ホームデポ(HD)決算分析と目標株価 世界最大のホームセンター 高い投資効率(ROIC)

ホームデポ一般消費財・サービス

過去の業績の推移を解説し、目標株価の算出とホームデポへの投資についてコメントします。

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会社概要

ホームデポ(The Home Depot、HD)

ホームページ(SECファイル):リンク先

国:アメリカ

セクター:一般消費財・サービス

産業グループ:小売

サブ産業グループ:住宅関連用品小売り

株式時価総額:2,860億ドル(世界ランキング第26位、2020年12月末)

ホームデポは、アメリカに本拠を置く、建築資材や室内装飾、園芸用品等を販売する世界最大の住宅関連用品小売り(ホームセンター)です。

ホームデポの顧客は、DIY(Do It Yourself)、プロ、DIFM(Do It For Me)に分けられます。

DIYは、業者に任せず自分でやる日曜大工を行う顧客で、DIFMは修理や修繕は業者に任せ必要な資材等を購入する顧客を言います。

一般消費財・サービスで第4位、小売で第3位の浮動株調整後株式時価総額(2020年12月末、MSCI)で、住宅関連用品小売りに占めるホームデポの浮動株調整後株式時価総額比率は68%です。

売上高(セグメント別、地域別)の推移

FY2020(2020年2月-2021年1月期)の売上高は1,321億ドルと、前年度比+19.9%、過去5年間で年率+8.3%となりました。

 

2021Q2(2021年5−7月期)の売上高は411億ドル(前年同期比+8.1%)と、コンセンサス(407億ドル)を上回りました。

 

2021Q2の顧客取引数は4.8億回(前年同期比▲5.8%)となりました。

 

2021Q2の客単価は82.5ドル(前年同期比+11.3%)となりました。

 

セグメント別の売上高構成比は、建築資材、照明、木材等が35%、室内装飾(電気製品やキッチン、風呂等)が33%、園芸用品等が32%を占めます。

 

地域別の売上高構成比は、アメリカが92%を占めます。

 

利益の推移

FY2020の営業利益は183億ドルと、前年度比+15.4%、過去3年間で年率+7.6%となりました。

営業利益率は13.8%と、前年度の14.4%から悪化しました。

 

2021Q2の営業利益は66億ドル(前年同期比+9.4%)となりました。

 

FY2020のEPSは11.94ドルと、前年度比+16.5%、過去3年間で年率+17.9%となりました。

 

2021Q2のEPSは4.53ドル(前年同期比+12.7%)と、コンセンサス(4.42ドル)を上回りました。

 

キャッシュフローの推移

FY2020の営業キャッシュフローは188億ドルと、前年度比+37.6%、過去5年間で年率+15.0%となりました。

営業キャッシュフローマージン(営業キャッシュフロー/売上高)は14.3%と、前年度の12.4%から改善しました。

 

2021Q2の営業キャッシュフローは36億ドル(前年同期比▲60.0%)となりました。

 

FY2020のフリーキャッシュフローは164億ドルと、前年度比+48.8%、過去5年間で年率+15.8%となりました。

フリーキャッシュフローマージン(フリーキャッシュフロー/売上高)は12.4%と、前年度の10.0%から改善しました。

 

2021Q2のフリーキャッシュフローは31億ドル(前年同期比▲63.9%)となりました。

 

株主還元(配当、自社株買い)の推移

FY2020の自社株買いは8億ドルと、前年度比で大きく減少しました。

 

(参考)過去5年間の株主還元利回り(株価は各会計年度末時点)

FY2020の益利回り(PERの逆数)は4.4%、フリーキャッシュフロー利回りは5.6%と、バリュエーション面ではやや割安感があります。

 

(参考)過去5年間の配当性向、総還元性向

過去5年間の配当性向は、利益・キャッシュフローベースともに、50%程度です。

 

(参考)過去5年間のDPS(1株当たり配当金)

FY2020のDPSは6.00ドルと、前年度比+10.3%、過去5年間では年率+20.5%となりました。

FY2021は6.60ドルと、前年度比+10%の予定です。

 

(参考)過去5年間の発行済株式数

発行済株式数は、過去5年間で年率▲3.4%となりました。

 

