ペイパル(PYPL)決算分析と目標株価 モバイル決済の普及で業績拡大 個人間送金アプリ「Venmo」が絶好調

ペイパル情報技術

過去の業績の推移を解説し、目標株価の算出とペイパルへの投資についてコメントします。

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会社概要

ペイパル(Paypal、PYPL)

ホームページ(SEC):リンク先

国:アメリカ

セクター:情報技術

産業グループ:ソフトウェア・サービス

サブ産業グループ:情報処理・外注サービス

株式時価総額:3,424億ドル(世界ランキング第24位、2021年6月末)

ペイパルは、アメリカに本拠を置く、決済サービスを提供する企業です。

買い手と売り手の間にペイパルが入ることで、買い手にとっては支払い情報が売り手に伝わらないメリットがあり、売り手にとっては、オンライン上でクレジットカードや銀行口座等の決済が可能で、支払い完了後は売り手のビジネスアカウントに即時入金してくれるメリットがあります。

2020年11月に、ビットコイン等の暗号資産の取引サービスを開始しました。

 

(参考)競合他社(情報処理・外注サービス)の株式時価総額(2021年6月末)
 株式時価総額
(億ドル)
ビザ(V)5,145
マスターカード(MA)3,618
ペイパル (PYPL)3,424
スクエア(SQ)1,110
フィデリティ・ナショナル・インフォメーション・サービシズ(FIS)879
ADP(ADP)845
アディエン(ADYEN.AS)746
ファイサーブ(FISV)707
グローバル・ペイメンツ(GPN)554
ペイチェックス(PAYX)387
アマデウスITグループ(AMS.MC)332
アフターペイ(APT.AX)257
ワールドライン(WLN.PA)220
フリートコア・テクノロジーズ(FLT)213
ストーン(STNE)207

 

売上高(セグメント別、地域別)の推移

FY2020(2020年1月-2020年12月期)の売上高は215億ドルと、前年度比+20.7%、過去5年間で年率+18.3%となりました。

 

2021Q2(2021年4−6月期)の売上高は62.4億ドル(前年同期比+18.6%)と、コンセンサス(62.7億ドル)を下回りました。

 

セグメント別の売上高は、以下の通りです。

・決済手数料:58.0億ドル、前年同期比+17%

・その他付加価値サービス:4.4億ドル、前年同期比+40%

 

アクティブアカウント数、総取扱高(TPV)、テイクレート

2021年6月末のアクティブアカウント数は4.0億件(前年同期比+16%)となりました。

 

新規アクティブアカウント数は1,140万件(前年同期比▲46%)となりました。

 

2021Q2の1アカウント当たり平均取引回数(過去12ヶ月)は43.5回です。

 

2021Q2の総取扱高(TPV)は3,110億ドル(前年同期比+40%)となりました。

 

クロスボーダー総取扱高は510億ドルと、TPV全体の16%を占めます。

 

個人間送金アプリであるVenmoの総取扱高は580億ドル(前年同期比+58%)となりました。

 

取引テイクレート(決済手数料/TPV)と取引コストは、以下の通りです。

 

利益の推移

FY2020の営業利益は33億ドルと、前年度比+21.0%、過去5年間で年率+17.6%となりました。

営業利益率は15.3%と、前年度の15.3%とほぼ同水準となりました。

 

2021Q2の営業利益は11.3億ドル(前年同期比+18.5%)となりました。

 

FY2020のEPSは3.54ドルと、前年度比+71.0%、過去5年間で年率+28.8%となりました。

 

2021Q2のEPSは1.00ドルと、コンセンサス(0.72ドル)を上回りました。

非GAAP EPSは1.15ドル(前年同期比+7.5%)と、コンセンサス(1.12ドル)を上回りました。

 

キャッシュフローの推移

FY2020の営業キャッシュフローは59億ドルと、前年度比+43.8%、過去5年間で年率+18.1%となりました。

営業キャッシュフローマージン(営業キャッシュフロー/売上高)は27.3%と、前年度の22.9%から改善しました。

 

2021Q2の営業キャッシュフローは13億ドル(前年同期比▲26.3%)となりました。

 

FY2020のフリーキャッシュフローは50億ドルと、前年度比+48.1%、過去5年間で年率+22.3%となりました。

フリーキャッシュフローマージン(フリーキャッシュフロー/売上高)は23.2%と、前年度の18.9%から改善しました。

 

2021Q2のフリーキャッシュフローは11億ドル(前年同期比▲32.9%)となりました。

 

株主還元(配当、自社株買い)の推移

無配ですが、毎年自社株買いを実施しました。

 

(参考)過去5年間の株主還元利回り(株価は各会計年度末時点)

FY2020の益利回り(PERの逆数)は1.5%、フリーキャッシュフロー利回りは1.8%です。

 

(参考)過去5年間の配当性向、総還元性向

 

