プログレッシブ(PGR)決算分析と目標株価 インシュアテックとして注目のテレマティクス自動車保険の先駆け

プログレッシブ保険

過去の業績の推移を解説し、目標株価の算出とプログレッシブへの投資についてコメントします。

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会社概要

プログレッシブ(The Progressive Corporation、PGR)

ホームページ(SECファイル):リンク先

国:アメリカ

セクター:金融

産業グループ:保険

サブ産業グループ:動産保険・損害保険

浮動株調整後株式時価総額:560億ドル(2021年3月末、MSCI)

プログレッシブは、アメリカに本拠を置く、個人向け自動車保険を主軸とした大手損害保険会社で、テレマティクス自動車保険を最初に開発・販売した先駆けです。

年齢や性別などを基準にして保険料を決める自動車保険と異なり、テレマティクス自動車保険は、GPS等を備えた車載機器を用いて運転者の運用情報を取得・分析した情報をもとに保険料を決める自動車保険で、インシュアテック(保険+IT)の1つです。

2004年の販売したテレマティクス自動車保険は、走行距離に応じて保険料が決まるPAYD型(Pay As You Drive)の商品でしたが、2011年に販売したテレマティクス自動車保険は、アクセルやブレーキ等運転行動のデータに基づき保険料の割引を行うPHYD型(Pay How You Drive)のSnapshotと呼ばれる商品で、節約志向等から市場規模が拡大しました。

保険に占めるプログレッシブの浮動株調整後株式時価総額比率は13%です。

 

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売上高の推移

FY2020(2020年1-12月期)の売上高は427億ドルと、前年度比+9.3%、過去5年間で年率+15.4%となりました。

 

正味収入保険料は、以下の通りです。

・全体:406億ドル、前年度比+8%

・個人(代理店):161億ドル、前年度比+5%

・個人(直接):172億ドル、前年度比+9%

・商業:53億ドル、前年度比+11%

・不動産:19億ドル、前年度比+13%

 

セグメント別の正味収入保険料構成比は、個人(代理店)が40%、個人(直接)が42%を占めます。

 

投資利息等収入は9.4億ドル(前年度比▲10.1%)、利回りは2.39%となりました。

 

コンバインド・レシオの推移

コンバインド・レシオ(保険料収入に対する支払保険金等の割合である損害率+保険料収入に対する保険引受に係る経費等の割合である事業費率)の推移は、以下の通りです。

 

個人(代理店)のコンバインド・レシオの推移は、以下の通りです。

 

個人(直接)のコンバインド・レシオの推移は、以下の通りです。

 

商業のコンバインド・レシオの推移は、以下の通りです。

 

不動産のコンバインド・レシオの推移は、以下の通りです。

 

利益の推移

FY2020の純利益は57億ドル(前年度比+43.7%)、EPSは9.66ドルと、前年度比+43.8%、過去5年間で年率+35.1%となりました。

 

セグメント別の税引前利益は、以下の通りです。

・個人(代理的):22億ドル、前年度比+34%

・個人(直接):21億ドル、前年度比+76%

・商業:6億ドル、前年度比+980%

・不動産:▲1億ドル、前年度比赤字転落

 

セグメント別の税引前利益構成比は、個人(代理店)が46%、個人(直接)が43%を占めます。

 

キャッシュフローの推移

FY2020の営業キャッシュフローは69億ドルと、前年度比+10.3%、過去5年間で年率+24.7%となりました。

 

株主還元(配当、自社株買い)の推移

自社株買いには消極的です。

 

(参考)過去5年間の株主還元利回り(株価は各会計年度末時点)

FY2020の益利回り(PERの逆数)は9.8%と、バリュエーション面で割安感があります。

FY2020の配当利回りは5.0%と、相対的に高水準です。

 

(参考)過去5年間の配当性向、総還元性向

過去5年間の配当性向は、60%以下となりました。

 

(参考)過去5年間のDPS(1株当たり配当金)

FY2020のDPSは4.90ドルと、前年度比+84.9%、過去5年間で年率+40.7%となりました。

 

(参考)過去5年間の発行済株式数

発行済株式数は、過去5年間で年率+0.0%となりました。

 

ROEの推移

FY2020のROEは33%と、高水準です。

 

正味経過保険料およびEPSの実績値とコンセンサスの推移

以下のグラフは、正味経過保険料のコンセンサスおよび実績値の推移となります。

過去8四半期中、1勝、6敗、1引き分けです。

 

以下のグラフは、EPSのコンセンサスおよび実績値の推移となります。

過去8四半期中、7勝、1敗です。

 

株価上昇率

FY2020(2020年1月から2020年12月末)の株価上昇率は+36.6%と、S&P500(+16.3%)を上回りました。

過去5年間(2016年1月から2020年12月末)の株価上昇率は年率+25.5%と、S&P500(年率+12.9%)を大きく上回りました。

 

競合他社(動産保険・損害保険)の株価上昇率(8766.T、8725.Tは日本円建て、その他はUSドル建て)は、以下の通りです。

プログレッシブ(PGR)の株価上昇率は、2020年の1年間で+37%と、12社平均(▲5%)を上回り、12社中第1位となりました。

2018年1月から2020年12月末の3年間では+76%と、12社平均(+9%)を上回り、12社中第1位となりました。

 

過去10年間(2011年5月から2021年4月)のドローダウン(最高値からの下落率、月末株価)の推移は、以下の通りです。

最高値から10%程度下落すると反発する傾向にあるため、その時が狙い目です。

 

(参考)株価の推移(月末株価)

通常の目盛り表示の場合、近年の株価のブレ幅(上昇もしくは下落)が過去より非常に大きいと錯覚するため、対数目盛りで表示しています。

 

BPSとPBRの推移

以下のグラフは、BPSとPBRの推移となります。

FY2020のBPSは29ドルと、前年度比+24.5%となりました。

 

目標株価

以下のグラフは、株式市場全体および11セクターのPBRと予想ROE(2020年12月末、MSCI)の散布図となります。

ROEが高いほど、PBRも高いことが言えます(決定係数は0.857と、説明力は非常に高い)。

金融セクターやエネルギーセクターは、ROEが低いためPBRの観点で割安に放置されています。

 

メインシナリオの予想ROEを25%、アップサイドシナリオの予想ROEを30%、ダウンサイドシナリオの予想ROEを15%とし、回帰式をもとに目標株価を推計しました。

メインシナリオの目標株価は168ドルとなります。

 

プログレッシブ(The Progressive Corporation、PGR)への投資について

FY2020の売上高は427億ドルと、前年度比+9.3%、過去5年間で年率+15.4%となりました。

営業キャッシュフローは69億ドルと、前年度比+10.3%、過去5年間で年率+24.7%となりました。

目標株価は168ドルのため、2021年4月末時点の株価101ドルより高い水準です。

安定した保険業界のなかでは、グロース株と言えます。

ROEは年々上昇し続け、FY2020のROEは30%超と相対的に高い水準です。

PBRは3倍代と、競合他社と比較して高いものの、ROEが非常に高いことから許容される水準です。

引き続き、テレマティクス自動車保険の市場拡大は見込まれるため、株価は一時的に低迷する可能性があったとしても、長期的な株価上昇は期待できます。

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