アクセンチュア(ACN)決算分析と目標株価 世界最大級のコンサルティング会社 売上高・利益・キャッシュフロー増加中

アクセンチュア情報技術

過去の業績の推移を解説し、目標株価の算出とアクセンチュアへの投資についてコメントします。

スポンサーリンク

会社概要

アクセンチュア(Accenture、ACN)

ホームページ(SECファイル):リンク先

国:アイルランド(MSCI:アメリカ)

セクター:情報技術

産業グループ:ソフトウェア・サービス

サブ産業グループ:情報技術コンサルティング・他のサービス

株式時価総額:2,622億ドル(世界ランキング第38位、2021年12月末)

アクセンチュアは、アイルランドに本拠を置く、ITに強みを持つ世界最大級のコンサルティング企業です。

ITサービス(システム開発や運用アウトソーシング、製品サポートなど、システム構築会社のサービス)では、世界シェア第1位です。

 

(参考)競合他社(情報技術コンサルティング・他のサービス)の株式時価総額(2021年12月末)

 株式時価総額
アクセンチュア(ACN)2,622億ドル
タタ・コンサルタンシー・サービシズ(TCS.NS)1,383億ドル
IBM(IBM)1,198億ドル
インフォシス(INFY)1,061億ドル
ウィプロ(WIT)533億ドル
コグニザント・テクノロジー・ソリューションズ(CTSH)466億ドル
キャップジェミニ(CAP.PA)418億ドル
EPAMシステムズ(EPAM)379億ドル
富士通(6702.T)331億ドル
NTTデータ(9613.T)302億ドル
ガートナー(IT)275億ドル
野村総合研究所(4307.T)245億ドル
CGIグループ(GIB)215億ドル
NEC(6701.T)126億ドル

 

売上高(セグメント別、地域別)の推移

FY2021(2020年9月-2021年8月期)の売上高は505億ドルと、前年度比+14.0%、過去5年間で年率+8.1%となりました。

 

2022Q1(2021年9-11月期)の売上高は150億ドル(前年同期比+27.2%)と、コンセンサス(142億ドル)を上回りました。

 

産業別の売上高は、以下の通りです。

・コミュニケーション、メディア&テクノロジー:31億ドル、前年同期比+32%

・金融業務:29億ドル、前年同期比+24%

・ヘルスケア&公共サービス:27億ドル、前年同期比+23%

・製品:43億ドル、前年同期比+34%

・資源:20億ドル、前年同期比+17%

 

タイプ別の売上高は、以下の通りです。

・コンサルティング:84億ドル、前年同期比+33%

・アウトソーシング:21億ドル、前年同期比+21%

 

地域別の売上高は、以下の通りです。

・北米:69億ドル、前年同期比+26%

・欧州:51億ドル、前年同期比+29%

・成長市場:30億ドル、前年同期比+28%

 

利益の推移

FY2021の営業利益は76億ドルと、前年度比+17.0%、過去5年間で年率+9.5%となりました。

営業利益率は15.1%と、前年度の14.7%から改善しました。

 

2022Q1の営業利益は24億ドル(前年同期比+28.8%)となりました。

 

FY2021のEPSは9.16ドルと、前年度比+16.1%、過去5年間で年率+7.3%となりました。

 

2022Q1のEPSは2.78ドル(前年同期比+19.8%)と、コンセンサス(2.63ドル)を上回りました。

 

キャッシュフローの推移

FY2021の営業キャッシュフローは90億ドルと、前年度比+9.3%、過去5年間で年率+14.0%となりました。

営業キャッシュフローマージン(営業キャッシュフロー/売上高)は17.8%と、前年度の18.5%から悪化しました。

 

2022Q1の営業キャッシュフローは53億ドル(前年同期比+231%)となりました。

 

FY2021のフリーキャッシュフローは84億ドルと、前年度比+10.2%、過去5年間で年率+15.0%となりました。

フリーキャッシュフローマージン(フリーキャッシュフロー/売上高)は16.6%と、前年度の17.2%から悪化しました。

 

2022Q1のフリーキャッシュフローは51億ドル(前年同期比+240%)となりました。

 

株主還元(配当、自社株買い)の推移

自社株買いに積極的です。

 

(参考)過去5年間の株主還元利回り(株価は各会計年度末時点)

FY2020の益利回り(PERの逆数)は2.7%、フリーキャッシュフロー利回りは3.9%です。

配当利回りは1.0%、総還元利回りは2.7%です。

 

(参考)過去5年間の配当性向、総還元性向

過去5年間の配当性向は、利益・キャッシュフローベースともに50%を下回りました。

 

(参考)過去5年間のDPS(1株当たり配当金)

FY2021のDPSは3.52ドルと、前年度比+10.0%、過去5年間で年率+9.9%となりました。

なお、FY2022のDPSは3.88ドル(前年度比+10.2%)の予定です。

 

(参考)過去5年間の発行済株式数

発行済株式数は、過去5年間で年率▲0.7%となりました。

 

ROICの推移

ROIC(Return on Invested Capital、投下資本利益率)とは、企業が事業活動のために投じた資金を使ってどれだけ利益を生み出したか(投資効率)を測る指標となります。

正確な計算方法はないため、ここでは、税引後営業利益/投下資本(=運転資本+有形固定資産(リース含む)+無形固定資産+在庫+のれん)として計算しています。

少なくともWACC(加重平均資本コスト)を超えることが絶対条件と言われれています。

過去5年間のROICは25〜40%程度と、投資効率が高いです。

 

