NTT(9432)決算分析と目標株価 子会社ドコモの業績は好調 金融/決済取扱高は7兆円(+31%)

NTT電気通信サービス

過去の業績の推移を解説し、目標株価の算出とNTTへの投資についてコメントします。

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会社概要

日本電信電話(Nippon Telegram and Telephone Corporation、9432.T)

ホームページ(有報):リンク先

国:日本

セクター:コミュニケーション・サービス

産業グループ:電気通信サービス

サブ産業グループ:総合電気通信サービス

株式時価総額:10.3兆円(日本ランキング第5位、2020年12月末)

NTTは、日本に本拠を置く、移動通信事業(NTTドコモ等)、地域通信事業(NTT東日本、NTT西日本等)、長距離/国際通信事業(NTTコミュニケーションズ等)、データ通信事業(NTTデータ等)、その他(不動産、金融、電力等)の事業を展開する、NTTグループの持株会社です。

2020年12月にNTTドコモを完全子会社化しました。

なお、NTTは、浮動株比率が低い(大株主は、財務大臣34%超)ため、浮動株ベースで算出される株式指数(インデックス)の時価総額は、通常の株式時価総額と比較して小さくなります。

(参考)競合他社(電気通信サービス)の株式時価総額(2021年6月末)

 株式時価総額
(億ドル)
ベライゾン(VZ)2,320
AT&T(T)2,063
TモバイルUS(TMUS)1,806
ソフトバンクグループ(9984.T)1,195
チャイナ・モバイル(0941.HK)1,280
ドイツ・テレコム(DTE.GE)1,010
NTT(9432.T)952
KDDI(9433.T)703
ソフトバンク(9434.T)614
ボーダフォン・グループ(VOD)477
アメリカ・モービル(AMX)497
BCE(BCE)448

売上高(セグメント別)の推移

FY2020(2020年4月-2021年3月期)の売上高は11兆9,440億円と、前年度比+0.4%、過去5年間で年率+0.7%となりました。

 

セグメント別の売上高は、以下の通りです。

・移動通信:4兆7,252億円、前年度比+2%

・地域通信:3兆2,074億円、前年度比+4%

・長距離/国際通信:2兆0,656億円、前年度比▲6%

・データ通信:2兆3,187億円、前年度比+2%

・その他:1兆4,671億円、前年度比▲8%

 

セグメント別の売上高構成比は、移動通信が34%、地域通信が23%、長距離/国際通信が15%、データ通信が17%を占めます。

 

2021年3月末の固定ブロードバンド契約数は2,256万(前年度比+4%)、携帯電話契約数は8,263万(前年度比+3%)、うち5G契約数は309万となりました。

 

FY2020の海外売上高は186億ドル(前年度比▲4%)、海外営業利益率は3.0%となりました。

 

ドコモの業績

FY2020の売上高は4兆7,252億円(前年度比+2%)、営業利益は9,132億円(前年度比+7%)、純利益は6,290億円(前年度比+6%)となりました。

 

セグメント別の売上高は、以下の通りです。

・通信:3兆6,843億円、前年度比+0%

・スマートライフ:1兆0,815億円、前年度比+8%

 

セグメント別の営業利益率は、以下の通りです。

 

2021年3月末のdカード契約数は1,437万(前年度比+11%)、dカードGoldは797万(前年度比+16%)、d払いユーザー数は3,523万(前年度比+39%)となりました。

 

FY2020の決済/金融取扱高は6.98兆円(前年度比+31%)、dカード取扱高は5.25兆円(前年度比+27%)、d払い取扱高は0.81兆円(前年度比+103%)となりました。

 

利益(セグメント別)の推移

FY2020の営業利益は1兆6,714億円と、前年度比+7.0%、過去5年間で年率+4.4%となりました。

営業利益率は14.0%と、前年度の13.1%から改善しました。

 

FY2020のEBITDAは3兆1,116億円と、前年度比+4.8%、過去5年間で年率▲1.0%となりました。

 

セグメント別の営業利益率は、以下の通りです。

 

FY2020のEPSは248円と、前年度比+7.3%、過去5年間で年率+7.2%となりました。

 

キャッシュフローの推移

FY2020の営業キャッシュフローは3兆0,091億円と、前年度比+0.5%、過去5年間で年率+2.1%となりました。

営業キャッシュフローマージン(営業キャッシュフロー/売上高)は25.2%と、前年度の25.2%とほぼ同水準となりました。

 

FY2020のフリーキャッシュフローは1兆2,139億円と、前年度比+6.6%、過去5年間で年率+2.5%となりました。

フリーキャッシュフローマージン(フリーキャッシュフロー/売上高)は10.2%と、前年度の9.6%から改善しました。

 

株主還元(配当、自社株買い)の推移

自社株買いに積極的です。

 

(参考)過去5年間の株主還元利回り(株価は各会計年度末時点)

FY2020の益利回り(PERの逆数)は8.7%、フリーキャッシュフロー利回りは11.6%と、バリュエーション面で割安感があります。

FY2020の配当利回りは3.7%です。

 

