野村総合研究所(4307)決算分析と目標株価 金融機関向けITサービスに強み 営業利益率は競合他社と比較して高い水準

野村総合研究所情報技術

過去の業績の推移を解説し、目標株価の算出と野村総合研究所への投資についてコメントします。

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会社概要

野村総合研究所(Nomura Research Institute, Ltd.、4307.T)

ホームページ(有報):リンク先

国:日本

セクター:情報技術

産業グループ:ソフトウェア・サービス

サブ産業グループ:情報技術コンサルティング・他のサービス

株式時価総額:2.4兆円(日本ランキング第63位、2020年12月末)

野村総合研究所は、日本に本拠を置く、コンサルティング(経営コンサルティング等)、ITソリューション(システム開発や運用サービス等)、IT基盤サービス(データセンターの運営管理等)の事業を展開する企業です。

野村ホールティングスが、野村総合研究所の株式の28%程度を保有(間接保有含む)しています。

 

(参考)競合他社(情報技術コンサルティング・他のサービス)の株式時価総額(2021年6月末)

 株式時価総額
(億ドル)
アクセンチュア(ACN)1,869
タタ・コンサルタンシー・サービシズ(TCS.NS)1,667
IBM(IBM)1,324
インフォシス(INFY)900
ウィプロ(WIT)426
コグニザント・テクノロジー・ソリューションズ(CTSH)365
富士通(6702.T)385
キャップジェミニ(CAP.PA)324
EPAMシステムズ(EPAM)288
NTTデータ(9613.T)219
CGIグループ(GIB)224
ガートナー(IT)208
野村総合研究所(4307.T)197
NEC(6701.T)134

 

売上高(セグメント別)の推移

FY2020(2020年4月-2021年3月期)の売上高は5,505億円と、前年度比+4.1%、過去5年間で年率+5.5%となりました。

 

セグメント別の売上高は、以下の通りです。

・コンサルティング:382億円、前年度比▲4%

・金融ITソリューション:2,920億円、前年度比+5%

・産業ITソリューション:1,896億円、前年度比+4%

・IT基盤サービス:1,428億円、前年度比+3%

 

セグメント別の売上高構成比は、コンサルティングが6%、金融ITソリューションが44%、産業ITソリューションが29%、IT基盤サービスが22%を占めます。

 

サービス毎の売上高構成比は、コンサルティングと商品販売と開発/製品販売(システム開発のうち新規)は景気変動の影響を受けやすい一方、運用サービスと開発/製品販売(システム開発のうちエンハンスト)は継続的な事業のため安定的であり、全体の6割程度を占めます。

 

地域別の売上高構成比は、日本が92%を占めます。



 

利益(セグメント別)の推移

FY2020の営業利益は865億円と、前年度比+4.0%、過去5年間で年率+8.2%となりました。

営業利益率は15.7%と、前年度の15.7%とほぼ同水準となりました。

 

セグメント別の営業利益率は、以下の通りです。

 

FY2020のEPSは55円と、前年度比+4.1%、過去5年間で年率+14.8%となりました。

 

キャッシュフローの推移

FY2020の営業キャッシュフローは739億円と、前年度比▲28.1%、過去5年間で年率▲1.9%となりました。

営業キャッシュフローマージン(営業キャッシュフロー/売上高)は13.4%と、前年度の19.4%から悪化しました。

 

FY2020のフリーキャッシュフローは449億円と、前年度比▲40.4%、過去5年間で年率+5.5%となりました。

フリーキャッシュフローマージン(フリーキャッシュフロー/売上高)は8.2%と、前年度の14.3%から悪化しました。

 

株主還元(配当、自社株買い)の推移

自社株買いに積極的です。

 

(参考)過去5年間の株主還元利回り(株価は各会計年度末時点)

FY2020の益利回り(PERの逆数)は3.3%、フリーキャッシュフロー利回りは2.2%です。

FY2020の配当利回りは1.1%です。

 

(参考)過去5年間の配当性向、総還元性向

過去5年間の配当性向(利益)は、30〜40%程度です。

 

(参考)過去5年間のDPS(1株当たり配当金)

