AT&T(T)決算分析と目標株価 売上高・利益ともにジリ貧 高配当利回りは魅力的だが、増配余地が限定的

電気通信サービス

過去の業績の推移を解説し、目標株価の算出とAT&Tへの投資についてコメントします。

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会社概要

AT&T(AT&T、T)

ホームページ(SECファイル):リンク先

国:アメリカ

セクター:コミュニケーション・サービス

産業グループ:電気通信サービス

サブ産業グループ:総合電気通信サービス

株式時価総額:2,049億ドル(世界ランキング第44位、2020年12月末)

AT&Tは、アメリカに本拠を置く、大手通信会社です。

コミュニケーション・サービスセクターで第8位(グーグル1社としてカウント)、電気通信サービスで第2位の浮動株調整後株式時価総額(2020年12月末、MSCI)で、総合電気通信サービスに占めるAT&Tの浮動株調整後株式時価総額比率は30%です。

(参考)競合他社(電気通信サービス)の株式時価総額

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売上高(セグメント別)の推移

2021Q1(2021年1−3月期)の売上高は439億ドル(前年同期比+2.7%)と、コンセンサス(427億ドル)を上回りました。

セグメント別の売上高は、以下の通りです。

・通信:282億ドル、前年同期比+5%

・ワーナーメディア:85億ドル、前年同期比+10%

・ラテンアメリカ:14億ドル、前年同期比▲14%

・その他:59億ドル、前年同期比▲12%

2021Q1の携帯電話(月額払い)の契約件数は+60万件と、コンセンサス(+27万件)を上回りました。

2021Q1の動画配信サービスであるHBOマックスとHBOの契約件数は、以下の通りです。

・全体:6,392万件、前四半期比+5%

・アメリカ:4,418万件、前四半期比+6%

・海外:1,974万件、前四半期比+3%

(参考)過去5年間の売上高

売上高は、過去5年間で年率+3.2%となりました。

利益(セグメント別)の推移

2021Q1の非GAAP EBITDAは136億ドル(前年同期比▲4.7%)、非GAAP EBITDAマージンは30.9%と、前年同期の33.3%から悪化しました。

セグメント別の非GAAP EBITDAマージンは、以下の通りです。

前四半期から携帯電話の契約件数は純増したものの、通信事業のEBITDAマージンは低下傾向にあります。

2021Q1のEPSは1.04ドルと、コンセンサス(0.55ドル)を上回りました。

非GAAP EPSは0.86ドルと、コンセンサス(0.78ドル)を上回りました。

(参考)過去5年間のEPS

キャッシュフローの推移

2021Q1(2021年1−3月期)の営業キャッシュフローは99億ドル(前年同期比+12%)、営業キャッシュフローマージン(営業キャッシュフロー/売上高)は22.6%と、前年同期の20.7%から改善しました。

2021Q1のフリーキャッシュフローは59億ドル(前年同期比+51%)、フリーキャッシュフローマージン(フリーキャッシュフロー/売上高)は13.4%と、前年同期の9.1%から改善しました。

(参考)過去5年間の営業キャッシュフロー

営業キャッシュフローは、過去5年間で年率+3.7%となりました。

(参考)過去5年間のフリーキャッシュフロー

フリーキャッシュフローは、過去5年間で年率+11.6%となりました。

株主還元(配当、自社株買い)の推移

自社株買いは、4四半期連続でほぼ実施なしです。

(参考)過去5年間の株主還元

過去5年間の株主還元額は、フリーキャッシュフローの範囲内です。

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(参考)過去5年間の株主還元利回り(株価は各会計年度末時点)

過去5年間の益利回り(PERの逆数)は大きな差がありますが、過去3年間のフリーキャッシュフロー利回りは10%超と、バリュエーション面では割安感があります。

FY2020の配当利回りは7.2%と、株価下落により上昇傾向にあります。

(参考)過去5年間の配当性向、総還元性向

キャッシュフローベースでは余裕があるものの、利益ベースの配当性向は高い水準のため、業績急拡大がない限り、高い増配率は期待できません。

(参考)過去5年間のDPS(1株当たり配当金)

FY2020のDPSは2.08ドルと、前年度比+1.5%、過去5年間では+1.9%となりました。

(参考)過去5年間の発行済株式数

ROICの推移

ROIC(Return on Invested Capital、投下資本利益率)とは、企業が事業活動のために投じた資金を使ってどれだけ利益を生み出したか(投資効率)を測る指標となります。

