ブラックロック(BLK)決算分析と目標株価 世界最大の資産運用会社 AUM(運用受託残高)は9兆ドルを突破

ブラックロック各種金融

過去の業績の推移を解説し、目標株価の算出とブラックロックへの投資についてコメントします。

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会社概要

ブラックロック(Blackrock Inc.、BLK)

ホームページ(SECファイル):リンク先

国:アメリカ

セクター:金融

産業グループ:各種金融

サブ産業グループ:資産運用会社・資産管理銀行

浮動株調整後株式時価総額:1,150億ドル(2021年3月末、MSCI)

ブラックロックは、アメリカに本拠を置く、世界最大の資産運用会社です。

金融セクターの各種金融で第2位の浮動株調整後株式時価総額で、資産運用会社・資産管理銀行に占めるブラックロックの浮動株調整後株式時価総額比率は22%です。

(参考)競合他社(資産運用会社・資産管理銀行)の株式時価総額

 

売上高(セグメント別、地域別)の推移

FY2020(2020年1-12月期)の売上高は162億ドルと、前年度比+11.5%、過去5年間で年率+6.5%となりました。

 

2021Q1(2021年1月-2021年3月期)の売上高は44.0億ドル(前年同期比+18.5%)と、コンセンサス(43.4億ドル)を上回りました。

 

2021年3月末のAUMは9.01兆ドルと、前四半期比+4%となりました。

前四半期比増減分(+0.33兆ドル)のうち、純流出入額が+0.17兆ドルとなりました。

 

AUM(会計年度末)は、過去5年間で年率+13.3%となりました。

 

以下のグラフは、過去5年間のAUM増減額の要因となります。

 

商品別のAUM構成比は、アクティブが26%、インデックスが35%、ETFが31%を占めます。

 

地域別のAUM構成比は、アメリカ大陸が65%、欧州/中東/アフリカが28%、アジアパシフィックが7%を占めます。

 

利益の推移

FY2020の営業利益は57億ドル(前年同期比+2.6%)、営業利益率は35.1%と、前年度の38.2%から悪化しました。

 

FY2020のEPSは31.85ドルと、前年度比+12.0%、過去5年間で年率+10.0%となりました。

非GAAP EPSは33.82ドルと、前年度比+18.8%、過去5年間で年率+11.5%となりました。

 

キャッシュフローの推移

FY2020の営業キャッシュフローは37億ドルと、前年度比+29.8%、過去5年間で年率+4.5%となりました。

営業キャッシュフローマージン(営業キャッシュフロー/売上高)は23.1%と、前年度の19.8%から改善しました。

 

FY2020のフリーキャッシュフローは35億ドルと、前年度比+34.9%、過去5年間で年率+5.0%となりました。

フリーキャッシュフローマージン(フリーキャッシュフロー/売上高)は21.9%と、前年度の18.1%から改善しました。

 

株主還元(配当、自社株買い)の推移

自社株買いに積極的です。

 

(参考)過去5年間の株主還元利回り(株価は各会計年度末時点)

FY2020の益利回り(PERの逆数)は4.4%、フリーキャッシュフロー利回りは3.2%です。

過去5年間の総還元利回りは3%超です。

 

(参考)過去5年間の配当性向、総還元性向

過去5年間の配当性向は、利益・キャッシュフローベースともに100%を下回りました。

 

(参考)過去5年間のDPS(1株当たり配当金)

FY2020のDPSは14.52ドルと、前年度比+10.0%、過去5年間では年率+10.7%となりました。

なお、FY2021のDPSは16.52ドルと、前年度+14%の予定です。

 

(参考)過去5年間の発行済株式数

発行済株式数は、過去5年間で年率▲1.7%となりました。

 

ROICの推移

ROIC(Return on Invested Capital、投下資本利益率)とは、企業が事業活動のために投じた資金を使ってどれだけ利益を生み出したか(投資効率)を測る指標となります。

