アップル(AAPL)決算分析と目標株価 非常に高い投資効率(ROIC)、積極的な自社株買いで総還元利回りは4%超

アップル情報技術

過去の業績の推移を解説し、目標株価の算出とアップルへの投資についてコメントします。

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会社概要

アップル(Apple、AAPL)

ホームページ(SECファイル):リンク先

国:アメリカ

セクター:情報技術

産業グループ:テクノロジー・ハードウェアおよび機器

サブ産業グループ:テクノロジー ハードウェア・コンピュータ記憶装置・周辺機器

株式時価総額:2.91兆ドル(世界ランキング第1位、2021年12月末)

アップルは、アメリカに本拠を置く、パソコン及びスマートフォン、ソフトウェア等の設計や製造、サービスを提供する企業です。

(参考)競合他社(テクノロジー ハードウェア・コンピュータ記憶装置・周辺機器)の株式時価総額(2021年12月末)

 株式時価総額
アップル(AAPL)2.91兆ドル
サムスン電子(005930.KS)4,419億ドル
シャオミ(1810.HK)605億ドル
デル・テクノロジーズ(DELL)429億ドル
ヒューレット・パッカード(HPQ)408億ドル
富士フイルムHD(4901.T)298億ドル
キヤノン(7751.T)255億ドル
シーゲイト・テクノロジー(STX)252億ドル
ネットアップ(NTAP)204億ドル
ヒューレット・パッカード・エンタープライズ(HPE)204億ドル
ウエスタン・デジタル(WDC)203億ドル
レノボ・グループ/聯想(0992.HK)138億ドル
ロジテック・インターナショナル(LOGI)138億ドル

売上高(セグメント別)の推移

FY2021(2020年10月-2021年9月期)の売上高は3,658億ドルと、前年度比+33.3%、過去5年間で年率+11.1%となりました。

 

2022Q1(2021年10−12月期)の売上高は1,239億ドル(前年同期比+11.2%)と、コンセンサス(1,185億ドル)を上回りました。

 

セグメント別の売上高は、以下の通りです。

・iPhone:716億ドル、前年同期比+9%

・Mac:109億ドル、前年同期比+25%

・iPad:72億ドル、前年同期比▲14%

・ウェアラブル等:147億ドル、前年同期比+13%

・サービス:195億ドル、前年同期比+24%

セグメント別の売上高構成比は、iPhoneが58%、サービスが16%を占めます。

 

地域別の売上高は、以下の通りです。

・アメリカ大陸:515億ドル、前年同期比+11%

・欧州/インド/中東/アフリカ:297億ドル、前年同期比+9%

・中国/香港/台湾:258億ドル、前年同期比+21%

・日本:71億ドル、前年同期比▲14%

・その他アジアパシフィック:98億ドル、前年同期比+19%

地域別の売上高構成比は、アメリカ大陸が42%、欧州/インド/中東/アフリカが24%、中国/香港/台湾が21%、日本が6%を占めます。

 

利益(セグメント別)の推移

FY2021の営業利益は1,089億ドルと、前年度比+64.4%、過去5年間で年率+12.7%となりました。

営業利益率は29.8%と、前年度の24.1%から改善しました。

 

2022Q1の営業利益は415億ドル(前年同期比+23.7%)となりました。

 

セグメント別の粗利益率は、以下の通りです。

2022Q1のiPhone等のプロダクトの粗利益率は38.4%(前年同期の35.1%から改善)、サービスの粗利益率は72.4%(前年同期の68.4%から改善)となりました。

 

FY2021のEPSは5.61ドルと、前年度比+71.0%、過去5年間で年率+21.9%となりました。

 

2022Q1のEPSは2.10ドル(前年同期比+25.0%)と、コンセンサス(1.89ドル)を上回りました。

 

キャッシュフローの推移

FY2021の営業キャッシュフローは1,040億ドルと、前年度比+29.0%、過去5年間で年率+9.6%となりました。

営業キャッシュフローマージン(営業キャッシュフロー/売上高)は28.4%と、前年度の29.4%から悪化しました。

 

2022Q1の営業キャッシュフローは470億ドル(前年同期比+21.2%)となりました。

 

FY2021のフリーキャッシュフローは930億ドルと、前年度比+26.7%、過去5年間で年率+12.2%となりました。

フリーキャッシュフローマージン(フリーキャッシュフロー/売上高)は25.4%と、前年度の26.7%から悪化しました。

 

2022Q1のフリーキャッシュフローは442億ドル(前年同期比+25.2%)となりました。

 

株主還元(配当、自社株買い)の推移

自社株買いに積極的です。

 

(参考)過去5年間の株主還元利回り(株価は各会計年度末時点)

FY2021の益利回り(PERの逆数)は4.0%、フリーキャッシュフロー利回りは3.9%です。

過去5年間の総還元利回りは4%超です。

 

(参考)過去5年間の配当性向、総還元性向

過去5年間の配当性向は、利益・キャッシュフローベースともに、30%を下回りました。

 

(参考)過去5年間のDPS(1株当たり配当金)

FY2021のDPSは0.85ドルと、前年度比+6.9%、過去5年間で年率+9.3%となりました。

 

(参考)過去5年間の発行済株式数

発行済株式数は、過去5年間で年率▲5.2%となりました。

 

投資効率(ROIC、ROE)の推移

ROIC(Return on Invested Capital、投下資本利益率)とは、企業が事業活動のために投じた資金を使ってどれだけ利益を生み出したか(投資効率)を測る指標となります。

