ベライゾン(VZ)決算分析と目標株価 業績拡大は期待できないが、配当利回りが比較的高く、株式市場の下落相場に強い

電気通信サービス

過去の業績の推移を解説し、目標株価の算出とベライゾンへの投資についてコメントします。

スポンサーリンク

会社概要

ベライゾン・コミュニケーションズ(Verizon Communications、VZ)

ホームページ(SECファイル):リンク先

国:アメリカ

セクター:コミュニケーション・サービス

産業グループ:電気通信サービス

サブ産業グループ:総合電気通信サービス

株式時価総額:2,431億ドル(世界ランキング第30位、2020年12月末)

ベライゾンは、アメリカに本拠を置く、通信やエンターテインメントを提供する企業です。

コミュニケーション・サービスセクターで第6位(グーグル1社としてカウント)、電気通信サービスで第1位の浮動株調整後株式時価総額(2020年12月末、MSCI)で、総合電気通信サービスに占めるベライゾンの浮動株調整後株式時価総額比率は36%です。

(参考)競合他社(電気通信サービス)の株式時価総額

アメリカ株の時価総額ランキング、リターン、配当利回り、PBR、予想PER、ROEの推移
世界の株式市場における国別構成比率以下のグラフは、世界の株式市場(浮動株調整後株式時価総額)における各国の構成比率(2021年3月末、MSCI)となります。アメリカは、第1位(57.8%)です。アメ...
コミュニケーション・サービスセクターの株式時価総額ランキング、リターン、配当利回り、PBR、PER、ROEの推移
世界の株式市場におけるセクター構成比率以下のグラフは、世界の株式市場における各セクターの構成比率(2021年3月末、MSCI)となります。コミュニケーション・サービスセクターは、第6位(9.4%)です。...

売上高(セグメント別)の推移

2021Q1(2021年1−3月期)の売上高は329億ドル(前年同期比+4.0%)と、コンセンサス(325億ドル)を上回りました。

2021Q1の携帯電話(月額払い)の契約件数は▲17.8万件と、コンセンサス(▲4.2万件)を下回りました。

セグメント別の売上高は、以下の通りです。

・消費者向けサービス:166億ドル、前年同期比+1.4%

・消費者向け携帯機器:42億ドル、前年同期比+24.1%

・消費者向けその他:20億ドル、前年同期比▲0.5%

・企業向け:78億ドル、前年同期比+1.3%

セグメント別の売上高構成比は、消費者向けサービスが54%、企業向けが25%を占めます。

(参考)過去5年間の売上高

売上高は、過去5年間で年率▲0.5%となりました。

利益(セグメント別)の推移

2021Q1(2021年1−3月期)の非GAAP EBITDAは122億ドル(前年同期比+2.0%)、非GAAP EBITDAマージンは37.0%と、前年同期の37.7%から悪化しました。

セグメント別の非GAAP EBITDAマージンは、以下の通りです。

2020Q4のEPSは1.27ドル(前年同期比+27.0%)と、コンセンサス(1.28ドル)を下回りました。

非GAAP EPSは1.31ドル(前年同期比+4.0%)と、コンセンサス(1.29ドル)を上回りました。

(参考)過去5年間のEPS

キャッシュフローの推移

2021Q1(2021年1−3月期)の営業キャッシュフローは97億ドル(前年同期比+9.9%)、営業キャッシュフローマージン(営業キャッシュフロー/売上高)は29.5%と、前年同期の27.9%から改善しました。

(参考)過去5年間の営業キャッッシュフロー

営業キャッシュフローは、過去5年間で年率+1.4%となりました。

(参考)過去5年間のフリーキャッッシュフロー

フリーキャッシュフローは、過去5年間で年率+13.9%となりました。

株主還元(配当、自社株買い)の推移

自社株買いの実施はなしです。

(参考)過去5年間の株主還元利回り(株価は各会計年度末時点)

FY2020の益利回り(PERの逆数)は7.3%、フリーキャッシュフロー利回りは8.8%と、バリュエーション面では割安感があります。

過去5年間の配当利回りは4%前半です。

(参考)過去5年間の配当性向、総還元性向

過去5年間の配当性向は、利益ベースでは100%を下回りました。

(参考)過去5年間のDPS(1株当たり配当金)

FY2020のDPSは2.49ドルと、前年度比+2.1%、過去5年間では+2.2%となりました。

(参考)過去5年間の発行済株式数

発行済株式数は、過去5年間で年率+0.2%となりました。

ROICの推移

ROIC(Return on Invested Capital、投下資本利益率)とは、企業が事業活動のために投じた資金を使ってどれだけ利益を生み出したか(投資効率)を測る指標となります。