(参考)過去5年間の発行済株式数

発行済株式数は、過去5年間で年率▲0.7%となりました。

 

売上高およびEPSの実績値とコンセンサスの推移

売上高の実績値(コンセンサス比)は、過去9四半期中、6勝、3敗です。

EPSの実績値(コンセンサス比)は、過去9半期中、7勝、2敗です。

非GAAP EPSの実績値(コンセンサス比)は、過去9半期中、8勝、1敗です。

 
売上高(ドル)GAAP EPS(ドル)非GAAP EPS(ドル)
実績値コンセンサス勝敗実績値コンセンサス勝敗実績値コンセンサス勝敗
2019Q24343×0.690.620.860.83
2019Q344440.390.380.610.60
2019Q450490.430.49×0.860.83
2020Q14647×0.070.35×0.660.74×
2020Q253501.290.491.070.87
2020Q355540.860.581.070.94
2020Q461611.320.661.081.00
2021Q160590.920.641.221.02
2021Q26263×1.000.721.151.12

 

株価上昇率

FY2020の株価上昇率は+116.5%と、S&P500(+16.3%)を上回りました。

過去5年間(2016年1月から2020年12月末)の株価上昇率は年率+45.3%と、S&P500(年率+12.9%)を大きく上回りました。

 

2021Q2の株価上昇率は+20.0%と、S&P500(+8.2%)を上回りました。

 

競合他社(情報処理・外注サービス)の株価上昇率(ADYEN.AS、AMS.MC、WLN.PAはユーロ建て、APT.AXはオーストラリアドル建て、その他はUSドル建て)は、以下の通りです。

ペイパル(PYPL)の株価上昇率は、2020年の1年間で+117%と、15社平均(+64%)を上回り、15社中第4位となりました。

2018年1月から2020年12月の3年間では+218%と、13社平均(+244%)を下回り、13社中第3位となりました。

 

2015年7月から2021年6月のドローダウン(最高値からの下落率、月末株価)の推移は、以下の通りです。

最高値から10%程度下落すると反発する傾向にあるため、その時が狙い目です。

 

(参考)株価の推移(月末株価)

通常の目盛り表示の場合、近年の株価のブレ幅(上昇もしくは下落)が過去より非常に大きいと錯覚するため、対数目盛りで表示しています。

 

DCF法による目標株価

DCF(Discounted Cash Flow)法とは、将来に渡って生み出すキャッシュフローを割り引く(WACC、加重平均資本コスト)ことで理論価格を算出します。

以下のシナリオに基づき、フリーキャッシュフローの現在価値とネット有利子負債を合計して株主価値を算出し、株主価値を発行済株式総数で割ることで、1株あたりの株価を算出します。

なお、WACCを7.4%と推計しました。

以下のグラフは、各シナリオのフローキャッシュフロー(億ドル)の推移となります。

① メインシナリオ

 フリーキャッシュフローの成長率:1年目〜10年目+20%。11年目以降の永続成長率は0%

② アップサイドシナリオ

 フリーキャッシュフローの成長率:1年目〜3年+目+20%、4年目〜10年目+25%。11年目以降の永続成長率は0%

③ ダウンサイドシナリオ

 フリーキャッシュフローの成長率:1年目+20%、2年目〜7年目+15%、8年目〜10年目+10%。11年目以降の永続成長率は0%

メインシナリオの目標株価は258ドルとなります。

・メインシナリオ:258ドル

・アップサイドシナリオ:329ドル

・ダウンサイドシナリオ:170ドル

ペイパル(Paypal、PYPL)への投資について

2021Q2(2021年4−6月期)の売上高は62.4億ドルと、コンセンサス(62.7億ドル)を下回りましたが、非GAAP EPSは1.15ドル(コンセンサス1.12ドル)と、コンセンサスを上回る実績となりました。

FY2021のガイダンスは、以下の通りです。

・売上高:257.5億ドル(コンセンサス258.2億ドル)

・非GAAP EPS:〜4.70ドル(コンセンサス4.74ドル)

・TPV:+33〜35%

2021Q2の売上高がコンセンサスを下回り、通期の売上高および非GAAP EPSの見通しもコンセンサスを下回ったことが、市場ではネガティブに受け止められました。

DCF法による目標株価は258ドルのため、2021年6月末時点の株価291ドルより低い水準です。

なお、メインシナリオは、10年後の売上高が4.0倍(年率+15%)、10年後に向けてフリーキャッシュフローマージンが35%(FY2020:23%)まで上昇することを想定したので、売上高またはフリーキャッシュフローマージンがさらに上向けばより高い株価上昇が期待できます。

TPVおよびVenmoの総取扱高は引き続き増加しており大きな懸念点はありませんが、将来の成長性の違いがあるとは言え、マスターカードとほぼ同程度の株式時価総額まで拡大したことから、割安感は大きく薄れました。

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