過去の業績の推移を解説し、目標株価の算出とメタ・プラットフォームズへの投資についてコメントします。
会社概要
メタ・プラットフォームズ(Meta、META)
ホームページ(SECファイル):リンク先
国:アメリカ
セクター:コミュニケーション・サービス
産業グループ:メディア・娯楽
サブ産業グループ:インタラクティブ・メディアおよびサービス
株式時価総額:9,096億ドル(世界ランキング第7位、2023年12月末)
メタ・プラットフォームズは、アメリカに本拠を置く、ソーシャル・ネットワーキング・サービスであるフェイスブック (Facebook)やインスタグラム(Instagram)等を提供し、AIに注力する企業です。
マーク・ザッカーバーグ氏等が2004年にフェイスブックを創業後、2012年にインスタグラムを10億ドルで買収、2014年にワッツアップを218億ドルで買収し、2021年に社名変更しました。
2019年にメタクエスト1を発売、2023年に無料で短文投稿可能なThreads (スレッズ)の開始、およびスマートグラス「Ray-Ban Meta Smart Glasses」を発売しました。
広告収入が売上高の約99%を占めます。
売上高(地域別)の推移
FY2023(2023年1-12月期)の売上高は1,349億ドルと、前年度比+15.7%、過去5年間で年率+19.3%となりました。
メタバース等事業の売上高は19億ドル(前年度比▲12%)、営業利益は▲161億ドル(前年度比赤字幅拡大)となりました。
地域別の売上高構成比は、アメリカ/カナダが39%、欧州が23%、アジアパシフィックが27%、その他が11%を占めます。
DAU、MAUの推移
FY2023のDAU(1日あたりのアクティブユーザー数)は21.1億件(前年度比+6%)となりました。
地域別のDAUの推移は、以下の通りです。
FY2023のMAU(月間アクティブユーザー数)は30.7億件(前年度比+3%)となりました。
地域別のARPU(1ユーザーあたりの平均売上)の推移は、以下の通りです。
・世界全体:13.12ドル、前年度比+21%
・アメリカ/カナダ:68.44ドル、前年度比+16%
・欧州:23.14ドル、前年度比+34%
・アジア パシフィック:5.52ドル、前年度比+20%
・その他:4.50ドル、前年度比+28%
利益の推移
FY2023の営業利益は468億ドルと、前年度比+61.5%、過去5年間で年率+13.4%となりました。
営業利益率は34.7%と、前年度の24.8%から改善しました。
FY2023のEPSは14.87ドルと、前年度比+73.1%、過去5年間で年率+14.5%となりました。
キャッシュフローの推移
FY2023の営業キャッシュフローは711億ドルと、前年度比+40.9%、過去5年間で年率+19.4%となりました。
営業キャッシュフローマージン(営業キャッシュフロー/売上高)は52.7%と、前年度の43.3%から改善しました。
FY2023のフリーキャッシュフローは441億ドルと、前年度比+129%、過去5年間で年率+23.5%となりました。
フリーキャッシュフローマージン(フリーキャッシュフロー/売上高)は32.7%と、前年度の16.5%から改善しました。
株主還元(配当、自社株買い)の推移
自社株買いに積極的です。
これまで無配でしたが、FY2024から配当を開始します。
(参考)過去5年間の株主還元利回り(株価は各会計年度末時点)
FY2023の益利回り(PERの逆数)は4.2%、フリーキャッシュフロー利回りは4.7%です。
(参考)過去5年間の配当性向、総還元性向
(参考)過去5年間の発行済株式数
発行済株式数は、過去5年間で年率▲2.1%となりました。
ROICの推移
ROIC(Return on Invested Capital、投下資本利益率)とは、企業が事業活動のために投じた資金を使ってどれだけ利益を生み出したか(投資効率)を測る指標となります。
正確な計算方法はないため、ここでは、税引後営業利益/投下資本(=運転資本+有形固定資産(リース含む)+無形固定資産+在庫+のれん)として計算しています。
少なくともWACC(加重平均資本コスト)を超えることが絶対条件と言われれています。
過去5年間のROICは30%程度と、投資効率は比較的高いです。
株価上昇率
FY2023の株価上昇率は+194.1%と、S&P500(+24.2%)を上回りました。
過去5年間(2019年1月から2023年12月末)の株価上昇率は年率+22.0%と、S&P500(年率+13.7%)を大きく上回りました。
過去10年間(2014年3月から2024年2月)のドローダウン(最高値からの下落率、月末株価)の推移は、以下の通りです。
S&P500と比較してドローダウンが大きい傾向があります。
(参考)株価の推移(月末株価)
通常の目盛り表示の場合、近年の株価のブレ幅(上昇もしくは下落)が過去より非常に大きいと錯覚するため、対数目盛りで表示しています。
DCF法による目標株価
DCF(Discounted Cash Flow)法とは、将来に渡って生み出すキャッシュフローを割り引く(WACC、加重平均資本コスト)ことで理論価格を算出します。
以下のシナリオに基づき、フリーキャッシュフローの現在価値とネット有利子負債を合計して株主価値を算出し、株主価値を発行済株式総数で割ることで、1株あたりの株価を算出します。
なお、WACCを7.3%と推計しました。
以下のグラフは、各シナリオのフローキャッシュフロー(億ドル)の推移となります。
① メインシナリオ
フリーキャッシュフローの成長率:1年目〜2年目+15%、3年目〜7年目+10%、8年目〜10年目+5%。11年目以降の永続成長率は0%
② アップサイドシナリオ
フリーキャッシュフローの成長率:1年目〜7年目+15%、8年目〜10年目+10%。11年目以降の永続成長率は0%
③ ダウンサイドシナリオ
フリーキャッシュフローの成長率:1年目+10%、2年目〜7年目+5%、8年目〜10年目+0%。11年目以降の永続成長率は0%
メインシナリオの目標株価は493ドルとなります。
・メインシナリオ:493ドル
・アップサイドシナリオ:654ドル
・ダウンサイドシナリオ:330ドル
メタ・プラットフォームズ(Meta、META)への投資について
FY2023の売上高は1,349億ドル(前年度比+15.7%)、EPSは14.87ドル(前年度比+73.1%)となりました。
DCF法による目標株価は493ドルのため、2024年2月末時点の株価490ドルとほぼ同水準です。
なお、メインシナリオは、10年後の売上高が1.5倍(年率+4%)、FY2023のフリーキャッシュフローマージンが10年間継続することを想定したので、売上高またはフリーキャッシュフローマージンがさらに上向けばより高い株価上昇が期待できます。
自社株買いに積極的であることに加え、2024年から配当を開始しました。
AIに焦点をあてた製品とサービスの提供を今後強化することはポジティブです。