ダナハー(DHR)決算分析と目標株価 買収企業を改善・長期保有で成長し続ける事業ポートフォリオ

ダナハーヘルスケア機器・サービス

過去の業績の推移を解説し、目標株価の算出とダナハーへの投資についてコメントします。

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会社概要

ダナハー(Danaher、DHR)

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国:アメリカ

セクター:ヘルスケア

産業グループ:ヘルスケア機器・サービス

サブ産業グループ:ヘルスケア機器

株式時価総額:1,914億ドル(世界ランキング、第61位、2021年6月末)

ダナハーは、アメリカに本拠を置く、ライフサイエンスや検査器具、環境などの事業を手掛ける企業です。

企業(事業)買収後に収益改善(Kaizen)を図り続けて事業構築するダナハー ・ビジネス・システム(DBS)によって成長し続けており、長期保有している点が投資会社と異なります。

2020年3月末に、GEからバイオ医薬の検査機器などのバイオファーマ事業の買収が完了(新ブランド名はCytiva/サイティバ)し、ダナハーにとっては過去最大の買収案件(214億ドル)となりました。

 

(参考)競合他社(ヘルスケア機器)の株式時価総額(2021年6月末)

 株式時価総額
(億ドル)
アボットラボラトリーズ(ABT)2,060
ダナハー(DHR)1,914
メドトロニック(MDT)1,670
インテュイティブ・サージカル(ISRG)1,089
ストライカー(SYK)979
ベクトン・ディッキンソン(BDX)707
シーメンス・ヘルスケア(SHL.DE)701
エドワーズライフサイエンス(EW)644
ボストン・サイエンティフィック(BST)608
アイデックスラボラトリーズ(IDXX)539
コーニンクレッカ フィリップス(PHG)453
バクスターインターナショナル(BAX)405
デクスコム(DXCM)413
ザルトリウス(SRT.DE)339
レスメド(RMD)359
ジンマー・バイオメットHD(ZBH)335
テルモ(4543.T)308
ストラウマンHD(STMN.SW)262
シスメックス(6869.T)248
ソノバHD(SOON.SW)243
オリンパス(7733.T)242
ノボキュア(NVCR)229

 

売上高(セグメント別)の推移

FY2020(2020年1-12月期)の売上高は223億ドルと、前年度比+24.4%、過去5年間で年率+13.8%となりました。

 

2021Q2(2021年4−6月期)の売上高は72億ドル(前年同期比+36.3%)と、コンセンサス(67億ドル)を上回りました。

 

セグメント別の売上高は、以下の通りです。

・生命科学:37億ドル、前年同期比+41%

・診断:23億ドル、前年同期比+41%

・環境&応用ソリューション:11億ドル、前年同期比+15%

セグメント別の売上高構成比は、生命科学が52%、診断が32%、環境&応用ソリューションが16%を占めます。

 

FY2020の地域別の売上高構成比は、北米が40%、高成長市場が30%、欧州が24%を占めます。

 

利益(セグメント別)の推移

FY2020の営業利益は42億ドルと、前年度比+29.4%、過去5年間で年率+19.0%となりました。

営業利益率は19.0%と、前年度の18.3%から改善しました。

 

2021Q2の営業利益は20億ドル(前年同期比+137.4%)となりました。

 

セグメント別の営業利益率は、以下の通りです。

 

FY2020の非GAAP EPSは6.31ドルと、前年度比+42.8%、過去5年間で年率+8.0%となりました。

 

2021Q2のEPSは2.28ドルと、コンセンサス(1.64ドル)を上回りました。

非GAAP EPSは2.46ドル(前年同期比+70.8%)と、コンセンサス(2.0.5ドル)を上回りました。

 

キャッシュフローの推移

FY2020の営業キャッシュフローは62億ドルと、前年度比+57.1%、過去5年間で年率+10.3%となりました。

営業キャッシュフローマージン(営業キャッシュフロー/売上高)は27.9%と、前年度の22.1%から改善しました。

 

2021Q2の営業キャッシュフローは21億ドル(前年同期比+46.7%)となりました。

 

FY2020のフリーキャッシュフローは54億ドルと、前年度比+63.4%、過去5年間で年率+10.5%となりました。

フリーキャッシュフローマージン(フリーキャッシュフロー/売上高)は24.3%と、前年度の18.5%から改善しました。

 

2021Q2のフリーキャッシュフローは18億ドル(前年同期比+40.7%)となりました。

 

株主還元(配当、自社株買い)の推移

自社株買いの実施はなしです。

 

(参考)過去5年間の株主還元利回り(株価は各会計年度末時点)

FY2020の益利回り(PERの逆数)は2.2%、フリーキャッシュフロー利回りは3.4%です。

 

(参考)過去5年間の配当性向、総還元性向

FY2020の配当性向は、利益・キャッシュフローベースともに、20%以下です。

 

