アマゾン(AMZN)決算分析と目標株価 利益率が高い世界シェア1位のAWSが売上拡大中 キャッシュフローも急拡大

アマゾン一般消費財・サービス

過去の業績の推移を解説し、目標株価の算出とアマゾンへの投資についてコメントします。

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会社概要

アマゾン(Amazon、AMZN)

ホームページ(SECファイル):リンク先

国:アメリカ

セクター:一般消費財・サービス

産業グループ:小売

サブ産業グループ:インターネット販売、通信販売

株式時価総額:1.69兆ドル(世界ランキング第5位、2021年12月末)

アマゾンは、アメリカに本拠を置く、ECサイトの運営やクラウドサービスを提供する企業です。

アマゾンプライム会員は2億人(2021年4月)を突破しました。

 

(参考)競合他社(インターネット販売、通信販売)の株式時価総額(2021年12月末)

 株式時価総額
アマゾン(AMZN)1.69兆ドル
アリババ・グループHD/阿里巴巴(BABA)3,220億ドル
プロサス(PRX.AS)2,613億ドル
メイトゥアン/美談(3690.HK)1,687億ドル
JDドットコム/京東集団(JD)1,088億ドル
ピンデュオデュオ/拼多多(PDD)731億ドル
メルカドリブレ(MELI)680億ドル
クーパン(CPNG)515億ドル
ドアダッシュ(DASH)511億ドル
イーベイ(EBAY)416億ドル
ナスパーズ(NPN.JO)333億ドル
デリバリー・ヒーロー(DHER.DE)278億ドル
エッツィ(ETSY)278億ドル
JDヘルス・インターナショナル(6618.HK)253億ドル
チューイ(CHWY)246億ドル
ザランド(ZAL.DE)200億ドル
ウェイフェア(W)199億ドル
オカド・グループ(OCDO.L)170億ドル
トリップ・ドットコム・グループ/携程旅行網(TCOM)157億ドル
楽天グループ(4755.T)151億ドル
ハローフレッシュ(HFG.DE)133億ドル
ファーフェッチ(FTCH)124億ドル
ジャスト・イート・テイクアウェイ・ドットコム(TKWY.AS)117億ドル
ビップショップHD/唯品会(VIPS)57億ドル

 

売上高(セグメント別)の推移

FY2021(2021年1-12月期)の売上高は4,698億ドルと、前年度比+21.7%、過去5年間で年率+28.1%となりました。

 

2021Q4(2021年10−12月期)の売上高は1,374億ドル(前年同期比+9.4%)と、コンセンサス(1,376億ドル)を下回りました。

 

セグメント別の売上高は、以下の通りです。

・北米:824億ドル、前年同期比+9%

・海外:373億ドル、前年同期比▲1%

・AWS:178億ドル(コンセンサス172億ドル)、前年同期比+40%

 

利益(セグメント別)の推移

FY2021の営業利益は249億ドルと、前年度比+8.6%、過去5年間で年率+42.8%となりました。

営業利益率は5.3%と、前年度の5.9%から悪化しました。

 

2021Q4の営業利益は35億ドル(前年同期比▲49.7%)と、コンセンサス(24億ドル)を上回りました。

 

セグメント別の営業利益率は、以下の通りです。

 

FY2021のEPSは64.81ドルと、前年度比+54.9%、過去5年間で年率+67.6%となりました。

 

2021Q4のEPSは27.75ドル(前年同期比+96.9%)と、コンセンサス(3.54ドル)を上回りました。

なお、2021Q4の純利益の大部分はEVメーカーであるリビアンへの投資によるものです。

 

キャッシュフローの推移

FY2021の営業キャッシュフローは463億ドルと、前年度比▲29.9%、過去5年間で年率+23.0%となりました。

営業キャッシュフローマージン(営業キャッシュフロー/売上高)は9.9%と、前年度の17.1%から悪化しました。

 

2021Q4の営業キャッシュフローは221億ドル(前年同期比▲27.4%)となりました。

 

FY2021のフリーキャッシュフローは▲147億ドルと、前年度比赤字転落となりました。

フリーキャッシュフローマージン(フリーキャッシュフロー/売上高)は▲3.1%と、前年度の6.7%から悪化しました。

 

株主還元(配当、自社株買い)の推移

配当、自社株買いともに実施なしです。

 

(参考)過去5年間の株主還元利回り(株価は各会計年度末時点)

FY2021の益利回り(PERの逆数)は1.9%、フリーキャッシュフロー利回りは▲0.9%です。

 

(参考)過去5年間の発行済株式数

発行済株式数は、過去5年間で年率+1.2%となりました。

 

ROICの推移

ROIC(Return on Invested Capital、投下資本利益率)とは、企業が事業活動のために投じた資金を使ってどれだけ利益を生み出したか(投資効率)を測る指標となります。

