ファイザー(PFE)決算分析と目標株価 コロナワクチンの売上高が急増 売上高全体の4割超を占める

ファイザー医薬品・バイオテクノロジー・ライフサイエンス

過去の業績の推移を解説し、目標株価の算出とファイザーへの投資についてコメントします。

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会社概要

ファイザー(Pfizer Inc.、PFE)

ホームページ(SECファイル):リンク先

国:アメリカ

セクター:ヘルスケア

産業グループ:医薬品・バイオテクノロジー・ライフサイエンス

サブ産業グループ:医薬品

株式時価総額:2,192億ドル(世界ランキング第45位、2021年6月末)

ファイザーは、アメリカに本拠を置く、大手医薬品メーカーです。

ドイツのビオンテックとの提携により共同開発されたコロナワクチンが、アメリカFDAに初めて正式に承認されました。

 

(参考)競合他社(医薬品)の株式時価総額(2021年6月末)

 株式時価総額
(億ドル)
ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)4,338
ロシュHD(ROG.SW)3,257
イーライ・リリー(LLY)2,201
ファイザー(PFE)2,192
ノバルティス(NVS)2,048
メルク&カンパニー(MRK)1,969
ノボ・ノルディスク(NVO)1,923
アストラゼネカ(AZN)1,573
ブリストル・マイヤーズ スクイブ(BMY)1,492
サノフィ(SNY)1,317
グラクソ・スミスクライン(GSK)1,002
ゾエティス(ZTS)885
メルクKGaA(MRK.DE)811
中外製薬(4519.T)655
バイエル(BAYN.DE)599
武田薬品工業(4502.T)531
第一三共(4568.T)377
アステラス製薬(4503.T)322
エーザイ(4523.T)283

 

売上高(セグメント別、地域別)の推移

FY2020(2020年1-12月期)の売上高は419億ドルと、前年度比+1.8%、過去5年間で年率▲3.0%となりました。

 

2021Q2(2021年4−6月期)の売上高は190億ドル(前年同期比+92.4%)と、コンセンサス(187億ドル)を上回りました。

 

セグメント別の売上高は、以下の通りです。

・コロナワクチン:78億ドル

・その他ワクチン:14億ドル、前年同期比+12%

・癌等の腫瘍:31億ドル、前年同期比+19%

・内科:24億ドル、前年同期比+5%

・病院:23億ドル、前年同期比+21%

・炎症/免疫:10億ドル、前年同期比▲5%

・希少疾患:9億ドル、前年同期比+31%

セグメント別の売上高構成比は、コロナワクチンが41%を占めます。

 

地域別の売上高構成比は、アメリカが52%、欧州先進国が19%、その他先進国が10%、新興国が20%を占めます。

 

利益の推移

FY2020の営業利益は88億ドルと、前年度比+19.8%となりました。

営業利益率は20.9%と、前年度の17.8%から改善しました。

 

2021Q2の営業利益は56億ドル(前年同期比+130.7%)となりました。

 

FY2020の非GAAP EPSは2.22ドルと、前年度比+16.2%となりました。

 

2021Q2のEPSは0.98ドルと、コンセンサス(0.76ドル)を上回りました。

非GAAP EPSは1.07ドル(前年同期比+72.6%)と、コンセンサス(0.98ドル)を上回りました。

 

キャッシュフローの推移

FY2020の営業キャッシュフローは144億ドルと、前年度比+14.4%、過去5年間で年率▲0.4%となりました。

営業キャッシュフローマージン(営業キャッシュフロー/売上高)は34.4%と、前年度の30.6%から改善しました。

 

2021Q2の営業キャッシュフローは113億ドル(前年同期比+217.8%)となりました。

 

FY2020のフリーキャッシュフローは116億ドルと、前年度比+15.0%、過去5年間で年率▲2.5%となりました。

フリーキャッシュフローマージン(フリーキャッシュフロー/売上高)は27.7%と、前年度の24.5%から改善しました。

 

2021Q2のフリーキャッシュフローは108億ドル(前年同期比+247.3%)となりました。

 

株主還元(配当、自社株買い)の推移

株主還元に積極的です。

 

(参考)過去5年間の株主還元利回り(株価は各会計年度末時点)

FY2020の益利回り(PERの逆数)は4.6%、フリーキャッシュフロー利回りは5.6%です。

過去5年間の配当利回りは3〜4%程度です。

 

(参考)過去5年間の配当性向、総還元性向

FY2020の配当性向は、利益・キャッシュフローベースともに100%以下です。

 

(参考)過去5年間のDPS(1株当たり配当金)

FY2020のDPSは1.52ドルと、前年度比+5.6%、過去5年間で年率+6.3%となりました。

 

