キリンHD(2503)決算分析と目標株価 自社株買いに積極的 利益率とキャッシュフローマージンが低水準

食品・飲料・タバコ

過去の業績の推移を解説し、目標株価の算出とキリンホールディングスへの投資についてコメントします。

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会社概要

キリンホールディングス(Kirin Holdings、2503.T)

ホームページ(IR):リンク先

国:日本

セクター:生活必需品

産業グループ:食品・飲料・タバコ

サブ産業グループ:醸造

株式時価総額:2.2兆円(日本ランキング第68位、2020年12月末)

浮動株調整後株式時価総額:161億ドル(2021年2月末、MSCI)

キリンホールディングスは、日本に本拠を置く、国内ビールスピリッツ事業(キリン一番搾り生ビール等)、国内飲料事業(午後の紅茶、生茶、プラズマ乳酸菌入り飲料等)、オセアニア綜合飲料事業(オセアニア地域におけるビール、乳製品、果汁飲料等)、医薬事業(協和キリンの治療薬等)、その他事業(メルシャンのワイン等)を展開する企業を傘下に持つ持株会社です。

醸造に占めるキリンホールディングスの浮動株調整後株式時価総額比率は9%です。

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売上高(セグメント別、地域別)の推移

FY2020(2020年1-12月期)の売上高は1兆8,495億円と、前年度比▲4.7%、過去3年間で年率▲0.3%となりました。

セグメント別の売上高は、以下の通りです。

・国内ビール・スピリッツ:6,514億円、前年度比▲4.5%

・国内飲料:2,522億円、前年度比▲12.1%

・オセアニア綜合飲料:2,921億円、前年度比▲2.5%

・医薬:3,178億円、前年度比+4.2%

・その他:3,360億円、前年度比▲8.7%

新型コロナウイルスの影響で、国内ビール・スピリッツ事業における業務用と、国内飲料事業における自販機が不調となりました。

セグメント別の売上高構成比は、国内ビール・スピリッツが35%、国内飲料が14%、オセアニア綜合飲料が16%、医薬が17%、その他が18%を占めます。

地域別の売上高は、以下の通りです。

・日本:1兆1,802億円、前年度比▲7.6%

・オセアニア:2,575億円、前年度比▲12.5%

・アメリカ:2,493億円、前年度比+24.2%

・その他:1,626億円、前年度比▲3.9%

地域別の売上高構成比は、日本が64%、オセアニアが14%、アメリカが13%を占めます。

利益(セグメント別)の推移

FY2020の営業利益は1,029億円と、前年度比+17.3%、過去3年間で年率▲21.3%となりました。

営業利益率は5.6%と、前年度の4.5%から改善しました。

セグメント別の営業利益率は、以下の通りです。

FY2020のEPSは86円と、前年度比+25.8%、過去3年間で年率▲31.4%となりました。

キャッシュフローの推移

FY2020(2020年1-12月期)の営業キャッシュフローは1,648億円と、前年度比▲7.8%、過去3年間で年率▲9.4%となりました。

営業キャッシュフローマージン(営業キャッシュフロー/売上高)は8.9%と、前年度の9.2%から悪化しました。

FY2020のフリーキャッシュフローは718億円と、前年度比▲12.9%、過去3年間で年率▲18.5%となりました。

フリーキャッシュフローマージン(フリーキャッシュフロー/売上高)は3.9%と、前年度の4.2%から悪化しました。

株主還元(配当、自社株買い)の推移

過去3年間は、自社株買いに積極的です。

(参考)過去5年間の株主還元利回り(株価は各会計年度末時点)

FY2020の益利回り(PERの逆数)は3.5%、フリーキャッシュフロー利回りは3.5%と、低下傾向にあります。

自社株買い実施により、総還元性向は高い水準です。

(参考)過去5年間の配当性向、総還元性向

過去5年間の配当性向は、利益・キャッシュフローベースともに100%を下回りました。

(参考)過去5年間のDPS(1株当たり配当金)