(参考)過去5年間のDPS(1株当たり配当金)

FY2020のDPSは0.72ドルと、前年度比+5.9%、過去5年間では年率+5.9%となりました。

FY2021のDPSは0.84ドル(前年度比+16.7%)の予定です。

 

(参考)過去5年間の発行済株式数

発行済株式数は、過去5年間で年率+0.3%となりました。

 

売上高およびEPSの実績値とコンセンサスの推移

売上高の実績値(コンセンサス比)は、過去9四半期中、9勝です。

EPSの実績値(コンセンサス比)は、過去9半期中、7勝、2敗です。

非GAAP EPSの実績値(コンセンサス比)は、過去9半期中、8勝、1引き分けです。

 
売上高(ドル)GAAP EPS(ドル)非GAAP EPS(ドル)
実績値コンセンサス勝敗実績値コンセンサス勝敗実績値コンセンサス勝敗
2019Q252510.970.951.191.16
2019Q350500.890.93×1.161.15
2019Q449481.071.021.281.25
2020Q143430.810.86×1.051.05
2020Q253501.240.741.441.09
2020Q359551.161.051.721.36
2020Q468661.661.442.081.87
2021Q169662.291.232.521.77
2021Q272672.281.642.462.05

 

株価上昇率

FY2020の株価上昇率は+44.7%と、S&P500(+16.3%)を上回りました。

過去5年間(2016年1月から2020年12月末)の株価上昇率は年率+25.8%と、S&P500(年率+12.9%)を大きく上回りました。

 

2021Q2の株価上昇率は+19.2%と、S&P500(+8.2%)を上回りました。

 

競合他社(ヘルスケア機器)の株価上昇率(SHL.DE、SRT.DEはユーロ建て、STMN.SW、SOON.SWはスイスフラン建て、4543.T、6869.T、7733.Tは日本円建て、その他はUSドル建て)は、以下の通りです。

ダナハー (DHR)の株価上昇率は、2020年の1年間で+45%と、22社平均(+33%)を上回り、22社中第7位となりました。

2018年1月から2020年12月の3年間では+139%と、21社平均(+150%)を下回り、22社中第7位となりました。

 

過去10年間(2011年8月から2021年7月)のドローダウン(最高値からの下落率、月末株価)の推移は、以下の通りです。

ドローダウンは比較的小さく、株式市場全体の急落時を除いて、最高値から5%程度下落すると反発する傾向にあるため、その時が狙い目です。

 

(参考)株価の推移(月末株価)

通常の目盛り表示の場合、近年の株価のブレ幅(上昇もしくは下落)が過去より非常に大きいと錯覚するため、対数目盛りで表示しています。

安定した上昇トレンドです。

DCF法による目標株価

DCF(Discounted Cash Flow)法とは、将来に渡って生み出すキャッシュフローを割り引く(WACC、加重平均資本コスト)ことで理論価格を算出します。

以下のシナリオに基づき、フリーキャッシュフローの現在価値とネット有利子負債を合計して株主価値を算出し、株主価値を発行済株式総数で割ることで、1株あたりの株価を算出します。

なお、WACCを4.8%と推計しました。

以下のグラフは、各シナリオのフローキャッシュフロー(億ドル)の推移となります。

① メインシナリオ

 フリーキャッシュフローの成長率:1年目+30%、2年目〜3年目+10%、4年目〜10年目+5%。11年目以降の永続成長率は0%。

② アップサイドシナリオ

 フリーキャッシュフローの成長率:1年目+30%、2年目〜10年目+10%。11年目以降の永続成長率は0%。

③ ダウンサイドシナリオ

 フリーキャッシュフローの成長率:1年目+30%、2年目〜10年目+0%。11年目以降の永続成長率は0%。

メインシナリオの目標株価は297ドルとなります。

・メインシナリオ:297ドル

・アップサイドシナリオ:395ドル

・ダウンサイドシナリオ:182ドル

ダナハー(Danaher、DHR)への投資について

2021Q2(2021年4−6月期)の売上高は72億ドル(コンセンサス67億ドル)、非GAAP EPSは2.46ドル(コンセンサス2.05ドル)と、コンセンサスを上回る実績となりました。

FY2021のガイダンスは、以下の通りです。

・売上高(非GAAP):〜+20%

DCF法による目標株価は297ドルのため、2021年7月末時点の株価297ドルとほぼ同水準です。

なお、メインシナリオは、10年後の売上高が2.2倍(年率+8%)、FY2020のフリーキャッシュフローマージンである24%が10年間継続することを想定したので、売上高またはフリーキャッシュフローマージンがさらに上向けばより高い株価上昇が期待できます。

ヘルスケアセクターの中では、サーモフィッシャー・サイエンティフィックと並んで魅力的な企業なので、機会があれば投資したいと思います。

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