メドトロニック(MDT)決算分析と目標株価 心臓等循環器系に強み 株価は不調 44年連続増配

メドトロニックヘルスケア機器・サービス

過去の業績の推移を解説し、目標株価の算出とメドトロニックへの投資についてコメントします。

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会社概要

メドトロニック(Medtronic、MDT)

ホームページ(SECファイル):リンク先

国:アイルランド

セクター:ヘルスケア

産業グループ:ヘルスケア機器・サービス

サブ産業グループ:ヘルスケア機器

株式時価総額:1,391億ドル(世界ランキング第95位、2021年12月末)

メドトロニックは、アイルランドに本拠を置く、世界で初めて心臓ペースメーカーを開発した、医療機器等を製造・販売するヘルスケア企業です。

 

(参考)競合他社(ヘルスケア機器)の株式時価総額(2021年12月末)

 株式時価総額
アボットラボラトリーズ(ABT)2,489億ドル
ダナハー(DHR)2,351億ドル
メドトロニック(MDT)1,391億ドル
インテュイティブ・サージカル(ISRG)1,284億ドル
ストライカー(SYK)1,009億ドル
シーメンス・ヘルスケア(SHL.DE)865億ドル
エドワーズライフサイエンス(EW)809億ドル
ベクトン・ディッキンソン(BDX)717億ドル
ボストン・サイエンティフィック(BST)605億ドル
アイデックスラボラトリーズ(IDXX)558億ドル
デクスコム(DXCM)520億ドル
バクスターインターナショナル(BAX)430億ドル
ザルトリウス(SRT.DE)424億ドル
レスメド(RMD)380億ドル
コーニンクレッカ フィリップス(PHG)327億ドル
テルモ(4543.T)322億ドル
ストラウマンHD(STMN.SW)346億ドル
オリンパス(7733.T)297億ドル
シスメックス(6869.T)284億ドル
ジンマー・バイオメットHD(ZBH)265億ドル
ソノバHD(SOON.SW)244億ドル
ノボキュア(NVCR)78億ドル

 

売上高(セグメント別、地域別)の推移

FY2021(2020年5月-2021年4月期)の売上高は301億ドルと、前年度比+4.2%、過去5年間で年率+0.9%となりました。

 

2022Q2(2021年8−10月期)の売上高は78.5億ドル(前年同期比+2.6%)と、コンセンサス(79.8億ドル)を下回りました。

 

セグメント別の売上高は、以下の通りです。

・CVG(心臓、血管等):28億ドル、前年同期比+4%

・MITG(低侵襲治療):23億ドル、前年同期比+1%

・RTG(脳、脊椎等):21億ドル、前年同期比+4%

・糖尿病:6億ドル、前年同期比+2%

セグメント別の売上高構成比は、CVG(心臓、血管等)が36%、MITG(低侵襲治療)が29%、RTG(脳、脊椎等)が27%、糖尿病が7%を占めます。

 

地域別の売上高構成比は、アメリカが52%、先進国(除くアメリカ)が33%、新興国が16%を占めます。

 

利益の推移

FY2021の営業利益は45億ドルと、前年度比▲6.4%、過去5年間で年率▲3.6%となりました。

営業利益率は14.9%と、前年度の16.6%から悪化しました。

 

2022Q2の営業利益は16億ドル(前年同期比+68.1%)となりました。

 

セグメント別の営業利益率は、以下の通りです。

 

FY2021の非GAAP EPSは4.44ドルと、前年度比▲3.3%、過去5年間で年率+0.3%となりました。

 

2022Q2のEPSは0.97ドルと、コンセンサス(0.97ドル)と一致しました。

非GAAP EPSは1.32ドル(前年同期比+29.4%)と、コンセンサス(1.29ドル)を上回りました。

 

キャッシュフローの推移

FY2021の営業キャッシュフローは62億ドルと、前年度比▲13.7%、過去5年間で年率+3.6%となりました。

営業キャッシュフローマージン(営業キャッシュフロー/売上高)は20.7%と、前年度の25.0%から悪化しました。

 

2022Q2の営業キャッシュフローは18億ドル(前年同期比▲4.9%)となりました。

 

FY2021のフリーキャッシュフローは49億ドルと、前年度比▲18.9%、過去5年間で年率+3.2%となりました。

フリーキャッシュフローマージン(フリーキャッシュフロー/売上高)は16.2%と、前年度の20.8%から悪化しました。

 

2022Q2のフリーキャッシュフローは15億ドル(前年同期比▲5.2%)となりました。

 

株主還元(配当、自社株買い)の推移

FY2021の自社株買いは減少しました。

 

(参考)過去5年間の株主還元利回り(株価は各会計年度末時点)

FY2021の益利回り(PERの逆数)は2.0%、フリーキャッシュフロー利回りは2.8%です。

FY2021の配当利回りは1.8%です。

 