正確な計算方法はないため、ここでは、税引後営業利益/投下資本(=運転資本+有形固定資産(リース含む)+無形固定資産+在庫+のれん)として計算しています。

少なくともWACC(加重平均資本コスト)を超えることが絶対条件と言われています。

過去5年間のROICは概ね5%程度と、投資効率は低いです。

有利子負債の推移

FY2020の純有利子負債(有利子負債(リース含む)−現金等)は約1,730億ドルと、高水準です。

売上高およびEPSの実績値とコンセンサスの推移

以下のグラフは、売上高のコンセンサスおよび実績値の推移となります。

過去7四半期中、3勝、3敗、1引き分けです。

以下のグラフは、EPSのコンセンサスおよび実績値の推移となります。

過去7四半期中、2勝、5敗です。

以下のグラフは、非GAAP EPSのコンセンサスおよび実績値の推移となります。

過去7四半期中、5勝、1敗、1引き分けです。

株価上昇率

過去1年間(2020年4月から2021年3月末)の株価上昇率は+3.8%と、S&P500の株価上昇率+53.7%を大きく下回りました。

競合他社(電気通信サービス)の株価上昇率(NTT、SBG、KDDI、SBは日本円建て、DTE.GEはユーロ建て)は、以下の通りです。

AT&T(T)の株価上昇率は、2020年の1年間で▲26%と、11社平均(+6%)を下回り、11社中第11位となりました。

2018年1月から2020年12月の3年間では▲26%と、10社平均(+11%)を下回り、10社中第9位となりました。

株式市場全体の下落局面における株価上昇率(現地通貨建て)は、以下の通りです。

AT&Tは、下落相場に強いとは言い難く、ベライゾンの方が相対的に強いと言えます。

過去10年間(2011年4月から2021年3月)のドローダウン(最高値からの下落率、月末株価)の推移は、以下の通りです。

S&P500と比較して、ドローダウンはやや大きいです。

2016年7月の最高値から最大35%程度下落し、その後はほぼ横ばいです。

(参考)過去5年間の株価上昇率(会計年度ベース)

過去5年間(2016年1月から2020年12月末)の株価上昇率は年率▲3.5%と、S&P500(年率+12.9%)を大きく下回りました。

DCF法による目標株価

DCF(Discounted Cash Flow)法とは、将来に渡って生み出すキャッシュフローを割り引く(WACC、加重平均資本コスト)ことで理論価格を算出します。

以下のシナリオに基づき、フリーキャッシュフローの現在価値とネット有利子負債を合計して株主価値を算出し、株主価値を発行済株式総数で割ることで、1株あたりの株価を算出します。

なお、WACCを5.5%、金利が1%上昇した場合は6.4%と推計しました。

以下のグラフは、各シナリオのフローキャッシュフロー(億ドル)の推移となります。

① メインシナリオ

 フリーキャッシュフローの成長率:1年目〜4年目▲4%、5年目〜10年目▲1%。11年目以降の永続成長率は0%

② アップサイドシナリオ

 フリーキャッシュフローの成長率:1年目〜10年目+0%。11年目以降の永続成長率は0%

③ ダウンサイドシナリオ

 フリーキャッシュフローの成長率:1年目〜10年目▲4%。11年目以降の永続成長率は0%

メインシナリオの目標株価は32ドルとなります。

AT&T(AT&T、T)への投資について

2021Q1(2021年1−3月期)の売上高は439億ドル(コンセンサス427億ドル)、非GAAP EPSは0.86ドル(コンセンサス0.78ドル)と、コンセンサスを上回る実績となりました。

また、携帯電話(月額払い)契約件数は+60万件と、コンセンサス(+27万件)を上回り、ワーナーの動画配信サービスは、アメリカで順調に拡大しています。

FY2021のガイダンスは、以下の通りです。

・売上高:+1%程度

・非GAAP EPS:FY2020並み

・フリーキャッシュフロー:260億ドル程度

DCF法による目標株価は32ドルのため、2021年3月末時点の株価30ドルとほぼ同水準です。

なお、メインシナリオは、10年後の売上高が0.92倍(年率▲0.8%)、10年後に向けてフリーキャッシュフローマージンが14%まで低下することを想定したので、売上高またはフリーキャッシュフローマージンがさらに上向けばより高い株価上昇が期待できます。

競争が激しいことに加え、巨大な設備投資が必要にも関わらず、売上高の成長が乏しいことから、大幅な株価上昇は期待できません。

配当利回りは7%程度と非常に高い点は魅力的ですが、増配の余地は限定的です。

ベライゾンと異なり、株式市場が急落した局面では市場全体に劣後する可能性があり、現時点では高い配当利回り以外に投資したいと思う要素はないです。

ベライゾンの方が魅力的です。

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