(参考)過去5年間の発行済株式数

発行済株式数は、過去5年間で年率▲2.1%となりました。

 

売上高およびEPSの実績値とコンセンサスの推移

売上高の実績値(コンセンサス比)は、過去9四半期中、6勝、3敗です。

EPSの実績値(コンセンサス比)は、過去9半期中、6勝、3敗です。

非GAAP EPSの実績値(コンセンサス比)は、過去9半期中、7勝、2敗です。

※公表時点の数値

 
売上高(ドル)GAAP EPS(ドル)非GAAP EPS(ドル)
実績値コンセンサス勝敗実績値コンセンサス勝敗実績値コンセンサス勝敗
2019Q2133134×0.890.650.800.75
2019Q31271241.360.400.750.62
2019Q4127127×-0.060.53×0.550.58×
2020Q11201140.600.460.800.71
2020Q21181160.620.500.780.66
2020Q3121123×0.390.57×0.720.71
2020Q41171130.100.40×0.420.46×
2021Q11461360.860.690.930.78
2021Q21901870.980.761.070.98

 

株価上昇率

FY2020の株価上昇率は▲0.8%と、S&P500(+16.3%)を下回りました。

過去5年間(2016年1月から2020年12月末)の株価上昇率は年率+3.8%と、S&P500(年率+12.9%)を大きく下回りました。

 

2021Q2の株価上昇率は+8.1%と、S&P500(+8.2%)を若干下回りました。

 

競合他社(医薬品)の株価上昇率(ROG.SWはスイスフラン、MRK.DE、BAYN.DEはユーロ建て、4519.T、4502.T、4568.T、4503.T、4523.Tは日本円建て、その他はUSドル建て)は、以下の通りです。

ファイザー(PFE)の株価上昇率は、2020年の1年間で▲1%と、19社平均(+6%)を下回り、19社中第10位となりました。

2018年1月から2020年12月の3年間では+7%と、19社平均(+46%)を下回り、19社中第15位となりました。

 

過去10年間(2011年8月から2021年7月)のドローダウン(最高値からの下落率、月末株価)の推移は、以下の通りです。

 

(参考)株価の推移(月末株価)

通常の目盛り表示の場合、近年の株価のブレ幅(上昇もしくは下落)が過去より非常に大きいと錯覚するため、対数目盛りで表示しています。

 

DCF法による目標株価

DCF(Discounted Cash Flow)法とは、将来に渡って生み出すキャッシュフローを割り引く(WACC、加重平均資本コスト)ことで理論価格を算出します。

以下のシナリオに基づき、フリーキャッシュフローの現在価値とネット有利子負債を合計して株主価値を算出し、株主価値を発行済株式総数で割ることで、1株あたりの株価を算出します。

なお、WACCを5.0%と推計しました。

以下のグラフは、各シナリオのフローキャッシュフロー(億ドル)の推移となります。

① メインシナリオ

 フリーキャッシュフローの成長率:1年目+90%、2年目+10%、3年目▲30%、4年目▲10%、5年目〜10年目+0%。11年目以降の永続成長率は0%。

② アップサイドシナリオ

 フリーキャッシュフローの成長率:1年目+90%、2年目+10%、3年目〜10年目+0%。11年目以降の永続成長率は0%。

③ ダウンサイドシナリオ

 フリーキャッシュフローの成長率:1年目+90%、2年目+10%、3年目▲30%、4年目〜6年目▲10%、7年目〜10年目+0%。11年目以降の永続成長率は0%。

メインシナリオの目標株価は52ドルとなります。

・メインシナリオ:52ドル

・アップサイドシナリオ:80ドル

・ダウンサイドシナリオ:43ドル

ファイザー(Pfizer Inc.、PFE)への投資について

2021Q2(2021年4−6月期)の売上高は190億ドル(コンセンサス187億ドル)、非GAAP EPSは1.07ドル(コンセンサス0.98ドル)と、コンセンサスを上回る実績となりました。

FY2021のガイダンスは、以下の通りです。

・売上高:780〜800億ドル(コンセンサス721億ドル)

・非GAAP EPS:3.95〜4.05ドル(コンセンサス3.65ドル)

DCF法による目標株価は52ドルのため、2021年7月末時点の株価43ドルより高い水準です。

なお、メインシナリオは、10年後の売上高が1.3倍(年率+3%)、FY2020のフリーキャッシュフローマージンである28%が10年間継続することを想定したので、売上高またはフリーキャッシュフローマージンがさらに上向けばより高い株価上昇が期待できます。

コロナワクチンの恩恵で業績絶好調です。

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