正確な計算方法はないため、ここでは、税引後営業利益/投下資本(=運転資本+有形固定資産(リース含む)+無形固定資産+在庫+のれん)として計算しています。

少なくともWACC(加重平均資本コスト)を超えることが絶対条件と言われれています。

過去5年間のROICは30%程度と、投資効率は比較的高いです。

 

売上高およびEPSの実績値とコンセンサスの推移

売上高の実績値(コンセンサス比)は、過去10四半期中、7勝、3敗です。

EPSの実績値(コンセンサス比)は、過去10四半期中、7勝、3敗です。

 
売上高(億ドル)GAAP EPS(ドル)
実績値コンセンサス勝敗実績値コンセンサス勝敗
2019Q37006874.234.55×
2019Q48748616.473.96
2020Q17557415.016.11×
2020Q288981310.301.50
2020Q396192612.377.39
2020Q41,2561,19714.097.13
2021Q11,0851,04615.799.61
2021Q21,1311,151×15.1212.32
2021Q31,1081,117×6.128.93×
2021Q41,3741,376×27.753.54

 

株価上昇率

FY2021の株価上昇率は+2.4%と、S&P500(+26.9%)を下回りました。

過去5年間(2017年1月から2021年12月末)の株価上昇率は年率+34.8%と、S&P500(年率+16.3%)を大きく上回りました。

 

2021Q4の株価上昇率は+1.5%と、S&P500(+10.6%)を下回りました。

 

競合他社(インターネット販売、通信販売)の株価上昇率(PRX.AS、DHER.DE、ZAL.DE、HFG.DE、TKWY.ASはユーロ建て、3690.HK、6618.HKは香港ドル建て、NPN.JPは南アフリカランド建て、OCDO.Lはポンド建て、4755.Tは日本円建て、その他はUSドル建て)は、以下の通りです。

アマゾン(AMZN)の株価上昇率は、2021年の1年間で+2%と、23社平均(▲22%)を上回り、23社中第6位となりました。

2019年1月から2021年12月の3年間では+122%と、19社平均(+191%)を下回り、19社中第10位となりました。

 

過去10年間(2012年2月から2022年1月)のドローダウン(最高値からの下落率、月末株価)の推移は、以下の通りです。

S&P500と比較してドローダウンが大きい傾向があります。

最高値から20%以上下落した場合は、絶好の買い場です。

 

(参考)株価の推移(月末株価)

通常の目盛り表示の場合、近年の株価のブレ幅(上昇もしくは下落)が過去より非常に大きいと錯覚するため、対数目盛りで表示しています。

 

DCF法による目標株価

DCF(Discounted Cash Flow)法とは、将来に渡って生み出すキャッシュフローを割り引く(WACC、加重平均資本コスト)ことで理論価格を算出します。

以下のシナリオに基づき、フリーキャッシュフローの現在価値とネット有利子負債を合計して株主価値を算出し、株主価値を発行済株式総数で割ることで、1株あたりの株価を算出します。

なお、WACCを6.5%と推計しました。

以下のグラフは、各シナリオのフローキャッシュフロー(億ドル)の推移となります。

① メインシナリオ

 フリーキャッシュフローの成長率:1年目300億ドル、2年目〜6年目+20%、7年目〜10年目+15%。11年目以降の永続成長率は0%

② アップサイドシナリオ

 フリーキャッシュフローの成長率:1年目300億ドル、2年目〜10年目+20%。11年目以降の永続成長率は0%

③ ダウンサイドシナリオ

 フリーキャッシュフローの成長率:1年目300億ドル、2年目〜5年目+15%、6年目〜10年目+10%。11年目以降の永続成長率は0%

メインシナリオの目標株価は2,973ドルとなります。

・メインシナリオ:2,973ドル

・アップサイドシナリオ:3,415ドル

・ダウンサイドシナリオ:2,036ドル

アマゾン(Amazon、AMZN)への投資について

2021Q4(2021年10−12月期)の売上高は1,374億ドルと、コンセンサス(1,376億ドル)を下回りましたが、EPSは27.75ドルと、コンセンサス(3.54ドル)を上回る実績となりました。

2022Q1のガイダンスは、以下の通りです。

・売上高:1,120億ドル〜1,170億ドル(コンセンサス1,210億ドル)

・営業利益:30〜60億ドル(コンセンサス63.5億ドル)

アマゾンプライムの年会費を119ドルから139ドルへ引き上げることを発表しました。

決算発表を受けて、株価は大きく上昇しました。

DCF法による目標株価は2,973ドルのため、2022年1月末時点の株価2,991ドルと同水準です。

なお、メインシナリオは、10年後の売上高が3.1倍(年率+12%)、10年後に向けてフリーキャッシュフローマージンが9%まで上昇することを想定したので、売上高またはフリーキャッシュフローマージンがさらに上向けばより高い株価上昇が期待できます。

AWSは非常に堅調ですが、オンラインショッピングは頭打ちがみられます。

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