過去の業績の推移を解説し、目標株価の算出とツイッターへの投資についてコメントします。
会社概要
ツイッター(Twitter, Inc.、TWTR)
ホームページ(SECファイル):リンク先
国:アメリカ
セクター:コミュニケーション・サービス
産業グループ:メディア・娯楽
サブ産業グループ:インタラクティブ・メディアおよびサービス
株式時価総額:549億ドル(2021年6月末)
ツイッターは、アメリカに本拠を置く、ソーシャル・ネットワーキング・サービスであるTwitter等を提供する企業です。
広告収入が売上高の約90%を占めます。
(参考)競合他社(インタラクティブ・メディアおよびサービス)の株式時価総額(2021年6月末)
株式時価総額 (億ドル) | |
アルファベット(GOOG) | 16,606 |
フェイスブック(FB) | 9,859 |
テンセントHD/騰訊控股(0700.HK) | 7,224 |
クワイショウ・テクノロジー/快手科技(1024.HK) | 1,074 |
スナップ(SNAP) | 1,067 |
バイドゥ/百度(BIDU) | 709 |
カカオ(035720.KS) | 622 |
ネイバー(035420.KS) | 550 |
ツイッター(TWTR) | 549 |
ピンタレスト(PINS) | 503 |
マッチ・グループ(MTCH) | 446 |
ZHD(4689.T) | 390 |
ジロー・グループ(ZG) | 303 |
ヤンデックス(YNDX) | 252 |
売上高(セグメント別、地域別)の推移
FY2020(2020年1-12月期)の売上高は37.2億ドルと、前年度比+7.4%、過去5年間で年率+10.9%となりました。
2021Q2(2021年4−6月期)の売上高は11.9億ドル(前年同期比+74.2%)と、コンセンサス(10.6億ドル)を上回りました。
セグメント別の売上高は、以下の通りです。
・広告収入:10.5億ドル、前年同期比+87%
・データライセンス等:1.4億ドル、前年同期比+13%
セグメント別の売上高構成比は、広告収入が88%を占めます。
地域別の売上高は、以下の通りです。
・アメリカ:6.5億ドル、前年同期比+79%
・海外:5.4億ドル、前年同期比+69%
地域別の売上高構成比は、アメリカが55%、海外が45%を占めます。
収益化可能なDAU(1日あたりアクティブユーザー数)は2.06億件(前年同期比+11%)、うちアメリカが0.37億件(前年同期比+3%)、海外が1.69億件(前年同期比+13%)となりました。
利益の推移
FY2020の非GAAP EBITDAは10.0億ドルと、前年度比▲17.6%、過去5年間で年率+12.3%となりました。
非GAAP EBITDAマージンは26.8%と、前年度の35.0%から悪化しました。

2021Q2の非GAAP EBITDAは3.4億ドル(前年同期比黒字転換)となりました。
FY2020の非GAAP EPSは▲0.87ドルと、前年度比赤字転落となりました。

2021Q2のEPSは0.08ドルと、コンセンサス(▲0.14ドル)を上回りました。
非GAAP EPSは0.20ドルと、コンセンサス(0.07ドル)を上回りました。
キャッシュフローの推移
FY2020の営業キャッシュフローは9.9億ドルと、前年度比▲23.8%、過去5年間で年率+21.0%となりました。
営業キャッシュフローマージン(営業キャッシュフロー/売上高)は26.7%と、前年度の37.7%から悪化しました。

2021Q2の営業キャッシュフローは3.8億ドル(前年同期比+90.0%)となりました。
FY2020のフリーキャッシュフローは1.2億ドルと、前年度比▲84.3%、過去5年間で年率+27.3%となりました。
フリーキャッシュフローマージン(フリーキャッシュフロー/売上高)は3.2%と、前年度の22.0%から悪化しました。

