マイクロソフト(MSFT)決算分析と目標株価 安定した業績とキャッシュフロー拡大による積極的な株主還元

マイクロソフト情報技術

過去の業績の推移を解説し、目標株価の算出とマイクロソフトへの投資についてコメントします。

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会社概要

マイクロソフト(Microsoft、MSFT)

ホームページ(SECファイル):リンク先

国:アメリカ

セクター:情報技術

産業グループ:ソフトウェア・サービス

サブ産業グループ:システム・ソフトウェア

株式時価総額:2.79兆ドル(世界ランキング第2位、2023年12月末)

マイクロソフトは、アメリカに本拠を置く、世界最大級のソフトウェア企業です。

Office(アプリケーションソフト)やリンクトイン(ビジネスSNS)、ダイナミクス(業務用アプリケーション)等のソフトウェア事業、Azure(クラウドサービス)やサーバー用ソフトウェア等のクラウド事業、Windows(パソコン用基本ソフト)やXbox(ゲーム機)等のパソコン/ゲーム事業の3つに大きく分けられます。

2016年にリンクトインを262億ドルで買収、2023年にアクティビジョン・ブリザードを687億ドルで買収しました。

また、ChatGPTを開発したオープンAIへ2019年から総額100億ドル以上投資しています。

 

売上高(セグメント別)の推移

FY2023(2022年7月-2023年6月期)の売上高は2,119億ドルと、前年度比+6.9%、過去5年間で年率+13.9%となりました。

マイクロソフト

 

セグメント別の売上高は、以下の通りです。

・ソフトウェア:693億ドル、前年同期比+9%

・クラウド:879億ドル、前年同期比+17%

・パソコン/ゲーム:547億ドル、前年同期比▲9%

マイクロソフト

 

製品及びサービスによる分類別の売上高は、以下の通りです。

・サーバー製品&クラウドサービス:800億ドル、前年度比+19%

・オフィス製品&クラウドサービス:487億ドル、前年度比+9%

・Windows:215億ドル、前年度比▲13%

・ゲーム:155億ドル、前年度比▲5%

・リンクトイン:151億ドル、前年度比+10%

・検索広告:122億ドル、前年度比+5%

・エンタープライズサービス:77億ドル、前年度比+4%

・デバイス:55億ドル、前年度比▲24%

・ダイナミクス:54億ドル、前年度比+16%

マイクロソフト

 

利益(セグメント別)の推移

FY2023の営業利益は885億ドルと、前年度比+6.2%、過去5年間で年率+20.4%となりました。

営業利益率は41.8%と、前年度の42.1%とほぼ同水準となりました。

マイクロソフト

 

セグメント別の営業利益率は、以下の通りです。

マイクロソフト

 

FY2023の非GAAP EPSは9.81ドルと、前年度比+6.5%、過去5年間で年率+20.4%となりました。

マイクロソフト

 

キャッシュフローの推移

FY2023の営業キャッシュフローは876億ドルと、前年度比▲1.6%、過去5年間で年率+14.8%となりました。

営業キャッシュフローマージン(営業キャッシュフロー/売上高)は41.3%と、前年度の44.9%から悪化しました。

マイクロソフト

 

FY2023のフリーキャッシュフローは595億ドルと、前年度比▲8.7%、過去5年間で年率+13.0%となりました。

フリーキャッシュフローマージン(フリーキャッシュフロー/売上高)は28.1%と、前年度の32.9%から悪化しました。

マイクロソフト

 

株主還元(配当、自社株買い)の推移

自社株買いに積極的です。

マイクロソフト

 

(参考)過去5年間の株主還元利回り(株価は各会計年度末時点)

FY2023の益利回り(PERの逆数)は2.8%、フリーキャッシュフロー利回りは2.3%です。

配当利回りは0.8%、総還元利回りは1.7%と、株価上昇を受けて低下傾向にあります。

マイクロソフト

 

(参考)過去5年間の配当性向、総還元性向

FY2023の配当性向は、利益・キャッシュフローベースともに、40%以下です。

マイクロソフト

 