正確な計算方法はないため、ここでは、税引後営業利益/投下資本(=運転資本+有形固定資産(リース含む)+無形固定資産+在庫+のれん)として計算しています。

少なくともWACC(加重平均資本コスト)を超えることが絶対条件と言われています。

過去5年間のROICは概ね10%程度と、AT&Tと比較すると投資効率は高いです。

有利子負債の推移

FY2020の純有利子負債(有利子負債(リース含む)−現金等)は約1,270億ドルと、高水準です。

2021Q1の有利子負債は、さらに約300億ドル増加(ライセンス取得に447億ドル)しています。

売上高およびEPSの実績値とコンセンサスの推移

以下のグラフは、売上高のコンセンサスおよび実績値の推移となります。

過去7四半期中、5勝、2敗です。

以下のグラフは、EPSのコンセンサスおよび実績値の推移となります。

過去7四半期中、2勝、5敗です。

以下のグラフは、非GAAP EPSのコンセンサスおよび実績値の推移となります。

過去7四半期中、6勝、1敗です。

株価上昇率

過去1年間(2020年4月から2021年3月末)の株価上昇率は+8.2%と、S&P500の株価上昇率+53.7%を下回りました。

競合他社(電気通信サービス)の株価上昇率(NTT、SBG、KDDI、SBは日本円建て、DTE.GEはユーロ建て)は、以下の通りです。

ベライゾン(VZ)の株価上昇率は、2020年の1年間で▲4%と、11社平均(+6%)を下回り、11社中第5位となりました。

2018年1月から2020年12月の3年間では+11%と、10社平均(+11%)と同水準で、10社中第3位となりました。

株式市場全体の下落局面における株価上昇率(現地通貨建て)は、以下の通りです。

ベライゾンは、比較的下落相場に強いと言えます。

過去10年間(2011年4月から2021年3月)のドローダウン(最高値からの下落率、月末株価)の推移は、以下の通りです。

コロナショック等S&P500が大きく下落した局面では、下落率が抑制されていますが、ドローダウンからの全回復が遅いです。

最高値から10%程度下落すると反発する傾向にありますが、急反発はしないので、投資する場合は長期保有が良さそうです。

(参考)過去5年間の株価上昇率(会計年度ベース)

過去5年間(2016年1月から2020年12月末)の株価上昇率は年率+4.9%と、S&P500(年率+12.9%)を下回りました。

DCF法による目標株価

DCF(Discounted Cash Flow)法とは、将来に渡って生み出すキャッシュフローを割り引く(WACC、加重平均資本コスト)ことで理論価格を算出します。

以下のシナリオに基づき、フリーキャッシュフローの現在価値とネット有利子負債を合計して株主価値を算出し、株主価値を発行済株式総数で割ることで、1株あたりの株価を算出します。

なお、WACCを4.3%、金利が1%上昇した場合は5.1%と推計しました。

以下のグラフは、各シナリオのフローキャッシュフロー(億ドル)の推移となります。

① メインシナリオ

 フリーキャッシュフローの成長率:1年目▲20%、2年目〜10年目+0%。11年目以降の永続成長率は0%

② アップサイドシナリオ

 フリーキャッシュフローの成長率:1年目▲20%、2年目〜10年目+1%。11年目以降の永続成長率は0%

③ ダウンサイドシナリオ

 フリーキャッシュフローの成長率:1年目▲20%、2年目〜10年目▲1%。11年目以降の永続成長率は0%

メインシナリオの目標株価は60ドルとなります。

ベライゾン・コミュニケーションズ(Verizon Communications、VZ)への投資について

2021Q1(2021年1−3月期)の売上高は329億ドル(コンセンサス325億ドル)、非GAAP EPSは1.31ドル(コンセンサス1.29ドル)と、コンセンサスを上回る実績となりました。

ただし、携帯電話(月額払い)の契約件数は▲17.8万件と、コンセンサス(▲4.2万件)を下回りました。

FY2021のガイダンスは、前四半期と同様、以下の通りです。

・サービス等の売上高:+2%〜

 ワイヤレスサービスの売上高:+3%〜

・非GAAP EPS:5.00〜5.15ドル

DCF法による目標株価は60ドルのため、2021年3月末時点の株価58ドルとほぼ同水準です。

なお、メインシナリオは、10年後の売上高が1.0倍(年率+0%)、10年後に向けてフリーキャッシュフローマージンが13%(FY2019:13%)まで低下することを想定したので、売上高またはフリーキャッシュフローマージンがさらに上向けばより高い株価上昇が期待できます。

競争が激しいことに加え、巨大な設備投資が必要にも関わらず、売上高の成長が乏しいことから、大幅な株価上昇は期待できません。

過去の株価上昇率は市場全体に劣後しましたが、配当利回りは4%超と高く、わずかとは言え増配(2%程度)もあり、株式市場が急落した局面では市場全体をアウトパフォームしやすいことから、債券(クレジット)代替として考えれば悪くなさそうです。

AT&Tよりは魅力的です。

AT&T(T)決算分析と目標株価 売上高・利益ともにジリ貧 高配当利回りは魅力的だが、増配余地が限定的
過去の業績の推移を解説し、目標株価の算出とAT&Tへの投資についてコメントします。会社概要AT&T(AT&T、T)ホームページ(SECファイル):リンク先国:アメリカセクター...
NTT(9432)決算分析と目標株価 子会社ドコモの業績は好調 金融/決済取扱高は7兆円(+31%)
過去の業績の推移を解説し、目標株価の算出とNTTへの投資についてコメントします。会社概要日本電信電話(Nippon Telegram and Telephone Corporation、9432.T)ホームページ(...
KDDI(9433)決算分析と目標株価 決済/金融取扱高は9兆円(+38%)を突破 au経済圏拡大中
過去の業績の推移を解説し、目標株価の算出とKDDIへの投資についてコメントします。会社概要KDDI(KDDI Corporation、9433.T)ホームページ(有報):リンク先国:日本セクター:コ...
ソフトバンク(9434)決算分析と目標株価 Paypay決済取扱高は3兆円超 eコマース取扱高も3兆円を突破
過去の業績の推移を解説し、目標株価の算出とソフトバンクへの投資についてコメントします。会社概要ソフトバンク(SoftBank Corp.、9434.T)ホームページ(有報):リンク先国:日本セクター...
タイトルとURLをコピーしました