キーエンス(6861)決算分析と目標株価 センサ等FA総合メーカー 営業利益率5割超、海外売上高比率は過半数

情報技術

過去の業績の推移を解説し、目標株価の算出とキーエンスへの投資についてコメントします。

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会社概要

キーエンス(Keyence Corporation、6861.T)

ホームページ(有報):リンク先

国:日本

セクター:情報技術

産業グループ:テクノロジー・ハードウェアおよび機器

サブ産業グループ:電子装置・機器

株式時価総額:1,360億ドル(世界ランキング第87位、日本ランキング第3位、2020年12月末)

浮動株調整後株式時価総額:830億ドル(2021年3月末、MSCI)

キーエンスは、日本に本拠を置く、センサや測定器、画像処理機器など、ファクトリー・オートメーション(FA)に関わる商品の開発・設計・製造・販売を行う企業です。

ファクトリー・オートメーションによって、人件費の削減や、製造時間の短縮(例:センサの活用による検査工程の時間を短縮)、品質の向上などのメリットがあります。

日本株式市場で第4位の浮動株調整後株式時価総額で、電子装置・機器に占めるキーエンスの浮動株調整後株式時価総額比率は31%です。

(参考)競合他社(電子装置・機器)の株式時価総額

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売上高(地域別)の推移

FY2020(2020年4月-2021年3月期)の売上高は5,381億円と、前年度比▲2.5%、過去5年間で年率+7.2%となりました。

地域別の売上高は、以下の通りです。

・国内:2,369億円、前年度比▲9%

・海外:3,012億円、前年度比+3%

地域別の売上高構成比は、国内が44%、海外が56%を占めます。

利益の推移

FY2020の営業利益は2,768億円と、前年度比▲0.3%、過去5年間で年率+6.6%となりました。

営業利益率は51.4%と、前年度の50.3%から改善しました。

FY2020のEPSは813円と、前年度比▲0.4%、過去5年間で年率+7.5%となりました。

キャッシュフローの推移

FY2020の営業キャッシュフローは1,927億円と、前年度比▲5.3%、過去5年間で年率+12.6%となりました。

営業キャッシュフローマージン(営業キャッシュフロー/売上高)は35.8%と、前年度の36.9%から悪化しました。

FY2020のフリーキャッシュフローは1,883億円と、前年度比▲3.5%となりました。

フリーキャッシュフローマージン(フリーキャッシュフロー/売上高)は35.0%と、前年度の35.4%とほぼ同水準となりました。

株主還元(配当、自社株買い)の推移

株主還元に消極的です。

(参考)過去5年間の株主還元利回り(株価は各会計年度末時点)

FY2020の益利回り(PERの逆数)は1.6%、フリーキャッシュフロー利回りは1.5%です。

FY2020の配当利回りは0.4%です。

(参考)過去5年間の配当性向、総還元性向

過去5年間の配当性向は、30%を下回りました。

(参考)過去5年間のDPS(1株当たり配当金)

FY2020のDPSは200円と、前年度比+33.3%、過去3年間で年率+58.7%となりました。

FY2021のDPSは200円(前年度比+0.0%)の予定です。

(参考)過去5年間の発行済株式数

発行済株式数は、ほぼ横ばいです。

ROICの推移

ROIC(Return on Invested Capital、投下資本利益率)とは、企業が事業活動のために投じた資金を使ってどれだけ利益を生み出したか(投資効率)を測る指標となります。

正確な計算方法はないため、ここでは、税引後営業利益/投下資本(=運転資本+有形固定資産(リース含む)+無形固定資産+在庫+のれん)として計算しています。

少なくともWACC(加重平均資本コスト)を超えることが絶対条件と言われています。

過去5年間のROICは80%以上と、アップルやテンセント並みに非常に高い水準です。

BPSとPBRの推移

以下のグラフは、BPSとPBR(株価は会計年度末)の推移となります。

FY2020のBPSは7,887円と、前年度比+8.8%となりました。

FY2020のPBRは6.4倍です。

以下のグラフは、株式市場全体および11セクターのPBRと予想ROE(2021年3月末、MSCI)の散布図となります。

ROEが高いほど、PBRも高いことが言えます(決定係数は0.847と、説明力は非常に高い)。

金融セクターやエネルギーセクターは、ROEが低いためPBRの観点で割安に放置されています。

株価上昇率

FY2020(2020年4月から2021年3月末)の株価上昇率は+44.3%と、世界株式を投資対象とするVT ETFの上昇率(+54.9%)を下回りました。

過去5年間(2016年4月から2021年3月末)の株価上昇率は年率+26.8%と、VT ETF(年率+11.0%)を大きく上回りました。

競合他社(電子装置・機器)の株価上昇率(6861.Tは日本円建て、HEXA-B.STはスウェーデンクローナ建て、その他はUSドル建て)は、以下の通りです。

キーエンス(6861.T)の株価上昇率は、2020年の1年間で+51%と、5社平均(+47%)を上回り、5社中第2位となりました。

2018年1月から2020年12月の3年間では+84%と、5社平均(+144%)を下回り、5社中第3位となりました。

過去10年間(2011年5月から2021年4月)のドローダウン(最高値からの下落率、月末株価)の推移は、以下の通りです。

最高値から10〜15%程度下落すると反発する傾向にあるため、その時が狙い目です。

(参考)株価の推移(月末株価)

DCF法による目標株価

DCF(Discounted Cash Flow)法とは、将来に渡って生み出すキャッシュフローを割り引く(WACC、加重平均資本コスト)ことで理論価格を算出します。

以下のシナリオに基づき、フリーキャッシュフローの現在価値とネット有利子負債を合計して株主価値を算出し、株主価値を発行済株式総数で割ることで、1株あたりの株価を算出します。

なお、WACCを5.3%、金利が1%上昇した場合は6.2%と推計しました。

以下のグラフは、各シナリオのフローキャッシュフロー(億円)の推移となります。

① メインシナリオ

 フリーキャッシュフローの成長率:1年目+13%、2年目〜10年目+10%。11年目以降の永続成長率は0%。

② アップサイドシナリオ

 フリーキャッシュフローの成長率:1年目〜10年目+20%。11年目以降の永続成長率は0%。

③ ダウンサイドシナリオ

 フリーキャッシュフローの成長率:1年目+10%、2年目〜10年目+6%。11年目以降の永続成長率は0%。

メインシナリオの目標株価は33,718円となります。

キーエンス(Keyence Corporation、6861.T)への投資について

FY2020(2020年4月-2021年3月期)の売上高は5,381億円(前年度比▲2.5%)、純利益は1,973億円(前年度比▲0.4%)と、減収減益となりました。

DCF法による目標株価は33,718円のため、2021年4月末時点の株価52,520円より低い水準です。

なお、メインシナリオは、10年後の売上高が1.9倍(年率+6%)、10年後に向けてフリーキャッシュフローマージンが50%まで上昇することを想定したので、売上高またはフリーキャッシュフローマージンがさらに上向けばより高い株価上昇が期待できます。

非常に高い投資効率(ROIC)には惹かれてしまいそうですが、バリュエーションは非常に割高であり、同様に投資効率が非常に高いアップルやテンセントの方が魅力的です。

ただし、異常なほどROICが高い銘柄は、DFC法やPER、PBRといったバリュエーションはあまり意味をなさないため、これからもキーエンスの株価は上昇し続ける可能性は十分あります。

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