正確な計算方法はないため、ここでは、税引後営業利益/投下資本(=運転資本+有形固定資産(リース含む)+無形固定資産+在庫+のれん)として計算しています。

少なくともWACC(加重平均資本コスト)を超えることが絶対条件と言われれています。

過去5年間のROICは100%以上となっており、0が1桁多いほど非常に投資効率が高いと言えます。

 

売上高(セグメント別)およびEPSの実績値とコンセンサスの推移

売上高の実績値(コンセンサス比)は、過去10四半期中、9勝、1敗です。

EPSの実績値(コンセンサス比)は、過去10四半期中、9勝、1引き分けです。

 
売上高(億ドル)EPS(ドル)
実績値コンセンサス勝敗実績値コンセンサス勝敗
2019Q46406290.760.71
2020Q19188841.251.14
2020Q25835460.640.57
2020Q35975260.650.52
2020Q46476330.730.70
2021Q1111410321.681.41
2021Q28967731.400.98
2021Q38147351.301.01
2021Q4834850×1.241.24
2022Q1123911852.101.89


(参考)セグメント別

 
iPhone売上高(億ドル)Mac売上高(億ドル)iPad売上高(億ドル)ウェアラブル等売上高(億ドル)サービス売上高(億ドル)
実績値コンセンサス勝敗実績値コンセンサス勝敗実績値コンセンサス勝敗実績値コンセンサス勝敗実績値コンセンサス勝敗
2019Q43343287075×4747×6559125122
2020Q15605147272×6067×10099127131×
2020Q2290284545344436370×133129
2020Q3264220716066486560132131
2020Q4264277×907968617972145141
2021Q16565998787×8476130119158149
2021Q2479408916978587875169155
2021Q3396346828074718876175163
2021Q4389416×9293×83728893×183176
2022Q1716N/A 109N/A 72N/A 147N/A 195N/A

 

株価上昇率

FY2021の株価上昇率は+22.2%と、S&P500(+28.1%)を下回りました。

過去5年間(2016年10月から2021年9月末)の株価上昇率は年率+38.0%と、S&P500(年率+14.7%)を大きく上回りました。

 

2022Q1の株価上昇率は+25.5%と、S&P500(+10.6%)を上回りました。

 

競合他社(情報技術セクター大手)の株価上昇率(005930.KSは韓国ウォン建て、その他はUSドル建て)は、以下の通りです。

アップル(AAPL)の株価上昇率は、2021年の1年間で+34%と、16社平均(+30%)を上回り、16社中第8位となりました。

2019年1月から2021年12月の3年間では+350%と、16社平均(+195%)を上回り、16社中第3位となりました。

 

過去10年間(2012年1月から2021年12月)のドローダウン(最高値からの下落率、月末株価)の推移は、以下の通りです。

過去10年間で3回も大きなドローダウンが発生しているため、投資タイミングという意味では難しい銘柄です。

最高値から30%程度下落した場合には、絶好の買い場と言えます。

 

(参考)株価の推移(月末株価)

通常の目盛り表示の場合、近年の株価のブレ幅(上昇もしくは下落)が過去より非常に大きいと錯覚するため、対数目盛りで表示しています。

 

DCF法による目標株価

DCF(Discounted Cash Flow)法とは、将来に渡って生み出すキャッシュフローを割り引く(WACC、加重平均資本コスト)ことで理論価格を算出します。

以下のシナリオに基づき、フリーキャッシュフローの現在価値とネット有利子負債を合計して株主価値を算出し、株主価値を発行済株式総数で割ることで、1株あたりの株価を算出します。

なお、WACCを5.6%と推計しました。

以下のグラフは、各シナリオのフローキャッシュフロー(億ドル)の推移となります。

① メインシナリオ

 フリーキャッシュフローの成長率:1年目+20%、2年目〜3年目+10%、4年目〜10年目+5%。11年目以降の永続成長率は0%

② アップサイドシナリオ

 フリーキャッシュフローの成長率:1年目+20%、2年目〜10年目+10%。11年目以降の永続成長率は0%

③ ダウンサイドシナリオ

 フリーキャッシュフローの成長率:1年目+20%、2年目〜5年目+5%、6年目〜10年目+0%。11年目以降の永続成長率は0%

メインシナリオの目標株価は178ドルとなります。

・メインシナリオ:178ドル

・アップサイドシナリオ:232ドル

・ダウンサイドシナリオ:136ドル

アップル(Apple、AAPL)への投資について

2022Q1(2021年10−12月期)の売上高は1,239億ドル(コンセンサス1,185億ドル)、EPSは2.10ドル(コンセンサス1.89ドル)と、コンセンサスを上回る実績となりました。

DCF法による目標株価は178ドルのため、2021年12月末時点の株価178ドルとほぼ同水準です。

なお、メインシナリオは、10年後の売上高が1.6倍(年率+4%)、10年後に向けてフリーキャッシュフローマージンが30%まで上昇することを想定したので、売上高またはフリーキャッシュフローマージンがさらに上向けばより高い株価上昇が期待できます。

自社株買いに積極的なので、発行済株式数の減少による株価上昇も可能です。

ROICがびっくりするほど高く、株主としては最高の投資効率先のため、バフェットが集中投資する理由がわかります。

投資継続です。

マイクロソフト(MSFT)決算分析と目標株価 安定した業績とキャッシュフロー拡大による積極的な株主還元
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