2021Q2のフリーキャッシュフローは1.0億ドル(前年同期比+180.8%)となりました。
株主還元(配当、自社株買い)の推移
無配です。
(参考)過去5年間の発行済株式数
発行済株式数は、過去5年間で年率+3.5%となりました。
売上高およびEPSの実績値とコンセンサスの推移
売上高の実績値(コンセンサス比)は、過去8四半期中、6勝、2敗です。
EPSの実績値(コンセンサス比)は、過去8半期中、5勝、3敗です。
非GAAP EPSの実績値(コンセンサス比)は、過去8半期中、4勝、3敗、1引き分けです。
売上高(ドル) | GAAP EPS(ドル) | 非GAAP EPS(ドル) | |||||||
実績値 | コンセンサス | 勝敗 | 実績値 | コンセンサス | 勝敗 | 実績値 | コンセンサス | 勝敗 | |
2019Q3 | 8.2 | 8.8 | × | 0.05 | 0.09 | × | 0.17 | 0.20 | × |
2019Q4 | 10.1 | 9.9 | ○ | 0.15 | 0.17 | × | 0.25 | 0.27 | × |
2020Q1 | 8.1 | 7.7 | ○ | -0.01 | -0.02 | ○ | 0.11 | 0.11 | ▲ |
2020Q2 | 6.8 | 7.1 | × | -1.56 | -0.15 | × | -0.16 | 0.00 | × |
2020Q3 | 9.4 | 7.8 | ○ | 0.04 | -0.09 | ○ | 0.19 | 0.05 | ○ |
2020Q4 | 12.9 | 11.9 | ○ | 0.27 | 0.16 | ○ | 0.38 | 0.31 | ○ |
2021Q1 | 10.4 | 10.3 | ○ | 0.08 | -0.02 | ○ | 0.16 | 0.14 | ○ |
2021Q2 | 11.9 | 10.6 | ○ | 0.08 | -0.14 | ○ | 0.20 | 0.07 | ○ |
株価上昇率
FY2020の株価上昇率は+69.0%と、S&P500(+16.3%)を上回りました。
過去5年間(2016年1月から2020年12月末)の株価上昇率は年率+18.5%と、S&P500(年率+12.9%)を上回りました。

2021Q2の株価上昇率は+8.1%と、S&P500(+8.2%)を下回りました。

競合他社(インタラクティブ・メディアおよびサービス)の株価上昇率(0700.HKは香港ドル建て、035720.KS、035420.KSは韓国ウォン建て、4689.Tは日本円建て、その他はUSドル建て)は、以下の通りです。
ツイッター(TWTR)の株価上昇率は、2020年の1年間で+69%と、12社平均(+102%)を下回り、12社中第6位となりました。
2018年1月から2020年12月の3年間では+126%と、11社平均(+104%)を上回り、11社中第4位となりました。

2013年11月から2021年7月のドローダウン(最高値からの下落率、月末株価)の推移は、以下の通りです。
上場直後から約7年間の長いドローダウンとなりました。

(参考)株価の推移(月末株価)
通常の目盛り表示の場合、近年の株価のブレ幅(上昇もしくは下落)が過去より非常に大きいと錯覚するため、対数目盛りで表示しています。

DCF法による目標株価
DCF(Discounted Cash Flow)法とは、将来に渡って生み出すキャッシュフローを割り引く(WACC、加重平均資本コスト)ことで理論価格を算出します。
以下のシナリオに基づき、フリーキャッシュフローの現在価値とネット有利子負債を合計して株主価値を算出し、株主価値を発行済株式総数で割ることで、1株あたりの株価を算出します。
なお、WACCを7.9%と推計しました。
以下のグラフは、各シナリオのフローキャッシュフロー(億ドル)の推移となります。
① メインシナリオ
フリーキャッシュフローの成長率:1年目+500%、2年目〜3年目+50%、4年目〜5年目+30%、6年目〜10年目+15%。11年目以降の永続成長率は0%
② アップサイドシナリオ
フリーキャッシュフローの成長率:1年目+500%、2年目〜3年目+50%、4年目〜7年目+30%、8年目〜10年目+20%。11年目以降の永続成長率は0%
③ ダウンサイドシナリオ
フリーキャッシュフローの成長率:1年目+500%、2年目〜4年目+50%、5年目〜10年目+15%。11年目以降の永続成長率は0%
メインシナリオの目標株価は67ドルとなります。
・メインシナリオ:67ドル
・アップサイドシナリオ:91ドル
・ダウンサイドシナリオ:47ドル
ツイッター(Twitter, Inc.、TWTR)への投資について
2021Q2(2021年4−6月期)の売上高は11.9億ドル(コンセンサス10.6億ドル)、非GAAP EPSは0.20ドル(コンセンサス0.07ドル)と、コンセンサスを上回る実績となりました。
2021Q3のガイダンスは、以下の通りです。
・売上高:12.2〜13.0億ドル(コンセンサス10.5億ドル)
決算発表を受けて、株価は上昇しました。
DCF法による目標株価は67ドルのため、2021年7月末時点の株価70ドルとほぼ同水準です。
なお、メインシナリオは、10年後の売上高が4.2倍(年率+15%)、10年後に向けてフリーキャッシュフローマージンが35%まで上昇することを想定したので、売上高またはフリーキャッシュフローマージンがさらに上向けばより高い株価上昇が期待できます。
足もと業績は絶好調で、ポジティブサプライズが続けばさらなる株価上昇は期待できます。




