)、預金は1.44兆ドル(前年同期比+2%)となりました。

 

2021年6月末の住宅ローンは2,186億ドル(前年同期比▲15%)、自動車ローンは518億ドル(前年同期比+4%)、クレジットカードローンは349億ドル(前年同期比▲3%)となりました。

 

2021Q2の住宅ローン組成額は532億ドル(前年同期比▲10%)、自動車ローン組成額は83億ドル(前年同期比+48%)となりました。

 

2021Q2の顧客資産額は2.14兆ドル(前年同期比+20%)となりました。

 

利益(セグメント別)の推移

2021Q2の純利益は57億ドル、EPSは1.38ドルと、コンセンサス(0.98ドル)を上回りました。

 

2021年6月末時点の融資向け貸倒引当金は164億ドルと、前四半期比▲9%(▲16億ドル)となりました。

 

セグメント別の純利益は、以下の通りです。

・個人向け:21億ドル、前年同期比黒字転換

・商業銀行:8億ドル、前年同期比黒字転換

・投資銀行:15億ドル、前年同期比黒字転換

・富裕層&資産運用:5億ドル、前年同期比+198%

 

(参考)過去5年間の純利益とEPS

 

株主還元(配当、自社株買い)の推移

自社株買いに積極的です。

 

(参考)過去5年間の株主還元利回り(株価は各会計年度末時点)

FY2019までの益利回り(PERの逆数)は6〜9%と、バリュエーション面では割安感がありました。

自社株買い利回りは、高い水準です。

 

(参考)過去5年間の配当性向、総還元性向

FY2020を除いた過去5年間の配当性向は、50%以下です。

 

(参考)過去5年間のDPS(1株当たり配当金)

FY2020のDPSは1.22ドルと、前年度比▲36.5%、過去5年間では年率▲3.8%となりました。

 

(参考)過去5年間の発行済株式数

発行済株式数は、過去5年間で年率▲4.5%減少しました。

 

ROEの推移

2021Q2のROEは13.6%です。

 

(参考)過去5年間のROE

FY2019までのROEは10%以上と、比較的高い水準となりました。

 

純収益およびEPSの実績値とコンセンサスの推移

以下のグラフは、純収益のコンセンサスおよび実績値の推移となります。

過去8四半期中、4勝、4敗です。

 

以下のグラフは、EPSのコンセンサスおよび実績値の推移となります。

過去8四半期中、3勝、5敗です。

 

株価上昇率

FY2020の株価上昇率は▲43.9%と、S&P500(+16.3%)を下回りました。

過去5年間(2016年1月から2020年12月末)の株価上昇率は年率▲11.1%と、S&P500(年率+12.9%)を下回りました。

 

2021Q2の株価上昇率は+15.9%と、S&P500(+8.2%)を上回りました。

 

競合他社(都市銀行)の株価上昇率(MUFG、SMFG、Mizuhoは日本円建て、その他はドル建て)は、以下の通りです。

ウェルズ・ファーゴ(WFC)の株価上昇率は、2020年の1年間で▲44%と、14社平均(▲14%)を下回り、14社中第14位となりました。

2018年1月から2020年12月末の3年間では▲50%と、14社平均(▲11%)を下回り、14社中第14位となりました。

 

過去10年間(2011年7月から2021年6月)のドローダウン(最高値からの下落率、月末株価)の推移は、以下の通りです。

▲70%程度のドローダウンが発生しましたが、急速に回復しています。

 

(参考)株価の推移(月末株価)

通常の目盛り表示の場合、近年の株価のブレ幅(上昇もしくは下落)が過去より非常に大きいと錯覚するため、対数目盛りで表示しています。

 

BPSとPBRの推移

2021Q2のBPSは前年同期比+9.0%、PBRは1.09倍となりました。

 

(参考)過去5年間のBPSとPBR

BPSは、過去5年間で年率+3.3%となりました。

 

目標株価

以下のグラフは、株式市場全体および11セクターのPBRと予想ROE(2020年12月末、MSCI)の散布図となります。

ROEが高いほど、PBRも高いことが言えます(決定係数は0.857と、説明力は非常に高い)。

金融セクターやエネルギーセクターは、ROEが低いためPBRの観点で割安に放置されています。

 

メインシナリオの予想ROEを8%、アップサイドシナリオの予想ROEを10%、ダウンサイドシナリオの予想ROEを5%とし、回帰式をもとに目標株価を推計しました。

メインシナリオの目標株価は53ドルとなります。

 

ウェルズ・ファーゴ(Wells Fargo & Company、WFC)への投資について

2021Q2(2021年4−6月期)の純収益は203億ドル(コンセンサス177億ドル)、EPSは1.38ドル(コンセンサス0.98ドル)と、コンセンサスを上回る実績となりました。

一方、純金利収入は88億ドルと、前年同期比▲11%となりました。

融資向け貸倒引当金は、3四半期連続で減少し、2021年6月末時点で164億ドル(前四半期比▲16億ドル)です。

目標株価は53ドルのため、2021年6月末時点の株価45ドルより高い水準です。

不祥事を受けてFRBによる資産上限制限が設けられたことから、競合他社と比較して株価は不調でしたが、制限が撤廃された場合には適正なバリュエーションへの回帰から、株価の上昇が想定されます。

JPモルガン・チェース(JPM)決算分析と目標株価 銀行トップの株式時価総額 相対的に高いROEが魅力的
過去の業績の推移を解説し、目標株価の算出とJPモルガン・チェースへの投資についてコメントします。 会社概要 JPモルガン・チェース(JPMorgan Chase & Co.、JPM) ホ...
バンク・オブ・アメリカ(BAC)決算分析と目標株価 全米第2位の銀行 自社株買いに積極的で総還元利回りは高水準
過去の業績の推移を解説し、目標株価の算出とバンク・オブ・アメリカへの投資についてコメントします。 会社概要 バンク・オブ・アメリカ(Bank of America Corporation、BAC) ...
シティグループ(C)決算分析と目標株価 アメリカ4大銀行の1行 クレジットカード事業の収益が大きい 自社株買いに積極的
過去の業績の推移を解説し、目標株価の算出とシティグループへの投資についてコメントします。 会社概要 シティグループ(Citigroup、C) ホームページ(SECファイル):リンク先 ...
タイトルとURLをコピーしました