(参考)過去5年間の配当性向、総還元性向

過去5年間の配当性向は、利益・キャッシュフローベースともに、90%を下回りました。

 

(参考)過去5年間のDPS(1株当たり配当金)

FY2021のDPSは2.32ドルと、前年同期比+7.4%、過去5年間で年率+8.8%となりました。

FY2022のDPSは2.52ドル(予)と、44年連続増配です。

 

(参考)過去5年間の発行済株式数

発行済株式数は、過去5年間で年率▲1.0%となりました。

 

売上高およびEPSの実績値とコンセンサスの推移

売上高の実績値(コンセンサス比)は、過去11四半期中、10勝、1敗です。

EPSの実績値(コンセンサス比)は、過去11半期中、5勝、5敗、1引き分けです。

非GAAP EPSの実績値(コンセンサス比)は、過去11半期中、10勝、1敗です。

 
売上高(億ドル)GAAP EPS(ドル)非GAAP EPS(ドル)
実績値コンセンサス勝敗実績値コンセンサス勝敗実績値コンセンサス勝敗
2019Q481.581.20.871.15×1.541.47
2020Q175.074.00.640.88×1.261.19
2020Q277.176.61.010.861.311.28
2020Q377.276.41.421.051.441.38
2020Q460.059.00.480.430.580.75×
2021Q165.154.80.36-0.260.620.18
2021Q276.071.00.360.52×1.020.80
2021Q378.077.70.940.721.291.15
2021Q481.981.31.001.04×1.501.42
2022Q179.978.80.560.97×1.411.32
2022Q278.579.8×0.970.971.321.29

 

株価上昇率

FY2021の株価上昇率は+34.1%と、S&P500(+43.6%)を下回りました。

過去5年間(2016年5月から2021年4月末)の株価上昇率は年率+10.5%と、S&P500(年率+15.0%)を下回りました。

 

2022Q2の株価上昇率は▲8.7%と、S&P500(+4.8%)を下回りました。

 

競合他社(ヘルスケア機器)の株価上昇率(SHL.DE、SRT.DEはユーロ建て、STMN.SW、SOON.SWはスイスフラン建て、4543.T、7733.T、6869.Tは日本円建て、その他はUSドル建て)は、以下の通りです。

メドトロニック(MDT)の株価上昇率は、2021年の1年間で▲12%と、22社平均(+20%)を下回り、22社中第19位となりました。

2019年1月から2021年12月の3年間では+14%と、22社平均(+136%)を下回り、22社中第20位となりました。

 

過去10年間(2012年1月から2021年12月)のドローダウン(最高値からの下落率、月末株価)の推移は、以下の通りです。

 

(参考)株価の推移(月末株価)

通常の目盛り表示の場合、近年の株価のブレ幅(上昇もしくは下落)が過去より非常に大きいと錯覚するため、対数目盛りで表示しています。

 

DCF法による目標株価

DCF(Discounted Cash Flow)法とは、将来に渡って生み出すキャッシュフローを割り引く(WACC、加重平均資本コスト)ことで理論価格を算出します。

以下のシナリオに基づき、フリーキャッシュフローの現在価値とネット有利子負債を合計して株主価値を算出し、株主価値を発行済株式総数で割ることで、1株あたりの株価を算出します。

なお、WACCを5.3%と推計しました。

以下のグラフは、各シナリオのフローキャッシュフロー(億ドル)の推移となります。

① メインシナリオ

 フリーキャッシュフローの成長率:1年目〜3年目+10%、4年目〜10年目+5%。11年目以降の永続成長率は0%。

② アップサイドシナリオ

 フリーキャッシュフローの成長率:1年目〜10年目+10%。11年目以降の永続成長率は0%。

③ ダウンサイドシナリオ

 フリーキャッシュフローの成長率:1年目+10%、2年目〜10年目+3%。11年目以降の永続成長率は0%。

メインシナリオの目標株価は104ドルとなります。

・メインシナリオ:104ドル

・アップサイドシナリオ:139ドル

・ダウンサイドシナリオ:80ドル

メドトロニック(Medtronic、MDT)への投資について

2022Q2(2021年8−10月期)の売上高は78.5億ドルと、コンセンサス(79.8億ドル)を下回る実績となりました。

DCF法による目標株価は104ドルのため、2021年12月末時点の株価103ドルと同水準です。

なお、メインシナリオは、10年後の売上高が1.9倍(年率+6%)、フリーキャッシュフローマージンが10年間継続することを想定したので、売上高またはフリーキャッシュフローマージンがさらに上向けばより高い株価上昇が期待できます。

アボットラボラトリーズやダナハー、インテュイティブ・サージカルなど魅力的な企業が多いヘルスケア機器の中では、パッとしないメドトロニックです。

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