アクティビジョン・ブリザード(ATVI)決算分析と目標株価 アメリカ最大のゲームメーカー 月次アクティブユーザー数は4億

アクティビジョンブリザードコミュニケーション・サービス

過去の業績の推移を解説し、目標株価の算出とアクティビジョン・ブリザードへの投資についてコメントします。

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会社概要

アクティビジョン・ブリザード(Activision Blizzard, Inc、ATVI)

ホームページ(SEC):リンク先

国:アメリカ

セクター:コミュニケーション・サービス

産業グループ:メディア・娯楽

サブ産業グループ:インタラクティブ・ホームエンターテイメント

株式時価総額:756億ドル(2021年5月末)

浮動株調整後株式時価総額:642億ドル(2021年4月末、MSCI)

アクティビジョン・ブリザードは、アメリカに本拠を置く、アクティビジョン🇺🇸(人気タイトル「Call of Duty(コール・オブ・デューティ)」など)と、ヴィヴェンディ・ゲームズ🇫🇷(人気タイトル「World of Warcraft(ワールド・オブ・ウォークラフト)」などを手掛けるブリザードを傘下に持つ)が、2008年に合併して設立された、ゲームソフトウェアを開発する企業です。

2016年に、モバイルゲーム(人気タイトル「Candy Crash(キャンディ・クラッシュ)など」)を手がけるキング・デジタル・エンターテインメント🇬🇧を59億ドルで買収しました。

(参考)競合他社(インタラクティブ・ホームエンターテイメント)の株式時価総額(2021年6月末)

 株式時価総額
(億ドル)
シー・リミテッド(SE)1,440
ネットイース (NTES)786
アクティビジョン・ブリザード(ATVI)742
任天堂(7974.T)691
ロブロックス(RBLX)513
エレクトロニック・アーツ(EA)411
ビリビリ(BILI)817
テイクツー・インタラクティブ(TTWO)206
ネクソン(3659.T)200

 

売上高(セグメント別)の推移

FY2020(2020年1月-2020年12月期)の売上高は80.9億ドルと、前年度比+24.6%、過去5年間で年率+11.6%となりました。

 

月次アクティブユーザー数は4.0億(前年度比▲3%)、うちアクティビジョンは1.3億(前年度比+0%)、ブリザードは0.3億(前年度比▲9%)、キングは2.4億(前年度比▲4%)となりました。

 

セグメント別の売上高は、以下の通りです。

・アクティビジョン:39億ドル、前年度比+78%

・ブリザード:19億ドル、前年度比+11%

・キング:22億ドル、前年度比+7%

 

セグメント別の売上高構成比は、アクティビジョンが49%、ブリザードが24%、キングが27%を占めます。

 

プラットフォーム別の売上高構成比は、コンソール(ゲーム機)が34%、パソコンが25%、モバイルが32%、その他が8%を占めます。

 

地域別の売上高構成比は、北米が55%、欧州/中東/アフリカが33%、アジアパシフィックが12%を占めます。

 

利益(セグメント別)の推移

FY2020の営業利益は27.3億ドルと、前年度比+70.1%、過去5年間で年率+15.7%となりました。

営業利益率は33.8%と、前年度の24.8%から改善しました。

 

セグメント別の営業利益率は、以下の通りです。

 

FY2020のEPSは2.82ドルと、前年度比+44.6%、過去5年間で年率+18.8%となりました。

非GAAP EPSは3.21ドルと、前年度比+39.0%、過去5年間で年率+19.8%となりました。

 

キャッシュフローの推移

FY2020の営業キャッシュフローは23億ドルと、前年度比+23.0%、過去5年間で年率+12.3%となりました。

営業キャッシュフローマージン(営業キャッシュフロー/売上高)は27.9%と、前年度の28.2%とほぼ同水準となりました。

 

FY2020のフリーキャッシュフローは22億ドルと、前年度比+26.8%、過去5年間で年率+13.6%となりました。

フリーキャッシュフローマージン(フリーキャッシュフロー/売上高)は26.9%と、前年度の26.4%から改善しました。

 

株主還元(配当、自社株買い)の推移

自社株買いに消極的です。

 

(参考)過去5年間の株主還元利回り(株価は各会計年度末時点)

FY2020の益利回り(PERの逆数)は3.0%、フリーキャッシュフロー利回りは3.0%です。

FY2020の配当利回りは0.4%です。

 