(参考)過去5年間の配当性向、総還元性向

過去5年間の配当性向は、利益・キャッシュフローベースともに、50%を下回りました。

 

(参考)過去5年間のDPS(1株当たり配当金)

FY2020のDPSは105円と、前年度比+10.5%、過去5年間で年率+13.8%となりました。

FY2021のDPSは110円(前年度比+4.8%)の予定です。

 

(参考)過去5年間の発行済株式数

発行済株式数は、過去5年間で年率▲2.6%となりました。

 

ROICの推移

ROIC(Return on Invested Capital、投下資本利益率)とは、企業が事業活動のために投じた資金を使ってどれだけ利益を生み出したか(投資効率)を測る指標となります。

正確な計算方法はないため、ここでは、税引後営業利益/投下資本(=運転資本+有形固定資産(リース含む)+無形固定資産+在庫+のれん)として計算しています。

少なくともWACC(加重平均資本コスト)を超えることが絶対条件と言われています。

過去5年間のROICは8%程度です。

 

BPSとPBRの推移

以下のグラフは、BPSとPBR(株価は会計年度末)の推移となります。

FY2020のBPSは2,088円と、前年度比▲16.2%となりました。

FY2020のPBRは1.4倍です。

 

以下のグラフは、株式市場全体および11セクターのPBRと予想ROE(2021年3月末、MSCI)の散布図となります。

ROEが高いほど、PBRも高いことが言えます(決定係数は0.847と、説明力は非常に高い)。

金融セクターやエネルギーセクターは、ROEが低いためPBRの観点で割安に放置されています。

 

株価上昇率

FY2020(2020年4月から2021年3月末)の株価上昇率は+10.3%と、世界株式を投資対象とするVT ETFの上昇率(+54.9%)を下回りました。

過去5年間(2016年4月から2021年3月末)の株価上昇率は年率+3.2%と、VT ETF(年率+11.0%)を大きく下回りました。

 

競合他社(電気通信サービス)の株価上昇率(9984.T、9432.T、9433.T、9434.Tは日本円建て、0941.HKは香港ドル建て、DTE.GEはユーロ建て)は、以下の通りです。

NTT(9432.T)の株価上昇率は、2020年の1年間で▲4%と、12社平均(+2%)を下回り、12社中第4位となりました。

2018年1月から2020年12月の3年間では▲0%と、11社平均(+6%)を下回り、11社中第6位となりました。

 

過去10年間(2011年5月から2021年4月)のドローダウン(最高値からの下落率、月末株価)の推移は、以下の通りです。

わかりくいですが、株式市場が急落する局面ではドローダウンは小さいです。

 

(参考)株価の推移(月末株価)

通常の目盛り表示の場合、近年の株価のブレ幅(上昇もしくは下落)が過去より非常に大きいと錯覚するため、対数目盛りで表示しています。

2016年以降、株価はほぼ横ばいで推移しており、横ばいゾーンを上抜けると株価急騰が期待できます。

 

DCF法による目標株価

DCF(Discounted Cash Flow)法とは、将来に渡って生み出すキャッシュフローを割り引く(WACC、加重平均資本コスト)ことで理論価格を算出します。

以下のシナリオに基づき、フリーキャッシュフローの現在価値とネット有利子負債を合計して株主価値を算出し、株主価値を発行済株式総数で割ることで、1株あたりの株価を算出します。

なお、WACCを4.4%、金利が1%上昇した場合は5.3%と推計しました。

以下のグラフは、各シナリオのフローキャッシュフロー(億円)の推移となります。

① メインシナリオ

 フリーキャッシュフローの成長率:1年目〜10年目▲1%。11年目以降の永続成長率は0%。

② アップサイドシナリオ

 フリーキャッシュフローの成長率:1年目〜10年目+1%。11年目以降の永続成長率は0%。

③ ダウンサイドシナリオ

 フリーキャッシュフローの成長率:1年目〜10年目▲5%。11年目以降の永続成長率は0%。

メインシナリオの目標株価は4,576円となります。

 

日本電信電話(Nippon Telegram and Telephone Corporation、9432.T)への投資について

FY2020(2020年4月-2021年3月期)の売上高は11兆9,440億円(前年度比+0.4%)、営業利益は1兆6,714億円(前年度比+7.0%)、純利益は9,162億円(前年度比+7.1%)と、増収増益となりました。

FY2021のガイダンスは、以下の通りです。

・売上高:12兆円

・営業利益:1兆7,300億円

・純利益:1兆0,850億円

DCF法による目標株価は4,576円のため、2021年4月末時点の株価2,755円より高い水準です。

なお、メインシナリオは、10年後の売上高が1.1倍(年率+1%)、10年後に向けてフリーキャッシュフローマージンが8%まで低下することを想定したので、売上高またはフリーキャッシュフローマージンがさらに上向けばより高い株価上昇が期待できます。

ROEとPBRの関係による目標株価は、ROEが9%とした場合、3,067円となります。

通信事業会社へ投資したいのであれば、ベライゾンやAT&Tではなく、為替リスクを負わず、配当利回りも悪くないNTT等で十分な気がします。

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