マイクロソフト(MSFT)決算分析と目標株価 安定した業績とキャッシュフロー拡大による積極的な株主還元

マイクロソフト情報技術

過去の業績の推移を解説し、目標株価の算出とマイクロソフトへの投資についてコメントします。

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会社概要

マイクロソフト(Microsoft、MSFT)

ホームページ(SECファイル):リンク先

国:アメリカ

セクター:情報技術

産業グループ:ソフトウェア・サービス

サブ産業グループ:システム・ソフトウェア

株式時価総額:2.0兆ドル(世界ランキング第2位、2021年6月末)

マイクロソフトは、アメリカに本拠を置く、世界最大級のソフトウェア企業です。

Office(アプリケーションソフト)やリンクトイン(ビジネスSNS)、ダイナミクス(業務用アプリケーション)等のソフトウェア事業、Azure(クラウドサービス)やサーバー用ソフトウェア等のクラウド事業、Windows(パソコン用基本ソフト)やXbox(ゲーム機)等のパソコン/ゲーム事業の3つに大きく分けられます。

 

(参考)競合他社(システム・ソフトウェア)の株式時価総額(2021年6月末)

 株式時価総額
(億ドル)
マイクロソフト(MSFT)20,403
オラクル(ORCL)2,173
サービスナウ(NOW)1,085
VMウェア(VMW)670
クラウドストライク(CRWD)567
フォーティネット(FTNT)389
パロ・アルト・ネットワークス(PANW)361
クラウドフレア(NET)329
ゼットスケーラー(ZS)296

 

売上高(セグメント別)の推移

FY2021(2020年7月-2021年6月期)の売上高は1,681億ドルと、前年度比+17.5%、過去5年間で年率+13.0%となりました。

 

2021Q4(2021年4−6月期)の売上高は462億ドル(前年同期比+21.3%)と、コンセンサス(443億ドル)を上回りました。

 

セグメント別の売上高は、以下の通りです。

・ソフトウェア:147億ドル(コンセンサス140億ドル)、前年同期比+25%

・クラウド:174億ドル(コンセンサス164億ドル)、前年同期比+30%

・パソコン/ゲーム:141億ドル(コンセンサス139億ドル)、前年同期比+9%

 

注目度の高いAzureの売上高は+51%となりました。

 

2021Q3の製品及びサービスによる分類別の売上高は、以下の通りです。

※2021Q4はアニュアルレポート発表後に更新

・サーバー製品&クラウドサービス:132億ドル、前年同期比+26%

・オフィス製品&クラウドサービス:100億ドル、前年同期比+12%

・Windows:56億ドル、前年同期比+8%

・ゲーム:35億ドル、前年同期比+50%

・リンクトイン:26億ドル、前年同期比+25%

・検索広告:22億ドル、前年同期比+12%

・デバイス:16億ドル、前年同期比+13%

・エンタープライズサービス:18億ドル、前年同期比+10%

 

利益(セグメント別)の推移

FY2021の営業利益は699億ドルと、前年度比+38.4%、過去5年間で年率+24.4%となりました。

営業利益率は41.6%と、前年度の37.0%から改善しました。

 

2021Q4の営業利益は191億ドル(前年同期比+42.4%)となりました。

 

セグメント別の営業利益率は、以下の通りです。

いずれのセグメントも、営業利益率は前年同期比で改善しました。

 

FY2021のEPSは8.05ドルと、前年度比+39.8%、過去5年間で年率+25.8%となりました。

 

2021Q4のEPSは2.17ドル(前年同期比+46.6%)と、コンセンサス(1.92ドル)を上回りました。

 

キャッシュフローの推移

FY2021の営業キャッシュフローは767億ドルと、前年度比+26.5%、過去5年間で年率+18.2%となりました。

営業キャッシュフローマージン(営業キャッシュフロー/売上高)は45.7%と、前年度の42.4%から改善しました。

 

2021Q4の営業キャッシュフローは227億ドル(前年同期比+21.6%)となりました。

 

FY2021のフリーキャッシュフローは561億ドルと、前年度比+24.1%、過去5年間で年率+17.6%となりました。

フリーキャッシュフローマージン(フリーキャッシュフロー/売上高)は33.4%と、前年度の31.6%から改善しました。

 

2021Q4のフリーキャッシュフローは163億ドル(前年同期比+16.7%)となりました。

 

株主還元(配当、自社株買い)の推移

自社株買いに積極的です。

 

(参考)過去5年間の株主還元利回り(株価は各会計年度末時点)

FY2021の益利回り(PERの逆数)は3.0%、フリーキャッシュフロー利回りは2.7%です。

配当利回りは0.8%、総還元利回りは2.2%と、低下傾向にあります。

 

(参考)過去5年間の配当性向、総還元性向

FY2021の配当性向は、利益・キャッシュフローベースともに、30%以下です。

 

(参考)過去5年間のDPS(1株当たり配当金)