売上高およびEPSの実績値とコンセンサスの推移

売上高の実績値(コンセンサス比)は、過去12四半期中、9勝、1敗、2引き分けです。

EPSの実績値(コンセンサス比)は、過去12四半期中、12勝です。

 
売上高(ドル)GAAP EPS(ドル)
実績値コンセンサス勝敗実績値コンセンサス勝敗
2019Q21051031.731.57
2019Q31111101.931.89
2019Q41111111.741.72
2020Q11141122.091.99
2020Q21111111.911.73
2020Q31101091.901.84
2020Q4108109×1.991.73
2021Q11181142.322.06
2021Q21211182.231.91
2021Q31331282.402.24
2021Q41341342.202.19
2022Q11501422.782.63

 

株価上昇率

FY2021の株価上昇率は+40.3%と、S&P500(+29.2%)を上回りました。

過去5年間(2016年9月から2021年8月末)の株価上昇率は年率+24.0%と、S&P500(年率+15.8%)を大きく上回りました。

 

2022Q1の株価上昇率は+6.2%と、S&P500(+1.0%)を上回りました。

 

競合他社(情報技術コンサルティング・他のサービス)の株価上昇率(TCS.NSはインドルピー建て、CAP.PAはユーロ建て、6702.T、9613.T、4307.T、6701.Tは日本円建て、その他はUSドル建て)は、以下の通りです。

アクセンチュア(ACN)の株価上昇率は、2021年の1年間で+59%と、14社平均(+46%)を上回り、14社中第6位となりました。

2019年1月から2021年12月末の3年間では+194%と、14社平均(+152%)を上回り、14社中第3位となりました。

 

過去10年間(2012年1月から2021年12月)のドローダウン(最高値からの下落率、月末株価)の推移は、以下の通りです。

株式市場全体の急落時を除いて、最高値から5〜10%程度下落すると反発する傾向にあるため、その時が狙い目です。

 

(参考)株価の推移(月末株価)

通常の目盛り表示の場合、近年の株価のブレ幅(上昇もしくは下落)が過去より非常に大きいと錯覚するため、対数目盛りで表示しています。

上昇トレンドですが、足もとは急ピッチです。

 

DCF法による目標株価

DCF(Discounted Cash Flow)法とは、将来に渡って生み出すキャッシュフローを割り引く(WACC、加重平均資本コスト)ことで理論価格を算出します。

以下のシナリオに基づき、フリーキャッシュフローの現在価値とネット有利子負債を合計して株主価値を算出し、株主価値を発行済株式総数で割ることで、1株あたりの株価を算出します。

なお、WACCを5.9%と推計しました。

以下のグラフは、各シナリオのフローキャッシュフロー(億ドル)の推移となります。

① メインシナリオ

 フリーキャッシュフローの成長率:1年目+15%、2年目〜5年目+10%、6年目〜10年目+5%。11年目以降の永続成長率は0%。

② アップサイドシナリオ

 フリーキャッシュフローの成長率:1年目+15%、2年目〜10年目+10%。11年目以降の永続成長率は0%。

③ ダウンサイドシナリオ

 フリーキャッシュフローの成長率:1年目+15%、2年目〜5年目+5%、6年目〜10年目+0%。11年目以降の永続成長率は0%。

メインシナリオの目標株価は427ドルとなります。

・メインシナリオ:427ドル

・アップサイドシナリオ:508ドル

・ダウンサイドシナリオ:305ドル

アクセンチュア(Accenture、ACN)への投資について

2022Q1(2021年9−11月期)の売上高は150億ドル(コンセンサス142億ドル)、EPSは2.78ドル(コンセンサス(2.63ドル)と、コンセンサスを上回る実績となりました。

FY2022のガイダンス(引き上げ)は、以下の通りです。

・売上高増加率(現地通貨建て):+19〜22%(コンセンサス+13.7%)

・ESP:10.32〜10.60ドル(コンセンサス10.13ドル)

DCF法による目標株価は427ドルのため、2021年12月末時点の株価415ドルより高い水準です。

なお、メインシナリオは、10年後の売上高が2.1倍(年率+8%)、FY2021のフリーキャッシュフローマージンが今後横ばいで推移することを想定したので、売上高またはフリーキャッシュフローマージンがさらに上向けばより高い株価上昇が期待できます。

情報技術セクターのなかでは、派手さはないものの、順調に業績を拡大し、株価も上昇トレンドです。

大手IT企業のような規制リスクがない点も魅力的です。

投資継続です。

富士通(6702)決算分析と目標株価 システム開発などのITサービスでは国内シェアトップ 利益率と投資効率が改善
過去の業績の推移を解説し、目標株価の算出と富士通への投資についてコメントします。 会社概要 富士通(Fujitsu Limited、6702.T) ホームページ(有報):リンク先 ...
NTTデータ(9613)決算分析と目標株価 32期連続増収 ITサービスで国内シェア第2位 金融や公共分野で強み
過去の業績の推移を解説し、目標株価の算出とNTTデータへの投資についてコメントします。 会社概要 NTTデータ(NTT Data Corporation、9613.T) ホームページ(有報):リ...
野村総合研究所(4307)決算分析と目標株価 金融機関向けITサービスに強み 営業利益率は競合他社と比較して高い水準
過去の業績の推移を解説し、目標株価の算出と野村総合研究所への投資についてコメントします。 会社概要 野村総合研究所(Nomura Research Institute, Ltd.、4307.T) ...
タイトルとURLをコピーしました