(参考)過去5年間の配当性向、総還元性向

過去5年間の配当性向は、FY2017を除いて、20%程度です。

 

(参考)過去5年間のDPS(1株当たり配当金)

FY2020のDPSは0.41ドルと、前年度比+10.8%、過去5年間で年率+12.3%となりました。

 

(参考)過去5年間の発行済株式数

発行済株式数は、過去5年間で年率+1.0%となりました。

 

ROICの推移

ROIC(Return on Invested Capital、投下資本利益率)とは、企業が事業活動のために投じた資金を使ってどれだけ利益を生み出したか(投資効率)を測る指標となります。

正確な計算方法はないため、ここでは、税引後営業利益/投下資本(=運転資本+有形固定資産(リース含む)+無形固定資産+在庫+のれん)として計算しています。

少なくともWACC(加重平均資本コスト)を超えることが絶対条件と言われています。

ゲーム会社としては、ROICは低水準です。

 

株価上昇率

FY2020(2020年1月から2020年12月末)の株価上昇率は+56.3%と、S&P500(+16.3%)を上回りました。

過去5年間(2016年1月から2020年12月末)の株価上昇率は年率+19.1%と、VT ETF(年率+12.9%)を上回りました。

 

競合他社(インタラクティブ・ホームエンターテイメント)の株価上昇率(7974.T、3659.Tは日本円建て)は、以下の通りです。

アクティビジョン・ブリザード(ATVI)の株価上昇率は、2020年の1年間で+56%と、8社平均(+143%)を下回り、8社中第5位となりました。

2018年1月から2020年12月の3年間では+47%と、7社平均(+251%)を下回り、7社中第5位となりました。

 

過去10年間(2011年6月から2021年5月)のドローダウン(最高値からの下落率、月末株価)の推移は、以下の通りです。

2018年3月からわずか10ヶ月で40%超のドローダウンが発生したものの、2年弱で急速に株価は急回復しました。

 

(参考)株価の推移(月末株価)

通常の目盛り表示の場合、近年の株価のブレ幅(上昇もしくは下落)が過去より非常に大きいと錯覚するため、対数目盛りで表示しています。

トレンドラインを超えられるかどうか要注意です。

 

DCF法による目標株価

DCF(Discounted Cash Flow)法とは、将来に渡って生み出すキャッシュフローを割り引く(WACC、加重平均資本コスト)ことで理論価格を算出します。

以下のシナリオに基づき、フリーキャッシュフローの現在価値とネット有利子負債を合計して株主価値を算出し、株主価値を発行済株式総数で割ることで、1株あたりの株価を算出します。

なお、WACCを6.3%、金利が1%上昇した場合は7.2%と推計しました。

以下のグラフは、各シナリオのフローキャッシュフロー(億ドル)の推移となります。

① メインシナリオ

 フリーキャッシュフローの成長率:1年目+5%、2年目〜5年目+10%、6年目〜10年目+7%。11年目以降の永続成長率は0%。

② アップサイドシナリオ

 フリーキャッシュフローの成長率:1年目+5%、2年目〜5年目+15%、6年目〜10年目+10%。11年目以降の永続成長率は0%。

③ ダウンサイドシナリオ

 フリーキャッシュフローの成長率:1年目〜10年目+5%。11年目以降の永続成長率は0%。

メインシナリオの目標株価は90ドルとなります。

 

アクティビジョン・ブリザード(Activision Blizzard, Inc、ATVI)への投資について

FY2020(2020年1月-2020年12月期)の売上高は80.9億ドル(前年度比+24.6%)、非GAAP EPSは3.21ドル(前年度比+39.0%)と、増収増益となりました。

FY2021のガイダンスは、以下の通りです。

・売上高:83.7億ドル(前年度比+3.5%)

・EPS:2.91ドル(前年度比+3.2%)

・非GAAP EPS:3.42ドル(前年度比+6.5%)

DCF法による目標株価は90ドルのため、2021年5月末時点の株価97ドルよりやや低い水準です。

なお、メインシナリオは、10年後の売上高が1.9倍(年率+7%)、10年後に向けてフリーキャッシュフローマージンが30%まで上昇することを想定したので、売上高またはフリーキャッシュフローマージンがさらに上向けばより高い株価上昇が期待できます。

テンセントへ投資しているのでアクティビジョン・ブリザードへ投資することはないですが、ゲーム会社のなかでは、任天堂の方が良さそうです。

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