FY2021のDPSは2.24ドルと、前年度比+9.8%、過去5年間で年率+9.2%となりました。

 

(参考)過去5年間の発行済株式数

発行済株式数は、過去5年間で年率▲1.0%となりました。

 

ROICの推移

ROIC(Return on Invested Capital、投下資本利益率)とは、企業が事業活動のために投じた資金を使ってどれだけ利益を生み出したか(投資効率)を測る指標となります。

正確な計算方法はないため、ここでは、税引後営業利益/投下資本(=運転資本+有形固定資産(リース含む)+無形固定資産+在庫+のれん)として計算しています。

少なくともWACC(加重平均資本コスト)を超えることが絶対条件と言われれています。

過去5年間のROICは30〜40%程度と、投資効率は高いです。

 

売上高およびEPSの実績値とコンセンサスの推移

売上高の実績値(コンセンサス比)は、過去8四半期中、8勝です。

EPSの実績値(コンセンサス比)は、過去8半期中、8勝です。

 
売上高(ドル)EPS(ドル)
実績値コンセンサス勝敗実績値コンセンサス勝敗
2020Q13313221.381.24
2020Q23693571.511.32
2020Q33503371.401.27
2020Q43803661.461.37
2021Q13723581.821.54
2021Q24314022.031.64
2021Q34174092.031.77
2021Q44624432.171.92

 

株価上昇率

FY2021の株価上昇率は+33.1%と、S&P500(+38.6%)を下回りました。

過去5年間(2016年7月から2021年6月末)の株価上昇率は年率+39.6%と、S&P500(年率+15.4%)を大きく上回りました。

 

2021Q4の株価上昇率は+14.9%と、S&P500(+8.2%)を上回りました。

 

競合他社(情報技術セクター)の株価上昇率(USドル建て)は、以下の通りです。

マイクロソフト(MSFT)の株価上昇率は、2020年の1年間で+41%と、12社平均(+54%)を下回り、12社中第7位となりました。

2018年1月から2020年12月の3年間では+160%と、12社平均(+144%)を上回り、12社中第7位となりました。

 

過去10年間(2011年7月から2021年6月)のドローダウン(最高値からの下落率、月末株価)の推移は、以下の通りです。

ドローダウンが比較的小さく、その後は急反発する傾向にあるため、最高値から10%程度下落した場合には迅速な追加投資のチャンスです。

 

(参考)株価の推移(月末株価)

通常の目盛り表示の場合、近年の株価のブレ幅(上昇もしくは下落)が過去より非常に大きいと錯覚するため、対数目盛りで表示しています。

綺麗な上昇トレンドです。

 

DCF法による目標株価

DCF(Discounted Cash Flow)法とは、将来に渡って生み出すキャッシュフローを割り引く(WACC、加重平均資本コスト)ことで理論価格を算出します。

以下のシナリオに基づき、フリーキャッシュフローの現在価値とネット有利子負債を合計して株主価値を算出し、株主価値を発行済株式総数で割ることで、1株あたりの株価を算出します。

なお、WACCを5.2%と推計しました。

以下のグラフは、各シナリオのフローキャッシュフロー(億ドル)の推移となります。

① メインシナリオ

 フリーキャッシュフローの成長率:1年目+15%、2年目〜7年目+10%、8年目〜10年目+5%。11年目以降の永続成長率は0%。

② アップサイドシナリオ

 フリーキャッシュフローの成長率:1年目〜3年目+15%、4年目〜10年目+10%。11年目以降の永続成長率は0%。

③ ダウンサイドシナリオ

 フリーキャッシュフローの成長率:1年目+10%、2年目〜10年目+5%。11年目以降の永続成長率は0%。

メインシナリオの目標株価は304ドルとなります。

・メインシナリオ:304ドル

・アップサイドシナリオ:366ドル

・ダウンサイドシナリオ:229ドル

マイクロソフト(Microsoft、MSFT)への投資について

2021Q4(2021年4−6月期)の売上高は462億ドル(コンセンサス443億ドル)、EPSは2.17ドル(コンセンサス1.92ドル)と、これまでと同様、コンセンサスを上回る実績となりました。

また、Azureの売上高は前年同期比+51%と、高い水準を維持したものの、為替変動の影響を排除した場合は+45%と減速したことが、市場ではややネガティブに受け止められました。

2022Q1のガイダンスは、以下の通りです。

・ソフトウェア売上高:145〜147.5億ドル

・クラウド売上高:164〜166.5億ドル

・パソコン/ゲーム売上高:124〜128億ドル

上記セグメントを積み上げた売上高は433〜442億ドル(コンセンサス422億ドル)となります。

DCF法による目標株価は304ドルのため、2021年6月末時点の株価271ドルより高い水準です。

なお、メインシナリオは、10年後の売上高が2.4倍(年率+10%)、FY2021のフリーキャッシュフローマージンである33%が10年間継続することを想定したので、売上高またはフリーキャッシュフローマージンがさらに上向けばより高い株価上昇が期待できます。

投資継続です。

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