FY2020のDPSは65円と、前年度比+1.6%、過去3年間で年率+12.2%となりました。

FY2021のDPSは65円(前年度比+0.0%)の予定です。

(参考)過去5年間の発行済株式数

発行済株式数は、過去3年間で年率▲2.7%となりました。

ROICの推移

ROIC(Return on Invested Capital、投下資本利益率)とは、企業が事業活動のために投じた資金を使ってどれだけ利益を生み出したか(投資効率)を測る指標となります。

正確な計算方法はないため、ここでは、税引後営業利益/投下資本(=運転資本+有形固定資産(リース含む)+無形固定資産+在庫+のれん)として計算しています。

少なくともWACC(加重平均資本コスト)を超えることが絶対条件と言われています。

過去5年間のROICは概ね5〜10%程度と、投資効率は悪くありません。

株価上昇率

過去5年間(2016年1月から2020年12月末)の株価上昇率は+48%(年率+8.1%)と、世界株式を投資対象とするVT ETFの上昇率+61%(年率+9.9%)を下回りました。

競合他社(食品・飲料)の株価上昇率(Nestleはスイスフラン建て、Danone、Pernod、Heinekenはユーロ建て、Kweichowは人民元建て、Asahi、Kirinは日本円建て、その他はドル建て)は、以下の通りです。

キリンホールディングス(Kirin)の株価上昇率は、2020年の1年間で+2%と、15社平均(+5%)を下回り、15社中第7位となりました。

2018年1月から2020年12月の3年間では▲14%と、15社平均(+20%)を下回り、15社中第12位となりました。

過去10年間(2011年4月から2021年3月)のドローダウン(最高値からの下落率、月末株価)の推移は、以下の通りです。

2018年5月の最高値から最大40%程度下落し、その後横ばいです。

(参考)株価の推移(月末株価)

DCF法による目標株価

DCF(Discounted Cash Flow)法とは、将来に渡って生み出すキャッシュフローを割り引く(WACC、加重平均資本コスト)ことで理論価格を算出します。

以下のシナリオに基づき、フリーキャッシュフローの現在価値とネット有利子負債を合計して株主価値を算出し、株主価値を発行済株式総数で割ることで、1株あたりの株価を算出します。

なお、WACCを4.8%、金利が1%上昇した場合は5.7%と推計しました。

以下のグラフは、各シナリオのフローキャッシュフロー(億円)の推移となります。

① メインシナリオ

 フリーキャッシュフローの成長率:1年目〜3年目+8%、4年目〜10年目+6%。11年目以降の永続成長率は0%。

② アップサイドシナリオ

 フリーキャッシュフローの成長率:1年目〜10年目+8%。11年目以降の永続成長率は0%。

③ ダウンサイドシナリオ

 フリーキャッシュフローの成長率:1年目+8%、2年目〜10年目+2%。11年目以降の永続成長率は0%。

メインシナリオの目標株価は2,290円となります。

キリンホールディングス(Kirin Holdings、2503.T)への投資について

FY2020(2020年1-12月期)の売上高は1兆8,495億円(前年度比▲4.7%)、営業利益は1,029億円(前年度比+17.3%)となりました。

過去5年間の売上高は1.9兆円前後と、ほぼ横ばいが続いています。

2年連続で、営業利益率、営業キャッシュフローマージンは1桁と低水準です。

過去5年間のROICは概ね5〜10%程度と、投資効率は悪くないです。

3年連続で自社株買いを実施している点はポジティブです。

FY2021のガイダンスは、以下の通りです。

・売上高:1兆8,800億円(前年度比+1.6%)

・当期利益:1,320億円(前年度比+32.2%)

DCF法による目標株価は2,290円のため、2021年2月末時点の株価2,088円より高い水準です。

なお、メインシナリオは、10年後の売上高が1.2倍(年率+2%)、10年後に向けてフリーキャッシュフローマージンが6%(FY2020:4%)まで上昇することを想定したので、売上高またはフリーキャッシュフローマージンがさらに上向けばより高い株価上昇が期待できます。

市場環境の変化で、業績が回復するには時間がかかりそうです。

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