エスティローダー(EL)決算分析と目標株価 スキンケアや化粧品の製造・販売会社 中国などアジア向けで業績拡大を目指す 

エスティローダー家庭用品・パーソナル用品

過去の業績の推移を解説し、目標株価の算出とエスティローダーへの投資についてコメントします。

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会社概要

エスティローダー(Estee Lauder、EL)

ホームページ(SECファイル):リンク先

国:アメリカ

セクター:生活必需品

産業グループ:家庭用品・パーソナル用品

サブ産業グループ:パーソナル用品

エスティローダーは、アメリカに本拠を置く、スキンケアや化粧品、香水等を製造・販売する企業です。

トムフォードを2022年に28億ドルで買収しました。

 

売上高(セグメント別、製品別)の推移

FY2023(2022年7月-2023年6月期)の売上高は159億ドルと、前年度比▲10.3%、過去5年間で年率+3.1%となりました。

エスティローダー

 

セグメント別の売上高は、以下の通りです。

・スキンケア:82億ドル、前年度比▲17%

・化粧品:45億ドル、前年度比▲3%

・香水:25億ドル、前年度比+0%

・ヘアケア:75億ドル、前年度比+3%

セグメント別の売上高構成比は、スキンケアが51%、化粧品が28%、香水が16%を占めます。

エスティローダー

 

地域別の売上高は、以下の通りです。

・アメリカ大陸:45億ドル、前年度比▲2%

・欧州/中東/アフリカ:62億ドル、前年度比▲19%

・アジアパシフィック:52億ドル、前年度比▲4%

地域別の売上高構成比は、欧州/中東/アフリカが39%、アジアパシフィックが33%、アメリカ大陸が28%を占めます。

エスティローダー

 

利益の推移

FY2023の営業利益は15億ドルと、前年度比▲52.4%、過去5年間で年率▲6.0%となりました。

営業利益率は9.5%と、前年度の17.9%から悪化しました。

エスティローダー

 

セグメント別の営業利益率は、以下の通りです。

エスティローダー

 

地域別の営業利益率は、以下の通りです。

エスティローダー

 

エスティローダー

 

キャッシュフローの推移

FY2023の営業キャッシュフローは17億ドルと、前年度比▲43.1%、過去5年間で年率▲7.5%となりました。

営業キャッシュフローマージン(営業キャッシュフロー/売上高)は10.9%と、前年度の17.1%から悪化しました。

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FY2023のフリーキャッシュフローは7億ドルと、前年度比▲63.6%、過去5年間で年率▲17.7%となりました。

フリーキャッシュフローマージン(フリーキャッシュフロー/売上高)は4.6%と、前年度の11.3%から悪化しました。

エスティローダー

 

株主還元(配当、自社株買い)の推移

自社株買いに積極的です。

エスティローダー

 

(参考)過去5年間の株主還元利回り(株価は各会計年度末時点)

FY2023の益利回り(PERの逆数)は1.4%、フリーキャッシュフロー利回りは1.0%です。

FY2023の配当利回りは1.3%です。

エスティローダー

 

(参考)過去5年間の配当性向、総還元性向

FY2023の配当性向は、利益・キャッシュフローベースともに、100%前後です。

エスティローダー

 

(参考)過去5年間のDPS(1株当たり配当金)

FY2023のDPSは2.58ドルと、前年度比+10.7%、過去5年間で年率+11.8%となりました。

エスティローダー

 

(参考)過去5年間の発行済株式数

発行済株式数は、過去5年間で年率▲0.8%減少しました。

エスティローダー

 

株価上昇率

FY2023の株価上昇率は▲22.9%と、S&P500(+17.6%)を下回りました。

過去5年間(2018年7月から2023年6月末)の株価上昇率は年率+6.6%と、S&P500(年率+10.4%)を大きく下回りました。

エスティローダー

 

過去10年間(2014年1月から2023年12月)のドローダウン(最高値からの下落率、月末株価)の推移は、以下の通りです。

エスティローダー

 

(参考)株価の推移(月末株価)

通常の目盛り表示の場合、近年の株価のブレ幅(上昇もしくは下落)が過去より非常に大きいと錯覚するため、対数目盛りで表示しています。

エスティローダー

 

DCF法による目標株価

DCF(Discounted Cash Flow)法とは、将来に渡って生み出すキャッシュフローを割り引く(WACC、加重平均資本コスト)ことで理論価格を算出します。

以下のシナリオに基づき、フリーキャッシュフローの現在価値とネット有利子負債を合計して株主価値を算出し、株主価値を発行済株式総数で割ることで、1株あたりの株価を算出します。

なお、WACCを5.1%と推計しました。

以下のグラフは、各シナリオのフローキャッシュフロー(億ドル)の推移となります。

エスティローダー

① メインシナリオ

 フリーキャッシュフローの成長率:1年目+0%、2年目〜4年目+50%、5年目〜10年目+5%。11年目以降の永続成長率は0%。

② アップサイドシナリオ

 フリーキャッシュフローの成長率:1年目+0%、2年目+50%、3年目+100%、4年目+50%、5年目〜10年目+5%。11年目以降の永続成長率は0%。

③ ダウンサイドシナリオ

 フリーキャッシュフローの成長率:1年目+0%、2年目〜3年目+30%、4年目〜10年目+5%。11年目以降の永続成長率は0%。

メインシナリオの目標株価は141ドルとなります。

・メインシナリオ:141ドル

・アップサイドシナリオ:247ドル

・ダウンサイドシナリオ:69ドル

エスティローダー(Estee Lauder、EL)への投資について

FY2023の売上高は159億ドル(前年度比▲10.3%)、非 GAAP EPSは3.46ドル(前年度比▲52.2%)となりました。

FY2024のガイダンスは、以下の通りです。

・売上高:▲2〜+1%

・非GAAP EPS:2.17〜2.42ドル

DCF法による目標株価は141ドルのため、2023年12月末時点の株価146ドルとほぼ同水準です。

なお、メインシナリオは、10年後の売上高が1.6倍(年率+4%)、フリーキャッシュフローマージンが13%まで改善することを想定したので、売上高またはフリーキャッシュフローマージンがさらに上向けばより高い株価上昇が期待できます。

利益率が高い中国向けが苦戦し、近年は業績・株価ともに厳しい状況です。

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