アップル(AAPL)決算分析と目標株価 非常に高い投資効率(ROIC)、積極的な自社株買いで総還元利回りは3%超

アップル情報技術

過去の業績の推移を解説し、目標株価の算出とアップルへの投資についてコメントします。

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会社概要

アップル(Apple、AAPL)

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国:アメリカ

セクター:情報技術

産業グループ:テクノロジー・ハードウェアおよび機器

サブ産業グループ:テクノロジー ハードウェア・コンピュータ記憶装置・周辺機器

株式時価総額:2.99兆ドル(世界ランキング第1位、2023年12月末)

アップルは、アメリカに本拠を置く、パソコン及びスマートフォン、ソフトウェア等の設計や製造、サービスを提供する企業です。

 

売上高(セグメント別)の推移

FY2023(2022年10月-2023年9月期)の売上高は3,833億ドルと、前年度比▲2.8%、過去5年間で年率+7.6%となりました。

アップル

 

セグメント別の売上高は、以下の通りです。

・iPhone:2,006億ドル、前年度比▲2%

・Mac:294億ドル、前年度比▲27%

・iPad:283億ドル、前年度比▲3%

・ウェアラブル等:398億ドル、前年度比▲3%

・サービス:852億ドル、前年度比+9%

セグメント別の売上高構成比は、iPhoneが52%、サービスが22%を占めます。

アップル

 

地域別の売上高は、以下の通りです。

・アメリカ大陸:1,626億ドル、前年度比▲4%

・欧州/インド/中東/アフリカ:943億ドル、前年度比▲1%

・中国/香港/台湾:726億ドル、前年度比▲2%

・日本:243億ドル、前年度比▲7%

・その他アジアパシフィック:296億ドル、前年度比+1%

地域別の売上高構成比は、アメリカ大陸が42%、欧州/インド/中東/アフリカが25%、中国/香港/台湾が19%、日本が6%、その他アジアパシフィックが8%を占めます。

アップル

 

利益(セグメント別)の推移

FY2023の営業利益は1,143億ドルと、前年度比▲4.3%、過去5年間で年率+10.0%となりました。

営業利益率は29.8%と、前年度の30.3%とほぼ同水準となりました。

アップル

 

セグメント別の粗利益率は、以下の通りです。

iPhone等のプロダクトの粗利益率は36.5%、サービスの粗利益率は70.8%となりました。

アップル

 

FY2023のEPSは6.13ドルと、前年度比+0.3%、過去5年間で年率+15.5%となりました。

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キャッシュフローの推移

FY2023の営業キャッシュフローは1,105億ドルと、前年度比▲9.5%、過去5年間で年率+7.4%となりました。

営業キャッシュフローマージン(営業キャッシュフロー/売上高)は28.8%と、前年度の31.0%から悪化しました。

アップル

 

FY2023のフリーキャッシュフローは996億ドルと、前年度比▲10.6%、過去5年間で年率+9.2%となりました。

フリーキャッシュフローマージン(フリーキャッシュフロー/売上高)は25.4%と、前年度の26.7%から悪化しました。

アップル

 

株主還元(配当、自社株買い)の推移

自社株買いに積極的です。

アップル

 

(参考)過去5年間の株主還元利回り(株価は各会計年度末時点)

FY2023の益利回り(PERの逆数)は3.6%、フリーキャッシュフロー利回りは3.7%です。

アップル

 

(参考)過去5年間の配当性向、総還元性向

過去3年間の配当性向は、利益・キャッシュフローベースともに、15%程度です。

アップル

 

(参考)過去5年間のDPS(1株当たり配当金)

FY2023のDPSは0.94ドルと、前年度比+4.4%、過去5年間で年率+6.7%となりました。

アップル

 

(参考)過去5年間の発行済株式数

発行済株式数は、過去5年間で年率▲4.6%となりました。

アップル

 

投資効率(ROIC、ROE)の推移

ROIC(Return on Invested Capital、投下資本利益率)とは、企業が事業活動のために投じた資金を使ってどれだけ利益を生み出したか(投資効率)を測る指標となります。

正確な計算方法はないため、ここでは、税引後営業利益/投下資本(=運転資本+有形固定資産(リース含む)+無形固定資産+在庫+のれん)として計算しています。

少なくともWACC(加重平均資本コスト)を超えることが絶対条件と言われれています。

過去5年間のROICは100%以上となっており、0が1桁多いほど非常に投資効率が高いと言えます。

アップル

 

株価上昇率

FY2023の株価上昇率は+23.9%と、S&P500(+19.6%)を上回りました。

過去5年間(2018年10月から2023年9月末)の株価上昇率は年率+24.8%と、S&P500(年率+8.0%)を大きく上回りました。

アップル

 

過去10年間(2014年1月から2023年12月)のドローダウン(最高値からの下落率、月末株価)の推移は、以下の通りです。

過去10年間で3回も大きなドローダウンが発生しているため、投資タイミングという意味では難しい銘柄です。

最高値から30%程度下落した場合には、絶好の買い場と言えます。

アップル

 

(参考)株価の推移(月末株価)

通常の目盛り表示の場合、近年の株価のブレ幅(上昇もしくは下落)が過去より非常に大きいと錯覚するため、対数目盛りで表示しています。

アップル

 

DCF法による目標株価

DCF(Discounted Cash Flow)法とは、将来に渡って生み出すキャッシュフローを割り引く(WACC、加重平均資本コスト)ことで理論価格を算出します。

以下のシナリオに基づき、フリーキャッシュフローの現在価値とネット有利子負債を合計して株主価値を算出し、株主価値を発行済株式総数で割ることで、1株あたりの株価を算出します。

なお、WACCを6.3%と推計しました。

以下のグラフは、各シナリオのフローキャッシュフロー(億ドル)の推移となります。

アップル

① メインシナリオ

 フリーキャッシュフローの成長率:1年目〜4年目+7%、5年目〜10年目+5%。11年目以降の永続成長率は0%

② アップサイドシナリオ

 フリーキャッシュフローの成長率:1年目〜10年目+10%。11年目以降の永続成長率は0%

③ ダウンサイドシナリオ

 フリーキャッシュフローの成長率:1年目〜3年目+5%、4年目〜10年目+0%。11年目以降の永続成長率は0%

メインシナリオの目標株価は154ドルとなります。

・メインシナリオ:154ドル

・アップサイドシナリオ:213ドル

・ダウンサイドシナリオ:111ドル

アップル(Apple、AAPL)への投資について

FY2023の売上高は3,833億ドル(前年度比▲2.8%)、EPSは6.13ドル(前年度比+0.3%)となりました。

DCF法による目標株価は154ドルのため、2023年12月末時点の株価193ドルより低い水準です。

なお、メインシナリオは、10年後の売上高が1.6倍(年率+4%)、10年後に向けてフリーキャッシュフローマージンが28%まで上昇することを想定したので、売上高またはフリーキャッシュフローマージンがさらに上向けばより高い株価上昇が期待できます。

自社株買いに積極的なので、発行済株式数の減少による株価上昇も可能です。

ROICがびっくりするほど高く、株主としては最高の投資効率先のため、バフェットが集中投資する理由がわかります。

中国リスクが高く、将来高い成長性が期待できるわけでもなく、バリュエーション面でも割安感はありませんが、持たざるリスクも大きいので市場平均並みには投資した方が良いかもしれません。

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