アンハイザー・ブッシュ・インベブ(BUD)決算分析と目標株価 世界シェアトップのビールメーカー 利益率は相対的に高水準

食品・飲料・タバコ

過去の業績の推移を解説し、目標株価の算出とアンハイザー・ブッシュ・インベブへの投資についてコメントします。

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会社概要

アンハイザー・ブッシュ・インベブ(Anheuser-Busch InBev、ABI.BR、BUD)

ホームページ(IR):リンク先

国:ベルギー

セクター:生活必需品

産業グループ:食品・飲料・タバコ

サブ産業グループ:醸造

株式時価総額:1,387億ドル(世界ランキング第83位、2020年12月末)

浮動株調整後株式時価総額:439億ドル(2021年2月末、MSCI)

アンハイザー・ブッシュ・インベブは、ベルギーに本拠を置く、バドワイザーやコロナビール等のブランドを持つ、世界最大のビール(世界シェア約3割)メーカーです。

ベルギーのインベブが、アメリカのアンハイザー・ブッシュを2008年に520億ドルで買収して誕生しました。

その後、当時世界シェア2位だったイギリスのSABミラーを2016年に790億ポンドで買収しました。

ベルギー株式市場で第1位の浮動株調整後株式時価総額(2020年12月末、MSCI)で、醸造に占めるアンハイザー・ブッシュ・インベブの浮動株調整後株式時価総額比率は25%です。

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売上高(販売量、地域別)の推移

FY2020(2020年1-12月期)の売上高は469億ドルと、前年度比▲10.4%、過去5年間では年率+1.5%となりました。

ビールの販売量は5.31億ヘクトリットルと、前年度比▲5.5%となりました。

地域別の売上高は、以下の通りです。

・北米:156億ドル、前年度比+0.9%

・中米:100億ドル、前年度比▲15.8%

・南米:81億ドル、前年度比▲17.3%

・欧州/中東/アフリカ:68億ドル、前年度比▲13.6%

・アジアパシフィック:56億ドル、前年度比▲13.7%

地域別の売上高構成比は、北米が33%、中米が21%、南米が17%を占めます。

利益(地域別)の推移

FY2020(2020年1-12月期)の営業利益は96億ドルと、前年度比▲40.2%、過去3年間では年率▲16.4%となりました。

営業利益率は20.5%と、前年度の30.8%から改善しました。

地域別のEBITDAマージンは、以下の通りです。

FY2020のEPSは0.69ドルと、前年度比▲84.8%、過去3年間では年率▲44.2%となりました。

キャッシュフローの推移

FY2020(2020年1-12月期)の営業キャッシュフローは109億ドルと、前年度比▲22.4%、過去5年間では年率▲5.1%となりました。

営業キャッシュフローマージン(営業キャッシュフロー/売上高)は23.2%と、前年度の26.8%から悪化しました。

FY2020の設備投資額/売上高は8.1%と、前年度の9.9%から低下しました。

FY2020のフリーキャッシュフローは71億ドルと、前年度比▲19.8%、過去5年間では年率▲5.4%となりました。

フリーキャッシュフローマージン(フリーキャッシュフロー/売上高)は15.2%と、前年度の16.9%から悪化しました。

株主還元(配当、自社株買い)の推移

過去5年間の自社株買いの実施はなしです。

(参考)過去5年間の株主還元利回り(株価は各会計年度末時点、ドルベース)

FY2020の益利回り(PERの逆数)は1.0%、フリーキャッシュフロー利回りは5.0%です。

(参考)過去5年間の配当性向、総還元性向

FY2020の配当性向は、利益・キャッシュフローベースともに、100%を下回りました。

(参考)過去5年間のDPS(1株当たり配当金)

減配が継続中です。

(参考)過去5年間の発行済株式数

ROICの推移

ROIC(Return on Invested Capital、投下資本利益率)とは、企業が事業活動のために投じた資金を使ってどれだけ利益を生み出したか(投資効率)を測る指標となります。

