ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)決算分析と目標株価 消費者向け製品、医薬品、医療機器と事業が分散

ジョンソンエンドジョンソン医薬品・バイオテクノロジー・ライフサイエンス

過去の業績の推移を解説し、目標株価の算出とジョンソン・エンド・ジョンソンへの投資についてコメントします。

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会社概要

ジョンソン・エンド・ジョンソン(Johnson & Johnson、JNJ)

ホームページ(SECファイル):リンク先

国:アメリカ

セクター:ヘルスケア

産業グループ:医薬品・バイオテクノロジー・ライフサイエンス

サブ産業グループ:医薬品

株式時価総額:4,338億ドル(世界ランキング第16位、2021年6月末)

ジョンソン・エンド・ジョンソンは、アメリカに本拠を置く、消費者向け製品、医薬品、医療機器を製造・販売する世界最大級のヘルスケア企業です。

 

(参考)競合他社(医薬品)の株式時価総額(2021年6月末)

 株式時価総額
(億ドル)
ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)4,338
ロシュHD(ROG.SW)3,257
イーライ・リリー(LLY)2,201
ファイザー(PFE)2,192
ノバルティス(NVS)2,048
メルク&カンパニー(MRK)1,969
ノボ・ノルディスク(NVO)1,923
アストラゼネカ(AZN)1,573
ブリストル・マイヤーズ スクイブ(BMY)1,492
サノフィ(SNY)1,317
グラクソ・スミスクライン(GSK)1,002
ゾエティス(ZTS)885
メルクKGaA(MRK.DE)811
中外製薬(4519.T)655
バイエル(BAYN.DE)599
武田薬品工業(4502.T)531
第一三共(4568.T)377
アステラス製薬(4503.T)322
エーザイ(4523.T)283

売上高(セグメント別、地域別)の推移

FY2020(2020年1-12月期)の売上高は826億ドルと、前年度比+0.6%、過去5年間で年率+3.3%となりました。

 

2021Q2(2021年4−6月期)の売上高は233億ドル(前年同期比+27.1%)と、コンセンサス(225億ドル)を上回りました。

 

セグメント別の売上高は、以下の通りです。

・一般消費者向け製品:37億ドル、前年同期比+13%

・医薬品:126億ドル、前年同期比+17%

・医療機器:70億ドル、前年同期比+63%

セグメント別の売上高構成比は、一般消費者向け製品が16%、医薬品が54%、医療機器が30%を占めます。

 

一般消費者向け製品のサブセグメント別の売上高構成比は、市販薬が34%、スキンケアが32%、口腔ケアが12%、ベビーケアが11%を占めます。

 

医薬品のサブセグメント別の売上高構成比は、免疫が33%、腫瘍が27%、精神/神経が14%を占めます。

 

医療機器のサブセグメント別の売上高構成比は、外科が36%、整形外科が34%、視力が17%、インターベンションが13%を占めます。

 

地域別の売上高構成比は、アメリカが52%を占めます。

 

利益の推移

FY2020の営業利益は197億ドルと、前年度比▲1.7%、過去5年間で年率+1.8%となりました。

営業利益率は23.9%と、前年度の24.5%から悪化しました。

 

2021Q2の営業利益は63億ドル(前年同期比+54.5%)となりました。

 

セグメント別の非GAAP 税引前純利益率は、以下の通りです。

 

FY2020の非GAAP EPSは8.03ドルと、前年度比▲7.5%、過去5年間で年率+5.3%となりました。

 

2021Q2のEPSは2.35ドルと、コンセンサス(2.04ドル)を上回りました。

非GAAP EPSは2.48ドル(前年同期比+48.5%)と、コンセンサス(2.29ドル)を上回りました。

 

キャッシュフローの推移

FY2020の営業キャッシュフローは235億ドルと、前年度比+0.5%、過去5年間で年率+3.8%となりました。

営業キャッシュフローマージン(営業キャッシュフロー/売上高)は28.5%と、前年度の28.5%とほぼ同水準となりました。

 

2021Q2の営業キャッシュフローは53億ドル(前年同期比+53.9%)となりました。

 

FY2020のフリーキャッシュフローは202億ドルと、前年度比+1.4%、過去5年間で年率+4.6%となりました。

フリーキャッシュフローマージン(フリーキャッシュフロー/売上高)は24.4%と、前年度の24.3%とほぼ同水準となりました。

 

2021Q2のフリーキャッシュフローは45億ドル(前年同期比+61.3%)となりました。

 

株主還元(配当、自社株買い)の推移

自社株買いに積極的です。

 

(参考)過去5年間の株主還元利回り(株価は各会計年度末時点)

FY2020の益利回り(PERの逆数)は3.5%、フリーキャッシュフロー利回りは4.8%です。

過去5年間の配当利回りは2.5%前後です。

 

(参考)過去5年間の配当性向、総還元性向

過去3年間の配当性向は、利益・キャッシュフローベースともに、50〜70%程度です。

 

(参考)過去5年間のDPS(1株当たり配当金)

FY2020のDPSは3.98ドルと、前年度比+6.1%、過去5年間では年率+6.2%となりました。

FY2021のDPSは4.19ドル(前年度比+5.3%)の予定です。

 