ROICの推移

ROIC(Return on Invested Capital、投下資本利益率)とは、企業が事業活動のために投じた資金を使ってどれだけ利益を生み出したか(投資効率)を測る指標となります。

正確な計算方法はないため、ここでは、税引後営業利益/投下資本(=運転資本+有形固定資産(リース含む)+無形固定資産+在庫+のれん)として計算しています。

少なくともWACC(加重平均資本コスト)を超えることが絶対条件と言われています。

過去5年間のROICは30%程度と、投資効率は高いです。

 

売上高およびEPSの実績値とコンセンサスの推移

売上高の実績値(コンセンサス比)は、過去10四半期中、7勝、2敗、1引き分けです。

EPSの実績値(コンセンサス比)は、過去10四半期中、8勝、1敗、1引き分けです。

 
売上高(ドル)GAAP EPS(ドル)
実績値コンセンサス勝敗実績値コンセンサス勝敗
2019Q12642632.272.20
2019Q2308310×3.173.08
2019Q3272275×2.532.53
2019Q42582582.282.11
2020Q12832762.082.26×
2020Q23813464.023.68
2020Q33353183.183.03
2020Q43233062.652.62
2021Q13753453.863.02
2021Q24114074.534.42

 

株価上昇率

FY2020の株価上昇率は+18.7%と、S&P500(+15.2%)を上回りました。

過去5年間(2016年2月から2021年1月末)の株価上昇率は年率+16.6%と、S&P500(年率+13.9%)を上回りました。

 

2021Q2の株価上昇率は+1.4%と、S&P500(+5.1%)を下回りました。

 

過去10年間(2011年9月から2021年8月)のドローダウン(最高値からの下落率、月末株価)の推移は、以下の通りです。

株式市場が下落するときには、マイナスになりやすいです。

最高値から10%程度下落すると反発する傾向にあるため、その時が狙い目です。

 

なお、ロウズと比較すると、ドローダウンは小さめです。

 

(参考)株価の推移(月末株価)

通常の目盛り表示の場合、近年の株価のブレ幅(上昇もしくは下落)が過去より非常に大きいと錯覚するため、対数目盛りで表示しています。

 

DCF法による目標株価

DCF(Discounted Cash Flow)法とは、将来に渡って生み出すキャッシュフローを割り引く(WACC、加重平均資本コスト)ことで理論価格を算出します。

以下のシナリオに基づき、フリーキャッシュフローの現在価値とネット有利子負債を合計して株主価値を算出し、株主価値を発行済株式総数で割ることで、1株あたりの株価を算出します。

なお、WACCを5.8%と推計しました。

以下のグラフは、各シナリオのフローキャッシュフロー(億ドル)の推移となります。

① メインシナリオ

 フリーキャッシュフローの成長率:1年目▲10%、2年目+10%、3年目〜10年目+5%。11年目以降の永続成長率は0%。

② アップサイドシナリオ

 フリーキャッシュフローの成長率:1年目▲10%、2年目+10%、3年目〜10年目+7%。11年目以降の永続成長率は0%。

③ ダウンサイドシナリオ

 フリーキャッシュフローの成長率:1年目▲10%、2年目+10%、3年目〜10年目+2%。11年目以降の永続成長率は0%。

メインシナリオの目標株価は318ドルとなります。

・メインシナリオ:318ドル

・アップサイドシナリオ:363ドル

・ダウンサイドシナリオ:260ドル

ホームデポ(The Home Depot、HD)への投資について

2021Q2(2021年5−7月期)の売上高は411億ドル(コンセンサス407億ドル)、EPSは4.53ドル(コンセンサス4.42ドル)と、コンセンサスを上回る実績となりました。

DCF法による目標株価は318ドルのため、2021年8月末時点の株価326ドルとほぼ同水準です。

なお、メインシナリオは、10年後の売上高が1.8倍(年率+6%)、フリーキャッシュフローマージンが10%まで低下することを想定したので、売上高またはフリーキャッシュフローマージンがさらに上向けばより高い株価上昇が期待できます。

アメリカ向け売上高が中心のため、アメリカの人口増加や景気拡大に伴い、ホームデポの業績拡大も期待できます。

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