ベライゾン(VZ)決算分析と目標株価 業績拡大は期待できないが、配当利回りが比較的高く、株式市場の下落相場に強い

ベライゾン電気通信サービス

過去の業績の推移を解説し、目標株価の算出とベライゾンへの投資についてコメントします。

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会社概要

ベライゾン・コミュニケーションズ(Verizon Communications、VZ)

ホームページ(SECファイル):リンク先

国:アメリカ

セクター:コミュニケーション・サービス

産業グループ:電気通信サービス

サブ産業グループ:総合電気通信サービス

株式時価総額:2,181億ドル(世界ランキング第54位、2021年12月末)

ベライゾンは、アメリカに本拠を置く、通信やエンターテインメントを提供する、アメリカ最大の通信会社です。

2015年にAOL、2017年にヤフーを買収しましたが、2021年にヤフーやAOLを含むメディア事業を50億ドルで売却し、当該メディア事業(ヤフーへ名称変更)の株式10%を保有しています。

(参考)競合他社(電気通信サービス)の株式時価総額(2021年12月末)

 株式時価総額
ベライゾン(VZ)2,181億ドル
AT&T(T)1,757億ドル
TモバイルUS(TMUS)1,449億ドル
チャイナ・モバイル(0941.HK)1,229億ドル
NTT(9432.T)947億ドル
ドイツ・テレコム(DTE.GE)923億ドル
ソフトバンクグループ(9984.T)822億ドル
アメリカ・モービル(AMX)683億ドル
KDDI(9433.T)656億ドル
ソフトバンク(9434.T)596億ドル
BCE(BCE)473億ドル
ボーダフォン・グループ(VOD)406億ドル

 

売上高(セグメント別)の推移

FY2021(2021年1-12月期)の売上高は1,336億ドルと、前年度比+4.1%、過去5年間で年率+1.2%となりました。

 

2021Q4(2021年10−12月期)の売上高は341億ドル(前年同期比▲1.8%)と、コンセンサス(340億ドル)を上回りました。

 

2021Q4の無線通信(月額払い)契約件数の純増数は+105.8万件と、コンセンサス(+97.8万件)を上回りました。

 

セグメント別の売上高は、以下の通りです。

・消費者向けサービス:176億ドル、前年同期比+7%

・消費者向け携帯機器:63億ドル、前年同期比+15%

・消費者向けその他:18億ドル、前年同期比▲11%

・企業向け:78億ドル、前年同期比▲3%

セグメント別の売上高構成比は、消費者向けサービスが52%、企業向けが23%を占めます。

 

利益(セグメント別)の推移

FY2021の非GAAP EBITDAは484億ドルと、前年度比+2.8%、過去3年間で年率+0.7%となりました。

非GAAP EBITDAマージンは36.2%と、前年度の36.7%から悪化しました。

 

2021Q4の非GAAP EBITDAは118億ドル(前年同期比+0.3%)となりました。

 

セグメント別の非GAAP EBITDAマージンは、以下の通りです。

 

FY2021の非GAAP EPSは5.39ドルと、前年度比+10.0%、過去3年間で年率+4.6%となりました。

 

2021Q4の非GAAP EPSは1.31ドル(前年同期比+8.3%)と、コンセンサス(1.28ドル)を上回りました。

 

キャッシュフローの推移

FY2021の営業キャッシュフローは395億ドルと、前年度比▲5.3%、過去5年間で年率+11.7%となりました。

営業キャッシュフローマージン(営業キャッシュフロー/売上高)は29.6%と、前年度の32.6%から悪化しました。

 

2021Q4の営業キャッシュフローは84億ドル(前年同期比▲9.9%)となりました。

 

FY2021のフリーキャッシュフローは193億ドルと、前年度比▲18.3%、過去5年間で年率+30.3%となりました。

フリーキャッシュフローマージン(フリーキャッシュフロー/売上高)は14.4%と、前年度の18.4%から悪化しました。

 

2021Q4のフリーキャッシュフローは20億ドル(前年同期比▲63.0%)となりました。

 

株主還元(配当、自社株買い)の推移

自社株買いの実施はなしです。

 

(参考)過去5年間の株主還元利回り(株価は各会計年度末時点)

FY2021の益利回り(PERの逆数)は10.2%、フリーキャッシュフロー利回りは8.9%と、バリュエーション面では割安感があります。

過去5年間の配当利回りは4〜5%です。

 

(参考)過去5年間の配当性向、総還元性向

過去5年間の配当性向は、利益ベースでは30〜60%程度です。

 

(参考)過去5年間のDPS(1株当たり配当金)

FY2021のDPSは2.54ドルと、前年度比+2.0%、過去5年間で+2.1%となりました。

 

(参考)過去5年間の発行済株式数

発行済株式数は、過去5年間で年率+0.3%となりました。

 

ROICの推移

ROIC(Return on Invested Capital、投下資本利益率)とは、企業が事業活動のために投じた資金を使ってどれだけ利益を生み出したか(投資効率)を測る指標となります。

正確な計算方法はないため、ここでは、税引後営業利益/投下資本(=運転資本+有形固定資産(リース含む)+無形固定資産+在庫+のれん)として計算しています。

少なくともWACC(加重平均資本コスト)を超えることが絶対条件と言われています。

過去5年間のROICは概ね10%程度と高くない水準ですが、AT&Tと比較すると投資効率は高いです。

 