(参考)過去5年間の発行済株式数

発行済株式数は、過去5年間で年率▲1.0%となりました。

 

売上高およびEPSの実績値とコンセンサスの推移

売上高の実績値(コンセンサス比)は、過去9四半期中、8勝、1敗です。

EPSの実績値(コンセンサス比)は、過去9四半期中、7勝、2敗です。

非GAAP EPSの実績値(コンセンサス比)は、過去9四半期中、9勝です。

 
売上高(ドル)GAAP EPS(ドル)非GAAP EPS(ドル)
実績値コンセンサス勝敗実績値コンセンサス勝敗実績値コンセンサス勝敗
2019Q22062042.082.042.582.44
2019Q32072011.811.582.122.01
2019Q4208208×1.501.471.881.87
2020Q12071952.171.432.302.00
2020Q21831771.361.181.671.51
2020Q32112021.331.70×2.201.98
2020Q42252160.651.43×1.861.83
2021Q12232202.322.102.592.35
2021Q22332252.352.042.482.29

 

株価上昇率

FY2020の株価上昇率は+7.9%と、S&P500(+16.3%)を下回りました。

過去5年間(2016年1月から2020年12月末)の株価上昇率は年率+8.9%と、S&P500(年率+12.9%)を下回りました。

 

2021Q2の株価上昇率は+0.2%と、S&P500(+8.2%)を下回りました。

 

競合他社(医薬品・バイオテクノロジー・ライフサイエンス)の株価上昇率(ドル建て)は、以下の通りです。

ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)の株価上昇率は、2020年の1年間で+8%と、13社平均(+10%)を下回り、13社中第6位となりました。

2018年1月から2020年12月の3年間では+13%と、13社平均(+43%)を下回り、13社中第9位となりました。

 

株式市場全体の下落局面における株価上昇率(ドル建て)は、以下の通りです。

ジョンソン・エンド・ジョンソンは、下落相場に強いと言えます。

 

過去10年間(2011年8月から2021年7月)のドローダウン(最高値からの下落率、月末株価)の推移は、以下の通りです。

最高値から10%程度下落すると反発する傾向にあるため、その時が狙い目です。

 

(参考)株価の推移(月末株価)

通常の目盛り表示の場合、近年の株価のブレ幅(上昇もしくは下落)が過去より非常に大きいと錯覚するため、対数目盛りで表示しています。

 

DCF法による目標株価

DCF(Discounted Cash Flow)法とは、将来に渡って生み出すキャッシュフローを割り引く(WACC、加重平均資本コスト)ことで理論価格を算出します。

以下のシナリオに基づき、フリーキャッシュフローの現在価値とネット有利子負債を合計して株主価値を算出し、株主価値を発行済株式総数で割ることで、1株あたりの株価を算出します。

なお、WACCを4.9%と推計しました。

以下のグラフは、各シナリオのフローキャッシュフロー(億ドル)の推移となります。

① メインシナリオ

 フリーキャッシュフローの成長率:1年目+14%、2年目〜10年目+2%。11年目以降の永続成長率は0%

② アップサイドシナリオ

 フリーキャッシュフローの成長率:1年目+14%、2年目〜10年目+5%。11年目以降の永続成長率は0%

③ ダウンサイドシナリオ

 フリーキャッシュフローの成長率:1年目+14%、2年目〜10年目+0%。11年目以降の永続成長率は0%

メインシナリオの目標株価は199ドルとなります。

・メインシナリオ:199ドル

・アップサイドシナリオ:248ドル

・ダウンサイドシナリオ:172ドル

ジョンソン・エンド・ジョンソン(Johnson & Johnson、JNJ)への投資について

2021Q2(2021年4−6月期)の売上高は233億ドル(コンセンサス225億ドル)、非GAAP EPSは2.48ドル(コンセンサス2.29ドル)と、コンセンサスを上回る実績となりました。

FY2021のガイダンス(引き上げ)は、以下の通りです。

・売上高:925〜933億ドル(コンセンサス926億ドル)

 ワクチンの売上高は〜25億ドル

・調整後EPS:9.50〜9.60ドル(コンセンサス9.55ドル)

DCF法による目標株価は199ドルのため、2021年7月末時点の株価172ドルより高い水準です。

なお、メインシナリオは、10年後の売上高が1.4倍(年率+3%)、FY2020のフリーキャッシュフローマージンである24%(過去5年間も同程度)が10年間継続することを想定したので、売上高またはフリーキャッシュフローマージンがさらに上向けばより高い株価上昇が期待できます。

自社株買いを実施しているので、発行済株式数の減少による株価上昇も可能です。

P&Gやアボット・ラボラトリーズと並んで安心感のある銘柄で、長期的にみて株式市場全体を上回る株価上昇率は期待できませんが、ディフェンシブ銘柄として保有したい銘柄の1つです。

ディフェンシブ銘柄は、P&G等の生活必需品セクターに任せ、ヘルスケアセクターは増収率の高い企業へ投資する方針なので、個別要因で株価が急落した場合を除いて投資は見送りです。

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