FY2020のDPSは36円と、前年度比+12.5%、過去5年間で年率+8.2%となりました。

FY2021のDPSは38円(前年度比+5.6%)の予定です。

 

(参考)過去5年間の発行済株式数

発行済株式数は、過去5年間で年率▲4.3%となりました。

 

ROICの推移

ROIC(Return on Invested Capital、投下資本利益率)とは、企業が事業活動のために投じた資金を使ってどれだけ利益を生み出したか(投資効率)を測る指標となります。

正確な計算方法はないため、ここでは、税引後営業利益/投下資本(=運転資本+有形固定資産(リース含む)+無形固定資産+在庫+のれん)として計算しています。

少なくともWACC(加重平均資本コスト)を超えることが絶対条件と言われています。

FY2020のROICは29%と、投資効率は高いです。

 

株価上昇率

FY2020(2020年4月から2021年3月末)の株価上昇率は+49.7%と、世界株式を投資対象とするVT ETFの上昇率(+54.9%)を下回りました。

過去5年間(2016年4月から2021年3月末)の株価上昇率は年率+24.4%と、VT ETF(年率+11.0%)を大きく上回りました。

 

競合他社(情報技術コンサルティング・他のサービス)の株価上昇率(TCS.NSはインドルピー建て、6702.T、9613.T、4307.T、6701.Tは日本円建て、CAP.PAはユーロ建て、その他はUSドル建て)は、以下の通りです。

野村総合研究所(4307.T)の株価上昇率は、2020年の1年間で+58%と、14社平均(+29%)を上回り、14社中第3位となりました。

2018年1月から2020年12月の3年間では+112%と、14社平均(+68%)を上回り、14社中第3位となりました。

 

過去10年間(2011年6月から2021年5月)のドローダウン(最高値からの下落率、月末株価)の推移は、以下の通りです。

最高値から20%程度下落すると反発する傾向にあるため、その時が狙い目です。

 

(参考)株価の推移(月末株価)

通常の目盛り表示の場合、近年の株価のブレ幅(上昇もしくは下落)が過去より非常に大きいと錯覚するため、対数目盛りで表示しています。

 

DCF法による目標株価

DCF(Discounted Cash Flow)法とは、将来に渡って生み出すキャッシュフローを割り引く(WACC、加重平均資本コスト)ことで理論価格を算出します。

以下のシナリオに基づき、フリーキャッシュフローの現在価値とネット有利子負債を合計して株主価値を算出し、株主価値を発行済株式総数で割ることで、1株あたりの株価を算出します。

なお、WACCを4.8%、金利が1%上昇した場合は5.7%と推計しました。

以下のグラフは、各シナリオのフローキャッシュフロー(億円)の推移となります。

① メインシナリオ

 フリーキャッシュフローの成長率:1年目+20%、2年目〜6年目+10%、7年目〜10年目+7%。11年目以降の永続成長率は0%。

② アップサイドシナリオ

 フリーキャッシュフローの成長率:1年目+20%、2年目〜10年目+10%。11年目以降の永続成長率は0%。

③ ダウンサイドシナリオ

 フリーキャッシュフローの成長率:1年目+20%、2年目〜6年目+7%、7年目〜10年目+5%。11年目以降の永続成長率は0%。

メインシナリオの目標株価は3,313円となります。

 

野村総合研究所(Nomura Research Institute, Ltd.、4307.T)への投資について

FY2020(2020年4月-2021年3月期)の売上高は5,505億円(前年度比+4.1%)、営業利益は865億円(前年度比+4.0%)、純利益は681億円(前年度比▲1.7%)と、増収減益となりました。

FY2021のガイダンスは、以下の通りです。

・売上高:5,900億円(前年度比+7.2%)

・営業利益:960億円(前年度比+18.9%)

・純利益:660億円(前年度比+24.8%)

DCF法による目標株価は3,313円のため、2021年5月末時点の株価3,490円とほぼ同水準です。

なお、メインシナリオは、10年後の売上高が1.4倍(年率+3%)、10年後に向けてフリーキャッシュフローマージンが15%まで上昇することを想定したので、売上高またはフリーキャッシュフローマージンがさらに上向けばより高い株価上昇が期待できます。

日本の競合他社と比較して、営業利益率や投資効率が高い点は魅力的です。

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