正確な計算方法はないため、ここでは、税引後営業利益/投下資本(=運転資本+有形固定資産(リース含む)+無形固定資産+在庫+のれん)として計算しています。

少なくともWACC(加重平均資本コスト)を超えることが絶対条件と言われれています。

金融セクターは固定資産が非常に小さいため、ROICは高水準です。

過去5年間のROEは10%台前半と、アメリカ4大銀行より高い水準です。

 

売上高およびEPSの実績値とコンセンサスの推移

以下のグラフは、売上高のコンセンサスおよび実績値の推移となります。

過去7四半期中、6勝、1引き分けです。

 

以下のグラフは、EPSのコンセンサスおよび実績値の推移となります。

過去7四半期中、5勝、2敗です。

 

以下のグラフは、非GAAP EPSのコンセンサスおよび実績値の推移となります。

過去7四半期中、7勝です。

 

株価上昇率

FY2020(2020年1月から2020年12月末)の株価上昇率は+43.5%と、S&P500(+16.3%)を大きく上回りました。

過去5年間(2016年1月から2020年12月末)の株価上昇率は年率+16.2%と、S&P500(年率+12.9%)を上回りました。

 

競合他社(資産運用会社・資産管理銀行)の株価上昇率(ドル建て)は、以下の通りです。

ブラックロック(BLK)の株価上昇率は、2020年の1年間で+44%と、10社平均(+14%)を上回り、10社中第1位となりました。

2018年1月から2020年12月末の3年間では+40%と、10社平均(+42%)を下回り、10社中第6位となりました。

 

過去10年間(2011年4月から2021年3月)のドローダウン(最高値からの下落率、月末株価)の推移は、以下の通りです。

最高値から20%程度下落すると反発する傾向にあるため、その時が狙い目です。

 

(参考)株価の推移(月末株価)

通常の目盛り表示の場合、近年の株価のブレ幅(上昇もしくは下落)が過去より非常に大きいと錯覚するため、対数目盛りで表示しています。

 

DCF法による目標株価

DCF(Discounted Cash Flow)法とは、将来に渡って生み出すキャッシュフローを割り引く(WACC、加重平均資本コスト)ことで理論価格を算出します。

以下のシナリオに基づき、フリーキャッシュフローの現在価値とネット有利子負債を合計して株主価値を算出し、株主価値を発行済株式総数で割ることで、1株あたりの株価を算出します。

なお、WACCを5.9%、金利が1%上昇した場合は6.8%と推計しました。

以下のグラフは、各シナリオのフローキャッシュフロー(億ドル)の推移となります。

① メインシナリオ

 フリーキャッシュフローの成長率:1年目+12%、2年目+12%、3年目〜10年目+10%。11年目以降の永続成長率は0%。

② アップサイドシナリオ

 フリーキャッシュフローの成長率:1年目〜10年目+14%。11年目以降の永続成長率は0%。

③ ダウンサイドシナリオ

 フリーキャッシュフローの成長率:1年目〜10年目+7%。11年目以降の永続成長率は0%。

メインシナリオの目標株価は738ドルとなります。

 

ブラックロック(Blackrock Inc.、BLK)への投資について

2021Q1(2021年1月−2021年3月期)の売上高は44.0億ドル(コンセンサス43.4億ドル)、非GAAP EPSは7.77ドル(コンセンサス7.75ドル)と、コンセンサスを上回る実績となりました。

競合他社が苦戦するなか、AUMは9兆ドルを突破し、勝ち組です。

DCF法による目標株価は738ドルのため、2021年3月末時点の株価754ドルとほぼ同水準です。

なお、メインシナリオは、10年後の売上高が2.0倍(年率+7%)、10年後に向けてフリーキャッシュフローマージンが30%(FY2020:22%)まで上昇することを想定したので、売上高またはフリーキャッシュフローマージンがさらに上向けばより高い株価上昇が期待できます。

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