有利子負債の推移

FY2021の有利子負債(リース含む)は約1,800億ドルと、高水準です。

 

売上高およびEPSの実績値とコンセンサスの推移

売上高の実績値(コンセンサス比)は、過去10四半期中、7勝、3敗です。

非GAAP EPSの実績値(コンセンサス比)は、過去10四半期中、9勝、1敗です。

 
売上高(億ドル)非GAAP EPS(ドル)
実績値コンセンサス勝敗実績値コンセンサス勝敗
2019Q33293271.251.24
2019Q43483461.131.15×
2020Q1316324×1.261.22
2020Q23043001.181.15
2020Q3315316×1.251.22
2020Q43473451.211.17
2021Q13293251.311.29
2021Q23383271.371.30
2021Q3329332×1.411.36
2021Q43413401.311.28

 

株価上昇率

FY2021の株価上昇率は▲11.6%と、S&P500(+26.9%)を下回りました。

過去5年間(2017年1月から2021年12月末)の株価上昇率は年率▲0.5%と、S&P500(年率+16.3%)を大きく下回りました。

 

2021Q4の株価上昇率は▲3.8%と、S&P500(+10.6%)を下回りました。

 

競合他社(電気通信サービス)の株価上昇率(9432.T、9984.T、9433.T、9434.Tは日本円建て、0941.HKは香港ドル建て、DTE.GEはユーロ建て)は、以下の通りです。

ベライゾン(VZ)の株価上昇率は、2021年の1年間で▲12%と、12社平均(+3%)を下回り、12社中第9位となりました。

2019年1月から2021年12月の3年間では▲8%と、11社平均(+19%)を下回り、11社中第8位となりました。

 

株式市場全体の下落局面における株価上昇率(現地通貨建て)は、以下の通りです。

ベライゾンは、比較的下落相場に強いと言えます。

 

過去10年間(2012年2月から2022年1月)のドローダウン(最高値からの下落率、月末株価)の推移は、以下の通りです。

コロナショック等S&P500が大きく下落した局面では、下落率が抑制されていますが、ドローダウンからの全回復が遅いです。

最高値から10〜15%程度下落すると反発する傾向にありますが、急反発はしないので、投資する場合は株価を気にせず長期保有が良さそうです。

 

(参考)株価の推移(月末株価)

通常の目盛り表示の場合、近年の株価のブレ幅(上昇もしくは下落)が過去より非常に大きいと錯覚するため、対数目盛りで表示しています。

これまで60ドル前半で上値が抑えられていたので、再度60ドルを超えられるかどうか注目でしたが、株価がトレンドラインを大きく下回ってしまいました。

 

DCF法による目標株価

DCF(Discounted Cash Flow)法とは、将来に渡って生み出すキャッシュフローを割り引く(WACC、加重平均資本コスト)ことで理論価格を算出します。

以下のシナリオに基づき、フリーキャッシュフローの現在価値とネット有利子負債を合計して株主価値を算出し、株主価値を発行済株式総数で割ることで、1株あたりの株価を算出します。

なお、WACCを4.3%と推計しました。

以下のグラフは、各シナリオのフローキャッシュフロー(億ドル)の推移となります。

① メインシナリオ

 フリーキャッシュフローの成長率:1年目〜10年目+0%。11年目以降の永続成長率は0%

② アップサイドシナリオ

 フリーキャッシュフローの成長率:1年目〜3年目+3%、4年目〜10年目+0%。11年目以降の永続成長率は0%

③ ダウンサイドシナリオ

 フリーキャッシュフローの成長率:1年目〜10年目▲1%。11年目以降の永続成長率は0%

メインシナリオの目標株価は56ドルとなります。

・メインシナリオ:56ドル

・アップサイドシナリオ:65ドル

・ダウンサイドシナリオ:48ドル

ベライゾン・コミュニケーションズ(Verizon Communications、VZ)への投資について

2021Q4(2021年10−12月期)の売上高は341億ドル(コンセンサス340億ドル)、非GAAP EPSは1.31ドル(コンセンサス1.28ドル)と、コンセンサスを上回る実績となりました。

また、無線通信(月額払い)契約件数の純増数は+105.8万件と、コンセンサス(+97.8万件)を上回りました。

FY2022のガイダンスは、以下の通りです。

・ワイヤレスサービスの売上高:+9.0〜10%

・非GAAP EPS:5.40〜5.55ドル(コンセンサス5.39ドル)

DCF法による目標株価は56ドルのため、2022年1月末時点の株価53ドルとほぼ同水準です。

なお、メインシナリオは、10年後の売上高が1.0倍(年率+0%)、フリーキャッシュフローマージンが横ばいで推移することを想定したので、売上高またはフリーキャッシュフローマージンがさらに上向けばより高い株価上昇が期待できます。

競争が激しいことに加え、巨大な設備投資が必要にも関わらず、売上高の成長が乏しいことから、市場平均を上回る株価上昇は期待できません。

過去の株価上昇率は市場全体に劣後しましたが、配当利回りは4%超と高く、わずかとは言え増配(2%程度)もあり、株式市場が急落した局面では市場全体をアウトパフォームしやすいことから、債券(クレジット)代替として考えれば悪くなさそうです。

AT&Tよりは魅力的ですが、配当重視であれば日本の大手通信会社で十分とい考えに変更なしです。

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