正確な計算方法はないため、ここでは、税引後営業利益/投下資本(=運転資本+有形固定資産(リース含む)+無形固定資産+在庫+のれん)として計算しています。

少なくともWACC(加重平均資本コスト)を超えることが絶対条件と言われています。

過去5年間のROICは5%程度と、投資効率は低いです。

利益率は高いものの、積極的な買収によって、のれん等が大きいため、ROICが低水準であることは仕方ありません。

売上高およびEPSの実績値とコンセンサスの推移

以下のグラフは、売上高のコンセンサスおよび実績値の推移となります。

過去8四半期中、5勝、3敗です。

以下のグラフは、非GAAP EPSのコンセンサスおよび実績値の推移となります。

過去8四半期中、4勝、3敗、1引き分けです。

株価上昇率

過去5年間(2016年1月から2020年12月末)の株価上昇率(ドルベース)は▲44%(年率▲11.0%)と、世界株式を投資対象とするVT ETFの上昇率+61%(年率+9.9%)を大きく下回りました。

競合他社(食品・飲料)の株価上昇率(Nestleはスイスフラン建て、Danone、Pernod、Heinekenはユーロ建て、Kweichowは人民元建て、Asahi、Kirinは日本円建て、その他はドル建て)は、以下の通りです。

アンハイザー・ブッシュ・インベブ(BUD)の株価上昇率は、2020年の1年間で▲15%と、15社平均(+5%)を下回り、15社中第13位となりました。

2018年1月から2020年12月の3年間では▲37%と、15社平均(+20%)を下回り、15社中第15位となりました。

過去10年間(2011年4月から2021年3月)のドローダウン(最高値からの下落率、月末株価)の推移は、以下の通りです。

2016年6月の最高値から最大60%超下落し、その後はほぼ横ばいです。

DCF法による目標株価

DCF(Discounted Cash Flow)法とは、将来に渡って生み出すキャッシュフローを割り引く(WACC、加重平均資本コスト)ことで理論価格を算出します。

以下のシナリオに基づき、フリーキャッシュフローの現在価値とネット有利子負債を合計して株主価値を算出し、株主価値を発行済株式総数で割ることで、1株あたりの株価を算出します。

なお、WACCを5.9%、金利が1%上昇した場合は6.8%と推計しました。

以下のグラフは、各シナリオのフローキャッシュフロー(億ドル)の推移となります。

① メインシナリオ

 フリーキャッシュフローの成長率:1年目+15%、2年目〜10年目+5%。11年目以降の永続成長率は0%。

② アップサイドシナリオ

 フリーキャッシュフローの成長率:1年目+15%、2年目〜10年目+7%。11年目以降の永続成長率は0%。

③ ダウンサイドシナリオ

 フリーキャッシュフローの成長率:1年目+15%、2年目〜10年目+3%。11年目以降の永続成長率は0%。

メインシナリオの目標株価は56ドルとなります。

アンハイザー・ブッシュ・インベブ(Anheuser-Busch InBev、ABI.BR、BUD)への投資について

FY2020(2020年1-12月期)の売上高は469億ドルと、前年度比▲10.4%となりました。

営業利益率は、新型コロナウイルスの影響で業績が苦戦したFY2020でも20%、平時では30%程度と高水準です。

営業キャッシュフローマージンは25%程度と比較的高水準です。

有利子負債が1,000億ドル程度と巨額ですが、減少傾向にあることや、株主への配当支払い後のフリーキャッシュフローが大きいため、問題ありません。

積極的な買収によってのれん等が大きいことから、ROICは低水準です。

DCF法による目標株価は56ドルのため、2021年2月末時点の株価63ドルより低い水準です。

なお、メインシナリオは、10年後の売上高が1.4倍(年率+3%)、10年後に向けてフリーキャッシュフローマージンが20%(FY2020:15%)まで上昇することを想定したので、売上高またはフリーキャッシュフローマージンがさらに上向けばより高い株価上昇が期待できます。

売上高が伸びにくい業界であることや、巨額の有利子負債により、しばらく株価は低迷しそうです。

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