(参考)過去5年間のDPS(1株当たり配当金)

FY2023のDPSは2.72ドルと、前年度比+9.7%、過去5年間で年率+10.1%となりました。

FY2024のDPSは3.00ドル(前年度比+10.3%)の見通しです。

マイクロソフト

 

(参考)過去5年間の発行済株式数

発行済株式数は、過去5年間で年率▲0.8%となりました。

マイクロソフト

 

ROICの推移

ROIC(Return on Invested Capital、投下資本利益率)とは、企業が事業活動のために投じた資金を使ってどれだけ利益を生み出したか(投資効率)を測る指標となります。

正確な計算方法はないため、ここでは、税引後営業利益/投下資本(=運転資本+有形固定資産(リース含む)+無形固定資産+在庫+のれん)として計算しています。

少なくともWACC(加重平均資本コスト)を超えることが絶対条件と言われれています。

過去5年間のROICは30〜40%程度と、投資効率は高いです。

マイクロソフト

 

株価上昇率

FY2023の株価上昇率は+32.6%と、S&P500(+17.6%)を上回りました。

過去5年間(2018年7月から2023年6月末)の株価上昇率は年率+28.1%と、S&P500(年率+10.4%)を大きく上回りました。

マイクロソフト

 

過去10年間(2014年1月から2023年12月)のドローダウン(最高値からの下落率、月末株価)の推移は、以下の通りです。

ドローダウンが比較的小さく、その後は急反発する傾向にあるため、最高値から10%程度下落した場合には迅速な追加投資のチャンスです。

マイクロソフト

 

(参考)株価の推移(月末株価)

通常の目盛り表示の場合、近年の株価のブレ幅(上昇もしくは下落)が過去より非常に大きいと錯覚するため、対数目盛りで表示しています。

綺麗な上昇トレンドです。

マイクロソフト

 

DCF法による目標株価

DCF(Discounted Cash Flow)法とは、将来に渡って生み出すキャッシュフローを割り引く(WACC、加重平均資本コスト)ことで理論価格を算出します。

以下のシナリオに基づき、フリーキャッシュフローの現在価値とネット有利子負債を合計して株主価値を算出し、株主価値を発行済株式総数で割ることで、1株あたりの株価を算出します。

なお、WACCを6.1%と推計しました。

以下のグラフは、各シナリオのフローキャッシュフロー(億ドル)の推移となります。

マイクロソフト

① メインシナリオ

 フリーキャッシュフローの成長率:1年目+20%、2年目〜5年目+15%、6年目〜10年目+10%。11年目以降の永続成長率は0%。

② アップサイドシナリオ

 フリーキャッシュフローの成長率:1年目+20%、2年目〜10年目+15%。11年目以降の永続成長率は0%。

③ ダウンサイドシナリオ

 フリーキャッシュフローの成長率:1年目+20%、2年目〜3年目+10%、4年目〜10年目+5%。11年目以降の永続成長率は0%。

メインシナリオの目標株価は372ドルとなります。

・メインシナリオ:372ドル

・アップサイドシナリオ:443ドル

・ダウンサイドシナリオ:246ドル

マイクロソフト(Microsoft、MSFT)への投資について

FY2023の売上高は2,119億ドル(前年度比+6.9%)、非GAAP EPSは9.81ドル(前年度比+6.5%)となりました。

DCF法による目標株価は372ドルのため、2023年12月末時点の株価376ドルとほぼ同水準です。

なお、メインシナリオは、10年後の売上高が2.7倍(年率+10%)、フリーキャッシュフローマージンが35%まで改善することを想定したので、売上高またはフリーキャッシュフローマージンがさらに上向けばより高い株価上昇が期待できます。

生成AI関連の市場規模拡大から、中長期的にみて市場平均を上回る株価上昇率が期待できます。

超優良株のため割安にはなりにくいため、株価水準をみて売買するより、継続投資が良いと考えられます。

アップル(AAPL)決算分析と目標株価 非常に高い投資効率(ROIC)、積極的な自社株買いで総還元利回りは3%超
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